インディペンデンス・デイと訳している人もいる。
概要
1996年に放映されたアメリカのSF映画。配給は20世紀フォックス。2016年には続編となる『インデペンデンス・デイ・リサージェンス』が放映されている。
あらすじ
アメリカ独立記念日の2日前。突然、アメリカのワシントンD.C.、ニューヨーク、ロサンゼルスの三都市、そして世界中の大都市に巨大な異星人の宇宙船が現れた。
人々がパニックに陥る中、アメリカ大統領のホイットモアは宇宙船との交信を試みるが、エンジニアのデイヴィッド・レヴィンソンの警告により、彼らの目的は地球侵略であることを察知。ほどなくして各都市が容赦のない攻撃に晒され廃墟と化す中、人類も反撃に転じるが…。
主な登場人物
デイヴィッド・レヴィンソン
演:ジェフ・ゴールドブラム
ニューヨークのケーブルテレビ放送局で働いている天才エンジニア。宇宙人の暗号を解読したり、反撃作戦を立案するが乗り物酔いしやすい体質である。
トーマス・J・ホイットモア大統領
演:ビル・プルマン
アメリカ合衆国大統領。大統領就任前の湾岸戦争勃発時は戦闘機パイロットだった。エイリアンの目的が地球侵略と知り、生き残った人々と共に立ち向かう。
小説版ではステルス機に乗っていたという記述があり、湾岸戦争時に投入された機体からして乗機はF-117だった可能性がある(なおF-117が戦闘機かは諸説ある)。それ以前にはF-15に乗っていた模様。
スティーブン・ヒラー大尉
演:ウィル・スミス
アメリカ海兵隊第314海兵戦闘攻撃飛行隊「ブラック・ナイツ」に所属するF/A-18戦闘機の黒人パイロット。
操縦テクニックは凄腕で、あらゆる攻撃を寄せ付けない異星人のアタッカーを奇策で撃墜してみせ、中から現れたエイリアンをぶん殴って気絶させるなど、凄まじいクソ度胸の持ち主。
宇宙飛行士になるのが夢で、NASAに志願し続けているが、落とされ続けている。
ラッセル・ケイス
演:ランディ・クエイド
ベトナム戦争時は戦闘機乗りで、現在の仕事は軽飛行機による農薬散布業を営んでいるが、酒癖が悪い。10年前に宇宙人に誘拐され、エイリアンに対する復讐のチャンスを待っていた。
エイリアン
地球人を遥かに凌駕する高度な科学力・軍事力を持ち、数々の惑星を征服しては資源を食い荒らしてきた凶悪な種族。会話能力はテレパシー。拳銃で撃たれただけで容易く死に至る程に体が弱い為、バイオ・メカニカル・スーツを着ている。
小説版では、このバイオスーツはエイリアン達が家畜として育てた別種族で、成長後に殺害して内臓などをくり抜いて作られることが語られる。
用語解説
マザーシップ
全長約550km、質量は月の4分の1にも達する半円形状のエイリアンたちの母船。人類の戦力に例えるならば航空母艦のような存在である(最近のもので当てはめるならコレ)。エイリアンの全戦力はネットワークでリンク・並列化されて効率的な管理・指揮・連携を可能としており、宇宙空間の安全地帯から各地に侵攻するシティ・デストロイヤーの指揮を執っていた。
マスターシステムである母船に出た影響は全て他にも反映されるという弱点があり、終盤ではこれを突かれ、鹵獲したエイリアンの戦闘機で潜入したヒラーたちに撃ち込まれたコンピュータウイルスの影響でエイリアン軍全体のシールドシステムをダウンさせられてしまった。
シティ・デストロイヤー
直径約24kmもの巨大な空飛ぶ円盤。大都市を一撃で破壊する主砲を持っており、地球の約40都市の上空に飛来し、一斉に都市への破壊を開始した。
全体に見えないシールドが張り巡らされており、核兵器でも破壊不可能。終盤にシールドを無効化されて人類側の攻撃に晒されるようになったが、その巨体に見合った耐久力を誇り、数百機以上の戦闘機によるミサイル斉射を何度受けても沈まなかった。弱点は動力部と直結した主砲本体で、ここを破壊されると一撃で戦闘不能となってしまう。
主砲の詳細な威力は不明だが、小説版では少なくとも半径30kmは炎の波に呑まれることが記されている。一方で続編の前日譚小説『クルーシブル』によると、ニューヨークが炎に蹂躙されても隣接するロング・アイランド島には被害が及ばなかった地区もあるとのことで、少なくとも加害範囲は同島先端までの距離からして半径180km未満の模様。
