「おれの名はサンジ 海の一流料理人だ」
「裏稼業ならお互い様だ おれはコックで 海賊だからな」
「逃げる気もねェし… 殺される気もねェし… 許す気もねェ……!!!」
「口に気を付けろ… おれは怒りで… ヒートアップするクチだ…!!!」
「レディに手を出す様な行儀の悪ィ奴らには片っ端からテーブルマナーを叩きこんでやる…!!」
概要
海賊「麦わらの一味」の一人で、主人公モンキー・D・ルフィの4人目の仲間。
役職は「コック(料理人)」だが、強烈な足技の使い手でもあり、東の海以来の船員の中では船長のルフィ、純戦闘員のゾロと並び、白兵戦における一味の主力とも呼ぶべき存在。また、様々な状況に柔軟に対応できる策士な面もあり、ときには独断で大胆な行動を起こし仲間たちのピンチを救う突破口を見出す事もある。
コックとしての腕前も一級品で、一味に入る前は東の海で弱冠19歳にして人気海上レストラン「バラティエ」の副料理長を任されていた。とある経緯から、ルフィがバラティエにてタダ働きをすることになった際に一味と邂逅し、その料理の腕と人の良さを気に入ったルフィから勧誘を受ける。当初はオーナー兼料理長のゼフへの恩義を理由に断っていたが、レストラン(船)を奪おうと攻め込んできたドン・クリーク率いるクリーク海賊団とのバトルの後、サンジのとある“夢”を知るゼフやレストランの仲間たちに背中を押され、麦わらの一味に加わることを決意した。
実は「ヴィンスモーク」というファミリーネームがあり、実家は北の海及び裏社会ではかなりビッグネームな一大組織なのだが、その事実が明らかになったのは物語の後半であり、発覚以降も自身の過去を理由に自らフルネームで名乗ることはしない。
プロフィール
本名 | ヴィンスモーク・サンジ |
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異名 | 黒足のサンジ |
年齢 | 19歳→21歳 ※ |
身長 | 177cm(第1章・超新星編)→180cm(第2章・新世界編)※ |
懸賞金 | 7700万ベリー(エニエス・ロビー崩壊後)→1億7700万ベリー(ドフラミンゴ討伐後・生け捕りのみ)→3億3000万ベリー(WCI脱出後)→10億3200万ベリー(ワノ国出国後) |
肩書き | 元ジェルマ王国 王子 |
所属 | ヴィンスモーク家三男→客船コック見習い→海上レストラン「バラティエ」副料理長→麦わらの一味コック、麦わら大船団大幹部 |
所属船 | セント・ジェルマン号→オービット号→バラティエ→ゴーイング・メリー号→サウザンド・サニー号 |
覇気 | 武装色、見聞色 |
出身地 | 北の海 ジェルマ王国 |
誕生日 | 3月2日(サンジ=3,2) |
星座 | うお座 |
血液型 | S型Rh- |
弱点 | 女性に甘い、気味悪い系の虫 |
好きな食べ物 | 辛口海鮮パスタ、紅茶に合う物 |
嫌いな食べ物 | コンニャク(栄養ないから) |
得意料理 | 全般(特にシーフード) |
気に入ったワノ国の料理 | 茶碗蒸し |
入浴頻度 | 毎日 |
就寝・起床時間 | 午前0時 - 午前5時 |
家族 | ゼフ(育ての父・師匠) |
血縁 | ヴィンスモーク・ジャッジ(父)、ヴィンスモーク・ソラ(母)、ヴィンスモーク・レイジュ(長姉)、ヴィンスモーク・イチジ(長兄)、ヴィンスモーク・ニジ(次兄)、ヴィンスモーク・ヨンジ(末弟) |
好きな島と季節 | ナミさん島のロビンちゃん |
ニオイ(チョッパー談) | タバコと海の幸のニオイ |
家族に例えると | 次男(不良) |
イメージ動物 | アヒル |
イメージナンバー | 05、32(サンジ)、59(コック) |
イメージカラー | 青 |
イメージ国 | フランス |
イメージ都道府県 | 京都府 |
イメージ職業 | 美容師 |
イメージ花 | デルフィニューム |
ドリンクの氷 | 食べない派 |
目玉焼き | 両面、半熟、辛口ソース |
脳内 | 食、食、ナミさん、ロビンちゃん、女 |
イメージマーク | 後ろの骨がフォークとナイフ、左上に渦巻き眉毛があるコック帽を被ったドクロ(2年前)/顎髭と右上に渦巻き眉毛が生え、コック帽を右目を隠す様に被り、口にタバコを咥えているドクロ(2年後) |
夢 | 伝説の海「オールブルー」を見つけること |
初登場 | 単行本5巻 第43話『サンジ登場』 |
WT100 | 4位(970,286票) |
CV | 平田広明、大谷育江(幼少期) |
※アニメでは当初(超新星編時点で)20歳、身長180cmとされていたが、その後原作と同一設定となった。理由は後述。
人物
容姿
髪は金髪。前髪を長く伸ばし、左目(第2部以降は右目)を隠している。
眉毛は右は眉尻が、左は眉頭がそれぞれ渦状にカールを描いており、これは後述する彼の姉弟たちに共通する身体的特徴となっている。ただしその姉弟たちはカールの位置が(少なくとも左は全員)真逆であり、カールの位置にはある法則性が見られる。
また、薄っすらと顎髭を蓄えており、第2部では口髭も生やすようになった。
基本的に黒いダブルスーツに黒革靴を履いたフォーマルな出で立ちを好み、バラティエでのウェイター兼任の経験もあってか物腰柔らかな振る舞いもみせている。場面によってはノーネクタイやジャケット無しの半袖といった比較的ラフな出で立ちから、アロハシャツやパーカーなど様々な衣類を着用しているが、下半身はスラックスと革靴で一貫している。
コックという役職柄か、身だしなみや清潔感に気を使っており、麦わらの一味の男性陣の中では唯一毎日風呂に入る。
性格
素行が悪く軟派な性格だが、その内面は義理堅く人情味に溢れ、仲間からは「人一倍優しい」とまで評される。料理や食べ物に対する探究心やこだわりも強く、これらを侮辱する行為には容赦をしない激情家としての側面も持つ。
普段の性格は基本的には冷静であり、女性さえ絡まなければ一味の中でもかなりの常識人。
ぶっきらぼうなロロノア・ゾロとは違い紳士的に接し、特に女性(レディ)にはあからさまにサービス旺盛になり、それに比べ男性に対しては無愛想な態度を取ることが多く、初対面の頃のウソップやゾロからは「わかりやすいヤツ」と些か呆れられていた。オバサン、老婆、不細工、ガキンチョ(少年少女区別無く)にも不愛想であるが、それほど辛辣ではなく、特に子供に対しては面倒見が良い一面があるなど、心根は老若男女問わず別け隔てなく配慮を怠らない心優しい性格の持ち主である。ただし、凶悪な敵やマナーの悪い相手、とくに(後述する過去の経験から)料理を侮辱する相手にはたとえ客や女性、子供であろうと容赦をしない。同時に、非常に仲間想いでもあり、恩人であるゼフや一味の仲間たちへの侮辱に対して怒りを顕にする場面もみられた。
口調
一人称は「おれ」。ゼフをはじめ、海賊やゴロツキあがりのコックたちだらけの環境で育ったためか口が悪く、普段は不良のようなスレた口調で話す。口癖として「クソ○○」という表現をよく用いるが、これは単純に対象を蔑む意味合いだけではなく「ものすごく○○ / 全然○○」というニュアンスでも頻繁に使用している。
ノリ
意外とノリが良く、ボケもツッコミも両方できるタイプ。
女性クルーもしくはウソップが絡むとボケ役に回りやすく、逆にウソップ以外の男性クルーが絡むとツッコミ役に回る場合が多い。またルフィやチョッパーほどではないが男のロマンにも理解があり、ときには一緒になって盛り上がる姿を見せている。ロングリングロングランドでは、フォクシーとの対決でアフロヘアーになったルフィに対して、そのセンスを純粋に評価しナミから困惑されていた。その他、ときには料理でもボケに転ずることもあり、巨大な海王類に襲われた際に避難しようとするナミたちに対し、獲って食おうとするルフィやゾロに続いて、どんな風に料理すればいいかで思いを膨らませることもしばしば。魚人島へ向かう際の海底での航海では、船とつながった深海魚を切り離すようにナミに指示されルフィたちと口を揃えてガッカリしていた。
仲間との関係
「ナミさんのためならお前が死んでも構わない」
「(命を賭けるのは)レディ限定だクソ野郎!」
などと口汚い言動とは裏腹に人一倍仲間を大事に思っており、目の前で誰かが危機に晒されている場合、男女の隔たりなく自己犠牲的な行動に出ることが多い。
実際前者のセリフとは裏腹に自身がエネルの前に立ってナミとウソップを逃がし、後者はシャボンディ諸島の敗走戦でゾロ、ウソップ、ブルック組の方が危険と判断するやナミをフランキーに任せて救援に向かっている。
こうした行動でナミやウソップは幾度となく危機から救われているが、あまりにも我が身を省みないことから、ときにはルフィから怒鳴られたりゾロに力尽くで止められたりした事もあった。しかし、現在でもこれを改めている様子はない。
また、こうした優しさはときに厳しさとして現れることもあり、ウォーターセブンでメリー号の進退についてルフィとウソップが口論した際、ルフィが売り言葉に買い言葉で危うくウソップに「一味を降りろ」と言いかけた際には怒りの蹴りで言葉を遮り(ナミがいる方にルフィを蹴り飛ばしてしまうほど動揺)、 「てめェ今何言おうとしたんだ!!!滅多な事口にするもんじゃねェぞ!!!頭冷やせ!!!」 とルフィを叱り飛ばしている。また、その後のルフィとの決闘で敗北し倒れたウソップを治療しようとするチョッパーを 「“決闘”に敗けてその上 同情された男がどれだけ惨めな気持ちになるか考えろ!!!」 と荒々しく制止した。
仲間に対しては 「お前にできねェ事はおれがやる おれにできねェ事をお前がやれ!!!」 と信頼しており、実際この言葉通りウソップの狙撃能力をあてにした場面もあった。また、それまでは仲間のために何度も自分を犠牲にしようとしたが、ワノ国編で敵に捕えられてしまった際に、自身の情けなさを曝け出して、大声でロビンに助けを求めるといったことも出来るようになっている。
その(表立って)軟派な性格から、徹底的な硬派で皮肉屋なゾロとは相性が悪く、普段は「クソマリモ」「アホコック」などと罵り合ったり、懸賞金の額やシャボンディ諸島への到着順を競うなど、事ある毎に喧嘩ばかりしている。因みに現状、原作ではゾロから本名で呼ばれた事が一度として無い。
しかし実力は互いに認め合っており、いざとなれば絶妙なコンビネーションを見せる。
現在の麦わらの一味にはニコ・ロビン、フランキー、ブルック、ジンベエ…と、戦闘能力と組織の統率力(およびその実績)を併せ持った船員が数多く在籍しているが、そうした中でも新たな特性を開花させており、周囲からはゾロと合わせて「海賊王の両翼」たる人物と称されるなど、強い存在感を発揮し続けている。
料理人としての夢と矜持
東西南北すべての海の食材が集まるという幻の海『オールブルー』を発見することが幼いころからの夢であり、同時にゼフから恩を受けるきっかけともなった(ゼフもまたオールブルーを追いかけて海賊となり、『偉大なる航路』でその可能性を見出していた)。
食べ物がなく飢えて死にかけたこと、そこから恩人ゼフのおかげで生き延びた過去を持つ為、レストランの客であろうと仲間であろうと、「食べ物を粗末にすることは許さない」「食べたい人には食わせてやる」という信条を持つ。(ただし、ウソップの食材を使う技やスリラーバークのゾンビを浄化するために塩を使うなど、あくまで困難を打破するための手段として食材を使うのは許容範囲内である。後者に関してはサンジ自身も行っているし。)
加えて、自分の料理を夢中で頬張る様を見るのが何よりも大好きな生粋の料理人であるため、たとえ相手が食事によって元気を取り戻せば敵になると分かっていても、そもそも救いようのない悪党であろうともお腹を空かせていたり、「食べたい」と言うのなら一切迷わず食事を提供する。
当然その際の料理に手を抜く事は無く、毒を盛るなど以ての外。さらにはより美味しく見せるために盛り付けにも徹底的にこだわる。 「食いてェ奴には食わせてやる!!! コックってのはそれでいいんじゃねェのか!!!!」 とは本人の弁。
登場時点ですでに一流料理人だが、仲間たちを元気づけるための料理技術の向上には余念がなく、行く先々で様々な調理法や食材の研究に勤しんでいる。TVアニメ版では彼のこうした心情に答えてか、オリジナルエピソードでは料理絡みのエピソードに事欠かない。カマバッカ王国ではニューカマー達のもつ圧倒的な生命力・活力(バイタリティ)に圧倒され、その理由の一つが料理であると知ると、仲間達のために学び尽くすことを誓っている。
また、自身の料理が一流であることに強い自負を持ってはいるが、かといって、食べ物を粗末にしない限りそれが元で相手の調理の腕や料理を見下すような言動をとることはほとんどなく、アクシデントなどで床に落ちてしまった料理を作り手の気持ちを汲むために食し、その調理過程や完成度を素早く分析する・かつては敵対関係であった相手の作ったものでも、秘伝の調味料や、製菓調理技能などについては裏表なく評価するような発言も少なくない。
ちなみにサンジ自身の好物は辛口海鮮パスタ。個人的には辛党のようだが、激辛チキンウイングが好物であるゼフの影響もあると思われる。
なお、ジャッジの好物はオマール海老のトマトパスタ。「海鮮系のパスタ料理」という意味では他の兄弟の誰より食の好みが似ている。
女性への態度と騎士道精神
「…たとえ死んでも おれは女は蹴らん…!!!!」
大変な女好きで、行き着いた町にしばらく滞在する際は空いた時間には透かさずナンパに出かけている。それこそ美女を前にすれば、目をハートにして鼻の下を伸ばし、腰から下をハリケーンのようにうねらせながら大はしゃぎして悦び、ひどいときには鼻血を噴出してその浮力で空を舞ってみせるほど。
そのため、日頃からナミを『ナミすぁん』、ロビンを『ロビンちゅわん』と愛着を込めて呼称し、ほかの仲間より愛想良く振る舞っている。危機的状況で点呼しようとした際には男性陣のことをすっかり忘れて勘定に入れず、ウソップとチョッパーから泣きつかれてたこともあった。
美女であれば種族を問わず、魚人島の人魚たちやパンクハザードで出会ったハーピーのモネ、半獣人のミンク族など様々な種族に好意を示している。
同時にかなりのスケベでもあり、ヴァイオレットから頭の中の考えを覗かれた際には「ふしだらな! こんなピンク一色の頭見たことが無い!!」とドン引きされたほど。ただし、流石にブルックのように大っぴらにセクハラを働くことは極めて少なく、あくまでも紳士的に接している(それでも節目節目では勝利やそれにつながる進展を喜び合うドサクサに紛れて相手に抱き着こうとすることもしばしば。カリファのエロすぎる色仕掛けに耐えられず、ロビンの手錠の鍵を得られる口実もあってか、飛びついて自ら胸や太ももを触ろうとしたり。アラバスタ王国では城の大浴場で女湯覗きも率先して提案している)。
一体いつからこうだったのかは不明だが、子供のころからスケスケの実の存在を知ってあらゆる(自主規制)について考えていたらしいことから、スケベなのは生来で相当なスキモノと見受けられる(ただ、スケスケの実は覗き見はおろか、悪魔の実に対する対策や立ち回りに粗があった時期のある、ある一家をひっかき乱すには十分な性能を持つ一戦級のものであるため、エネルの方舟マクシムを一時機能不全にするほどの知性を秘めたサンジが欲するのも頷ける代物である。尤も、当時は非現実的な内容から図鑑を読んでも悪魔の実が実在するとは思えなかったため、過度に執着するような事も無かった)。
しかし、単にエロ野郎と言うわけではなく、女性を大切に扱うことが信条であり、たとえ敵であろうと女性は絶対に蹴らない(手を上げない)ことをモットーとしている。相手側の攻撃を足技で受け止めるくらいならセーフだが、自ら放った技を直撃させることは絶対に無い。さらには武装色の防御力を利用して身を守ることすら躊躇してしまう。
