※アメリカにもC-2グレイハウンドという輸送機があるが、pixivではほとんど日本のC-2輸送機のイラストに使用されている。
概要
前作C-1の難点を解消した機体となっている。
誤解を招かぬように言っておけば、C-1自体は飽くまで当時の日本国内で使うことを前提として設計された機体であり、決して設計の根本に問題があるわけではない。
しかし、時代は変わった。自衛隊も何だかんだで海外に出張(海外派遣)することが多くなっており、C-1では能力不足となったために専らC-130が活用されるようになったものの、こちらも搭載量などが多少マシな程度でやはり海外を飛び回る事は元々想定していなかった。
こうしてC-2が開発されることとなったのである。
機体
形状的にはターボファンエンジン双発の戦術輸送機。
海外では「C-17をスケールダウンしたような機体だ」と評されることもあるとか。
高翼式の主翼・T字尾翼・前後に貨物積み下ろし用のランプを備えるなど、一般的な輸送機の形状をしている。
但し輸送能力は大幅に向上しており、最大36tのペイロード(積み荷)を積載可能。
部品の多くは同時期に開発がスタートしたP-1哨戒機と共通化が図られており、大幅なコストダウンを実現した。ちなみにコクピット窓はP-1と同じものを使っている。
エンジンはボーイング747などでの採用実績のある、ゼネラル・エレクトリックCF6ターボファンエンジンを採用。
ちなみに、飽くまで噂であるが、変態機動で有名な前作よりもパワーウェイトレシオが向上しているとかいないとか・・・。
C-1からの改善点
C-1は当時の日本国内で使うには不足はなかった、というか下手な海外の大型機よりもチートじみたSTOL性能や(戦術輸送機としては)高速性能の良さなどでむしろ使い勝手のいい機体ではあった。
・・・海外派遣など考えず、国内での輸送に使うのなら。
しかし時代は変わり、自衛隊も何だかんだで海外への出張が多くなってきた。
と同時に、これは現行のC-1では能力不足となってしまうことも意味していた。
特に航続距離。沖縄の本土返還を想定していなかったなどの要因で、フル積載時で1500kmに抑えられてしまった。
まあ日本国内で使うならこんなのでも支障は無いが、海外派遣が多くなってくるとさすがにこれじゃあ足りない。
それに積載量8tというのも今となっては、特に海外出張の時は論外だ。
というわけで「航続距離の延長」、「積載量の向上」が計画された。
また海外に行くとなったらできることなら民間航空路を使えるようにしたい。
でも、意外かもしれないが民間機、特に国際航路を飛んでいる機体はかなりの高速で飛んでいる。
何しろエアバスのA340旅客機ですら「マッハ0.8(890km/h)では遅い」と言われて散々文句を言われ、挙句の果てには「A340専用航路」なんてのも設定させられる事態に発展しているくらいだ。
はっきり言って並の軍用輸送機では「遅すぎる」。どんくらい遅いのかといえば、C-5「ギャラクシー」で770km/h、C-17「グローブマスターⅢ」でマッハ0.77(約860km/h)。遅い遅いと言われるA340よりもさらに低速である。
今ある軍用輸送機では遅すぎて文句が出てしまう。
というわけで、「高速巡航」すら視野に入れた「全部入り」の機体として設計されることとなった。
ダメ押しで空中給油にも対応。
てなわけで、
- 搭載能力:32t、ソッと飛ぶなら最大36tに向上 ※C-1は8t、C-130さえ19t
- 航続距離:20t積載時7600km、無積載で9800kmに向上 ※C-1は8t搭載時1500km、無積載で2400km
- 最大速度:M0.82(917km/h)に向上 ※C-1は815km/h
というように全体的な能力向上が図られている。
しかし、完成直前になって機体の強度不足が発覚、開発費が当初の1.8倍と大幅に膨らんでしまった模様。
A400MやC-130じゃダメなんですか?
ほぼ同等の能力を有する機体として、エアバスA400Mが挙げられる。
だが日本の要求は「30t積めて、6000kmくらいまで飛べて、ついでに国際航路を飛んでも文句を言われないくらい足が速い機体」である。
開発炎上を差し引いても、ターボプロップ(プロップファン)方式のA400Mでは速度面で能力不足である。こちらはC-5と同じくらいの速度しか出ない。
C-130は傑作機とはいえいかんせん年式が古いし、さらに日本仕様は元々素性の良かったC-130という機体にあれやらこれやら付けて重装備になり却って扱いづらい。なにより新型のJ型さえA400Mにも増して足が遅く搭載量も少ない。
A400Mはあと一歩のところで惜しいし、C-130に至ってはもはや「論外」なのである。
ついでに言うとC-17はC-1の後継候補となったが最短離陸滑走距離の面で使用できない飛行場があり、最高巡航速度が性能要求を下回ることから「不採用」となっている。
兄弟分であるP-1のF7エンジン(当初から小出力ターボファンエンジン4発とする計画だったが、6t級の推力のターボファンエンジン自体がJT8D、或いはCF34ともう化石みたいなものしか無いため仕方なく自分でエンジンも作った)と同じく、無いから自分たちで作っただけである。
ただ、そんなC-2にも弱点はある。
それは、大きい分価格が高いことである。これにより輸出販売を狙っているが未だ採用を勝ち取れていない。日本よりも輸出販売網が充実しているA400Mでさえ開発参加国以外への輸出には苦戦している状態なのに、「どこの馬の骨とも知らない国が作った、デカくてお高い飛行機」を買ってくれる国がいるかどうかと聞かれると、ぶっちゃけお察しくださいレベルである。
また、軍用輸送機には当たり前となっている能力、不整地での離着陸に非対応という点も指摘されている。
元々自衛隊が要求しなかった事なので、自衛隊で使う分には問題ないのだが、海外へ輸出する上では大きな足枷となっている。ただ、強度上は問題ないとされており、2020年から不整地での運用試験が実施された。その結果、不整地での離着陸に対応できることが証明された。
関連イラスト
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C-1 - 先代。
P-1 - 兄弟分。部品の多くが共通化されている。
C-17 - スタイル的に似ていると評される事がある。