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概要

同軸、もしくは光ケーブル等を用いて行う有線放送のうち、映像を伴わない有線ラジオ放送を除くもの。広い意味ではこれを中心として高速インターネット接続や電話(固定電話)なども含む複合的なサービスを指す。

一般的に「CATV」と呼ばれることが多く、本記事においてもこの呼称を使用するが、これは「有線テレビ=Cable TeleVision」ではなく、「共同受信テレビ=Common(Community) Antenna TeleVision」の略である。お間違い無きよう。


主なサービス

テレビ放送の再送信

CATV局のサービスエリア内において、通常はアンテナを使って個別に視聴する地上波や衛星波(BS及びスカパー!)等をCATV会社が保有する受信点で受信し、ケーブルを通じて加入世帯へ配信するもの。

1本の大きなアンテナを皆で共有・分配してテレビを見る、とイメージすれば良い。


再送信の方式

テレビ放送の再送信を行う方式にはいくつかの種類がある。

  • パススルー方式

受信した放送信号を何も加工せずにそのままケーブルへ流す方式。加入者は通常のアンテナ受信と同じ感覚でテレビ放送を視聴できる。

このパススルー方式にも2種類あり、放送波に対してまったく加工せず受信した放送波をケーブルを通じて加入者に配信する同一周波数パススルー方式と、一旦ケーブル局側の施設でケーブルテレビ伝送周波数に変換して配信する周波数変換パススルー方式がある。

  • トランスモジュレーション方式

受信した放送波を一旦ケーブル伝送に適した信号に変換し、加入者はセットトップボックス(STB)というチューナーを通じて視聴する方式。略称はトラモジ。以前はケーブルでの伝送に使える周波数が770MHz(UHF62ch)までに限られており、それよりも高い周波数で放送している衛星放送の送信にはこの方式が好んで使われていた。


この方式の欠点は、

  1. 市販のレコーダーが使えない。
  2. レコーダーが使えたとしても機器やチャンネルによってはハイビジョンで録画できない。
  3. 各テレビごとに1台ずつSTB(と追加料金)が必要になる。

以上の欠点があり、これらは利用者の不満の元になっている。

(海外製のPC用チューナーとフリーソフト類で回避しているツワモノも存在はするが)

1、2の欠点は最近のSTBならば、外付けハードディスクを繋ぐ事により大分敷居は下がった。レコーダーへのダビングは、STBとレコーダーをLANケーブルで繋いで設定すればいい。

3つめは衛星放送を見たい場合、どうにもならない。


なお、現在は法改正で770MHzよりも高い周波数での伝送も認められるようになったが、J:COMのように規模が大きい会社は設備更新に莫大な費用がかったり、通信経路に同軸ケーブルを使用している関係上、高周波数での減衰がデカいといった技術的問題があるので今も衛星放送だけトラモジで再送信する局が多い。


一方、通信経路に光ファイバーを用いているケーブル会社は、減衰もクソもないので地上波とBS局をパススルー、CS局と区域外再放送局(後述)をトランスモジュレーションで伝送を行っている局が多い。


最近は4K、8K放送などの帯域確保の為に地上波放送のトラモジを廃止する局が出始めている。この場合はSTBの設定を弄ってパススルーにしてやればいい(もしくは局側が設定更新の信号を送ってくれたりする)が、2000年代にリリースされた一部のSTBはそもそもパススルーに対応していない物もあるのでご注意(この場合は機器交換になるが、地上波見ないよ! という方には無縁のお話)。


STB(Set Top Box)という機械を宅内に設置する。


ちなみに、NTT東日本/西日本の光回線利用者向けサービス「フレッツ・テレビ」もこの方式を採っているが、こちらは地上波・BS・110度CS(スカパー!標準サービス)がパススルー、スカパー!プレミアムサービスおよび4K、8K放送がトラモジである。(これでも一部チャンネルは帯域が不足するため未放送であり、区域外再放送は現在実施していない。)


高速インターネット接続

局やプランによって異なるがブロードバンド環境が今まで整っていなかった地域でも快適にYoutubeニコニコ動画を視聴できるレベルの速度を提供してくれる。

一例としてJ:COMでは下りで最高1Gbps、上りは最高100Mbpsを出せる。


また基本的にケーブル局がISP(インターネットサービスプロバイダー)を兼ねているためにフレッツ光のように別々の所から請求が来ることはない(最近は光コラボの登場でこのメリットは事実上消滅)。ついで基本的に繋げばすぐにネットが出来るので機械に疎くても大丈夫(DHCP。フレッツ光はPPPoE。このメリットも最近はIPoEが登場したので事実上消滅)。


ただ、こちらも通信経路に同軸ケーブルを使用している場合は、ダウンロード速度を高めにして、その分アップロード速度は遅めに設定してあるため、YouTuberゲーマーのように大容量のデータをやり取りする人には不向き(ADSLと同じ)。


