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概要編集

ボーイング707(英語:Boeing 707)は、ボーイングが開発した大型ジェット旅客機。ダグラスDC-8コンベア880と並ぶ第1世代のジェット旅客機を代表する機種であり、E-3やE-8などの軍用機のベースになった他にも、兄弟機としてKC-135がある。


歴史編集

今となっては航空機の製造メーカーとして名高いボーイングだが、当初は爆撃機などの軍用機には強くても旅客機業界ではダグラスやロッキードに大きく水をあけられていた。1945年9月に第2次世界大戦が終結した後もしばらくそれは全く変わらず、その状況を打開する為の切り札として、軍事転用も想定したジェット旅客機をプライベートベンチャーで開発する事になった。


1952年5月に世界初のジェット旅客機であるデ・ハビランド・コメットが運用を開始したが、金属疲労が原因の空中分解事故を連続で発生させた事で信用が低下し、ジェット旅客機は時期早々という声まで上がり始めた。そのような状況でジェット旅客機を開発するのはまさに大きな賭け事であったが、ジェット爆撃機の実用化で得たノウハウがあった為、「近い将来軍・民共にそれらを必要とするであろう。」という揺るぎない信念の元で開発が開始された。


1954年7月に原型機の367-80(通称:ダッシュ・エイティ)が初めて飛行し、この機体は当時軍が早急に欲していた空中給油機のKC-135としてまず採用され、この胴体を太くした旅客機型が707となった。乗客の数と巡航速度共に標準的なプロペラ機や初期型のコメットを大幅に凌駕する性能に加え、コメットの教訓から入念な安全対策が図られた。


1927年5月に世界で初めてニューヨークからパリまで大西洋横断飛行を成功させたチャールズ・リンドバーグをアドバイザーとして招聘し、最初から大西洋を着陸せずに横断できる仕様で設計された。これで707はデビュー前から圧倒的な人気を集め、リンドバーグが顧問を務めるパンアメリカン航空(1927年3月に創立)を皮切りに、たちまち多くの航空会社から受注を獲得した。


1958年10月に707は運用を開始し、1959年9月に登場したライバル機のダグラスDC-8と並んでたちまち世界中の航空会社で運用されるようになり、707は旅客機のジェット化に貢献した。1978年1月に旅客機型が生産を終了してからは、1991年8月まで軍用向けに製造され続け、その生産された機体の数は軍用と民間を合わせて1010機に及んだ。


機体の特徴編集

外見編集

翼から吊り下げる形で装備したエンジン、小さくしたキャビン窓を多く並べて座席をどのような間隔で配置しても窓が無い座席が生じないようにするという、以後の旅客機の標準となるスタイルを確立した。


客席編集

客席数は170席から200席程度で、エコノミークラスで3+3配置である。それまでの旅客機の客席の数が、最大でも精々80席から100席程度と現在のリージョナルジェット程度しか無かった当時としては相当大きな部類であった。


操縦機構編集

油圧式では無く信頼性を考慮して人力での操縦装置を採用したが、片側のエンジンが2つ停止すると人力では操縦できなくなる問題があった。そこで油圧式操縦装置を採用し、垂直尾翼と方向舵の面積を拡大してこの問題を改善させた。


エンジン編集

当初は燃費が悪いターボジェットエンジンを搭載していた為、大西洋の横断は給油が1・2回も必要で、せっかくの速度を活かせなかった。しかしJT3Dターボファンエンジンを装備した707-320型は燃費が改善され、条件次第では太平洋を着陸せずに横断できるようになった。他にもバリエーションとして、イギリス向けにロールスロイス製コンウェイエンジンを搭載した707-420と、胴体を短くした短距離型のボーイング720(正式には707-020)などが存在する。


胴体編集

後発のDC-8と比べると主脚が短いので長胴型が製造できなかった事と、胴体が太いので空気抵抗が大きく航続性能がやや悪いなどの難点はあったものの、747がこれを補う形になったので問題にはならなかった。このクラスとしては広いキャビンの快適さと大きな搭載量は多くの顧客から支持されたのは言うまでもなく、軍用機のベース機としても人気だったのも頷ける。707の胴体は改良された上で後発の727737に転用されており、その血筋は半世紀経った現在でも生き続けている。


KC-135との違い編集

兄弟機のKC-135とは似ている事もあってよく混同されるが、実際には同じ原型から枝分かれした別の機種である。前で述べたようにKC-135の方が先に登場しているので、707を空中給油機にしたのがKC-135という訳では無い。ややこしくなるが、アメリカ以外の空軍では707を空中給油機に改造している所が多い。


前で述べたように胴体は707の方が太く、全体的なサイズは707の方が一回り大きいが、KC-135の床下は全て燃料タンクになっているので、その搭載量はKC-135の方が大きい。ちなみに在日アメリカ軍の航空ショーで機内を見学した人なら分かるだろうが、KC-135の機内には旅客機のような座席は無くて軍用機らしい武骨さがある。


707はKC-135とは別にアメリカ空軍でも採用されているが、こちらはC-137ストラトライナーで、大統領専用機のエアフォースワンとして使用されたのもこの機体である。航空会社から放出された中古機にはC-18という別の形式が与えられているが、いずれにせよKC-135とは形式が別である。


KC-135は途中でCFM56エンジンに換装されているが、これは元々707を近代化させる案として試作されたものを転用している。ただし757などとの競合を避ける為、民間向けには実用化されなかった。他にもかつて退役した707からエンジンと尾翼を取り外してKC-135に移植した機体(現在は退役)もあったなど、707とKC-135とは切っても切れない関係にある。


余談編集

日本の航空会社では採用されていないが、これは日本航空が当時はボーイングとの接点が無かった事に加え、協力関係にあったユナイテッド航空に合わせる形でDC-8を採用したからである。その為馴染みが薄いが、国外の多くの航空会社が日本の路線に投入していた。初号機が就航してから50年以上経過する現在でも、プライベートジェットや貨物機などで運用されている機体が存在する。


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