その他にも「女の嘘は許すのが男」「女の涙は疑わない」など女性に対する紳士的な姿勢が随所に見られる。しかし、これが原因でまんまと女性の敵の術中にハメられることもしばしば。相手に捕らわれて一方的に痛めつけられたり、敗北を喫するなど散々な目に遭うこともある。
この騎士道はゼフの影響によるもので、少年時代、こだわりは無く「(ゼフのコックに対する蹴りを含む厳しい指導と、女性コックを雇わないことに対して)必要があれば女を蹴ればいい」と語っていた。
作者曰く「ゼフに叩き込まれたため、正確には「蹴らない」のではなく「蹴れない」とのこと。ゼフは一応前者だが、サンジの場合は体に染みついていることと実の父親同然の人の教えを裏切ることができないという考えからである。
バーソロミュー・くまによって飛ばされたカマバッカ王国は、女好きのサンジにとってはまさに「地獄」であったようで、作中および扉絵でのカットシーンでは、島民であるオカマたちの執拗な追走を受けてこれまでにない恐怖で表情を歪ませていた。最終的には彼女(?)たちに追い詰められ、一時はオカマの仲間入りをしたことすらあった(その後、新聞でマリンフォード頂上戦争の一部始終を知り正気を取り戻した模様)。
以降の2年間はこのカマバッカ王国で(スピンオフである『食戟のサンジ』では地産食材のみ扱ったサバイバルで過ごす)修行の日々を送ることになるが、その反動か、2年後になると女好きに拍車がかかり、むしろ女性に飢えている領域にまで悪化した。第2部のスタート地点であるシャボンディ諸島での彼の一部の行動はまさに変態のそれであった。そんな性分なので一味と再会後、ルフィが(同じくくまの能力で)女ヶ島に飛ばされていた事実を知ると、言葉にならない怒りをぶつけていた。
加えて女性への免疫もひどく低下しており、2年でよりダイナマイトになったナミやロビンを前にして大量の鼻血を噴出して卒倒しており、魚人島でも美しい人魚たちを前にこれを繰り返し一時は出血多量による生命の危険すら伴うハンデと化していたが、『魚人島編』にてめでたく(?)解消された。
基本は女性相手にはできるだけ丁寧な言葉で話し、男性に使うような荒々しい口調は使わないが、例外がある。まずは姉のレイジュ。ブルックも認める美女にして実姉でもあるレイジュには普通に男性と喋るようにぶっきらぼうに素っ気なく、男性と同じ口調で話す(作者は「姉にメロリンなサンジはさすがに引くでしょ」とコメントしている。そりゃそうか)。また、公式スピンオフギャグ『ワンピースパーティー』ではレイジュと別れる際にゾロに無理やりレイジュと抱擁させられた時は赤面している(ロビン曰く、ゾロのこの行動は「サンジが困ってるところを見たかっただけ」とのこと)。次に、仲間に危害を加えようとする敵。敵がたとえどんな美女であろうと、仲間を傷つけようとする敵の極悪レディにはさすがに口調も荒々しくなる。そして最後は年配、或いは子供などの恋愛対象には入らない女性。女性である限り男性よりも丁寧に接するものの、口調は男性向けのぶっきらぼうで荒々しい口調である。
ちなみにサンジが同年代の女性(特に美女)に対して用いる二人称は基本的「ちゃん」付けであり、多少年上だろうと異種族だろうと王族の身分にあろうとそれを崩す事は滅多に無く、意外にもさん付けで呼ぶのはほぼナミだけ(例外的に正式に麦わらの一味に加入する前、SBSの中で一度「ナミちゃん」と呼んだことがある)。これに関しては特に深い理由やこだわりなどは無いようで、言ってしまえば「なんとなく」らしい。
また、仮に女性(特にナミやロビン)に手を挙げた者に対してはたとえ仲間(の幼少期の姿をした海軍のクローン)であっても『死刑』対象として認識し一切容赦はしない。
愛煙家
かなりの愛煙家でもあり、作中で煙草をくわえる姿はほぼお馴染みとなっている。ゼフに「チビナス」呼ばわりされるのを嫌い、少しでも大人っぽくなろうとしたことが切っ掛けで吸い始めたため、喫煙歴は年齢の割に非常に長い。
麦わらの一味で日常的に煙草を吸っているのはサンジだけしかいない(映画『STRONGWORLD』ではブルックが2カットのみ煙草を吸っているシーンがありジンベエもタイヨウの海賊団に所属する前は煙管を愛飲している描写があったが現在ではその描写はない。扉絵などでサンジ以外が喫煙しているシーンが書かれたことはある)。ちなみにサンジが愛飲している煙草『デス・ライト』は実在する銘柄である。
しかし、アニメでは未成年の喫煙は問題があるということで、当初は年齢が1つ上の20歳に変更され、それに伴い身長も原作より3cm高い設定になった。新世界編では原作と同じ年齢・身長になっている。
ワンピースの作品世界内でも19歳の飲酒・喫煙は違法なことがSBSで言及されている。もっとも海賊である時点で犯罪者のため、本人達にとっては問題ではないだろうが。
なお、海外でアニメが放送される際に『子供向け番組に喫煙は好ましくない』という理由から、煙草ではなく棒付きキャンディを舐めている設定に変わっている。
激情家
一味の中でも随一の激情家という一面も持っている。特に騎士道精神や料理人としてのプライド、そして仲間を侮辱される事を極度に嫌い、これらについて刺激されると怒りを露わにし、より容赦の無い蹴りで徹底的に相手を叩きのめす。
敵に対して麦わらの一味の面々は、どんな相手であれ個人に向けて「倒す」「ぶっ飛ばす」とは言っても(ギャグシーンを除いて)「殺す」という言葉を使う事は滅多に無いが、原作のサンジは一度だけ、愛しい女性を泣かせる敵に向かって「てめェはブッ殺してやる!!!!」と本気で言い放った事がある(アニメ版(レギュラー放送)では若干セリフに修正が入ったが、『エピソードオブナミ』では、ストレートに言っている)。それ以外では「三枚にオロすぞ!」「蹴り潰してコロッケにしてやる!!」など、料理に絡めた殺し文句も使用している。
頭脳派
上記のような感情的な側面や、いつもの(とくに女性絡みの)言動がアレなためかアホ扱いされることもしばしばあるが、女が絡まなければクロコダイルから突然かかってきた電話にアドリブで答えたり、箱舟マクシム内部での破壊活動を成功させたり、正義の門を閉じて海軍の動きを封じたりと、状況分析とそれに対する咄嗟の機転が利き、かなり頭の回転が速いことがうかがえる。
また、他の仲間が気付いていない作戦の穴や状況の流れなどにも気付きやすく、作戦を優位に進められるようにあえて単独で行動する場面も多い。
…それでも上述の熱くなりやすい性分からか、ギャグシーンではルフィやゾロたちと揃って後先考えず大暴れしたり、ゾロの安い挑発を買って大喧嘩したりすることもしょっちゅうである。
不幸体質?
上述の通り、整った容貌や戦闘員・料理人の腕前、キザな態度の裏にある人情味なども相まって作中でも特に人気の高いキャラクターである一方で、後述される波乱万丈な半生もさることながら、本編中においても初の手配書がブサイクな似顔絵にされたり、それをキッカケにそっくりさん?に因縁をつけられたり(当然ながらサンジ本人には全く非がない)、大勢のオカマたちに2年近く追い回されたり…などなど、そのキャラクターに反して損な役割を担ってしまうことが多々あり、ファンからは慰労の言葉を向けられることも少なくない。
魚人島では、美しい人魚の女性たちから一緒に遊ぶように誘われた際、本来の彼なら大喜びしそうな状況にありながら「こんな幸せあるわけねぇ…おれはきっと今日死んでんだ」と極めてネガティブな発言を漏らして落涙する姿までみせたことがある。どうか強く生きてほしい。
戦闘能力
基礎戦闘力
麦わらの一味の中では珍しく、悪魔の実の能力も武器も使わず純粋な体術を主軸とした戦術を取る。加えてコックの命とも言える手を戦闘で傷付けるわけにはいかないとして、戦闘は全て足技のみでこなす。
サンジの師父であるゼフもかつて“偉大なる航路”を旅し、その足技で「赫足(あかあし)のゼフ」という異名を馳せた大海賊だったことから、料理人としてだけでなく、足技使いの戦士としての技能や、前述の女性に対する扱いなどの精神哲学もゼフから叩き込まれたものと思われる。
その強靭無比な脚力から繰り出される蹴りは、自身の何倍もの巨体を誇る海獣を軽々と打ち上げるほどであり、作中登場時点の段階で、ゲーセンの打撃力測定マシンで実験したら店の外まで吹っ飛ぶとのこと(作者談)。
アニメ版では自分より背丈の大きい男性を空の遥か彼方まで吹っ飛ばす程の蹴りを放ったこともある。
一撃でも相当重い蹴りだが、それを流れるような動きで続けざまに相手の全身に叩き込み、最後の一撃で盛大に蹴り飛ばすのが得意戦法にして必勝パターン。
料理人ながら、ルフィやゾロとともに一味の主力を務めている。指名手配されてからは、奇しくも恩師ゼフの「赫足」に類同した「黒足(くろあし)のサンジ」の二つ名で知られるようになる。
また、こうした強靭な脚力は仲間との連携でも活躍しており、相手を脚に乗せた状態で蹴り上げれば、さながらロケットのごとく天高く大ジャンプさせることも可能で、アラバスタ王国の時計台やデービーバックファイトでは作戦の成功に大きく貢献している。
上述通り、武器を使って戦うことは滅多にないが、ウイスキーピークでは船に侵入してきた敵幹部に拳銃を向けたことがある(もっとも、威嚇目的で引き金を引くことはなかったが)。またコックという役職柄、料理人の魂である包丁を武器にすること、ましてや人を傷付けることは、サンジにとっては女性を直接攻撃することと同等以上の禁忌であるが、戦場が「厨房」であり敵が「食材」であれば話は別で、そういった状況ならば両手に包丁を持って華麗な“プロの庖丁捌き”を披露する。エニエス・ロビーへ向かう海列車の食堂車両では、拳法家のワンゼの使うラーメンを尽く切り裂いた上に丁寧に器に盛り付けてみせた。
エニエス・ロビー以降では自らの足を回転による摩擦で発熱させ、各攻撃を強化する戦法「悪魔風脚」(ディアブルジャンブ)を主戦力としている。新世界編からは修行によって悪魔風脚の扱いがさらにうまくなり、海中だろうと空中だろうと瞬間的に発動させる事ができるようになり、速攻性が増した。そればかりか二年間の地獄の日々や幼少期に受けた仕打ちを想い返すことで全身に怒りの炎を纏うというメラメラの実の能力者もビックリのトンデモ技を体得している(ちなみにルフィやカタクリもゴムや餅でありながら炎に纏わる技を普通に繰り出している)。体がボロボロの状態でヴェルゴと張り合ったり、映画『STAMPEDE』ではスモーカーを相手に戦うなど、高い実力を誇る海軍本部中将と渡り合えるほどの力量を身につけている。
また、カマバッカでの2年間に及ぶ逃走劇の中で、世界政府の有する武術「六式」の一部を見様見真似で体得し、特に月歩を元とする「海歩行(ブルーウォーク)」「空中歩行(スカイウォーク)」により、陸・海・空と、あらゆる環境に対応できる高い機動力を持つようになった。
長い期間、前線に立つメンバーの中では明確な防御手段を持たないという弱点があった。
ゾロであれば刀で受け流す、その他の面々もそれぞれ能力者・改造人間・種族としての特性で一部の攻撃に耐性を持つ者が多い中、サンジはどんな攻撃も受けるときは生身で受け止める。上述された負けず嫌い、自己犠牲的な性分も手伝ってか不利となっても引かずトコトン打ちのめされてしまうという場面も何度かあった。しかし、新世界編からは『武装色の覇気』による防御を体得、更にワノ国編で遂に『外骨格』が発現したことで、防御面もパワーアップした。
覇気
「気配」「気合」「威圧」「殺気」「闘争心」など、目に見えない感覚を操れるようになった。
2年間の修行でルフィやゾロ、ジンベエと同様に覇気を修得した(ただジンベエに関しては、2年前の時点でもすでに修得していたする方が自然)。
概要 |
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特徴 |
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派生能力 |
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備考 | 彼が得意とする色である |
※「相手の強さを推し量る」等は明らかになっていないが、恐らく行える(そもそも、現在となっては行えない方が不自然である)
※彼の見聞色の場合は、未来予知の領域に達していても不思議ではないほど可能性が高い
サンジは見聞色の覇気を得意とする。その探知能力は何百mも遠く離れた相手を察知できる程の広範囲に優れ、自分を狙う敵の索敵や攻撃の先読みによる回避も上手い。また、女性が敵味方関係なく絡むと探知能力は上昇する。
戦場でも見聞色の覇気を使いこなしており、カタクリが超高度の見聞色で未来予知を行った上で撃ったジェリービーンズを回避したこともある。
さらに練度が上昇し、女性のことになると「愛は光より強ェんだ!!」と言って、黄猿すら凌駕するほどの見聞色として発揮される。それは相手も覇気使いである「光」による光速すら察知してしまえるほどにまで高められており、そして彼自身の力と覇気の強さも相まって、「光」の光速攻撃を防いでしまうほど強力なものとなった。
概要 |
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弱点 |
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※仮に知っていたとしても、相手の悪魔の力の攻撃次第では余程覇気を強めないと効果を発揮できないこともある。そのため、覇気を使用したところで、「効果を発揮するケース」「効果を発揮しないケース」の2パターンに分かれてしまう以上、正直微妙なところ。
武装色の覇気も扱えるようになっているため、実体の無い自然系の悪魔の実の能力者にもダメージを与えることができるようになり、悪魔の実の能力による攻撃を遮断することもできるようになった(悪魔の実の能力による攻撃の遮断については『ONEPIECE BLUE DEEP』に記載されている)。
サンジは武装色の覇気を使用しても黒く硬化させる描写が今までなかったため、覇気の使用未使用の判断がつきにくかったが、SBSでの言及に加えアニメ版のワノ国編で武装硬化によって足を黒く変色させるシーンが描かれた。
六式
2年間の修行の中で六式の一部を体得。時と場所を選ばず、女性や仲間のピンチには真っ先に駆け付けることを可能にした。なお、明言された技のみ六式の技名を太字で掲載している。
- 月歩
概要 |
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魚人に匹敵するスピードで水中を移動する「海歩行(ブルーウォーク)」とCP9の「月歩」と同じ要領で空を蹴って宙に浮いて飛行を可能にする「空中歩行(スカイウォーク)」を体得しており、2年後の現在は一味随一の機動力を誇る。ちなみにCP9のフクロウは片足の月歩では二人分の重さを支えるのが精一杯であったが、サンジは何人もの人と巨大ケーキを乗せた大きな車を片足の空歩行で天に浮かして見せた。いかに彼の実力が高いかが如実に現れているだろう。
- 剃(仮)
概要 |
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他にもルフィ同様に「剃」と酷似した移動技も可能になっている(そもそも、「剃」の応用技である「月歩」を使用できる時点で、逆にそのベースとなる「剃」を使用できない方が不自然である)。その速度はオーブンで漸くある程度視認できる程(ただしオーブンはその人物がサンジとは特定できなかった模様)。実際にホールケーキアイランド編ではサンジはオーブンに追われるシフォンを圧倒的な速度で救出した。その後のワノ国編でも使用している。
