概要
分類としては「セミワイドボディ機」に当たる。
セミワイドボディとは「機内に通路が2本あるけど大型機用の貨物コンテナが2列に積めない機体」である。
お手頃サイズ(200~300人乗り)で乗務員2名で運航することができる、さらに後継機であるはずの787の生産の遅れもあって、一部の航空会社では767で767を置き換えるなんていう事例もあったとか。って、それどこの0系?
ただし、787の生産などが軌道に乗ったこともあり、2014年をもって旅客型の生産は打ち切られた。とはいえ、この787やライバルのA330は一回り大きい機体であり、「直系の後継機」は存在しないも同然の状態になっている。
日本においては777や737と並び国内線の主力として縦横無尽の活躍を見せている。
旅客機として思い浮かべるのは747や777でも、実際にお世話になるのはこいつだという人も結構多いはず。
また軍用機としても採用されており、空中給油機や早期警戒管制機として米軍や航空自衛隊などで使用されている。
機体
機体は「セミワイドボディ」と呼ばれる、ワイドボディ機よりも少し細身の胴体となっている(乱暴に言っちゃえば、ユニクロの「スリムフィット」みたいなもんである)。
このため機内は通路が2本あるが、大型機用の貨物コンテナを2列に搭載できない。
エコノミークラスの座席は2+3+2の配置となっている。747とか777の3+4+3に比べると少ないが、これは「ミドルマンの悲劇」を最小限に食い止めるためのデザインである。
ミドルマンの悲劇ってのは要するに「3列以上の座席だと、窮屈な真ん中の列を引き当てちゃった人ってなんか貧乏くじじゃね?要するに真ん中の列って地雷じゃね?」ってことである。そりゃ誰でもできれば外が見える窓側の席か、或いは何かと使い勝手のいい通路側を取りたいだろう。
その「地雷」を最小限に抑えるために2+3+2の配置が採用された。これにより2人~6人程度のグループならうまい感じにまとまった席を決められるというメリットも生まれた。
そういえば、かつて日本の航空会社ではDC-10辺りで「2+5+2」という狂気の配置があったような気がするが…ミドルマン3列とかどんな嫌がらせだよ…
コクピットの機器は兄弟機である757と共通性を持たせ、僅かな講習のみで乗り換えることが可能とされている。(というより、757はいわば「ナローボディ版767」といえる機体である)
エンジンはゼネラル・エレクトリックCF6/プラット・アンド・ホイットニーPW4000/プラット・アンド・ホイットニーJT9D/ロールス・ロイスRB211を選択可能。このうちJT9Dは747の初期モデルにも搭載された、古い世代のエンジンというのが興味深い。
推力は25t前後であるが、機体の規模からするとかなり大きな推力になるとされている。事実、乗った事がある人からは「767はジェットコースターのように上昇する」と専らの評判。
ただ、操縦はまだコンピューター制御ではない事も相まって飛行特性が独特で、操縦は意外と難しいともよく言われる。
それまでのボーイング製旅客機では機械式計器のみのコクピットだったが、767ではCRT(ブラウン管)ディスプレイを採用し、初のグラスコクピットとなった。ただ、777や787で採用された大画面LCD(液晶ディスプレイ)の完全グラスコクピットと比べると機械式計器もそれなりの数が残されており、過渡期という印象も強い。
また、200席を超える旅客機として初めて2名乗務が可能となった。しかし当初は航空機関士を廃止する事に反対する声も多く理解を得るのに手間取ったため、最初の30機は「3人乗務機として製造した後2人乗務機に改修してから納品する」という回りくどい手順を踏まなければならなかったんだとか。
派生型
- 767-200:最初期型。現在では退役が進む一方、貨物機として改造された機体も存在している。
- 767-200ER:-200の長距離型。燃料タンクの容積拡大などにより、航続距離を-200の9400km程度から1万2200km程度にまで増大させている。軍用機型も多くがこのタイプをベースとしている。
- 767-300:-200の胴体延長型。-200から胴体を6.43m延長し、座席数と貨物積載量を増加させている。
- 767-300ER:-300の長距離型。-200ERと同じく燃料タンクの容積拡大に加え、新型エンジンの装備により、航続距離を-200の9700km程度から1万1200km程度にまで増大させている。後に燃費低減策としてボーイング737NGで採用されたブレンデッド・ウィングレットがオプションや後付け改修策として用意された。現在日本の航空会社の767の主力がこのタイプ。
- 767-300F:-300の貨物機型。
- 767-300BCF(Boeing Converted Freighter):ボーイング社が展開する貨物機改修プログラムを中古の-300ERに適用した貨物改修機。
- 767-400ER:-300ERをベースとした胴体延長型。デルタ航空の要望(L-1011の後継となる300席クラスの長距離洋上路線用機材)に基づき開発されたもので、胴体を6.43m延長した上でコックピットを777と同様の完全グラスコクピット仕様に換装している。他にも尻餅事故防止用のテールスキッドを尾部に装着している他、翼端部にレイクド・ウィングチップと呼ばれる後退翼を追加している。ちなみにこの名称は-300ERベースであるためで、無印の「-400」は存在しない。結局デルタ以外にはコンチネンタル航空が導入したが、それ以外にはバーレーン王室向けのVIP仕様機が軍用向けテストベッド機を改修する形で1機導入されたに留まっている。
- E-767:-200ERベースの早期警戒管制機。当該記事参照。
- KC-767:-200ERベースの空中給油機。当該記事参照。
- KC-46:上記のKC-767を改良した空中給油機。当該記事参照
777との関係
今では747の事実上の後継機として世界中を飛び回っているB777、こいつは実は「B767の拡大版」的な存在である(開発時のコードネームは767X)。
つまり、乱暴に言えば
- B757:767のナローボディ(通路1本)版
- B777:767の大型版
である。
関連項目
ボーイング757 ボーイング777:(ほぼを含めた)兄弟機。
ボーイング787:後継機。
マリンジャンボ:全日空(ANA)が受注したボーイング767-300のうちの1機(登録記号:JA8579)が海の生き物をあしらった特別塗装を施され、「マリンジャンボJr.」として1993年12月13日〜1995年5月22日まで運航された。