概要
放送事故とは、テレビやラジオ等の放送において、様々な要因により正常な放送ができなくなってしまうこと。日本国においてテレビ放送が始まって50年以上経つが、スタッフが人間であり人が作った機械を用いる上、想定外のことも存在するためあらゆる技術の発達をもってしてもこの種の事故を0にすることはできないといわれている。なおこの項目では日本の状況に関して説明する。
定義
この状態は日本においては無線局運用規則、放送法施行規則などの法律や、前例までの判断・解釈例により行われる。
主な放送事故の種類
原因
原因はこの3つに大別される。
- 機械事故
- 人為事故
出演者もしくはスタッフのミスを要因として起こる事故。
- 天災
地震・洪水等の天災、あるいは第三者の行動等の不可抗力を要因として起こる事故。
事故種別
また、事故の大まかな分類を下に示す。
- 停波
電波が出ておらずテレビの場合映像・音声共に停止し、完全に放送が遮断してしまうこと。中継局のトラブル等で発生する場合がある。
- 電波不具合
電波は出ており、テレビの場合映像あるいは音声のみが一定時間以上停止した状態や、遅延、映像の乱れ、規格違いなどが発生している状況。
- 不体裁
映像・音楽などが予定されたものと違ってしまうこと( 観客や野次馬の騒動が白熱して放送が困難になってしまう場合もこれに該当 )。出演者やスタッフの行動ミス( 俗にいうやらせや放送禁止用語等の発生時。これがいい例)の謝罪がなかった場合などもこれに当たる。
- 内容違い
断りなく予定あるいは意図されていた放送内容が違ってしまうこと。冒頭やエンディングが途切れる、前の放送回を二度流す、ニュース番組であまりにも場違いなBGMや事件、災害のニュースで不謹慎なテロップが流れるなど。俗にいう雨傘番組、臨時ニュースやニュース速報などは含まれない。
- 放送の種類による
事故の三番目の場合、録画による番組であれば、問題のシーンをカットする、あるいは他の素材との差し替えなどで放送しない選択も可能であるが、ビデオ録画やフィルムでの放送でも放送時機材のトラブルや人為的ミス等により事故が発生する( ちなみに日本で最初に発生し、記録されているものは「フィルムの掛け違い」によるものといわれている )こともあり、さらには生放送だといつそのような不体裁なことが起きるか予測することができない。
近年ではテレシネ変換したビデオデータの送信であり、映写フィルムから直に放送しないためめったに起きないが、かつては子供向けアニメ番組等、繰り返し放送する素材中心にフィルムの破断による放送中断事故もザラであった。
- 意図しない事故
収録中の事故も該当する。なお、事故ではないにもかかわらずこの扱いにされる場合が存在する。これはクラシック等を流す際、マイクが拾いきれない低音のみを出した場合、中断扱いとなる場合が存在する。また、テレビにおいて静止画にて放送を行う際、テロップ等が表示されるのはその対策のためである。
NG
ただし、出演者のNGなどは基本的に放送事故ではなく、単にハプニングとして扱うこともある。ちなみに極めつけのイレギュラーとして、過去に出演者が意図的に起こすパターンも存在し、良くも悪くもまだテレビが”ゆるかった”から起こりえたのだろうか。気になった方は、「タイマーズ、fm東京」や「どうでしょう、早起きくまさん」、「ジャネット・ジャクソン、スーパーボウルおっぱいポロリ」などで検索して欲しい。なお時間があるようなら、背後事情も一緒に調べていただければ幸いである。
無音
ラジオ局の場合、10秒以上の無音状態も事故と看做される。 原因としてはミスによる人為事故である。
しばらくお待ちください
停波など、特に機材トラブルになるとTVでは専用の一枚絵や風景画像と共に「しばらくお待ちください」などのお詫びのテロップを流す場合が存在する。当然2ちゃんねる等の電子掲示板の実況板やSNS上では祭り状態になるのは言うまでもない。
例
技術・災害関係の放送事故
- 1980年2月9日 静岡放送の社員が放送終了後の深夜の主放送室で外国製のアダルトビデオを観賞中に本放送スイッチを誤ってONにしてしまい、その映像が地上波垂れ流しになる放送事故が発生。その後当事者は会社をクビになった。