形状記憶鎧「レイドスーツ」
ホールケーキアイランド編での戦いの後、ジェルマ66のヴィンスモーク・ニジから(ルフィを介して)戦闘能力を向上させる「3」の数字が刻まれた黒色のレイドスーツを渡された。ジェルマを忌避するサンジは使うことなくこれを捨てようとしたが、ルフィやチョッパーに懇願されてとりあえず保持するだけにとどまった。
しかしその後上陸したワノ国において正体を隠す必要がある場面になり、「変装にうってつけ」としてレイドスーツを装着することになる。装着の際には加速装置と浮遊装着によって機動力が向上し、マントが盾代わりになることもあって防御力も向上。更にサンジ固有の能力として「透過能力」が付与され、スーツを着た際には限定的だが最悪の世代や四皇の幹部たちすら翻弄する活躍を見せた。ちなみに透過能力を持つジェルマ66のNo.3は「ステルスブラック」と呼ばれるが、ジェルマを嫌うサンジは名前を聞かれた際には咄嗟に「おそばマスク」と名乗った。
このように自身の戦闘能力を向上させるサンジにとって唯一の武器であったが後述の理由により破壊された。
外骨格
概要 |
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ワノ国の討ち入りで敵の大幹部クイーンと戦っていた際に突如ジェルマの兄弟たちと同じ「外骨格」が全身に発現。クイーンの締め上げや斬撃、外野からの弾丸すらも(多少は効いているようだが)まるで致命傷にはならず、衝撃や圧力で曲がった手足や皮膚も少し叩いただけで元通りになってしまうほどの頑丈な体になった。また外骨格の発現に伴い筋力や移動速度も向上し、特に移動速度は対峙した敵が目の前から突然消えたと錯覚する程に強化された。
しかしサンジはこうして兄弟たちと同じ体質になったことで、いつか自身も彼らのように何も感じない「氷の心」まで発現するのではないかと困惑・恐怖することになる。また外骨格の発現からからしばらく経過した際には、左眉が兄弟たちと同じ向きになるといった細かい変化も起きていた。当初は激しく動揺したサンジだったが、長い苦悶の末にレイドスーツを何度も着たことによって眠っていた「科学」が目覚めてしまったとして、自身に起きた変化を運命と受け入れた。そして氷の心が発現しないようにするためにレイドスーツを破壊し、悪魔風脚に外骨格と武装色の覇気を併せることで「魔神風脚(イフリートジャンブ)」に発展させた。
なお、クイーンに勝利して倒れ込んだ後、変化していた左眉が元に戻り、決戦が終わった後のゾロとのやり取りから外骨格は一旦消失したと思われる。
その後、原理は不明だが「エッグヘッド編」にて再び発現。新型パシフィスタの正拳突きを顔面に受けても微動だにせず、海軍大将黄猿の高火力レーザーでさえ技名も無いただの蹴りひとつで相殺する程の頑強さを見せた。
外骨格の再発現に自覚があるのかは不明だが、サンジ自身はこれを「愛の力」と称している。
技
技名には肉の部位や料理、調理法やレストランなどに関連する単語を用いたものが多い。
大まかな技の形態によって技名に一種の法則性があり、相手を強く蹴り飛ばす”シュート”系、連撃の締めやトドメの一撃として繰り出される”ショット”系、上空や天井へ向けて鋭く蹴り上げる”フリット”系、”悪魔風脚”を併用した”ストライク”系などの技がメインとなる。しかし、このような形体にとらわれない独自的な技も多い。
基本の技
- ○○シュート
基本攻撃として使われるシュート系の技。○○には肉の部位が当てはまり、その部分を攻撃する。
原作で最も使用頻度が高いのは相手の首を狙って強烈に蹴り込んで吹っ飛ばす“首肉(コリエ)シュート”であり、原作で最初に技として披露したのもこの技。
作中では他にも“胸肉(ポワトリーヌ)シュート”や“腹肉(フランシェ)シュート”、“ほほ肉(ジュー)シュート”や“もも肉(キュイソー)シュート”などを使用している。
- 羊肉(ムートン)ショット
「デザートは…要らねェか」
羊肉の部位である”首肉(コリエ)”、”肩肉(エポール)”、”背肉(コートレット)”、”鞍下肉(セル)”、”胸肉(ポワトリーヌ)”、”もも肉(ジゴー)”を人体に当てはめ、各部位に順繰りに蹴りを叩き込む。そして最後に、前述した全ての部位+トドメのソバット(後ろ蹴り)の七連撃を一瞬で叩き込み相手を吹き飛ばす。
原作で初めて披露されたショット系の技であり、サンジの代名詞とも言える技の一つであるが実は原作においては意外と使用回数が少ない。
というか、前述した通り〆は連撃なのだが作画表現の限界ということなのかアニメでも映画でも〆の連撃がソバット一発のみに変更されてしまっている(過去話のリメイクであるTVスペシャル『エピソードオブナミ』では原作準拠の連撃で描写された)という中々に悲しい技である。
- 受付(レセプション)
相手の後頭部などに足を引っかけ、そのまま引き倒して顔面から地面に叩き付ける。
サンジは「戦闘において手は使わない」ため、一部のゲーム作品ではこの技が「投げ技」として登用されている。
- 空軍(アルメ・ド・レール)○○シュート
自分の足をカタパルト代わりにして仲間などを射出する連携用のシュート。
技名の○○は射出する人物などによって変化する(例えばルフィに足を掴ませ、”ゴムゴムのロケット”に合わせて回転を加えながら撃ち出す技は”空軍・ゴムシュート”)。ゲーム作品では”空軍シュート”として単体の攻撃技として登用されている場合もある。
- 反行儀(アンチマナー)キックコース
「食事中は極力音を立てません様に」
渾身の力を込めた必殺の蹴り上げ。
10数mはあろうバナナワニや「魚巨人(ウォータン)」であるビッグパン、果ては巨人族の数倍の体躯を誇る魔人オーズをも宙に浮かせるほどの壮絶な威力を誇る。
- 仔牛肉(ヴォー)ショット
仔牛肉の部位である”肩ロース(バース・コート)”、”腰肉(ロンジュ)”、”後バラ肉(タンドロン)”、”腹肉(フランシェ)”、”上部もも肉(カジ)”、”尾肉(クー)”、”もも肉(キュイソー)”、”すね肉(ジャレ)”を人体に当てはめ、各部位に順繰りに蹴りを叩き込む。そして、〆の攻撃を叩き込んで盛大に相手を吹き飛ばすショット系の技。
〆は単発の蹴りと、羊肉ショット同様の連撃+トドメの一発の2パターンある。
が、蹴り方は前に飛び蹴りだったり後ろ蹴りだったりと一定しない。
ゲーム作品などでは基本的に”すね肉”で打ち上げた相手に追撃する形で飛び蹴りを見舞う場合が多い。『グランドバトル!』シリーズではサンジ最強の技として定番だったが、『バーニングブラッド』ではまさかの通常技となった(ちなみに同じく『グラバト』で常連だった羊肉ショットも固有技として登場している)
- 粗砕(コンカッセ)
体を高速回転させ、その勢いのまま踵を相手に叩き付ける。
その一撃は六式の一つである”鉄塊”でも完全にはダメージを殺しきれないほど重い。
空中から繰り出す地面に垂直な縦回転タイプと、地上で手を軸に地面と平行に回転して放つ横回転タイプがある。
- 三級挽き肉(トロワジェムアッシ)
両足を使って相手の一点に向けて集中的に蹴りを放つ。
威力が上がるにつれて”二級挽き肉(ドゥジェムアッシ)”、”一級挽き肉(プルミエール・アッシ)”と名称が変わる。
- ”最上級挽き肉(エクストラアッシ)”
両脚で蹴りを高速連打するのは他の「挽き肉」と変わりないが、こちらは蹴る箇所を選ばず相手の全身を区別なく叩き潰す。
- 木犀型斬(ブクティエール)シュート
相手の懐に潜り込み、両足で空中に蹴り飛ばす。
- 切肉(スライス)シュート
足をナイフに見立てた鋭い蹴り上げ。相手が使用する剣などの武器を蹴り飛ばす。
- パーティーテーブルキックコース
地面などについた手を軸に開脚しながら横回転し、周囲の相手を纏めて蹴り払う。
ちなみに原作での初登場時の戦闘や初期のアニメのOPでサンジは「逆立ちしながら回転して周囲を蹴り払う」攻撃を繰り出していたが、長らくこの技の名称は不明であった。
しかしこの技が登場してからは”あの技”もこのパーティーテーブルキックコースだったのではないかという意見が有力視されている。
これについては原作で明言されているわけではないが、近年のゲーム作品などでは同様のモーションの攻撃技の名称が「パーティーテーブルキックコース」となっている場合が多い。
- 串焼き(プロシェット)
空中で180°開脚し、まっすぐ伸びた足を回転軸として真下に居る相手を踏み潰すように蹴りを捻じ込む。
まともに喰らうと骨格が曲がりかねないほどの威力を誇る。
- 首肉(コリエ)フリット
敵の首部分を蹴り上げる技。使用する場所によっては天井に叩き付けて追加ダメージを見舞える。
- 揚げ物盛り合わせ(フリットアソルティ)
”フリット”を連射して対象を纏めて蹴り上げる。
天井の低い場所で使えば、相手を天井に叩き付けて追加ダメージを見舞える。場合によっては相手が天井に突き刺さる事も。
- 薄切り肉のソテー(エスカロップ)
相手の顔面を狙って水平蹴りする技。
ワンゼ戦で使用したが、防御されて不発に終わった。
- 整形(パラージュ)ショット
目(ウイユ)、鼻(ネ)、頬(ジュー)、口(ブーシュ)、歯(ダン)、あご(マントン)と攻撃を繋げ、最後にもう一度相手の顔面に蹴りの集中砲火を叩き込んで吹き飛ばす。
相手の顔の骨格を力尽くで矯正し、一瞬にしてキラキラ系男子に変貌させてしまう。しかし強い衝撃が加わると元に戻る場合もある。
なお、頭部以外や心の骨格は対象外なので悪しからず。
- 三点切分(さんてんデクパージュ)
凄まじい速度で脚を振り抜き、相手の体にほぼ同時に三発の蹴りを叩き込む。
あまりの速度故に振り抜いた足が一瞬三本に増えたかのように見える。
- 猪鍋(ししなべ)シュート
複雑な構造の建物を素速く登るために、天井を突き破りながら進む移動技。
悪魔風脚(ディアブルジャンブ)
「その破壊力は悪魔の如し」
エニエス・ロビー編で登場した戦法。
その場で片足を軸に高速回転をする予備動作を行い、軸とした足を超高熱の鉄のように赤熱させる。
この状態では、技名もない蹴りですら従来の技を遥かに上回る破壊力を有する。実際、六式の防御力向上技「鉄塊」に長けているCP9のジャブラはこれを発動する前の仔牛肉ショットは普通に耐えていたが、サンジが悪魔風脚を発動してからはただの前蹴り一発にさえ『「鉄塊」が全く効かねェ!!!』と悶え苦しんでいた。
技の性質上両脚での同時発動は不可能だったが、2年後以降は予備動作をせずに一瞬で使用可能となったことで両足を使った技も解禁されている。
同時に、当初は「凄い摩擦熱」で納得できなくもなかったこの技にサンジが自力で人体発火しているという謎が生まれてしまった。
言うまでも無く普通の人間は体から炎など出せないため百獣海賊団の最高幹部のクイーンは改造によるものと疑っている。
サンジ本人は「自身の情熱」と言っており、その仕組みの詳細は今もって不明。
- 悪魔風脚 一級挽き肉(プルミエール・アッシ)
空中からの怒涛の連続蹴り。
- 悪魔風脚 最上級挽き肉(エクストラアッシ)
「最上級挽き肉」の強化版。
- 悪魔風脚 揚げ物盛り合わせ(フルットアソルティ)
「揚げ物盛り合わせ」の強化版。
- 「悪魔風」羊肉(ディアブルムートン)ショット
「羊肉ショット」の強化版。
2年前のシャボンディ諸島ではPX-4戦でルフィ、ゾロとの合体技に使用された。
- 悪魔風脚 首肉(コリエ)ストライク
「首肉シュート」の強化版。
- 悪魔風脚 腹肉(フランシェ)ストライク
「腹肉シュート」の強化版。
- 悪魔風脚 ほほ肉(ジュー)シュート
「ほほ肉シュート」の強化版。
- 悪魔風脚 粗砕(コンカッセ)
「粗砕」の強化版。加えて覇気を纏わせた一撃でルフィを気絶させた。
- 悪魔風脚 パーティーテーブルキックコース
「パーティーテーブルキックコース」の強化版。
- 悪魔風脚 画竜点睛(フランバージュ)ショット
「神は食物を創り 悪魔が調味料を創る」
「少し辛味が利きすぎたな」
空中から強烈な蹴りを放ち、相手を吹っ飛ばして地面や壁に叩き付けるショット。
悪魔風脚を併用しているためその威力は凄まじく、直撃すると同時に閃光と炎が上がり焼印の如く打点を焦げ付かせる、画竜点睛の名の通りとどめ用の技。
- 悪魔風脚 熟焼(ビアン・キュイ)グリル=ショット
悪魔風脚を発動させた状態で強烈なソバットを叩き込む。
水深5000メートルの深海で使用してもほとんど火力が落ちず、小山のような大きさの怪物「巨大なクラーケン」の脚に網目状の焦げ目を付けるほどの凄まじい熱量を持つ。
- 悪魔風脚 焼鉄鍋(ポアル・ア・フリール)スペクトル
空中で悪魔風脚を発動させ、炎上するほどに高熱化した両足で対象を連続して踏み付ける。
その威力は元王下七武海ドンキホーテ・ドフラミンゴを以てして「強力」と言わしめるほど。
- 悪魔風脚 牛すね肉(クロッス)ストライク
高熱を帯びた足で相手の脛を蹴りつける。劇中では敵の攻撃の初動を潰す妨害として使用された。
- 悪魔風脚 回転焼(ロティサリー)ストライク
悪魔風脚を発動させた状態で強力な飛び蹴りを放ち、その勢いを利用し敵を360度回転させる技。作中ではクイーンの巨頭をも回転させ、ペロスペローが放った終末の雨(キャンディーシャワー)を弾いてみせた。
- 悪魔風脚 野獣肉(ウネゾン)シュート
劇場版『ONE PIECE FILM STRONG WORLD』のスカーレット隊長戦で使用した決め技。
空中できりもみ高速回転しながら悪魔風脚を発動した右足で何発も蹴りを叩き込んだ後、強烈な踵落としを叩き込んで〆る。
- 悪魔風脚 愛(アムール)ショット
アニメ699話でドンキホーテファミリー相手に使用した技。
高熱を帯びた蹴りで敵を吹き飛ばす。
- 地獄の思い出(ヘル・メモリーズ)
「何でおれが あんな目にィィィ~~~!!!」
「焼け焦げろ あんな思い出」
二年間に及ぶ壮絶な日々や、縁を切った家族に受けた幼少期の仕打ちを想い返し、その怒りと憎悪で全身に炎を纏い、渾身の一撃を相手に叩き込む。
ちょっとした怪獣サイズのワダツミやクイーンの巨体が一瞬にして火達磨になるほど、その怒りと熱量は凄まじい。
「オイオイ薪を焚べるな ただでさえ燃え上がってんだ!!」
- 温度レアストライク
「おれ国憲法第1条 ナミさんを恐がらせた者死刑!!」
猛スピードで相手に接近し、怒りの炎を纏った両足で放つ飛び蹴り。炎が燃えている状態の新型パシフィスタの表情が歪むほどの威力を誇る。
技名と動作がイワンコフを彷彿とさせる。
- (恋の)メテオストライク
劇場版『ONEPIECE FILM Z』のビンズ戦で使用した技。
全身を「セクシーファイアー」(原理は恐らく「地獄の思い出」と同じ)で覆い、隕石の如く敵に急降下し強力な蹴りで地面に叩き落とす。
- リメンバー・マイ・ドリーム
TVスペシャル『ハートオブゴールド』のサイコ・P戦で使用した決め技。
またも打ち砕かれた少年の頃の夢で全身を燃やし、飛び蹴りする。
魔神風脚(イフリートジャンブ)
「「外骨格」に今まで鍛えた「武装色」を重ね…より強靭でより高温の炎を纏う脚になる!!!」
ワノ国編でジェルマの科学が覚醒した際に編み出した戦法。
自身に発現した外骨格に鍛えてきた武装色の覇気を重ね、より強靭で高温の炎を纏う悪魔風脚の強化版。
外骨格が発現している前提条件が必要だが、悪魔風脚と同様の大気摩擦で発動できる(アニメ版では大気摩擦で悪魔風脚を発動した後に従来の回転による予備動作を重ねて発動していた)。また、『ONE PIECE FILM RED』では外骨格が無い状態の悪魔風脚にオーブンの能力を足し合わせて発動していた。