また小説版によると、主砲の攻撃は核爆発のように加害範囲を一瞬で消し飛ばすのではなく、広範囲に比較的ゆっくりと炎の大波を到来させ、一帯を制圧するものとなっている(それでも炎の速度は映画中でも時速数百kmはある)。
飛来した都市はアメリカだけでもワシントンD.C.、ニューヨーク、ロサンゼルスの3都市で、さらにニュース映像ではモスクワ、ロンドン、パリ、ローマ、ベルリン、東京、上海、ムンバイ、小説版ではサンフランシスコ(映画版では未飛来)、北京、テルアビブ、メルボルン、『クルーシブル』ではラゴス、ナイジェリア、ダカール、セネガルにも飛来したことが確認できる。続編ではキンシャサ付近(後のウンブトゥ共和国)にはプラズマドリルを搭載した地核掘削型が飛来していたことも明かされた。
小説版ではこの約40機(小説版では36機)に加え、さらに100機以上のデストロイヤーがマザーシップにて待機していた模様。
アタッカー
エイリアンの主力戦闘機。
シティ・デストロイヤーと同様にシールドが張り巡らされており、あらゆる攻撃を寄せ付けない。ただし、本体の装甲は人類側の戦闘機と大差はなく、マザーシップが「風邪」をひいてシールドが無効化されるとバルカン砲の掃射でもあっさりと撃墜される。
ロサンゼルスからグランドキャニオンまで軽くひとっ飛び可能な速度と航続距離を持ち、単機での大気圏突入・離脱も可能。攻撃手段は緑の光線を放つもので、無誘導だが偏差撃ちで人類側の戦闘機を次々と撃墜する精度を誇る。
ヒラー大尉が交戦したアタッカーは、激しいドッグファイトの末に彼がF/A-18のパラシュートを使って目隠ししたので、最終的に岩盤へ激突して墜落している。
小説版によると、エイリアンの基本戦術はシティ・デストロイヤーで各都市を蹂躙しつつ、デストロイヤーが次の都市へ移動するまでにアタッカーの大群で周囲の軍事基地を制圧するとのこと。攻撃の威力も侮れるものではなく、小説版では山をくり抜いて造られたNORAD(北米防空司令部)がアタッカーの大群に襲撃され、数分間に渡って山肌を攻撃されたことでNORAD施設本体が露出、直接破壊されたという。
また小説版では、エリア51に保管されたアタッカーの外部装甲板には毛穴や気門が確認できたため、その正体は何らかの生物をパーツとした半生体兵器ではないかと推測されている。またこれによりエイリアンが畜産をしていることや、放射性炭素年代測定法で成長までに80年かかること、そのアタッカーは8000~9000年前に製造されたといったことも判明している。
さらに燃料はマザーシップやデストロイヤーから遠隔で供給されており、映画中では語られなかったがエイリアンの飛来とともにエリア51のアタッカーが再稼働したのはこれが原因となっている。これが欠点でもあり、マザーシップやデストロイヤーが次々と撃墜されてからは、殆どが長持ちせずに燃料切れで墜落した。
また宇宙空間では時速1万キロで飛行している様子も小説中に出てくる(大気圏内でも同じかは不明。少なくとも映画・小説ともに最大マッハ1.8程度のF/A-18とほぼ同速でドッグファイトしており、戦闘時は速度を大幅に落としている可能性もある)。
エリア51
1947年のロズウェル事件で捕獲したアタッカーとエイリアンを研究しているアメリカ軍の秘密施設。本作の世界は、アタッカーを解析して得た技術を基にしたPCが普及していた為、それを利用してマザーシップのコンピュータを狂わせるウィルス(デイヴィッド曰く「カゼ」)を作成することが出来た。エイリアンによる攻撃の激化に伴い、終盤で民間人の避難所にもなった。
基地としても規模が大きく、多数のF/A-18、F-14、AV-8B、F-16、F-5が配備されていた(海軍機の割合が多いので表向きは海軍航空隊の基地か、他の破壊された基地の機体が集まったか、後述のように実験機として置かれていたのかもしれない)。一方でパイロットは少なく、反抗作戦では避難した民間人からも飛行経験者を募ることになっている。
