概要
日本航空(JAL、Japan Airlines)は、ANA(全日本空輸)と共に国際便の旅客機を出している日本の航空会社の一つでもあり、日本の「フラッグ・キャリア」(国を代表する航空会社)でもある。
IATAコード(2レター)は「JL」、ICAOコード(3レター)は「JAL」。
2007年4月に国際的な航空連合の一つ「ワンワールド(oneworld)」に加盟。
歴史
戦後、GHQによって一切の日本国籍の航空機は飛行を禁止されたが、1950年6月をもってこの措置は解除されることとなった。それを受け、1951年8月に日本航空株式会社が設立された。1952年より自主運行を開始した。
1960年には初のジェット旅客機DC-8を太平洋路線に投入し、ライバルのパンアメリカン航空との競争を激化させていく。1967年には世界一周路線を開設した。
1970年にはボーイング747を導入し、名実ともに世界屈指の航空会社へと成長を遂げる。しかし、このころから重大な事故を起こすことが増えてきたため、運輸省の立ち入りや民間からの批判を受けるようになる。また、オイルショックや赤軍派のハイジャック事件に巻き込まれたことも大打撃となった。1972年の運輸省の通達により、日本航空は国際線と国内幹線を主な路線とすることが定められた(全日空は国内幹線と主要ローカル線、東亜国内航空はローカル線を運航)。これを45/47体制という。
1980年代には国際線の運送実績で世界一になった一方で、日本航空350便墜落事故や日本航空123便墜落事故を起こしたことで再び批判を受けることになった。1985年に45/47体制は撤廃され、以後JALも本格的にローカル線へと参入する。1987年に完全民営化。
1990年代はバブル崩壊や湾岸戦争の影響で一時的に経営不振になったがその後順調に回復し、2000年代初頭までは業績は好調だった。
経営統合と経営破綻
2001年に発生した同時多発テロの影響などにより、かねてより経営が傾いていた日本エアシステムと経営統合・合併を行った。しかし、高コスト・低効率の路線を維持し続けたことや、半官半民の経営体質が民営化した後も続いたことなどが重なり、ついに経営破綻となった。
2010年1月に会社更生法を申請し、企業再生支援機構の下での再建を図ることとなったが、2011年3月末に会社更生を完了した。なお、経営再建のさなかにあっても高いサービス水準は維持され、評価を受けている。
ロゴマーク「鶴丸」
日本航空の特徴的な赤いロゴマークは「鶴丸」と呼ばれている。
日本の家紋「鶴の丸」からの連想で生まれたロゴマークであり、昭和の全盛期から現在に至るまで(一時期を除いて)一貫してJALを象徴するロゴとして使われてきた。
2002年のJAS統合を機に「太陽のアーク」ロゴに変更され9年間だけ廃止されていたが、2010年に経営破綻したのちに原点回帰の意味も込めて2011年に「鶴丸」が復活。現在使われているのは、この時に生まれた三代目のものである。
以下の3種類がある。
1970年~1989年
2代目塗装、初代「鶴丸」
1989年~2002年
3代目塗装、二代目「鶴丸」
2011年~
5代目塗装、三代目「鶴丸」※メイン画像
運航機材(2024年8月現在)
日本航空(JAL)国際線
- エアバスA350-1000 5機
- ボーイング787-9 22機
- ボーイング787-8 19機
- ボーイング777-300 (ER) 13機
- ボーイング767-300 (ER) 9機
- ボーイング737-800 7機
日本航空(JAL)国内線
- エアバスA350-900 15機
- ボーイング787-8 4機
- ボーイング767-300 (ER) 16機
- ボーイング737-800 35機
日本航空(JAL)貨物機
日本トランスオーシャン航空(JTA)
- ボーイング737-800 14機
ジェイエア(J-AIR)
- エンブラエルE170 18機
- エンブラエルE190 14機
日本エアコミューター(JAC)
北海道エアシステム(HAC)
- ATR 42 4機
琉球エアーコミューター(RAC)
主な過去の運航機材
- エアバスA300
- ボーイング727
- ボーイング737-400
- JTAでは2019年に退役し、JALグループ内での運用が終了した。
- ボーイング747
- 所謂「ジャンボジェット機」。かつてJALは世界最多機数を運用しており、昭和後期・高度経済成長期日本の栄華の象徴とも言える機材であった。この機材とJALパックのパッケージ旅行が、日本の海外旅行を大衆化させたともいわれる。なお先述した御巣鷹山の墜落事故はこの機材で起きた。