炎が高温になったことで悪魔風脚のオレンジ色のものから約10000度の熱量を持つ蒼炎に変化し、加速と重みも段違いに強化されたその威力は動物系古代種の能力者であり、悪魔風脚では明確なダメージが通らなかったクイーンにも通用する程である。
- 牛肉(ブフ)バースト
「飛べゲス野郎!!!!!」
魔神風脚を発動した状態で牛肉の部位である”首肉(コリエ)”、”肩ロース(バース・コート)”、”肩肉(パルロン)”、”肩バラ肉(ジュモ・ア・ビフテク)”、”バラ肉(タンドロン)”、”腹肉(フランシェ)”、”尾肉(クー)”、”モモ肉(ポワール)”、”すね肉(ジャレ)”を人体に当て嵌め各部位に素早く強力な蹴りを叩き込む。
そして最後に爆炎を伴う強力な後ろ蹴りを決めて盛大に吹き飛ばす。
- 魔神風脚 地獄の思い出(ヘル・メモリーズ)
「地獄の思い出」の強化版。
料理用の技
「お詫びと言っちゃ何ですが…ご覧に入れましょう」
「一流コックの別格の“庖丁捌き”!!!」
サンジは自身の信念に従って戦闘の際に庖丁を使わない。しかし「対峙する敵が食材」、「戦場が厨房」といった条件が満たされるときには華麗な庖丁捌きを披露する。
また本編以外のスピンオフ作品では包丁を使わない料理の技にも名前がついたことがある。
- 1.4mmパスタ(フェデリーニ)
相手の攻撃を両手の庖丁で捌いて防ぐ料理用の技。
ワンゼ戦で使用し、ラーメン拳法を防いでみせた。
- 皮剥作業(エプリュシャージュ)
両手の包丁で相手の装甲をタマネギのように切り分け、引き剥がす。
ワンゼ戦にて麺でできた”麺ズ正装スーツ”を破るために使用した料理用の技である。
- 『悪魔風』水回転(『ディアブル』オー・ロタシオン)
食戟のサンジ第5話(2022年1月3日発売の週刊少年ジャンプ本誌5・6合併特大号に掲載)の、後述の「サン五郎の十八番そば」開店に至るエピソード内の蕎麦対決で登場した、手を使った料理用の技。
蕎麦粉に水を注いで回しながら練り合わせて蕎麦生地を作る「水回し」という作業を、サンジ…もといサン五郎の超人的身体能力と卓越した料理センスで、人間業とは思えないほどのハイスピードと精度で行い、水と蕎麦粉を絶妙なバランスで配合し、二級の蕎麦粉でも、一級品の蕎麦粉を使ったものすら凌駕するコシと風味を引き出した蕎麦を打つことを可能にする。
過去
出生から出奔まで
かつて北の海(ノースブルー)を武力で制圧したジェルマ王国の王族「ヴィンスモーク家」の現当主ヴィンスモーク・ジャッジの三男、第4子として誕生する。しかし後述の過去が理由でヴィンスモーク・サンジというフルネームはゾウ編まで明らかにされなかった。
ちなみにレイジュ以外の男兄弟たちは同じ日に生まれた四つ子である。
ヴィンスモーク家は裏世界で名を馳せる科学戦闘部隊「ジェルマ66」を率いており、ジャッジが総帥を務めていた。またヴィンスモーク家が治めるジェルマ王国は国土を持たない海遊国家であるが、世界会議への参加資格を持つ独立国家であり、その血筋であるサンジはやや特殊ではあるがれっきとした王子ということになる。
ジャッジは、「故郷の土も踏めずに亡くなった先祖の無念を晴らすために、今再びジェルマ帝国による北の海支配を果たす」という先代からの目標にすべてをささげていた男だった。それ故に彼は「戦争に勝つことが全てであり、それ以外は不要」と考えており、血統因子の研究のもと、これから生まれて来るイチジ達4人に対して、強力な身体能力や悪魔の実のような能力を付与するにとどまらず、人格も戦争に打ち勝ちジェルマの後を継ぐためにふさわしい「敵を恐れず、慈悲をかけることもない冷酷さを持つ強靭な精神」にしようとした。
しかしジャッジの妻のソラは「感情を失ったら人間じゃない」と猛反発。「戦争に勝てればよい」とするジャッジは手術を強行するが、ソラは劇薬を飲んで効力を打ち消そうとする。
しかし、イチジ、ニジ、ヨンジはジャッジの思惑通りに生まれてしまい、結果、サンジだけが、ソラの抵抗の証とでもいうべきかのように普通の子供として生まれてきた。強化人間ではないサンジは、兄弟の中でも類を見ない落ちこぼれであり、それゆえ優しさを持たないヨンジたち男兄弟たちから虐待レベルの仕打ちを受け続けた。
姉のレイジュはサンジ同様に人としての良心をかろうじて残しており、裏で優しさを持たない兄弟たちから虐げられるサンジのことを密かに気にかけてはいたが、同じように報復を受けることを恐れて表立って止めることはできずにいた。
この頃から料理への興味は持っており、サンジは、病床の母ソラに持って行ったグチャグチャのまずい弁当を、ソラが残さず笑顔で食べあげてくれたことでサンジはより興味を深めていく。
しかし父であるジャッジは、サンジへのいじめに対してなんら対策はせず冷遇し、サンジが料理に興味を示しても、「王族・戦士としてふさわしくない」とサンジに対して「強い戦士」であることを求めた。
ジェルマ帝国復活こそ自分のなすべきことでありそれ以外は無用と考えながらも妻への愛情は彼なりに持っていたジャッジにとって、サンジは戦士としてあまりに不完全な存在、妻の抵抗の証とも言うべき存在にして(無意識ながら)自分と妻との対立を想起させるであり、妻の死後には冷遇が加速していく。
父親としての最低限の情としてサンジを殺すようなことはしなかったものの、「サンジを生まれなかったことにしたい」と海難事故で亡くなったとして葬式を挙げさせ、城の一室に軟禁。加えて妻を想起させる無邪気な笑顔を見ることを忌避するかのように鉄仮面をつけさせており、最低限の情愛は料理の本を読むことの黙認と客人用の食事を出すくらいと、サンジに会うことを忌避していた。
軟禁されたサンジは時に優しさを持たない兄弟達から暴力を受けながらも、料理への興味を一層強めていく。
ジェルマ66が東の海(イーストブルー)のとある国を攻めた際、サンジはレイジュに「料理人になりたい」と改めて告げて、レイジュの手引きで脱出。
サンジもこの経緯に加え、裏で自分のことを気にかけてくれたレイジュに対しては、父や優しさを持たない兄弟たちとは違って特に恨みを抱くことはなかった。
その際に父ジャッジと出会うが、ジャッジは「親として自分の子供は殺せなかった」と言いつつも、「自分からいなくなってくれるなら助かる」「誰にも知られたくない汚点だから、私が父親だということは絶対に人前で口に出さないでくれ」とだけ言い放つ。
サンジは実の父親に見捨てられた事実を悲しみながらも出奔し、涙ながらのレイジュの勧めのもと、停泊していた客船オービット号に乗り込むこととなる。
ゼフとの過去
オービット号に乗り込んだ後、サンジはコック見習いとして働いていた。
この頃は、海上での食糧難については無頓着であり、傷んだ食材をなんの躊躇もなく捨て、客が食べ残した料理の残飯を漁る先輩コックたちを蔑視していた。
ある日、“赫足のゼフ”率いる「クック海賊団」に船を襲撃されるも、その最中に強烈な嵐に見舞われる。海に投げ出されたゼフとサンジは、ともに同じ無人島に漂着するが、その島は動物はおろか草一本も生えない巨大な岩石であり、尚且、打ち付ける波で側面が反り返り、一度海に落ちれば上がることもままならず、木の実をとったり動物や魚を狩ることもできないという絶望的な環境下にあった。
渡航する船に救助を求めるため、ゼフはサンジに、共に流れ着いた巨大な袋の中から僅かばかりの食糧を分け与え、反対側の岸を見張らせる。サンジは先の襲撃の件もあり「船が見えてもゼフには知らせず、一人で逃げてやる」と企んでいたが、待てど暮らせど船は現れず、二人は、ここで85日に及ぶ過酷な遭難生活を経験することになる。サンジはカビの生えたパンをかじりながら客船での先輩コックたちの教えを痛感し、後悔の涙を流した。
やがて食料が尽き、空腹が極限状態に達したサンジは、未だ大きな袋を所持しているゼフから食料を奪おうとするも、彼の袋の中には金銀財宝しか詰まっていなかった。実は、流れ着いた食料はサンジが与えられた分が全てであり、ゼフは自分の海賊としての生命線である右足を食べて命を繋いでいた。
何故見ず知らずの自分にこんな施しをしたのか問い詰めるサンジであったが、ゼフは自分と同じ「オールブルー」を夢見ているサンジを生かすためにこうした手段に出たことを知らされる。結果、サンジはゼフに大きな代償を科すとともに、彼から大恩を受けることとなった。
(なお、アニメ版では子供達にトラウマを与えないような配慮から、サンジを救うために海に飛び込みんだ際、船体に足を挟まれたため、自ら鎖で足を引きちぎったことになっている)。
奇しくも、ゼフのこうした心情が語られた直後に、ようやく通過する船に救助され、餓死寸前だった二人は共に生還する。
その後、海賊から足を洗って料理人となったゼフは、財宝を元手に海上レストラン「バラティエ」を開業、サンジもゼフの弟子として乗船した。以降もゼフは世間からはじかれた荒くれ者のコック志願者たちを集い、弟子として料理人の矜持を叩き込んでいった。サンジも彼を「クソジジイ」と口汚く罵りつつも、内情では大恩ある彼に少しでも恩を返せるよう必死になって学び続け、周りの大人のコックたちとしのぎを削り、ついには自力でバラティエの副料理長にまで上り詰めた。
…一方で、上述された遭難生活での食糧難経験やゼフへの強い敬意から、たとえ客であろうと料理やゼフを侮辱する行為には黙っていられず、我を忘れて相手を半殺しにしては他のコックたちに慌てて止められるなどたびたび騒動を起こしていたため、同僚たちとは険悪になってしまっていた。
活躍
第1部「超新星編」
ルフィとの出会い
ある日のバラティエ近海において、麦わらの一味と、海軍本部大尉(当時)のフルボディの一軍が交戦していた際、ルフィのせいで砲弾の流れ弾がバラティエに直撃してしまう。ルフィはすぐに謝罪に現れるが、船を修理する資金もなかったため、ゼフやコックたちにこっぴどく叱られた挙げ句、修理代返済までの間バラティエで雑用としてタダ働きする羽目になる。
同じ頃、クリーク海賊団の船員であるギンが漂着し、コックたちに空腹を訴え食料を要求するも突っぱねられてしまう。しかしサンジは、店外にてギンに食事を与え、彼の命を救った。事の顛末を見ていたルフィはサンジを気に入り、彼に一味に入るように勧誘する。
サンジは、そのあまりにも突拍子もないルフィの勧誘を軽くあしらってしまうが、後にギンの長である首領・クリーク率いる海賊団との船(バラティエ)を賭けた対決でルフィと共闘。足技による圧倒的実力で海賊たちを蹴散らしたが、途中、敵方の幹部パールが逆上し船に火をばらまき始め、倒壊を畏れて一方的に打ちのめされてしまう。クリークの脅威を知るギンは恩人であるサンジの身を案じ、クリークの部下という立場でゼフに拳銃を向け船を明け渡すよう説得するが、サンジは上述のゼフから受けた大恩を明かした上で「たとえ自分が死んでもクソジジイ(ゼフ)の最後の夢であるレストランは渡さない」と宣言する。
しかし、この言葉にルフィは激昂。彼もまた過去にシャンクスに左腕一本を犠牲に命を救われたことがあり、自身とサンジの境遇と重ね見た上で 「(ゼフは)そんなつもりで助けてくれたんじゃねェ!!!」 「生かしてもらって死ぬなんて弱え奴のやることだ!!」 と叱責し、サンジに代わって敵将であるクリークに挑んでいった。ギンもまた、サンジの言葉に彼が船を手放す意志がないことを受けると、今なお暴れるパールを自ら叩き伏せ、自身が代わってサンジの相手をすると宣言。奇しくも、サンジに食事を与えられたことで本領を発揮し、既にダメージを負った彼を追い詰めるも、生まれて初めて優しさを与えてくれたサンジにトドメを刺すことがどうしてもできず、改めてクリークにバラティエを見逃してほしいと懇願する。
これに怒ったクリークは周囲に毒ガスを撒き、船員たちが支給されたガスマスクで、コックたちも咄嗟に海中に潜ってやり過ごす中、ギンは自身のマスクをサンジに被せて救おうとし、唯一人猛毒による危篤状態に陥ってしまう。以降サンジはギンにガスマスクの解毒作用で応急処置を施しながらルフィとクリークの対決を傍観。頑強な肉体と厚いウーツ鋼の鎧、ゴムにも有効なありとあらゆる武器を備えるクリークを相手に圧倒的不利な立場にありながら、決して臆することなく挑みかかるルフィに対し、彼の思い描く海賊王の夢が決して生半可な覚悟のものではないことを知り、見識を改めた。最終的にこの激戦はルフィがクリークを撃破する形で決着がつき、復活したギンがクリークを沈静化させた後、残った船員たちと共に(バラティエから貰い受けた小舟で)退散していった。
戦後、意識を失ってから復活したルフィは再びサンジを仲間に誘うが、やはりサンジはゼフへの大恩から断り、代わりにオールブルーの伝説をルフィに語り、海への夢についてしばし談話した。その様子を見守っていたゼフは、他のコックたちと一芝居打ち、サンジをバラティエから追い出すように仕向けるも、結局ルフィの発言によりその思惑が露見されてしまう。コックたちの意図を汲んだサンジはルフィの誘いを改めて了承し、険悪な雰囲気のままバラティエを後にしようとする。
去り際にゼフから「風邪・・・引くなよ・・・・・」という優しい別れの言葉を送られ、サンジは溢れ出した涙とともにこれまで秘めていた彼への敬意を顕にし、彼を初めて「オーナーゼフ!!!!」と敬称で呼ぶと同時にその場で土下座し「長い間!!!クソお世話になリました!!!!このご恩は、一生忘れません!!!!!」と最大限の感謝を示した。この二人のやり取りに、同じく感極まったコックたちも号泣しながらサンジとの別れを惜しみつつ、彼を海へと送り出した。
その後ナミの故郷であるココヤシ村にたどり着き、仲間たちと合流。しかし、先に村で起こった彼女によるウソップ殺害の現場を目撃したジョニーの発言で、ナミを見限ろうとするゾロと女性を愛するサンジとで早速対立。以降(ウソップが生かされていたことを知った後も)、現在まで続く犬猿の仲となる。
村の住民たちとのやりとりからナミの凄惨な過去を知った後は、彼女を縛り続ける海賊「アーロン一味」への怒りを滾らせ、ルフィ・ゾロ・ウソップとの4名で根城であるアーロンパークへ向かう。自身は幹部である魚人空手の使い手クロオビと対決し、水中戦では一方的に打ちのめされてしまうもなんとか這い上がって地上戦に持ち込み、クロオビが技を一切出せない速さの連撃で撃破した。また、足が突き刺さった岩石ごと体を海に沈められたルフィを助けるために海中に潜り、固定された足場を破壊してアーロンとの最終戦へと繋げた。
“偉大なる航路”に入る最後の支度のために上陸したローグタウンでは食糧の買い出しを行っていた。航路から流れてきたらしい大物「エレファントホンマグロ」を購入していた。アニメ版ではこの魚を手に入れるために料理大会に参加し、バラティエ時代に因縁のある(らしい)女性料理人のカルメンと対決している。
偶然合流したウソップに運ぶのを手伝わせていたが、広場にある「海賊王の処刑台」にてルフィがバギー&アルビダの海賊連合に捕まり殺されかけているところに出くわし、同じく合流したゾロと共にルフィを救おうとするも、落雷が処刑台に直撃するという奇跡的なハプニングで彼は生存。騒ぎを聞きつけた海軍大佐(当時)スモーカーの追跡も撒くことに成功し、5人全員が無事メリー号に帰還、そのまま船を出した。
船上でサンジは、いよいよ偉大なる航路に入るのを前に進水式を提案。仲間がそれぞれの夢を宣言しながら酒樽に足を載せ、最後は全員で樽を蹴破り決意を固めた。
アラバスタ編
双子岬でクジラのラブーンを取り巻く騒動で、一味はMr.9、ミス・ウェンズデーの二人を送る形でウイスキーピークに上陸。町民から熱烈な歓迎を受け、サンジも町中の美女を侍らせて上機嫌であったが、実はMr.9たち含む町民全員が秘密犯罪会社「バロックワークス(BW)」の殺し屋で、一味全員が寝静まったところを狙われるも、それに早期から勘付いていたゾロの活躍で難を逃れる。