小説版では正式名称として「グルーム・レイク兵器試験場」とも呼ばれている(現実のエリア51の正式名称はグルーム・レイク空軍基地)。二本の滑走路がX字状にクロスしているのが特徴で、映画版と違って基地としては中規模。表向きには軍のミサイル射爆実験場として周辺一帯が立入禁止になっており、周辺の乾湖にも小基地が点在している。
ロズウェル事件当時、東西冷戦での優位性確保や、エイリアンの存在が政治のフットボールと化すことを懸念したジョン・エドガー・フーヴァー初代FBI長官により米軍、FBI、CIAの共謀で関係当局だけの機密とされた。秘匿期限の失効後、当時CIA長官だったニムジッキ国防長官が自身の権力闘争の手札とするため、その後も機密状態が保たれていた。資金は軍の予算工作から捻出されている。
さらなるカバーとして、正式名称の「兵器試験場」の通り表向きは実験機の研究開発をする基地とされていたため、X-29、XV-15、P-51、ミグといった訳のわからない機体が100機近くも置かれている。その内30機は部品取り用として眠っていたF-15であり、他の実験機もろとも再稼働されて反抗作戦の主力となる。
スタッフ
- 監督 - ローランド・エメリッヒ
- 脚本 - ディーン・デヴリン / ローランド・エメリッヒ
- 撮影 - カール・ウォルター・リンデンローブ
- VFXスーパーバイザー - フォルカー・エンゲル
- 編集 - デヴィッド・ブレナー
- 音楽 - デヴィッド・アーノルド
- エイリアンデザイン - パトリック・タトプロス
- 製作会社 - セントロポリス・エンターテインメント
- 配給 - 20世紀フォックス
小説版
単なるノベライズではなく、エメリッヒ監督とデヴリン脚本担当の共著作。よって映画では不明瞭だった部分が深堀りされている。
世界の各都市への攻撃も描写されており、日本に襲来したシティ・デストロイヤーは皇居の上空を待機地点とし、東京、京都、神戸などを攻撃。さらに東京攻撃時には横浜と大宮も衝撃波が到達し、破壊されている。
作中ではエイリアン襲撃前に日本人が日常の生活や仕事を営む描写があり、それが原因で最も多くの犠牲者を出した、という勤勉な日本人像として登場している。終盤では、攻撃を受けていなかった札幌にエリア51からのメッセージが届き、民間通信施設のエンジニアらがそれを各国語に翻訳してアジア諸国へと伝える役目を果たす。
その他の国では、パリはノートルダム寺院、ベルリンは帝国議事堂、サンフランシスコはコンベンション・センター、北京は紫禁城、テルアビブは大ユダヤ教会堂の大ドーム、ロンドンはトラフォルガー広場のネルソン提督像がエイリアンによる攻撃を受けた。
ニューヨークはセントラルパーク、ワシントンD.C.はワシントン記念塔が攻撃対象となっているが、映画ではエンパイアステートビルとホワイトハウスになっている。
また上記のNORAD司令部への攻撃の詳細や、エリア51の表向きの役割、エイリアンの細かな設定、物語終了後のエピローグ、といったように映画版では描かれなかった部分も詳細に描かれている。
余談
- 随所にCGを活用したSF映画であるが、当時のCGでは出せないリアリティを出すため、ホワイトハウスの爆破シーンのように多くの場面で模型による撮影もあった。
- 日本の漫画『ムダヅモ無き改革』の小泉ジュンイチローはホイットモアをモデルにしたと作者の大和田秀樹は発言している。
関連作品
同じくエメリッヒの作品。ホワイトハウスのガイドの台詞の中に登場する。
ステージの1つである惑星カタリナは、本作へのオマージュとなっている。
敵味方入り乱れてのドックファイトがメインである点、ステージボスの「グレート・ディッシュ」がシティ・デストロイヤーを彷彿とさせる円形の超巨大戦艦であり、直下を一瞬で焼き尽くすほどの強力な主砲が搭載されている点などに共通点が見られる。
ホーリーナイトメア社の巨大UFO「デスタライヤー」(カワサキ「中華鍋野郎」)がシティ・デストロイヤーに似ている部分がある(参照)。
今作特撮ヴィランの秘密基地の宇宙母艦インデベーダーは、本作を名前の由来の一つとする。
関連動画
『インデペンデンス・デイ』予告編 - 20世紀スタジオ 公式チャンネル