- ボーイング767(767-300ERのみ現在も運用中)
- ボーイング777(777-300ERのみ現在も運用中)
- 747の跡を継ぎ、平成後期の主力機として活躍。令和に入ってからはA350に主力の座を明け渡した。
- コンベア880
- ダグラスDC-4
- ダグラスDC-6
- ダグラスDC-7
- ダグラスDC-8
- 747がJALの顔になる前の主力機であった。
- マクドネル・ダグラスDC-10
- マクドネル・ダグラスMD-11
- マクドネル・ダグラスMD-81
- マクドネル・ダグラスMD-87
- マクドネル・ダグラスMD-90
- マクドネル・ダグラスの機材では唯一、新生鶴丸塗装が見られた機材。
国内線就航路線
2024年8月現在。太字は拠点空港。コードシェア便は除く。
グループ会社6社(日本航空、ジェイエア、北海道エアシステム、日本エアコミューター、日本トランスオーシャン航空、琉球エアーコミューター)全ての就航都市を記載。
北海道地方
北海道
東北地方
青森県
岩手県
- 花巻空港(HNA)
秋田県
- 秋田空港(AXT)
山形県
- 山形空港(GAJ)
宮城県
- 仙台空港(SDJ)
関東地方
千葉県
- 成田国際空港(NRT)
東京都
- 東京国際空港(HND)
中部地方
新潟県
- 新潟空港(KIJ)
長野県
- 松本空港(MMJ) ※季節便
石川県
- 小松空港(KMQ)
愛知県
- 中部国際空港(NGO)
関西地方
大阪府
兵庫県
- 但馬空港(TJH)
和歌山県
- 南紀白浜空港(SHM)
中国・四国地方
島根県
岡山県
- 岡山空港(OKJ)
広島県
- 広島空港(HIJ)
山口県
- 山口宇部空港(UBJ)
香川県
- 高松空港(TAK)
徳島県
- 徳島空港(TKS)
愛媛県
- 松山空港(MYJ)
高知県
- 高知空港(KCZ)
九州地方
福岡県
長崎県
- 長崎空港(NGS)
大分県
- 大分空港(OIT)
熊本県
- 熊本空港(KMJ)
宮崎県
- 宮崎空港(KMI)
鹿児島県
- 鹿児島空港(KOJ)
薩南・沖縄地方
鹿児島県
沖縄県
2024年7月時点で全国30都道府県(うち1県は季節限定運航)に路線網を伸ばしている。
なお日本で民間空港が存在しない、または民間空港は存在するものの定期便がない府県は11(東から栃木、群馬、埼玉、神奈川、山梨、岐阜、福井、滋賀、三重、京都、奈良)である。つまり、民間空港がある残りの36都道府県のうち30都道府県に路線を持っているということであり、日本の殆どに路線網を伸ばしていると言える(逆に民間空港が存在しながらもJALが進出できていないのは東から福島、茨城、静岡、富山、鳥取、佐賀の6県であり、このうち福島・富山・鳥取・佐賀はANAグループの寡占地域、茨城はスカイマークの寡占地域。静岡空港はJALと提携関係にあるフジドリームエアラインズの拠点空港であり、JALはコードシェアという形で多く乗り入れる)。
ANA(32都道府県)に数こそ劣るものの、島根県や薩南・沖縄地域などでANAに対し圧倒的な強みを持っていることは特筆すべき点である(ただしANAにもこのような場所はあり、鳥取県、北陸地方、東京・長崎の島嶼部などがそれに該当する)。
特に薩南・沖縄地域ではそれぞれ日本エアコミューター(JAC)と琉球エアーコミューター(RAC)が広大な路線網を敷いており、もはや離島住民にとっては欠かすことのできないライフラインにまでなっている(運賃にも「離島割引」というのが存在するほど)。
先述の45/47体制の名残でJALは元々国内地方路線において貧弱な面があったが、JAL/JAS統合の際にJASから多くの地方路線を引き継いだため、強力な路線網を持つことになった。例として、島根県の出雲空港はかつてJASが強い影響力を持っていた空港であるが、JALに統合されてからもその名残で一強状態が続いている(このような空港では、JALの提携会社となったフジドリームエアラインズが路線を持っていることもしばしばである)。
国際線就航路線
2024年8月現在。
日本国内の空港からは東京国際空港(HND)、成田国際空港(NRT)、関西国際空港(KIX)、中部国際空港(NGO)の4空港から発着路線がある。
東京国際空港(HND)発着路線
大韓民国(韓国)
- 金浦国際空港(GMP)
中華民国(台湾)
- 台北松山空港(TSA)
中華人民共和国(中国)
- 北京首都国際空港(PEK)
- 大連周水子国際空港(DLC)
- 上海浦東国際空港(PVG)
- 上海虹橋国際空港(SHA)