ルフィ、ウソップ、そしてサンジは全く気付かず、途中で起きたルフィ以外の二名は戦いが終わるまで出番はなかった。
目覚めた後、BWに潜入していたミス・ウェンズデー改めネフェルタリ・ビビの内情を知り、一味は王女である彼女に協力するため、祖国であるアラバスタ王国へのログを辿った。
次に上陸したリトルガーデンでは、ゾロと狩り勝負をすることになりそのまま単独行動に。その間、他の面々は100年以上決闘を続ける巨人族のドリーとブロギーとの邂逅、BWから新たに差し向けられたMr.3らとの激闘を繰り広げていたが、その決着までサンジの出番はなかった。しかし、狩りを終えて船に誰もいないことから捜索に出ていたサンジは、偶然にもMr.3の作った拠点を発見。さらには丁度そこに電伝虫が鳴り、バラティエでの応対を懐かしんで通話に応えてしまう。その相手はBWの社長でアラバスタ乗っ取り計画の黒幕Mr.0であった。
直感的に大まかな状況を把握したサンジは、自身を部下と勘違いするMr.0に上手く話を合わせ、「命令通り麦わらの一味とビビ王女を抹殺した」と報告。そしてアラバスタへの「永久指針(エターナルポース)」を入手して仲間と合流。記録指針(ログポース)の記録(ログ)を貯めるのに「1年」はかかると言われている中、永久指針の入手は大きな功績となり、ビビからも熱い抱擁と共に感謝された。
しかし、出港から間もなくナミが原始の虫(ケスチア)による毒素で高熱を出して倒れ、このままでは命にも関わると判断した一味は急遽、医者を求めてドラム王国に立ち寄ることに。町民のドルトンから「現在、この島には医者と呼べる人物は一人しかおらず、その彼女も山頂にあるドラム城に住んでおり、滅多に麓に降りてこない」と説明され、ルフィはナミを背負ってドラム城を目指すことを決め、サンジはナミの護衛のためにルフィに同行する。道中、獰猛なウサギ「ラパーン」の大群が起こした雪崩に巻き込まれ、ルフィの身代わりになったことで背中を負傷するも、なんとか3人共にドラム城に到達し、Dr.くれはとその助手の“人間トナカイ”トニートニー・チョッパーの治療でナミの病気も完治した。
その後、城を取り戻すために現れたドラム王国の元・国王ワポルの一味と戦うが、背中の負傷を理由にくれはからドクターストップがかかり、出番はなかった。戦闘後、チョッパーが船医として一味に加入するが、サンジは彼を「非常食」と認識していた。
いよいよアラバスタへ向かう道中、一味は偶然にも敵幹部であるMr.2ボン・クレーと邂逅。互いに正体を知らぬまま意気投合し、彼が余興として「マネマネの実」を披露する上でルフィ、ゾロ、ナミ、ウソップ、チョッパーが顔のメモリーを記録される。後にMr.2も参加したBWの作戦会議で敵方に情報を与える結果となるが、唯一サンジは船内にいたためメモリーをとられることがなく、またこれまでも“13日の金曜日(アンラッキーズ)”に人相を抑えられることもなかったため唯一ノーマークの存在となり、後々これが一味を救う大きな要因となった。
遂にたどり着いたアラバスタでは、Mr.0の正体である王下七武海サー・クロコダイルの本拠地であるカジノ「レインディナーズ」を目指すが、巧妙な罠(?)にハマり、サンジとチョッパーを除く一味と、東の海から彼らを追ってきたスモーカーが捕らえられてしまう。
上述通りサンジは未だに敵の標的から外れていたために追跡を逃れており、同じく人型化や獣状態で認識されなかったチョッパーと協力し味方の救出作戦を決行。電伝虫を介してクロコダイルに通話し、「Mr.プリンス」と名乗って彼を挑発、カジノ外の警戒を強化させ、チョッパーを囮にクロコダイルを誘き出し、自らはカジノの一般客に扮してクロコダイルが出ていくのを見送った後、地下牢に閉じ込められていた仲間たちを発見。Mr.3(先の失敗の弁明のために訪れていた)をシメ上げて鍵を作らせ、水没する部屋から間一髪で脱出。ついでにまんまと騙されたクロコダイルを誂うメッセージ文を添えて退散した。
首都アルバーナではビビを城へ向かわせるために、仲間たちと攪乱作戦を決行。サンジはチョッパーと共にMr.4、ミス・メリークリスマスを誘き出したが、ビビが心配になりその場を離脱。途中、再会したウソップの発言で、変身能力者のMr.2がビビの元に向かったことを知り警戒。一方、ウソップに扮したMr.2を前に、ビビは仲間と考えた「約束の印」ですぐに偽物と見破り逃走するも、すぐに追いつかれてしまっていた。捕まる間一髪のところでサンジが蹴りと共に両者に割って入り、彼女に代わってMr.2と対決した。
当初はマネマネの実を駆使した珍妙な能力とオカマ拳法なる独自の体術にペースを乱され、さらにはナミの姿を利用され一切の攻撃を出せない窮地に陥るも、彼が得意の体術を繰り出す瞬間は元の顔に戻っていることに気付き、徐々に反撃の隙きを見出していく。Mr.2も、変身による翻弄が無効とみてからは本格的に体術メインの戦法に切り替え、互いに技の応酬で激しくぶつかり合い、最後はほぼ同時に渾身の飛び蹴りを交差させ、僅差でサンジの「仔牛肉ショット」が勝り白星をあげた。戦後、相手であるMr.2の健闘を称え握手を交わし、そのままトドメの一撃を喰らわせてから都市の内部へと歩を進めた。
その後、クロコダイルとルフィが最後の戦いを繰り広げる中、合流した仲間たちと共にクロコダイルが仕掛けた都を吹き飛ばす規模の爆弾を捜索。その在り処が時計塔にあると知り、発見した出入り口から塔の中腹まで昇っていた。さらにその上層にはゾロも昇っており、駆けつけた仲間と連携して、ビビを塔の最上階へと投げ上げた(時限式だった爆弾は結局、忠臣ペルの決死の措置で害を逃れることになる)。
戦後はルフィが復活するまでの間をアラバスタ城で過ごし、復活後に開かれた会食(という名の宴会)では、アラバスタ料理に関心を寄せて調理法を尋ねていた。
その後、Mr.2からの密告により、アラバスタ王国の海域が海軍本部から派遣された部隊に包囲されている報せを受け、一味は出港を決定。未だ祖国に残るか一味についていくかで揺れるビビと海岸で落ち合う約束を交わし、メリー号に帰還。Mr.2たちと協力して国を出る手順を整えた。
途中、本部大佐(当時)“黒檻のヒナ”率いる艦隊に包囲され、その中にはかつてバラティエに客として訪れていた元・大尉のフルボディの姿もあったが、サンジはすっかり忘れていた。また、ルフィたちがダチ(ビビ)との約束のために海軍に足止めされる訳にはいかないという内情を知ったMr.2が、自身の部下たちと協力して一味を逃がす囮役となり、一味は戦火に消えゆく彼らの姿を見送ることになる。当初から親交を深めていたルフィ、ウソップ、チョッパーらは勿論だったが、サンジまでがMr.2の侠気に涙し、4人で大声量で感謝の言葉を贈っていた。
空島編
王国に残ることを決めたビビとの涙の別れの後、一味はアラバスタを出航するが、クロコダイル撃破後にメリー号に密航していたミス・オールサンデーことニコ・ロビンが王国の海域を脱したタイミングで姿を現す。ルフィに対して「自身を死なせなかった責任」を負わせるという名目で一味加入を要求され、ルフィは二つ返事で承諾。先の国取り騒動の主犯格であるロビンの加入に他の船員たちが猛反対する中、唯一サンジは美女である彼女の加入決定に大喜びし、取調べ中もノリノリでお茶を準備していた。最後まで反対姿勢をとっていたウソップとゾロも、最早ツッコミを入れることを諦めた様子で「アイツ(サンジ)の意見は最初からナシの方向で」と意見を重ねていた。
その後一味は、突然空から落下してきた巨大な廃船と、記録指針が空を指して動かない状態をみて、伝説ともおとぎ話ともされる“空島”の存在を認識し、そこへ向かう方法を創作することに。海上で出会った猿山連合、ジャヤ島モックタウンでのベラミー一味との諍いを経て、絵本「うそつきノーランド」の子孫だというモンブラン・クリケットと出会う。彼の家に置かれた絵本が発見された際、サンジは自身の生まれが実は北の海であることを明かしている。
突き上げる海流(ノックアップ・ストリーム)に乗ってたどり着いた空島「スカイピア」では見たことのない空島の食材に探究心を募らせるも、突如不法入国者扱いになってしまい、神の島「アッパーヤード」で神官の試練を受けることになる。
ルフィ、ウソップと共に「玉の試練」エリアに突入し、四神官の一人サトリと交戦。動きの先読みができる「心綱(マントラ)」に苦戦し、体に「衝撃(インパクト)」を喰らって大ダメージを負うも、ルフィがサトリを抑えたことで攻撃を当てられるようになり、「粗砕」の一撃でサトリを撃破した。
その後一味はこの空島に「黄金郷」があると知り、翌日にはサバイバルを開始。サンジはナミ、ウソップと共に船で合流地点を目指していたが、神エネルが突然現れてゴロゴロの実の能力によって意識不明の重体になってしまう。だがサバイバル終盤で目覚め、エネルに連れられたナミを救出すべく重体だったウソップを叩き起こして同行させ、空を飛ぶ方舟マクシムの電気回路を破壊したうえでナミを救出。再びエネルの一撃を喰らって気絶しまうも、時間を稼ぐことに成功した。
ロングリングロングランド編
フォクシー海賊団とのデービーバックファイトでは2回戦のグロッキーリングにゾロと出場。普段から仲の悪いゾロとは足並みがまったく揃わずに敗北寸前まで追い込まれるも、途中から抜群の連携を見せて戦況をひっくり返し、勝利を収めた。
デービーバックファイト終了後に遭遇した海軍本部の大将青キジと戦闘になった際は青キジのアイスサーベルを蹴り飛ばすも、足を凍らされてしまい、撤退を余儀なくされた。その後チョッパーの尽力で足は回復した。
ウォーターセブン編
一人で島を探索していたが、途中でウソップがフランキー一家にメリー号の修理費の半分以上を奪われる事件が発生。サンジはルフィたちとフランキー一家に落とし前をつけるべく、一家の本拠地を襲撃して壊滅させた。その後ルフィがメリー号を手放す決断を下したことに対してウソップが反発し、決闘が勃発。敗北したウソップを助けようとするチョッパーに対してウソップの気持ちを汲むよう説得した。
翌日、船に戻ってこなかったロビンをチョッパーと共に捜索し、発見するも突然別れを告げられてしまう。裏に巨大な組織が関わっていると察したサンジはチョッパーにルフィたちと合流して成り行きを話すよう託し、自身は単独行動に出る。そして海列車で海軍及びCP9に連行されているロビンを発見し、仲間が誰も間に合いそうにないことを察すると一人で海列車に乗り込む。
海列車でさらっとCP6のジェリーを倒したあとは、一味から脱退したウソップと脱退の原因のひとつを作ったフランキーと遭遇。フランキーに蹴りを数発見舞った後に二人を救助し、車両の上でルフィと電伝虫で会話して海列車で暴れる許可を得た。海列車の後方2両を切り離した後に、第4車両でCP7のワンゼと戦闘になる。食材を武器にするワンゼに対して、「敵が食材」、「厨房が戦場」という条件が満たされたことでサンジはその場にあった庖丁で対抗。麺の鎧を捌いて剥がした後、「整形ショット」でワンゼを文字通り整形したあと、「三点切分」で撃破した。しかしその後のCP9との戦いでは六式を使う彼らに有効打を与えられず、更に救出対象のロビンが反抗したことで奪還は失敗してしまった。
エニエス・ロビー編
一味全員で世界政府に宣戦布告を行った後、司法の塔でCP9のカリファとお茶会形式で対峙。二人で紅茶を飲む中でなんとか正気を保つも、カリファのセクシーすぎる色仕掛けに翻弄されてしまう。その後はロビンの危機的状況を思い出して戦闘を開始し、身体能力では圧倒的に上回っていたサンジだったが、カリファが「女」であることが原因で一切手出しができず、アワアワの実の能力で戦闘不能の状態にされてしまう。
カリファの相手を駆けつけたナミが引き受けてからはしばらく出番がなかったが、上階からバスタブと湯が降ってきたことで復活。ジャブラによって絶体絶命の状況に陥っていたそげキング(ウソップ)の元へ駆けつけ、そのままジャブラと交戦。「鉄塊拳法」を扱うジャブラに有効打が与えられずにいたが、ジャブラのロビンを侮辱する発言を聞いたことで怒りがヒートアップし、悪魔風脚を発動。ジャブラの鉄塊を一発で破り、「画竜点睛ショット」で撃破した。その後そげキングの狙撃によってロビンは解放され、エニエス・ロビー脱出のために正義の門へ向かう。海底通路に流れ込んできた海水によって一時は絶体絶命の状況になるも、一味に同行していたココロがジュゴン…ではなく人魚だったことで事なきを得た。
ルフィがロブ・ルッチを撃破した後は駆けつけていたメリー号によって窮地を逃れ、脱出を開始。事前に正義の門を操作しておいたことで、海軍の艦隊の足並みを乱すことに成功。海流に乗った船は海軍の追跡から逃れ、一味はロビンと共にエニエス・ロビーを脱出した。
ウォーターセブンへの帰還中にメリー号は大破してしまい、一味は海上でメリー号に別れることになる。小型のボートに移り、メリー号の最期の勇姿を見届け、最期の声を聞いた。
ウォーターセブン帰還後は新しい船ができるまでの休息が与えられ、ルフィの血筋に驚愕したり共に戦ったメンバーと宴をするなどして過ごす。また、この期間にウソップが一味に復帰しようとしていることを知るが、ゾロの「謝罪というケジメをつけないならウソップは島に置いていく」という姿勢に賛同し、ウソップには接触しなかった。この時は普段は意見が合わないゾロとも珍しく意見が一致し、ゾロに反発していたナミにでさえ、「今回ばかりはゾロが正しい」と主張する程だった。
船が完成して島を出発することになるが、その直前に自身に7700万ベリーの懸賞金がついたことを知る。しかし何故か手配書が変な似顔絵で作られていたため、落ち込むことになった。船に到着後は念願の「鍵付き巨大冷蔵庫」に歓喜の声を発した。そしてフランキーが船大工として仲間に加わり、ウソップもケジメをつけて復帰したことで一味は誰一人欠けることなくウォーターセブンを出航した。
スリラーバーク編
魔の三角地帯(フロリアントライアングル)で出会ったブルックを追うルフィに付き添ってスリラーバークに上陸した際にルフィ、ゾロと共に攫われてしまい、影を奪われてしまう。更にナミがアブサロムの結婚相手として捕まってしまったと知るや否、某有名戦闘民族のごとき怒りを大爆発させ、影とナミの奪還のために動き出す。
サンジはナミを捕らえた張本人のアブサロムと対峙。スケスケの実の能力で透明になれるアブサロムに苦戦…すると思いきや、長年透明人間になることを夢に見て何度もシミュレーションしてきたサンジにとってその能力はまったく通用せず、終始圧倒して撃破した。
しかし、その後ルフィの影が入った特別(スペシャル)ゾンビ「オーズ」が出現。途中からは王下七武海のゲッコー・モリアもオーズに加勢したことで一味は劣勢に立たされる。サンジは悪魔風脚を発動することで良い立ち回りを見せるも、オーズによって一時的にダウン。ルフィが合流した後はチョッパーと共にオーズの背骨を垂直に伸ばす役割を担った。
モリアもルフィが撃破したことで影を無事に奪還し、消滅の危機を回避したが突如もう一人の王下七武海バーソロミュー・くまが急襲。全滅の危機に遭い、サンジは自分の命一つでなんとかこの場を収めようとするも、ゾロによって気絶させられてしまう。目を覚ました後、大量の血を流したまま立っていたゾロを発見し、一部始終を見ていた者たちからゾロに何があったかを知った。
その後、ピアノを弾くブルックに対して約束相手のラブーンが今も待ち続けていることを伝え、ブルックは一味に音楽家として加入した。
ようこそ!!「カマバッカ王国」へ!!!
