特徴
ほっそりした胴体からもわかる通り、ナローボディ機(単通路機)に分類される。
ボーイング767と一部設計が共通なのも特徴で、共通のコックピットを持ち、操縦資格も共通。よって757のパイロットは数時間の講習を受けるだけで767を操縦できるようになる。
後述する理由で日本では就航していないが、アメリカでは人気の高い機種で、大統領就任前のドナルド・トランプが自家用機「トランプ・フォース・ワン」として所有していたことでも知られる。こちらは2019年以降使われていなかったが2022年に大規模修理が行なわれて復帰。しかし修理費やメンテナンス費がかさむため、トランプも買い替えを考えているのだとか。陣営の公式グッズとしてこの自家用機のカラーリングを模したロゴ入りTシャツやマグカップなんかもあったりする。
開発
1963年に初飛行したボーイング727は、中距離路線におけるベストセラー旅客機となっていたが、2人乗務が可能なボーイング737やDC-9が登場すると製造数が頭打ちとなってきた。ボーイング社は当初、727の改良型を開発する方針でいたが、この改良型も一時しのぎにしかならないと判断されたため、一から新しいモデル、7N7を開発することとなった。これがのちに757となる。また、この時ボーイング社は次世代のワイドボディ旅客機として7X7(のちの767)の開発を進めており、両機の開発が進むうち、旅客機として初めて設計や操縦の共通化がすすめられることとなった。このため、ナローボディとセミワイドボディという違いこそあれど、757と767は実質的には兄弟機に近いものとして完成することとなった。
就航から生産終了へ
757は1983年に就航した。
低燃費の双発エンジンという経済性や優れた航続距離(当初は中距離用として開発されたがエンジンの信頼性が認められ、ある程度なら長距離洋上飛行も可能となった)、グラスコクピットの搭載、さらに767との共通性などによって757はベストセラーとなり、世界中の航空会社が導入した。しかし、2000年ごろになると、短距離用だったボーイング737やエアバスA320が改良を重ねて北米大陸程度なら横断できる航続距離を持つようになり、さらに収容力も757にせまるモデル(737-900、A321)も開発された。加えて、757よりもさらに進化したグラスコクピットを備えていながら他の機体と操縦資格の共通性も保たれていたため、757を導入する意味が次第に薄れてしまった。これらの要因もあって、757は2005年に総生産数1050機で生産終了となった。
後継機問題
先述した理由で、大抵の757は737-900やA321で置き換えることが可能であった。
ただし、757は小ぶりなサイズの割に大西洋横断が可能な航続距離を有しており、低需要の長距離路線でも採算が取りやすい機体であった。このため757はアメリカの大手航空会社を中心に大西洋路線で重宝されていたのだが、こればかりは737-900やA321でも代替できない。かといって、より大きい767などではオーバースペック過ぎる。そのため、757を大西洋路線に投入している航空会社は後継機に困ることになり、ボーイングに757の後継機開発を強く求めた。しかしボーイングは、そのような需要はニッチすぎるという理由で後継機開発には消極的であった。
一方、エアバスはボーイングに先立ちA321neoの航続距離を延長し大西洋横断も可能にしたA321LRを開発。2018年より航空会社に引き渡しを始めており、超長距離型のA321XLRと共に757の後継機として売り込みを行っている。
これが予想以上の反響を得たため、ボーイングも対抗してNMAという新型機開発計画を発表したが、737MAX運航停止問題や777X開発遅延の影響で新型機開発どころではなくなり、計画は白紙化されてしまった。
よって現在、長距離路線における757の後継機需要はA321LR/XLRが独占している状態にある。
派生型
757-200
標準型。座席数は200~230程度。
757-300
胴体を延長したタイプ。座席数は240~300程度。
双発ナローボディ機としては最長の胴体を持つが、ナローボディ機でこの座席数では胴体が長くなりすぎ、搭乗や緊急脱出に時間がかかってしまうという問題があったため、55機しか生産されなかった。
日本では超レアな757
世界的ベストセラーでありながら、日本の航空会社は757を導入しなかった。これは、JALもANAも757より収容力がある767に興味を示したためである。また、日本からの長距離路線にはそれほど向いていないこともあり、海外の航空会社も日本路線に投入することがあまりないため、日本に757がやってくるとそれなりの騒ぎとなる。
関連
ボーイング767:兄弟機