- 1995年1月17日 朝の情報番組 おはよう天気です放送開始直後に阪神淡路大震災が発生。この地震により、司会の鳥木千鶴の「カメラの前の皆さん、安全な場所へ避難して下さい」の発言を2回映した所でカメラが転倒してその直後、情報カメラの定点映像に切り替えられた。その後暫くは音声のみの放送が実施され、数時間後に映像も復旧した。
- 1997年5月前橋テレビ中継局に落雷があり、ここからの電波を受ける県内の多くの中継局が一斉に停波。10波以上の中継局が1時間以上停電したのは阪神淡路大震災以来とのこと。
- 2007年7月テレビ北海道の旭川送信所で機器故障が発生して旭川地区においてテレビ北海道の放送がデジタル・アナログ共に約1時間前後に渡って停波。この影響で当日放送されたアニメ「かみちゃまかりん」と「きらりん☆レボリューション」の再放送がテレビ北海道でのみ後日行われた。
- 2007年8月テレビ宮崎の「ONEPIECE」の放送中にメイン機器が突然故障し、サンジの眉毛のどアップ状態で1時間弱に渡って停波。放送再開後も長時間にわたりローカルCM中心に影響が出た。
- 2008年8月中国放送黄金山アナログテレビ放送所へ落雷があり、受電設備・バックアップ用発電機が焼損。広島県北部、西部でのアナログ放送が停波。
- 2009年1月青森朝日放送八戸中継局が強風により停電。非常用発電機も排熱が上手く行かなくなって故障してしまい八戸局が停波。同じ場所にはRAB、ATV、NHK青森放送局の中継局も置かれているが、送信機等は別々に置かれているため停波したのは青森朝日放送だけだった。
- 東日本大震災発生時にラジオ福島原町送信所への回線が切断されてしまい浜通り地域での放送が不可能になったほか、東日本放送では、本局の自家発電装置が燃料切れとなり、放送中断。
- 2014年10月東海テレビでドラマ「素敵な選TAXI」放送中に親局である瀬戸デジタルテレビ放送所からの送信が停止。これにより東海3県全ての中継局でも東海テレビの放送が停止した。事故発生時に放送されていた回は日を改めて再放送された。
- 2017年1月新潟県上越市内にあるNHKの中継局が落雷により故障。同市内約8万世帯で4時間以上に亘り総合テレビとEテレが全く視聴できない状態となった。
- 2018年1月石川県金沢市にあるITCとMROの共同アンテナに落雷。両局が半日以上映らない大規模放送事故が発生した。
- 2024年2月四国放送でヒルナンデス!放送中に分配機が突然故障して約30分間放送中断となる大規模放送事故が発生した。
- 2024年7月テレビ朝日でオールスターゲーム中継終了直後にメイン機器のトラブルにより約1時間半にわたってCMが放送できなくなる大規模放送事故が発生した。
pixivにおける放送事故
などに、「放送事故」タグが付けられる事が多い。
転じた使い方
放送そのものには実際の影響がほぼなくても、ハプニング等で視聴者があまりにもひどいと感じた状況などを揶揄する言葉としても使われることがある( 例:普段口パクだった歌手が音痴な生歌を披露してしまった場合や箱根駅伝であまりにも場違いな車が選手と並走するシーンや先導車がハンドルミスで観客席にツッコむシーンが生中継されたり、ニュース番組のロケット打ち上げ失敗ニュース映像が提供クレジットと偶然重なったり、キユーピー3分クッキングでジャイアンシチュー並みの厚焼き卵が作れるなど )。
着ぐるみキャラの中の人が見えてしまった場合にも使われる。
また出演者本人の自虐ネタとしても使われることがあり、ゴールデンボンバーが番組企画で自ら演奏したときにもあまりの下手さにそう自称したことがある。
ただし、中にはこういう使い方に疑問を感じる人もいるので注意。
関連イラスト
R-18版プリキュアのエロキュアという有名なジャンルがあるためかプリキュア関係のイラストが多い。その他の放送事故を調べたい場合は、マイナス検索を使う等の一工夫が必要となる。
関連タグ
プリキュア エロキュア アンパンマン アイドルマスター …pixivにおける常連。