シャボンディ諸島での世界貴族「天竜人」との一連の騒動により、麦わらの一味は海軍大将“黄猿”率いる精鋭部隊の前に絶体絶命の危機に陥るが、突如現れた“王下七武海”バーソロミュー・くまの手引きにより、彼の能力で一味の面々が散り散りに各所へ飛ばされるという形で海軍の脅威から脱することに成功する…が、サンジはこれを機に人生三度目の地獄を経験することになる。
サンジが飛ばされたモモイロ島「カマバッカ王国」は、その名の通り草木や空が鮮やかなピンク色に染まった美しい島で、その島に住まう住民(人間および動物)たちは皆、妙に濃ゆい見た目のオカマばかりという異色の地であった。当然ながら女性は一人としておらず、サンジはここで無数のオカマたちからの執拗な追走を受ける羽目になる。
一時は彼らに懐柔されて自らもオカマになってしまうが(TVアニメ版ではそこに至るまでの経緯が生々しく映像化されている)、ニュースクーの新聞にてマリンフォード頂上戦争の一部始終を知って正気を取り戻し、即座にルフィの下に戻ろうと模索する。戦争後にカマバッカに帰還した国王エンポリオ・イワンコフと邂逅し、彼からルフィのその後の消息や島からの脱出手段を求めるも、“黒足のサンジ”の手配書(の似顔絵)とあまりに似ていないことからルフィの仲間であることを信用してもらえず、結局、島を出る助けを受けることは出来なかった。
その後日の新聞で、ルフィの起こした16点鐘事件での「3D2Y」のメッセージを受け、自身も2年の間、己の成長のための修行期間に充てがう決心を固めた。
その日、イワンコフから食事に招かれるが、出された料理の味の良さや食後のバイタリティの向上効果に興味を持ち、彼らの用いる独自の調理法を是非教わりたいと申し出る。しかし、前述通りどこぞの馬の骨とも知れぬサンジに王国に伝わる奥義である調理法は教えられないと拒絶される。どうしても知りたければニューカマー(オカマ)になるよう迫られるが、サンジのほうも「おれはレディとお友達になるために生まれたんじゃない、レディを愛するために生まれてきたんだ!」と啖呵を切って拒否する。その意気込みだけは買ったイワンコフの提案で、島中にいるニューカマー拳法の使い手たち99人にそれぞれレシピを一つずつ託し、サンジが彼女らに勝ったらそれを伝授するという盟約を掲げ、サンジもこれに同意する。かくしてサンジは、カマバッカ王国の全オカマを相手に追いつ追われつの激闘の日々を送ることになる。
また、このおぞましい生活の中でサンジは、ニューカマーたちの包囲網から脱する術の一つとして、かつてCP9との戦いで使用された「六式」の“月歩(空中歩行)”を見よう見まねで修得、さらには自身の境遇への怒りから肉体発火するという術まで開眼し、料理人・戦士として大きな成長を遂げるに至った。
第2部「新世界編」
2年後のシャボンディ諸島には、ニューカマーたちに送迎されて7番目に到着。
カマバッカでの2年間がたたり、女性に対する免疫がほぼゼロに。美女を見るだけで大興奮し、ひどいときには多量の鼻血を出す醜態をみせるようにまでなっていた。
食料の買い出しに出かけている途中でゾロと再会し、奇跡的に1番で到着した彼からなにかと到着順で鼻にかけられる羽目になる。さらにはルフィとも再会するが、彼を追ってくる海軍を振り払いながらサニー号に帰還。そのまま出港した。
また出港するまでの間、カマバッカで交流したニューカマー拳法の達人たちが、海軍の足止め役を担ってくれていた。(ハンコックと同じ構図で)サンジにウインクを送っていたが、当人はそのおぞましい気配に心臓を握り潰された様な身震いを起こしていた。
魚人島編
人魚の美女たちと触れ合った結果、輸血が必要なまでに鼻血を出血。このことによって、チョッパー達は魚人島で差別の歴史ゆえに人間に対する魚人・人魚の輸血が忌避されている事実を知るのだった。…ちなみにサンジの輸血は、偶然居合わせた人間のオカマ海賊二人組によってなんとかなったのであった(アニメ版ではその後もナース姿で看病役を買って出てくれていた模様…もう許してやれよ)。
絶世の美女だという人魚姫しらほしが自分の近くにいると知った際には(鼻血による出血多量死を覚悟で)彼女を見、鼻血を通り越して石化するなど病状は酷かったが、チョッパーによるリハビリのおかげで魚人島出航の頃にはほぼ問題なくなった。
新魚人海賊団との戦闘では、先の修行生活で培った“空中歩行”を披露し、ジンベエと共にワダツミを撃破する活躍を見せた。
パンクハザード編
トラファルガー・ローによって体をバラバラにされた錦えもんがワノ国の侍だといち早く気づき、自身もローによってナミと体を入れ替えられながら錦えもんの胴体を元に戻すのに尽力。あわやスマイリーの毒ガスに飲み込まれるところで成功し、海賊嫌いの錦えもんから信頼を得た。
毒ガスが乱入してくるパンクハザードの基地にて、海軍本部中将だが実はドンキホーテ・ドフラミンゴの右腕であるヴェルゴにたしぎが殺されかけた際には見聞色の覇気で危機を感知し駆け付けてこれを阻止。ヴェルゴと交戦し、六式と武装色の覇気の達人であるヴェルゴの蹴りで足の骨にヒビが入れられるなど苦戦し、毒ガスの充満で勝負は水入りとなったが、そのまま戦っていればヤバかったと予測していた。
たしぎを助けたことでG-5支部のゴロツキ海兵達に兄貴分として慕われ、パンクハザードの事態終息後は、サンジの料理が大好評となった。
ドレスローザ編
ドンキホーテ海賊団幹部ヴァイオレットのハニートラップに引っかかり、捕えられて痛めつけられてしまう。しかし、サンジの純真さを目の当たりにしたヴィオラはドンキホーテ海賊団を裏切り、サンジ達麦わらの一味海賊同盟に協力することを選んだ。
ドフラミンゴがナミやシーザー・クラウンのいるサウザンドサニー号を襲いかけた際には、“空中歩行”で駆け付けドフラミンゴと交戦。ドフラミンゴにもその実力を評価されたが、“寄生糸”の拘束で動きを止められて攻撃されかけたところをトラファルガー・ローに助けられ、シーザーをドフラミンゴから引き離すべく一足先に“ぐるわらの一味”はゾウに出航することとなる。
出航の際、シーザー狙いと思しきビッグ・マム海賊団の一味が来襲。電伝虫でルフィに“四皇に喧嘩を売る”反撃の許可を取り、ビッグ・マム海賊団に反撃しながらドレスローザを後にした。
ルフィがドフラミンゴを撃破したことで一味全員の懸賞金が上昇。サンジは1億7700ベリーまで跳ね上がり、手配書も似顔絵から本人の写真に変わった。しかし、ルフィたちを船に乗せたバルトロメオはサンジの手配書の不審な点を指摘。というのもサンジはドレスローザでの戦いに殆ど関わらなかったにもかかわらず金額が1億も上昇し、しかも文字が「DEAD OR ALIVE」(生死問わず)から「ONLY ALIVE」(生け捕りのみ)に変わっており…。
ゾウ編
ぐるわらの一味全員で百獣海賊団が襲撃していたゾウに上陸し、真打ちの一人シープスヘッドを撃退。ゾウの住民であるミンク族を一味総出で救出した。
しかし後日ビッグ・マム海賊団のペコムズとカポネ・ベッジが来訪。ベッジからジェルマ66とビッグ・マム海賊団が同盟を結ぶためにシャーロット・プリンと結婚するようにと招待が来た上に、「断れば麦わらの一味はビッグ・マム海賊団の報復のもとに命はない」と脅される。仲間の命を守り且つ自分の過去とも清算をつけるべく、別件で捕まったシーザーと共に一足先にホールケーキアイランドに行くことに。
ホールケーキアイランド編
ホールケーキアイランドにて、ビッグ・マム海賊団との同盟を控える父ヴィンスモーク・ジャッジと幼少時以来となる再会。その劣悪な関係は現在でも引きずられており、お互いに「互いを親子とも思っていない」と冷淡な態度をとっており、ジャッジが同盟を結ぶため必要なビッグ・マムの血縁との結婚のために、サンジを選んだのも北の海の征服のためにはビッグ・マムの力が欲しいが、その条件は血縁を結ぶこと。しかし大切な家族を犠牲にしたくない。ならばかつていた出来損ないを『生贄』として差し出せばいいという身勝手かつ残忍なものであった。
料理人の命である両手首に(天竜人の奴隷に付けられた首輪と同様、ホールケーキアイランドから逃走しようとしたり、無理矢理外そうとした瞬間腕輪に仕組まれたセンサーが起動し爆発する)爆弾腕輪をはめられ、加えてサンジが逆らえば「赤い土の大陸(レッドライン)」をも超えるジェルマ66の機動力でいつでもゼフの命を奪いに行けると脅され完全に自由を奪われてしまう。
ジャッジとの模擬戦においても、レイドスーツをまとう彼と互角に戦うが、ジャッジの部下を盾にして攻撃を行うという非道極まりない戦い方を前にして、サンジは戦意を失う形で自ら負けている。
その後、ジャッジの盾にした部下達が、「普通の人間ではなく、血統因子の技術をもとに培養された忠実にして屈強なクローン」という事実を知った後には愕然としていた。
ホールケーキアイランドにて結婚の準備が着々と進む中、上記の爆弾腕輪や恩師のゼフが人質にされている(正確には居場所が知られており、サンジが逆らえばいつでも殺しにかかれる状態)こともあり悩む中、はるばる自らのもとに駆け付けたルフィらに対し、ルフィ達が自分を見捨てるように仕向けることで「ビッグ・マム海賊団にルフィ達が殺される展開」「自分が逃げ出すことでゼフが殺される展開」を避けようとルフィを蹴り飛ばし、今までの彼とは思えない冷淡な態度をとってルフィを追い払った。
しかし、当然ルフィはサンジの本意を見抜いており、ルフィが「サンジを待ち続ける、サンジが来るまでは何も食べない」と宣言した際には、その裏でサンジは涙を流した。
その後も、裏では一人でなんとかルフィ達が犠牲にならないようにしようとしており、自らビッグ・マムに交渉を持ちかけるなど画策、結婚相手のシャーロット・プリンの励ましもあって少しだけ元気を取り戻していた。
だが、偶然にもプリンの本性、そしてビッグ・マム海賊団の本当の計画が、自分も含むヴィンスモーク家の皆殺しであると知り、深い絶望を味わう。
その事実を姉のレイジュに伝えるも、彼女は「ジェルマ66は滅びるべき存在」と逃亡を拒否。
そして、レイジュにサンジに対しサンジが強化人間でない理由、母ソラの命をかけた抵抗の事実、「自分は失敗作ではなく母が命をかけて守ったもの」だと告げられる。
両手の腕輪はレイジュのすり替えにより爆弾の機能はないただの腕輪であることを知らされ、レイジュからゼフのことは逃げてから考えればよい、ルフィ達のもとに行くべきだと言われる。
「たとえクズだろうと家族は見捨てられない」「ゼフを守るべくビッグ・マム海賊団の恨みを買わないためには自分を含めて死ぬことが一番」と、未だに思い悩むサンジだったが、ボビンが弁当に触れようとしたことで衝動的に彼に攻撃。衝動的にルフィのもとへ弁当を持っていくことを選び、ルフィもまた決別した場所で干からびかけながらも待っていた。
かつて初めて自分が作った弁当を食べた母親と同じように、持ってくる途中でグチャグチャになった弁当を、全て平らげて美味いと笑顔で言ってのけるルフィ。サンジは、復活したルフィに帰れない理由を全て話し、なおも突き放すが、それに怒ったルフィに殴り飛ばされ、本心を問われる。これまで仲間と過ごしてきた日々のことが次々に思い出されるとともに、今まで蓋をしていた「サニー号に帰りたい!」と言う思いが溢れてきたサンジは号泣しながらようやくルフィに本心を打ち明ける。
「だが、どうしても逃げ出す勇気が無ェ…! 式が始まったら、もうおれ1人じゃ何も止められねェのに…」
「家族だとも思わねェあのクズ共を…おれァ助けたいと考えている!!」
サンジの本心を聞いたルフィは、「サンジとその家族を助けるべく、結婚式をブッ壊す」ことを宣言。
そして他の仲間たちにもルフィが伝えたところ、同じように喜び作戦に協力。
心配してくれていた仲間の反応に驚きつつもナミの「必ず帰ってきてもらう」という言葉をプロポーズに置き換えるなど、少しずついつもの調子を取り戻していった。
ルフィ達と合流後、麦わらの一味に加わったジンベエからの持ちかけにより、ヴィンスモーク家の暗殺が決行できた直後にシャーロット・リンリンを暗殺する計画を立てていた結婚式警備担当カポネ・ベッジ達と連合を組んで、ビッグ・マム暗殺によりお茶会と結婚式を潰して、ヴィンスモーク家の人間達を救出する計画に。
計画の実行のために、プリンの本性と暗殺計画の事を知りながらも敢えて嘘の結婚式に新郎として出席したサンジだったが、ウェディングドレス姿のプリンに鼻血を出しながら見惚れるいつものメロリンぶりを見せつけ、その余りのだらしない姿にベッジからは「ヤロウ なんて演技力だ」と逆に驚かれてしまう。
結婚式のビッグ・マム海賊団側の当初の予定では、「プリンとの誓いのキスの際に、プリンはベールの下に隠していた三つ目を晒す」→「サンジが三つ目に恐れおののいた所を、隠し持っていた銃でサンジを撃つ」→「サンジが打たれたことを合図にビッグ・マム海賊団はヴィンスモーク家を皆殺しにする」はずであり、ルフィ達は「サンジが銃弾をよけた際の銃声を合図に突入して会場を大混乱させてヴィンスモーク家を救助する」はずだった。
しかし、プリンの三つ目を見た当のサンジは、プリンのその姿に思わず見惚れ、「なんて美しい瞳だ」と、その姿に魅入ってしまう。
そんなサンジの言葉に、今まで三つ目の姿を醜いと罵られて来たプリンは、感極まったあまりに思わずその場で泣き崩れてしまい、サンジを撃つことができなくなってしまう。
そうこうしているうちに、銃声を聞きつけたルフィがウェディングケーキの中から出現したことで、お茶会は混乱。その混乱の中で、暗殺寸前のヴィンスモーク家の一族を救出することに成功。
しかし、ベッジのビッグ・マム暗殺の方は、ビッグ・マムのあまりに規格外すぎる怪物ぶりの為に失敗してしまい、脱出も失敗し一時的に全員がベッジの城の中に避難。
ビッグ・マム海賊団に囲まれ絶体絶命の束の間の時間の中で、「憎いはずの自分を何故サンジは救ったのか」とジャッジは質問する。
仲間も大きく巻き込んでしまった自分の過去と本当のけじめをつけるため、サンジは
「父親が悲しむ」
「ガキの頃の過ぎ去った恨みに固執して…血を分けた実の家族の死を嘲笑う程度の小せェ男になったのかと…呆れられる あの人に顔向けできねェ様な生き方は…おれはしねェ!!」
「13年前ジェルマから逃げ出したヴィンスモーク・サンジは海で一度死んだんだ! お前もそれを望んでた」
「だから認めろ!お前はおれの父親じゃねェっ!!ヴィンスモーク・ジャッジ!!二度とおれ達の前に現れるな!!」
と、自分にも言い聞かせるように訣別及び絶縁宣言をした。
サンジの意思を、ジャッジはどこか苦しそうな表情を見せながら静かに聞き終えると、東の海にもサンジの周囲にももう二度と近づかないことを約束。
ジャッジは自分の傲慢・慢心が招いた事態・ルフィ達に助けられたことへのけじめをつけるため、ベッジ達を逃がすための囮になることを伝えて、ビッグ・マム海賊団との対決に臨む。
しかし、サンジもルフィも、囮になろうとするレイジュらが見捨てられず結局加勢。ビッグ・マム海賊団の精鋭たちから逃れることもできず、処刑寸前となるが、偶然にもホールケーキ城の倒壊により逃げ延びることに成功した。
しかし、ルフィたちの乱入、ベッジの反逆、自らが主催者でありメンツにも関わる娘の結婚式茶会、子供のころからの宝物であったマザー・カルメルの写真、居城たるホールケーキ城、そしてなにより楽しみにしていたウェディングケーキに至るまですべてをメチャクチャにされたビッグ・マムは怒りとショックと空腹から、ビッグ・マム海賊団の誰にも実力で止めることができない「食いわずらい」を引き起こし、半狂乱で(子供たちや部下まで巻き込みつつ)麦わらの一味を追い始め、ビッグ・マム海賊団もそれに従って一家の長兄ペロスペローらを筆頭にファミリー総出の大追撃網を展開。
このままでは逃げ切るのは非常に困難と判断した一味は、サンジらを心配して追ってきたプリンや、ベッジの妻でプリンと仲のいい姉のシフォンと合流。サンジは最大危険要素のひとつであるマムの食いわずらいを止めるため、シフォン、プリンとともに、式に出されたウェディングケーキの再制作にかかるため、サニー号へ逃げ込むルフィたちと別れ、プリンがチョコレート大臣を務めるカカオ島に向かう。
