概要
1970年12月にフランスと西ドイツの企業による共同出資の形で設立された。現在はフランス・ドイツに加えてイギリスとスペインが加わった4か国による合弁企業である。
当初こそ初めて開発したエアバスA300の販売が不振となり経営はあまり芳しくなかったが、フランス・西ドイツ両政府の援助でこれを乗り切り、その後は国ぐるみの支援策もあってA300の販売を軌道に乗せる。そこから数々の最新鋭技術を盛り込んだ小型機エアバスA320を発売し、ボーイング737と並ぶ小型機のベストセラー商品として大成功を収める。
更に中長距離向け機体としてエアバスA330とエアバスA340を開発し、以降は瞬く間に大手航空機メーカーの双璧にのし上がった。それ以降も世界最大の総二階建て旅客機であるエアバスA380の開発を行った他、2010年代には最新鋭機となる中大型機のエアバスA350 XWBも開発した。
現在はアメリカ合衆国のボーイング社と旅客機市場をほぼ二分するまでに成長。2010年代頃からはボーイング側の苦戦もあり、エアバス社は世界一の航空機メーカーとなるにまで至った。
フランス・トゥールーズに本社と最終組み立て工場が存在(なおフランス・イタリア合弁のプロペラ機メーカーであるATRの本社もトゥールーズにある)。ドイツ・ハンブルクや中華人民共和国・天津などにも工場がある。
子会社にヘリコプターの製造・開発を行うエアバス・ヘリコプター社(旧ユーロコプター)や、軍用機の製造を行なうエアバス・ディフェンス・アンド・スペース(旧エアバス・ミリタリー)が存在する。
製品ラインナップ
民間向け・生産中(2024年11月時点)
- エアバスA220(2013~)
- 双発ナローボディ機。A220-100型とA220-300型の2機種が存在する。
- 当初はカナダ・ボンバルディア社のCシリーズとして開発されたが、2018年にボンバルディア側の経営難を理由にエアバス社と提携することになり、エアバスA220と改称された。
- エアバスA320neo(2012~)
- 双発ナローボディ機。A319neo、A320neo、A321neoの3機種が存在し、更にA321neoの航続距離上位互換型としてA321LR、A321XLRが存在する。
- エアバスA330neo(2015~)
- 双発ワイドボディ機。A330-800型とA330-900型の2機種が存在する。
- エアバスA350 XWB(2013~)
- 双発ワイドボディ機。A350-900型とA350-1000型の2機種が存在する。
民間向け・生産終了済
- エアバスA300(1972~2007)
- 双発ワイドボディ機。貨物型も生産していた。
- エアバスA310(1982~1998)
- 双発ワイドボディ機。
- エアバスA320ceo(1986~2021)
- 双発ナローボディ機。A318、A319、A320、A321の4機種が存在した。
- エアバスA330ceo(1992~2020)
- 双発ワイドボディ機。A330-200型とA330-300型の2機種が存在した。貨物型も生産していた。
- エアバスA340(1991~2011)
- 四発ワイドボディ機。A340-200型、A340-300型、A340-500型、A340-600型の4機種が存在した。
- エアバスA380(2005~2022)
- 四発ワイドボディ機。完全二階建ての旅客機。A380-800型のみ存在した。貨物型は生産が検討されたものの、実現には至らず。
軍用向け
- エアバスA310 MRTT
- A310を母体に開発された多目的給油・輸送機。
- エアバスA330 MRTT
- A330を母体に開発された多目的給油・輸送機。
- エアバスA400M
- 20世紀後半に計画が始動したものの、国際情勢の変動が災いして2013年まで開発が遅れた労作の輸送機。
日本において
日系航空会社における運用
現在運用中のものは太字。未納入のものは斜字。
- 日本エアシステム→日本航空
- エアバスA300(1981~2011)
- 全日本空輸
- エアバスA320-200(1991~2021)
- エアバスA321-100(1998~2008)
- エアバスA321-200(2016~)
- エアバスA320neo(2016~)
- エアバスA321neo(2017~)
- エアバスA380-800(2019~)
- スターフライヤー
- エアバスA320-200(2006~)
- エアバスA320neo(2023~)
- Peach Aviation
- エアバスA320-200(2011~)
- エアバスA320neo(2020~)
- エアバスA321neo (LR)(2021~)
- ジェットスター・ジャパン
- エアバスA320-200(2012~)
- エアバスA321neo (LR)(2022~)
- エアアジア・ジャパン
- エアバスA320-200(2017~2020)
- バニラ・エア
- エアバスA320-200(2012~2019)
- スカイマーク
- エアバスA330-300(2014~2015)
- エアバスA380-800(キャンセル)
- 日本航空
- エアバスA350-900 XWB(2019~)
- エアバスA350-1000 XWB(2024~)
- エアバスA321neo(2028予定)
- スプリング・ジャパン(ヤマト運輸として運航)
- エアバスA321-200 (PCF)(2024~)
ヘリコプター関連
兵庫県の神戸空港にエアバス・ヘリコプターズの事業所が存在し、アジア太平洋地域のエンジニアリング拠点としての役目を担っている。その関係で、神戸空港には時折エアバス社の巨大貨物機「エアバスA300-600ST ベルーガ」が飛来する。