ケーブルモデム、またはD-ONU(Data-ONU)という機械を宅内に設置する。


意外な事に光ファイバーやADSLなどと言ったブロードバンド接続サービスの先駆けだったりする。


ケーブルテレビ電話

昔はNTTの加入回線と同様に、同軸ケーブルに通話用のアナログ信号を流していただけだったが、現在はIP電話サービスに移行していると言っていい。


原理的にはフレッツ光のひかり電話サービスとそっくり同じだが、光回線の代わりに同軸ケーブルを用いている点が異なる。


VoIPアダプタとケーブルモデムが一体になったE-MTA、またはHGW(Home Gate Way)という機械を宅内に設置する。


大体はKDDIが提供しているケーブルプラス電話を利用している。この場合、IP電話では発信できない緊急通報ダイヤルなど一部の番号への発信が可能。

欠点はひかり電話と同じで、E-MTAやHGWに電源が入っていないと通話不能になる。


共同受信設備

日本初の公式なケーブルテレビは1955年に群馬県の伊香保温泉でNHKが難視対策実験として始めたものが最初とされる。だが実際は1955年以前より共同アンテナの設置は行われていた。その後も都市部や山間地の難視聴地域解消のために各地で共同アンテナとテレビ組合が作られ発展した。


その後も時代に対応しながら徐々にサービスの拡大を図り、テレビの歴史と共に歩んできたのがケーブルテレビである。


最近ではデータソースの肥大化(4K、8K放送)やネット設備の増強のため、通信経路を昔ながらの同軸ケーブルから光回線に変えるケーブル局が増加している。


自主放送

ユーザー側の立場からすればぶっちゃけた話、見たいテレビ局が見れればそれでいいのだが、CATV局によっては既存局の再放送以外に、サービスエリアの地域密着情報番組を自社が保有するチャンネルで放送している。

特殊な例として、P.A.WORKS製作のオリジナルアニメーション『花咲くいろは』が、舞台となった石川県及び近隣の富山県福井県のCATV局において自主放送チャンネルで放送された。(ちなみに石川県ではテレビ金沢、富山県では北日本放送でもそれぞれ放送されており、両県ではキッズステーションも含めれば3つのチャンネルでの視聴が可能であった。)

現在はJ:COMで、アニおびと称した深夜アニメ放送枠があったりする。


区域外再放送

日本のテレビ放送は都道府県単位または広域圏単位で放送エリアが決められている。しかし地方に行くとNHK総合&Eテレを含めてもテレビ局が5局に満たないような地域が多い。そのような地域では隣接する地域の放送局をケーブルテレビが再送信することがあり、これを区域外再放送または区域外再送信という。

地方ではこれ目的でCATVに加入する例も多く、例えば群馬県栃木県茨城県等のエリアにおけるTOKYOMX大阪府岡山県徳島県等のエリアにおけるサンテレビの再送信はある意味キラーコンテンツと言える。

予算の都合でスカパー!直接契約や、CATVでもCS系チャンネルを含む契約に躊躇する地方のアニメファンにとっても、区域外再放送は大抵の場合最低限の料金プランに含まれているので、これで助かっている人も多いのでは?

以下に例を挙げる。


青森県

青森県の下北半島に位置する風間浦村では県内の放送局(RABATVABA)を受信することが地形的条件から難しく、長年津軽海峡を挟んで30kmほど離れた函館中継局から送信される在北海道局を自力受信、あるいは村営のケーブルテレビで再送信していた。そのため風間浦村の村民の中には「青森県知事は知らないが、北海道知事は知っている」という人も居た。

地デジ放送開始からしばらくは青森県内に系列局のない北海道文化放送テレビ北海道と地元局のみが再送信されていたが、現在は北海道放送北海道テレビ放送札幌テレビとNHK函館放送局も再送信されている。

なお北海道文化放送とテレビ北海道のデジタル再送信は青森市をサービスエリアに持つ青森ケーブルテレビでも実施されている。

また青森県にはフジテレビ系列局がなく、地元局がフジテレビの番組を購入して放送しているが、フジテレビ系列局を望む県民の要望に答える形で青森市や太平洋側の一部地域をサービスエリアとするCATV局がフジテレビ系列局を再送信している。


広島県

広島県の三原テレビ放送、尾道ケーブルテレビではテレビせとうちの再送信を行っているが、どちらも期限付きの区域外再放送となっている。尾道ケーブルテレビでは1年毎に区域外再放送の延長同意を得ているが、いつ延長同意が取れなくなるかは不明である。

長野県

長野県では昔から個人で大型アンテナを立てて東京のテレビ局を視聴する習慣があり、それに倣ってCATV局でも在京局を再送信していた。

しかし1998年11月に起きたインフォメーション・ネットワーク・コミュニティでのTBS他在京局の再送信中止は加入者に地元局の信越放送に対する不信感を生ませたり、INCの解約も相次いだ。詳しくは信越放送の記事を参照してほしい。

地上波テレビ放送のデジタル化に伴い「視聴習慣の激変緩和措置」の名のもとで一応長野県で在京局再送信は行われていたが、テレビ東京を除き2014年7月をもって終了した。


なお長野県南部の泰阜村では村営ケーブルテレビの「泰阜村コミュニケーションネットワーク」で愛知県の民放全局(東海テレビ中京テレビCBC名古屋テレビテレビ愛知)を、阿南町でも町営のケーブルテレビでテレビ愛知が地元局共々パススルー方式で再送信されている。