結婚式が行われていた本島から離れていたため情報が遅れており、結婚式茶会崩壊とベッジらの反逆の件がまだ知られていない事を幸いに、島に到着したプリンは「式中のアクシデントでケーキがダメになり、ママの癇癪を止めるために新郎や姉さんと共同でケーキを作り直す」と部下たちに告げ、反逆者でもあるシフォン、サンジを伴いなんなく厨房入りに成功。他のスタッフを能力による記憶操作も含めて厨房から締め出し、サンジ(ケーキ全体の総合的調理・盛り付けおよび工程管理を担当)・プリン(ケーキをデコレートするチョコクリーム作りを担当)・シフォン(ケーキの主体となるスポンジケーキ焼き上げを担当)で協力し、サニー号にマムが追いつき破壊し尽くす前に、という時間との戦いの中、特製ケーキの制作に力を注いでいく。
なおこのとき、プリンは自分で言い出した事ながらサンジとの「初めての夫婦の共同作業」というシチュエーションに一人テンションを密かに爆上げしつつも、それを素直に認められない故にサンジにも(傍から見ればツンデレそのものの)「ママを止めるために仕方なくお前とケーキ作ってるんだからな(意訳)」と悪態をつき、「結婚式はお芝居」と式前に手酷く騙され突きつけられていたこともあって、実はプリンが本当に自分への恋愛感情を抱き始めたとは思いもしないサンジにはその言葉を素直に受け止められてしまい、サンジのその反応を見てショックを受けて泣いてはシフォンに説教されながら慰められるという悲しいラブコメ小劇場が展開されたりもしていた。
三人の尽力によりウェディングケーキは会心の出来で完成にこぎつけるも、ビッグマムの暴走鎮静化要員としてカカオ島にシャーロット家四男・オーブンが到着。プリンとシフォンはオーブンにケーキを渡すも、一家の大幹部でもあり、結婚式に出席して反乱騒ぎの経緯も知っているオーブンはベッジの妻であるシフォンを許さず拘束し、ケーキ搬送の片手間でベッジを粛清するための餌として利用しようとする。
サンジも大っぴらには動けず救出の機をうかがって身を潜めていたが、愛妻を人質にとられたことで覚悟を決めたベッジらファイアタンク海賊団の大立ち回りやシフォンの父・パウンドの乱入もあり、どうにかサンジ達はベッジの船にケーキとともに搭乗し、オーブンの追撃を振り切り難を逃れた。
その後、ビッグマムにケーキを食わせおびき寄せるために別の島へ向かうファイアタンク海賊団と別れ、ルフィとの合流を目指すサンジだったが、ルフィは鏡世界でのカタクリとの激闘もあって、その出口になりうる万国中の鏡という鏡の前で厳戒態勢が敷かれており、うまくいかず苦慮。その最中でペコムズの反逆行為に包囲網が揺れ事態が変転していく中、サンジは動く機を悟り、プリンに別れを告げる。
「たとえウソの結婚式、偽りの婚約者関係だったとしても、一緒に過ごせて楽しかった」と微笑むサンジに、感極まったプリンは、サンジの顔に己の顔を近く寄せ―――。
そしてサンジは一切の憂いを振り切り、騒乱の中大地を、空を駆け、鏡の世界から脱出したルフィとの合流をついに果たす。しかし手練れ揃いのビッグ・マム海賊団の本拠の真っ只中であり、サニー号との合流を果たそうにも疲労困憊、満身創痍の二人では対応が追いつかなくなり、追い詰められた矢先―――その窮地を救ったのは、レイジュ、イチジ、ニジ、ヨンジ……先刻絶縁宣言をしたばかりのヴィンスモーク家の姉兄弟たちだった。騙し討ちで潰されかけた事もあり、父ジャッジもジェルマ66の本拠地まで出撃させ、本腰を入れてビッグ・マムと事を構えると決断したゆえの助け舟であった。
ニジから別れ間際にある贈り物を受け取ると、ようやくサンジはルフィとともに、切望したサニー号への帰還を果たす。
ビッグ・マムがサンジ達の作ったケーキに舌鼓を打ち、精力・正気・機嫌を回復していよいよ追撃に容赦のなくなるビッグ・マム海賊団の猛攻にさらされるも、ジンベエ、タイヨウの海賊団、ジェルマ66の身命を賭しての足止めにより、麦わらの一味は万国からの脱出に成功するのだった。
脱出後、先のニジからの贈り物を発見し、自分への当てつけかと思い捨てようともしたが、変身ヒーローに憧れるルフィとチョッパーの懇願もあり、とりあえずは預かっておくことで落ち着いた。
ワノ国編
第一幕
ルフィたちと共にワノ国に到着できたことを安心したのも束の間、サニー号が大渦に飲まれる事態に陥る。サンジはルフィの指示に従い、ナミ、チョッパー、ブルック、キャロットを担いで空中歩行で脱出、一足先に島に上陸。その後、おでん城跡地にて先にワノ国に上陸していた錦えもんやトラファルガー・ロー、周囲の助けでなんとかワノ国に潜入したルフィたちと再会した。
錦えもんたちから自身らがタイムスリップしてきたことなどを素性を明かされると共に、来たる決戦の日までの武器や船の準備作戦を伝えられたルフィたち合流組は、それまでは領民に扮して活動することになる。
第二幕
サンジは、以前モモの助に勝手に命名されたあだ名「サン五郎」として名乗り、ワノ国を支配する将軍黒炭オロチやその最大の協力者たるカイドウらの目を忍ぶ仮の姿として「サン五郎の十八番(おはこ)そば」なるソバ屋台を開店。
味は無論のこと、サンジの性格もあってか特に街の女性たちに大好評の行列店となった。ウソ八、おロビ、フラの介たちともこのとき再会し、3人は久々に食べる彼の料理に舌鼓を打ちつつ、現状報告を行った(なお「十八」の内訳はサン=三、五郎=五、二八そば=十を足した18と「十八番」は大得意の人気出し物=おはこ、という意味合いにもかかっていると思われる)。
しかしナワバリで勝手な商売をしているとして、都の極道組織「狂死郎一家」のスケさん、カクさん、クニさんというチンピラに因縁を付けられ、客の少女おトコの椀を反したことに激昂したサンジは、潜伏作戦など忘れて3人をコテンパンに叩きのめして追い払った。助けたおトコに再び蕎麦を与え、それを嬉しそうに食べる姿に安堵すると共に、彼女が遊郭で禿として働いていることや、今日は花魁(国一番のアイドル)小紫の花魁道中があると伝えられ、美人に目がないサンジや他の仲間達は、ひと目見ようと彼女の後についていった。
夕刻、サンジが起こした騒動が百獣海賊団の耳にも入り、“飛び六胞”ページワンとX・ドレークが報復のために都に現れる。ページワンは「蕎麦屋のサン五郎」をあぶり出そうと、都中にある蕎麦屋を片っ端から壊して周り、住人たちもたまらずサン五郎の居場所を探し回るようになる。サンジもローからの言伝でそのことを知り、無関係な人々に危害を加えるページワンの行為に怒り彼の元へ駆け出した。
しかしながら、潜伏作戦において敵方の幹部に自身の正体が知られることは避ける必要があったこととすぐさま倒して敵の戦力を減らすことを考えたサンジはレイドスーツを着用。これまで培った身体能力に加え、ジェルマの科学力による「空中飛行」「瞬間移動」「透過能力」などの新たな能力の追加で戦術が一層強化され、ページワンを圧倒。
…一方で、北の海出身者のローからは、その姿が新聞掲載漫画『空の戦士ソラ』に登場する悪役“ステルスブラック”そのものであることを指摘される。ジェルマを嫌うサンジはその名前で呼ばれることを好とせず、ページワンから何者かと問われた際、即興で考えた“おそばマスク”という名前を名乗った(このネーミングセンスには闘いを見守っていたウソップ、フランキーから大顰蹙を買ったが)。
ページワンをねじ伏せた後は、仲間たちと共にその場から撤退。翌日にはこの一連の騒動により「サン五郎」として指名手配されてしまい、しばらくは顔が割れている錦えもんたち同様に潜伏して活動することに。
奇しくもジェルマの科学で念願だった「透過能力」を手にしたサンジは頭の中は「覗き」のことでいっぱいとなり、作戦会議もそこそこに、ナミやロビン、しのぶが出かけた都の湯屋に潜入。偶然にも同じタイミングで、“真打ち”バジル・ホーキンスとドレークが軍勢を率いて湯屋を包囲し、足に逆さ三日月の入れ墨を入れた者たちや顔を知っているナミを“反逆者”として連行しようとする。このとき、ナミが取り乱したことで起こしたとあるハプニングにより絶頂に達したサンジは大量の鼻血を噴出しながら透過を解除してしまい、真打ち二人に発見されてしまうが、彼らの攻撃をなんとかいなしながら、仲間の3人を救出して隠れ家へと戻った。
…因みに敵である二人もローと同じく漫画のファンであり、戦闘中は原作通りのステルスブラックの姿と能力の数々に興奮(逆に悪役のくせに女性を守る姿にはダメ出し)し、本来の目的を忘れたように執拗にサンジを狙っていた。
隠れ家に戻ってからは、覗きのことでナミたちにしっかりお灸を据えられて過去最高に顔面が腫れ上がりつつ、錦えもんたちに敵方に光月家の協力者の情報がバレていることを報告した。
事態を重く見た一行は対策を講じていたが、あるとき、彼らの前に太鼓持ちのトの康が現れる。彼はまるで錦えもんたちの事情をすべて知っているかのような口ぶりで一方的に話し終えると風のように去っていった。翌日、そのトの康が盗みの罪で捕まり、長らく花の都を騒がせていた丑三つ小僧の正体として公開処刑されるという急報が入る。また、このときトの康の正体がかつての白舞大名霜月康イエであることも発覚する。なんとか処刑の場まで駆けつけたサンジたちだが、康イエはオロチ自らの手で敢え無く落命。しかし、直前に彼の演じた一芝居と、判じ絵に書き足された暗号によりオロチたちへの情報は改めて撹乱され、作戦を再開させるメドが立ち、ルフィの活躍で解放されたヒョウ五郎一家含む採掘場の囚人たちと協力し、討ち入り準備に取り掛かった。
第三幕
決戦当日、サンジ含む麦わらの一味は久々に一堂に会し、サウザンドサニー号に乗り込んでオロチ、カイドウ、そしてビッグ・マムの待つ鬼ヶ島に向けて出発。この時、和装からワインレッドカラーのスーツ姿へと変わっている。途中、錦えもんたち赤鞘の乗る小舟が百獣海賊団の軍艦3隻に包囲されている場に遭遇し交戦。一時は赤鞘以外の味方が全滅したかにおもわれたが、錦えもんの奇跡的な勘違いと、それをまんまと鵜呑みにした内通者カン十郎、そしてこの日このときまで正体を隠し通した傳ジローの加勢、さらには遅れながらもようやく麦わらの一味に合流したジンベエの登場と、当初の想定から更に自軍が強化されることになる。
攫われたモモの助を追い鬼ヶ島に上陸した一行は、正門・東門・西門へのルートに分けて城内へ侵入することになり、サンジは錦えもんに連れ添うが、途中「遊郭」を見つけると下心丸出しで侵入したものの誰もおらず心底残念そうに項垂れる。
赤鞘たちのカイドウ襲撃を機に、いよいよ光月家連合軍とカイドウ一派との全面戦争が勃発。
サンジは再びレイドスーツに変身し、ステージに捕まっていたモモの助としのぶを救出。その後、ルフィ、ジンベエと共に、カイドウと赤鞘たちが昇っていった屋上を目指し突き進むが、途中、女性の気配を感じたサンジは突然その場から離脱し、ブラックマリア率いる遊郭軍と対決。的確に男の部下だけを叩き伏せたものの、やはりその性分から女性で構成される遊女たちに手を出せず、クモクモの実の能力者であるブラックマリアの作り出した蜘蛛の糸で捕縛されてしまう。解放される条件はただ一つ。サンジがニコ・ロビンに助けを求めること。即ち、ブラックマリアはサンジを人質にとることで真の狙いであるロビンをおびき寄せようとしたのである。
ブラックマリアはサンジを拷問にかけ、彼がロビンに助けを求めるようにしむける。サンジは仲間のロビンを危険にさらすまいと、ひたすら苦痛に耐え続ける…かと思えば、大声量で「助けて!!!!!ロビンちゃーーーーん!!!!!」と、ロビンに助けを懇願。一見、拷問に耐えられずに仲間を売った情けない醜態にも思える(実際ブラックマリアたちからも驚かれ、嘲笑された)が、この行動をとった理由として、
①自身の「死んでも女は蹴らん」という気質と、自身の技では蜘蛛の糸の拘束を解けないという状況から、これ以上彼女らと戦うことは不可能と考えたため
②先日のジェルマの件で仲間を巻き込むまいと一人で全てを背負い込もうとしたことへの贖罪のため
③「ロビンがブラックマリアに負けるはずがない」と、ロビンを信頼しているため
④敢えてロビンに大声で助けを求めて、チョッパーやフランキー、ジンベエなど、島中にいる他の仲間に、敵の真の狙いと自身の危機を伝達するため
などが考えられる。
その後,ブラックマリアに自身を解放するよう求めるが、彼女はサンジを解放する気はさらさら無い。サンジを気に入り、飼うと言い出したのだ。ブラックマリアが「すべてのレディを愛したい」と反発したサンジを再び拷問しようとしたところで、ロビンとブルックが駆けつけ、サンジは無事救出される。選手交代を承諾し、ロビンはサンジの去り際に「頼ってくれて嬉しかった」と笑顔で応えてみせた。
その後、モモの助の元へ向かう道中で傷付いたゾロとローを回収してローの指示通りに応急処置を施し、チョッパーやミヤギたちの元に送り届ける。
その後、最高幹部“大看板”のクイーンと対峙する。異常なタフさを誇る動物系“古代種”ブラキオサウルスの能力者のため攻撃がまともに通らず、尚且「絡繰人間(サイボーグ)」を自負する彼の変幻自在の猛攻に翻弄される。また、実父であるジャッジのことを知るクイーンから不可解な言葉を次々に投げかけられ、心身ともにペースを崩されつつあった。一時は“大看板”のキングが参戦してきたことでライブフロアが制圧されかけるも、回復中のゾロとその治療を行なっていたチョッパーたちをマルコや侍たちと共に死守し、ゾロが復活してからはキングの相手をゾロに任せて自身は再びクイーンと一対一の戦闘に突入する。
クイーンとの戦闘が激化する中、サンジはゾロに先程レイドスーツを解除してから身体に“奇妙な違和感”を覚えていることを明かす。それは「調子が悪い」というものではなかったが、どうにも言い表しようのない感覚であったようで、ゾロにも上手く現状を伝えられず軽くあしらわれてしまった。
その後、クイーンの強力な攻撃をモロに食らったサンジは手足がバキバキに折り曲げられながらも、見た目に反し普通に動け、曲がった手足も少し叩いただけでほぼ元通りになってしまう。動揺する間もなく、今度は背後から大剣を振り下ろされるが、刃のほうが粉々に砕け散り、サンジは頬が少し変形する程度しかダメージを受けないなど、これまでにない異様な頑強さをみせる。戦いを見守っていた周囲も驚愕していたが、内心で最も動揺していたのはサンジ本人であった。
クイーンから、その様がかつてジャッジが言っていた強化外骨格と同じだと指摘されたサンジは、我が身に起こったこの異変が、まさに兄弟たちの体質と同じであることを理解する。それと同時に、自身も行く行くは彼らのように何も悲しむことの出来ない「氷の精神」まで発現してしまうのではないかという不安に苛まれ、こうなった経緯を振り返るために一時戦線から離脱し逃亡。
我武者羅に走り続けたサンジはいつの間にか左脳塔の遊郭まで辿り着いていたが、気が付くと(カイドウの手下ではない)花の都から連れて来られた芸者達から責め立てられていた。理由は避難していた一人の芸者をサンジが攻撃したとの事。無論サンジ自身は女性に手を挙げる事は一番あり得ないと否定しようとするが、考え込みながら走っていたとはいえ件の芸者が目の前で血を流しながら吹き飛び、自分を見て怯えた目をしていたことを思い返し、その現状からも反論できず言いごもってしまう。
遊郭を追い出され廊下に戻ると、待ち構えていたクイーンから戦闘再開を迫られる。
芸者に責められたことで、以前ニジがコゼットを問答無用で攻撃したことを思い起こしたサンジは、懸念が一層確信めいたものとなり 「敵が女なら手も足も出ない様な頼りない“生身の自分”」 と 「冷酷で無感情だがどんな強者でも倒し、命令されれば誰の首でも取って来る“科学の戦士”」 のどちらが海賊王の役に立てるかという究極の二択で揺れる事になる。またこのとき本人は気づかなかったが左目のぐる眉が兄弟と同じ向きになっていた。
苦悶の末、サンジはレイドスーツの変身カプセルを取り出すと「コレを着たせいでおれの身体に元々あった科学が目覚めたんだろう……!!それはもう仕方ねェ!!!!」と、自身の運命を受け入れつつも、同時にジェルマと完全に決別すること(+女湯を覗けなくなること)を決意し、変身カプセルを踏み潰して破壊。そして直様、同じく大看板キングと戦闘中のゾロに(サンジが予め帯の中に入れて置いた)電伝虫に通話を繋ぎ「これからおれ達は百獣海賊団に勝利する。だが決着の後、もしおれが正気じゃなかったら お前がおれを殺せ」と伝え、ゾロも一応の承諾をした上で「それまで死ぬな」と返答した。
通話を終えると改めてクイーンに向き直り、尚も「ジャッジのせがれ」と呼ぶ彼に対し、幼少期のジェルマへの怒りと憎悪を込めた事で更にパワーアップさせた「地獄の思い出」でクイーンを勢いよく蹴り飛ばし、反撃を開始する。