- 広州白雲国際空港(CAN)
香港
- 香港国際空港(HKG)
フィリピン
- ニノイ・アキノ国際空港(MNL)
ベトナム
- タンソンニャット国際空港(SGN)
タイ王国
- スワンナプーム国際空港(BKK)
シンガポール
- シンガポール・チャンギ国際空港(SIN)
インド
- インディラ・ガンディー国際空港(DEL)
カタール
- ハマド国際空港(DOH)
イギリス
- ロンドン・ヒースロー空港(LHR)
フランス
- パリ・シャルル・ド・ゴール空港(CDG)
フィンランド
- ヘルシンキ・ヴァンター空港(HEL)
ロシア連邦
- シェレメーチエヴォ国際空港(SVO)
- 2022年2月からウクライナ侵攻により運休中
アメリカ合衆国
- ロサンゼルス国際空港(LAX)
- ダラス・フォートワース国際空港(DFW)
- シカゴ・オヘア国際空港(ORD)
- サンフランシスコ国際空港(SFO)
- ジョン・F・ケネディ国際空港(JFK)
- ダニエル・K・イノウエ国際空港(HNL)
オーストラリア
- シドニー国際空港(SYD)
成田国際空港(NRT)発着路線
中華民国(台湾)
- 台湾桃園国際空港(TPE)
香港
- 香港国際空港(HKG)
フィリピン
- ニノイ・アキノ国際空港(MNL)
ベトナム
- タンソンニャット国際空港(SGN)
- ノイバイ国際空港(HAN)
タイ王国
- スワンナプーム国際空港(BKK)
マレーシア
- クアラルンプール国際空港(KUL)
シンガポール
- シンガポール・チャンギ国際空港(SIN)
インドネシア
- スカルノ・ハッタ国際空港(CGK)
インド
- ケンペゴウダ国際空港(BLR)
ドイツ
- フランクフルト空港(FRA)
ロシア連邦
- ウラジオストク国際空港(VVO)
- 2022年2月からウクライナ侵攻により運休中
カナダ
- バンクーバー国際空港(YVR)
アメリカ合衆国
- ロサンゼルス国際空港(LAX)
- サンフランシスコ国際空港(SFO)
- シアトル・タコマ国際空港(SEA)
- ローガン国際空港(BOS)
- サンディエゴ国際空港(SAN)
- ダニエル・K・イノウエ国際空港(HNL)
- コナ国際空港(KOA) ※季節便
- グアム国際空港(GUM)
オーストラリア
- メルボルン空港(MEL)
関西国際空港(KIX)発着路線
中華民国(台湾)
- 台湾桃園国際空港(TPE) ※季節便
中華人民共和国(中国)
- 上海浦東国際空港(PVG)
タイ王国
- スワンナプーム国際空港(BKK)
アメリカ合衆国
- ロサンゼルス国際空港(LAX)
- ダニエル・K・イノウエ国際空港(HNL)
中部国際空港(NGO)発着路線
中華人民共和国(中国)
- 上海浦東国際空港(PVG)
- 天津浜海国際空港(TSN)
アメリカ合衆国
- ダニエル・K・イノウエ国際空港(HNL)
他の「日本航空」の略称
- 「日本航空」のJAL以外の略称として、「日航」と略して呼ばれることもある。
- 2002年に日本航空と日本エアシステム(JAS、[[旧東亜国内航空)が経営統合した際に設立された持株会社、日本航空システムの略称(2004年以降は正式社名)として用いられることがあった。日本航空は同社の全額出資子会社「日本航空インターナショナル」に改組されたが、同社を単に「日本航空」あるいは「JAL」と呼ぶ例も多かった。2010年12月に持株会社の日本航空が日本航空インターナショナルに吸収合併され、2011年4月に日本航空インターナショナルが日本航空に商号変更している。
機内誌「SKYWARD」
JALグループの機内誌。
JASとの経営統合の際に、両社の機内誌を統合(実質的にはJAS側の機内誌がJAL側のそれに吸収される形である)して創刊された。
就航地の観光情報や土産物などの情報の他に、機内オーディオサービスの番組表や路線図なども掲載されている。
タイトルは「SKYWARD」ではあるが、現状JALグループの運航によるハイラル方面への路線は設定されていない。
キャラクター
全日空が「ANAコレ」によって萌え系の分野もカバーしているのに対し、JALではそのような動きは無い。一応それっぽいキャラはあるらしいが・・・・(参照)
ところが、2019年初秋。それはとんでもない形で実現することになった。
「乗客姉!?」
関連イラスト
関連タグ
あつまれどうぶつの森:DAL(Dodo Airlines)と言う架空の航空会社が登場する。なお、この3レターコードは現実でも米国のデルタ航空(Delta Air Lines)が使用している。