E-3
いーすりー
もしかして:E3系あるいは期間限定イベント海域
ベトナム戦争当時のアメリカ空軍は、早期警戒用としてレーダーで敵を探知するEC-121ウォーニングスターと、指揮統制用に改造されたC-130を組み合わせて運用していたが、この2機種の役割を1機でできる機体として、傑作旅客機ボーイング707-320Bを母体として開発されたのがE-3セントリーである。
1973年から就役を開始し、以来現在に至るまでアメリカ空軍の空のレーダー基地として活躍し続けている。
アメリカ空軍の他にもNATO加盟国で共同運用される機体もある。また、サウジアラビア、フランス、イギリスに採用された機体はエンジンが換装されている。
ちなみに、ボーイング707として最後に生産された機体は、イギリス向けのE-3として製造された機体であった。
背部に巨大な円盤型のレーダーを背負った関係上、電磁波対策のために窓のほとんどが塞がれ、発電能力の向上や空中給油装置の追加が施された事以外は、母体のボーイング707と同様である。
機内には管制官など17名が乗り込み、交代要員用の休憩スペースやベッドもある。
レーダーはたとえ作動していなくても飛行中は常に回転している。飛行中に回転を止めてしまうと、上空の低温で潤滑剤が固まってしまうからである(これはE-2など同じ搭載方式を採用した機体にも共通する特徴)。
アメリカとNATOのE-3は、無給油で最大8時間滞空できる(サウジアラビア、フランス、イギリスのものはエンジンの燃費がよくなっているので11時間に伸びている)。
AWACSの代表選手として今も活躍を続けるE-3であるが、実は未だに後継機が決まっていない。
機体そのものは古くなってきているものの、未だに探知能力、指揮統制能力でE-3を超えるような機体が現れていないのである。
一時はボーイング767をベースにした後継機の開発も行われていたが軍縮の影響もあって中止に。
そのためE-3自身は何度もレーダーなどのアップデートを重ねており、今の所最大で2035年までは使用できるとされている。
一方で、戦闘機のステルス化・空対空ミサイルの長射程化・中国脅威論に伴う正規軍同士の戦争への回帰などによって、”既存の空中管制機は近未来の戦闘空域で生き残れなくなる”という予測をする組織もあり、AWACS自体の行方が流動的になっている。
結局、次世代のAWACSの構想が固まる前にボーイング707ベースの機体の限界が近づいている事に変わりはない。イギリスは2021年にE-3を退役させてチリに売却したうえ、ボーイング737AEW&Cベースの機体を「E-7」として導入する決定をしており、米軍もこれに続く動きがある。
アメリカにとって重要な航空機でありながら、フィクションではエイリアンの巨大円盤に衝突したり、E-767に出番を奪われっぱなしだったりとなぜか不遇。
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