新潟県

上越市と妙高市をサービスエリアとする上越ケーブルビジョンではアナログ放送の頃からテレビ東京の再送信を行っていた。しかし弥彦山親局でのNHK新潟教育テレビアナログがテレビ東京アナログ親局と同じ12ch、UX新潟テレビ21がデジタルで23chを使用しておりチャンネル潰しが効いてしまうので一般家庭では受信できず、視聴習慣の激変緩和措置扱いとなり、2014年7月24日を以って終了となってしまった。


山梨県

山梨県首都圏に含まれながら放送法上の関東広域圏ではなく、在京局の対象エリア外であるという環境に加え、地元民放テレビもYBSUTYの2局しか無い。そのため足りない系列であるフジテレビテレビ朝日テレビ東京に加えてTOKYOMXテレビ埼玉チバテレビ(一部のみ)を再送信している。

自力受信が出来る地域もあるが、多くの地域では甲府送信所や富士吉田中継局などの物理チャンネル被りで受信不可能となっている。そのためCATVの需要は非常に高く、加入率は9割を越える。

県内のCATV各社が共同利用する受信点は三つ峠に存在するが日本ネットワークサービスは上野原市の鳥井立に受信点を移転させている。この鳥井立の受信点はテレビ局アナログ放送中継局だった鉄塔を転用して設置している。


静岡県

静岡県の東側、伊豆半島東側や御殿場市では東京や神奈川からの観光客をあてにした大規模なホテルでは当初より自前のアンテナを東京タワー・スカイツリーや見通しにある神奈川の平塚中継局、小田原中継局に向け、アナログ時代から受像し、県内局は隅に置かれていた。一般家庭においても静岡よりは東京への結びつきが強く地形等で受像できない場合はCATVに頼ったが地デジになり、NTV→Daiichi TV TV-Asahi→静岡朝日、TBS→SBS フジテレビ→テレビ静岡 に激変緩和後相次いで集約してしまった。このため首都圏局受像のため自ら高性能アンテナを設置しCATVからの切り替えを行った世帯もある。(伊豆大島からは静岡県域局が伊豆半島東部に向けて電波を出しているので大島の首都圏波は受像不可能になっている)

御殿場市や小山町でも同様な理由で首都圏局がCATVで見られなくなり、超高性能アンテナをスカイツリーや神奈川の山北中継局に向けている世帯もあるがそもそも、東京タワーのアナログ波も厳しいところであり道を挟んだだけで受像できないほどシビアである。(小山は静岡局も地形により難しい場所が多い。)

逆に相模湾に面した神奈川西湘地域では熱海、初島中継局にアンテナを向け首都圏のL字放送の回避、見逃し番組(ことTV Tokyoは週遅れになりがち)またたかじんのそこまで言って委員会など首都圏では見られない番組を視聴している。(西湘地域はCATVはあるが強力な出力の平塚や小田原(2方向)、南足柄と直接のTV電波には恵まれている。)


徳島県

徳島県は民放が日本テレビ系列の四国放送しかないが、多くの地域で生駒山または御坊中継局からの在阪局のスピルオーバーを受信でき、大型アンテナを各家庭で用意して足りない系列であるJNNANNFNNTXN、独立UHF局(TXNと独Uは一部地域のみ)を視聴してきた。

しかしデジタル放送に完全移行すると個人での受信が難しくなることが予想され、CATV各社はこぞって区域外再放送の同意を在阪局などと取り付けてデジタル再送信を行っており、結果として徳島県はYTVを除く在阪局とサンテレビが映ればの話ではあるが四国で最も深夜アニメに恵まれた地域になっている。

ただし四国放送と同じ日本テレビ系列の読売テレビだけはごくごく一部を除きデジタル再送信を行っていない。


佐賀県

佐賀県も徳島県同様民放テレビが1局しか無い。しかし多くの地域で九千部山にある久留米中継局や甘木山の大牟田中継局などからのスピルオーバーを利用して福岡県のテレビ局を自力受信したり、CATVで県外局の再送信などが広く行われていた。また地域によっては長崎県熊本県の民放を見ている世帯もあった。

しかしテレビのデジタル化で「今まで当たり前のように見られていた民放が見られなくなるのではないか」という不安が県民の間で募った。そこで佐賀県と県内のCATV事業者が出資して佐賀デジタルネットワークセンター(SDN)を設立。参加している各社はSDNを経由して福岡県の民放再送信を行っている。徳島県の場合と異なり、既に系列局が存在しているテレビ西日本のデジタル再送信もSDNに参加している各社で行われ、テレビ東京系列TVQ九州放送の再送信もSDN参加全社で実施されている。


なおアナログ放送の頃は民放の再送信を行っているCATV局もあったが「福岡県の民放をSDNで配信する以上熊本民放をわざわざ再送信する必要性はない」と判断され、アナログ放送の終了と同時に在熊本民放のケーブル再送信は終了した。ただし自力受信できる地域もある。


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