なお、クイーンがここまでサンジを標的にしていたのは、自身の発明がジェルマ(ジャッジ)に勝っているかを確かめようという目的があったようで、サンジが最早レイドスーツを着ることがなくなったことを確認すると、本来はステルスブラックを相手に披露するつもりだったジェルマ66の再現技を駆使した戦闘スタイルに移行。それでも、すでに腹をくくったサンジは冷静に対処して技を躱し、クイーンの左腕を破壊。次にクイーンはブラックの透過能力を再現して姿を消してみせるが、サンジも高速移動による消失で応戦。自身が不本意ながらも手に入れた能力を整理、分析して悪魔風脚を魔神風脚(イフリートジャンブ)に進化させる。
そしてクイーンも透過が使えることから、先刻の芸者の怪我の真相も解き明かす。
「お前だったんだろ!!!?クイーン!!!……人間のクズが!!!!!」
実は芸者を突き飛ばしたのはサンジではなく透過能力で彼を追っていたクイーンであり、再び廊下に現れた芸者を攻撃しようとしたクイーンに反撃の隙を与えない速さで連撃し、牛肉(ブフ)バーストで鬼ヶ島の外まで盛大に蹴り飛ばし撃破した。
その後、助けた芸者の無事を確認するも心身共に大きく消耗したためか糸が切れたようにその場に倒れ込んでしまった。また、変化していた眉毛は元に戻った。
終幕
全ての戦いが終わった後、仲間と共に宴を行いながら、ルフィ、ゾロ、ジンベエとともにアラマキとモモの助たちの交戦を見守り、そしてルフィの憧れの人物が放った覇王色の覇気を感じ取ってその凄さを実感していた。
ワノ国出航後、自身の懸賞金が10億3200万ベリーに増額したことを知る。と同時に何か事情でもあるのか、本人の写真から似顔絵に戻った(2年後仕様に描き直されている)。
ごく少数の海賊だけがたどり着く懸賞金の『10億超え』を果たしたが、ジンベエの加入とゾロの懸賞金増額によって自身が一味の中で4位の立ち位置に転落したことを知り落胆、2人に悪態をついていた(特にゾロに対して)。
エッグヘッド編
海上で遭遇したベガパンクの猫リリスの案内で政府の島エッグヘッドに到達。
研究所に入るとエジソンたちに差し向けられた新兵器セラフィムの「S-シャーク」と交戦。シャカに戦闘を中断させられると、彼から900年前に存在したと思われる高度な文明と、かつて世界政府を相手に戦ったオハラの意志を受け継いだ者たちの存在を知らされる。
ロブ・ルッチ率いるCP-0がエッグヘッドに上陸し、ルフィがギア5を発動させてルッチが交戦を始めると、研究所に現れたベガパンクの本体から太陽の神ニカの存在と、悪魔の実の正体(仮説)について聞くことになった。
CP-0が研究所前に到着すると、ナミの指示でサニー号を守るゾロたちに加勢するため外へ向かい、セラフィムの軍団に狙われたエジソンを間一髪で救った。
ベガパンクの本体が失踪した際にはジンベエとステューシーと共に研究所内を捜索していたが、騒動の黒幕の命令で動いたS-シャークの襲撃を受けたナミの悲鳴を聞くと鬼の形相で現場に急行し、ナミを窮地から救う。そして本人が認識しているか定かでは無いが外骨格を発現させてS-シャークと交戦する。
翌日には研究層の混乱を鎮圧し、脱出の準備を進めていたが、黄猿の襲撃によってボニーが工場層に落下したため、ベガパンクの本体とアトラス、フランキーと共に救出に向かう。
一度は黄猿の妨害とサターン聖が島に上陸したことで窮地に陥ったが、くまの出現によって難を逃れる。その後は島から脱出するために一味の指揮役を担い、自身も再び外骨格を発現させてボニーを狙う黄猿のレーザーを蹴り飛ばすなど、大立ち回りを見せる。
「愛は光より強ェんだ!!」
ワンピース公式スピンオフ
食戟のサンジ
『食戟のソーマ』のチームが手掛けたサンジ主役のスピンオフ料理漫画。
当該項目を参照。
余談
- レシピ本
サンジが劇中で作った料理のレシピ本が実際に販売されている。題して『ONE PIECE PIRATE RECIPES 海の一流料理人 サンジの満腹ごはん』。監修は料理研究家の飯島奈美氏。
本のオビには作者・尾田栄一郎の「お前が本出すのかよ!」のひと言が記載されている。
- 名前とモデル
作者は「最初渦巻き眉毛のためナルトという名前で出そうと思っていたが、読み切り漫画に『NARUTO』が登場したためボツにした」と語っている。
また、麦わらの一味の中で珍しくモデルがおり、俳優のスティーブ・ブシェミがモデルであると語られている。
- 出生の伏線
幼い身で働いていながら客の残した料理を食べることを嫌がるなど育ちが卑しいとは思えない、アラバスタ編で「Mr.プリンス」と自称、空島編序盤で「北の海」の生まれと判明する、スリラーバーク編にて幼少時代に『悪魔の実図鑑』を軽くだが読んだことがあると語るなど、彼の出生の伏線は序盤から張られていた。
- ぐるぐる眉毛
特徴的な眉毛はヴィンスモーク家特有のものであり、彼のきょうだいたちも同じ特徴を有している。ただしサンジだけうずまきの向きが違っており、サンジ以外の兄弟の眉毛は「66」ともとれるようになっている。
これはジャッジが理想とするジェルマ66の戦士になるための改造が成功したか否かを表していると言える。実際強靭な外骨格の発現とジャッジ曰く不要な感情(「悲しい」など)の除去が共に成功しているニジ及びヨンジは上述の通り「66」の形の眉毛であり、確認は取れていないがイチジも恐らく同じだと思われる。そしてどちらの改造も失敗しているサンジは「66」をひっくり返した形をしており、外骨格発現時には「66」の形に変化する。
- ゲーム作品
女性には決して手を挙げない事を信条とするサンジだが、その性格設定によってゲーム作品では非常に特殊な仕様が組まれている場合がある。
『ワンピースグランドバトル!』シリーズでは普通に攻撃でき、ダメージもしっかり与えられる。ただし、女性キャラが対戦相手の場合は各種ボイスがメロリン仕様に変化する。
そのため、サウンドテストでのサンジの音声は他のキャラとは比較にならないほど多かったりする場合がある。更にシステムボイスにも通常のサンジとメロリンサンジのそれぞれで存在したり、必殺技やカットインの演出が通常とは異なるものになったりもする。
『海賊無双』シリーズでは、女性キャラが敵として登場するエピソードにサンジで挑もうとすると、開始前に一度警告が入る。その警告を無視してエピソードに挑む事もできるが、いざ女性キャラと相対すると各種攻撃の威力が激減し、まともにダメージを与えられない。
具体的には全ての攻撃で与えられるダメージがサンジの攻撃力や相手の防御力に関係なく1となる。しかも必殺技に至っては女性キャラが相手だとダメージ判定が消滅してしまう。あの”粗砕”や”熟焼グリル=ショット”ですら、文字通り傷一つ与える事ができない。一応執拗に攻撃を繰り返したり、仲間に手伝ってもらったりすればなんとか突破する事は不可能ではない。まさに原作を徹底的に意識した、しかし辛うじてゲームとして成り立つレベルのギリギリの仕様である。
『バーニングブラッド』では、自チーム内に女性キャラがいる場合はサンジ自身の戦闘力が向上する。しかし、逆に女性を敵に回すと足技が一切繰り出せない。前者はともかく後者は致命的であり、当然ながら本作でもサンジの戦闘は基本的に全て足技のみなので、女性を相手にしてしまうとまともな攻撃が何一つできず、絶望的なまでに不利。もし1vs1になればまさに原作のカリファ戦の二の舞になること請け合い。一応攻撃の代わりにハートを飛ばし、それを当てることで極微量のダメージを与えることができるので、理論上は絶対に勝てないという事は無い。
『ジャンプフォース』では、相手が女性キャラだった場合、バーニングブラッド同様の仕様になる。しかし、ダメージは与えられない。勝つためには他のキャラと交代しないといけなくなる。
なお、クラピカは男性扱いになっており普通に攻撃できる。余談だが、彼の中の人はサンジの元婚約者と同じだったりする。
一方、アプリゲーム『モンスターストライク』に闇属性のガチャキャラクターとしてコラボ出演した際は普通に女性キャラの敵も攻撃出来、ストライクショットを使えば悪魔風脚で容赦なくボコボコにしてしまう。これには「いいのかそれは?」という意見もしばしば出た。だがそもそもモンストにはクエストを問わず女性の敵も多く、他作品のように女性キャラにまともに攻撃が出来なかったらその時点で話にならなくなると言っても過言では無い為、仕方の無い措置だったと言える。
- 「写真」と「手配書」
サンジは何かと写真や手配書に関するネタが多いキャラクターである。
元々サンジはルフィやゾロなどと同じく海賊として名をあげることは望むところであり、(ルフィの手配書の写真に後頭部だけ写り込んだ)ウソップに対してイジケたり、ゾロは手配されたのに自分は手配されていないことを不服に思ったり、当のゾロに「海賊A」呼ばわりされて怒ったりするシーンがあった。
しかし、サンジは戦闘以外では表立って動く事が少なく、むしろ単独での潜入や工作などによる「裏」での活躍が多かった。そのため、結果的にサンジを目撃する人物そのものが少なく、顔が割れにくかったのである。バロックワークスとの戦いでもイラストや写真が無かったために顔がバレず、これが最終的に捕らわれた仲間の救出に繋がったりもした。
そんな彼もエニエス・ロビーの一件でついに正式に海賊として手配されるようになる。
懸賞金額は7700万ベリーと初頭の手配としてはゾロをも抑える高額だったが、海賊の顔写真を撮影するアタッチのミスにより、海軍はサンジの写真の入手に失敗。モンタージュ風に作られた似顔絵を代用した手配書が発行された。
「似顔絵」と言ってもお世辞にも実際のサンジに似ているとは言い難く(ルフィの影が入ったオーズが言うには「そっくり」(つまりはルフィ本人もそのような認識)、天然なはっちゃんや皮肉屋のゾロが言うには「瓜二つ」)、当然サンジはこの手配書の内容に憤慨し、やり場のない怒りをルフィやゾロにぶつけていた。しかもシャボンディ諸島編ではまさかのこの似顔絵の顔のそっくりさんデュバルが登場。彼から因縁を付けられる羽目になってしまった。
新世界編になってもまだネタは続く。二年間の沈黙を破り、麦わらの一味が活動を再開したことは新聞を通して世界中に知れ渡った。モネが読んでいたその新聞の写真をよく見てみると、サンジはまた顔が見切れており、髪の毛くらいしか映っていない(その両隣にはバッチリ顔が映ったゾロとナミがいる)。
アニメオリジナルエピソードでは海兵に手配書を笑われたり、ルフィ、ゾロに続いて現れると一人だけ誰なのかわからず困惑される、挙げ句の果てにはその後現れたNEO海軍に顔を変えたと言われる有様である。もちろん、サンジは激怒しており、自分がいないところで笑われた際にもそのことを感じ取る程である。
ついに海軍は、魚人島でスケベな顔をしていたサンジの写真の入手に成功。手配書は更新され、賞金額も1億7700万ベリーまで上がった。
しかし、よくよく考えてみるとサンジはゾロやウソップほどドレスローザで派手に暴れたわけではないにもかかわらず1億ベリーも懸賞金が上がっており、しかもその一味の手配書の更新と同時にサンジのみ「DEAD OR ALIVE(生死問わず)」から「ONLY ALIVE(生け捕りのみ)」に変更されるという不可解な点も見られた。これは正式な写真の入手によって「ある人物」にサンジの顔と存在が知られたためであり、これを切っ掛けに事態は思わぬ方向へ進む事になる。
サンジの手配書にまつわるネタも、実は物語の伏線だったといえる。
そして伏線の回収も終わり、サンジの出自や衝撃の過去も明らかになったホールケーキアイランド編終了後。
ついに手配書のネタもなくなるのかと思いきや、なんと形を変えてまだ続いた。ビッグ・マム海賊団の追走から逃げ切ったルフィ一行に届けられた新聞と手配書により、サンジは自分の懸賞金が1億7700万から3億3000万にまで大きく跳ね上がった(この時に「ONLY ALIVE(生け捕りのみ)」から「DEAD OR ALIVE(生死問わず)」に戻っている)。
僅かながらゾロをも上回る金額に一気に有頂天になるサンジだったが、直後に自分の名前が「ヴィンスモーク・サンジ」に変更されていることに気付いてしまう。万国でビッグ・マム海賊団幹部クラスとの交戦こそすれど、そこまで目立った活動をしていなかった(ケーキ作りは隠密行動)にもかかわらず、ここまで急激に懸賞金が増額されたのは「悪名高いジェルマの王族の血筋)という評価が大きく影響している可能性が極めて高いことが判明したのである(「お茶会で麦わらの一味がカポネ・ベッジとジェルマ66を従えて大暴れした」報道の扱いされた状況だけみれば、ジェルマ66が麦わらの一味の傘下・協力関係になり、サンジはそのパイプ役という疑いすら持たれても何らおかしくは無い)。
サンジの実力だけで評価された金額ではなかった可能性が高い上にそれでゾロを上回ってしまい、加えてわざわざ絶縁宣言までしたのにもかかわらず、逆にこれからは一生周囲のレディ・敵達に「ヴィンスモーク・サンジ」として認識されるだろうという事態に、サンジは落ち込むのだった。
ただゾロとの再会後はしっかり懸賞金が上回ったことを自慢し、怒ったゾロに「閻魔」で斬りかかられた。
ワノ国編終了後は10億3200万ベリーに急増するも、再びゾロに逆転されて4位に逆戻り。ゾロはこういう時でもしっかり「4位」とサンジをイジってマウントを取っており、またしても2人のケンカが勃発していた。
アニメ版ではその直前に、自分の懸賞金が上がったことに喜ぶ(似顔絵に戻ったことは特に気にしていない模様)も、ジンベエの懸賞金を見てショックを受ける流れが追加されている。
また、手配書が小さく描かれた原作では何故かヴィンスモーク姓が削除されていたが、ハッキリと描かれたアニメ版では残っている。
- 新世界編の戦績
超新星編ではゾロと並んで数々の強敵を単独で倒し、ルフィを支える両翼、麦わらの一味の三強と言われてきたサンジだが、新世界編の戦績はワノ国編まではあまり芳しいものではなかった。
魚人島編では敵の中で最も巨大なワダツミ相手に戦い勝利を収めたものの、その戦いはジンベエとの共闘であり、サンジ単独で撃破したわけではなかった。続くパンクハザード編ではヴェルゴ相手に戦うも、途中で足の骨にひびを入れられてしまい、毒ガスが迫っていたこともあって撃破できなかった。ドレスローザ編では一時ドフラミンゴを相手取るが、有効打を与えられず逆に彼のイトイトの実の能力に翻弄されてしまった。ゾウに先行して上陸した際は百獣海賊団真打ちのシープスヘッドを瞬殺したものの、真打ちはあまり強敵とは言えない階級である。サンジに焦点が当てられたホールケーキアイランド編では彼の性格面及び圧倒的な料理スキルが目立ったが、戦闘面に関してはほとんど出番がなかった。
このように、強敵を倒す機会に恵まれなかったこと、一方でゾロは魚人島編、パンクハザード編、ドレスローザ編で対峙した敵全員を圧倒し続けたこと、そして元王下七武海のジンベエが一味に加入したことで両翼及び三強の座から降ろされてしまうのではないかと思われた。
しかし、ワノ国編では百獣海賊団大看板のクイーンを単独で撃破。懸賞金がワノ国編時点のサンジの4倍もあるクイーンを仕留めたことで、懸賞金額こそジンベエに抜かれたものの両翼、三強(或いはジンベエも含めた四強)の座は未だにサンジの元にあることが証明された。ちなみにサンジがタイマンで強敵を倒したのはスリラーバーク編のアブサロム戦以来、実に13年振りのことであった。
- 4位
ワノ国編終了後、ゾロから頻繁に「4位」と呼ばれるようになったが、地味にサンジは「4位」というポジションには縁(?)がある。
視聴者の視点からは「(一味の)両翼」ないし「3番手」という印象が強いサンジだが、懸賞金額についてはルフィやゾロはともかくロビンやウソップ、ジンベエなどより下であり、全体的に一味の中では4番手である場合が多かった。むしろ4位ではなかったのは、現状ではゾロをも抜いて2位になっていたワノ国編だけである。
(初頭懸賞金が付いたエニエス・ロビー崩壊後の時点ではルフィ、ゾロ、ロビンに次ぐ4位。ドフラミンゴ討伐後の時点では、ルフィ、ゾロ、ウソップに次ぐ4位)
なお、『初頭懸賞金』という点では、一味の中でロビンに次いで2位である。(ロビン=7900万ベリー、サンジ=7700万ベリー。ちなみに、3位は(初頭懸賞金かどうかは不明だが、タイヨウの海賊団時代に)7600万ベリーのジンベエ、4位は6000万ベリーのゾロとなる)
また、世界規模で行われたキャラクター人気投票企画のONEPIECE_WORLD_TOP_100においても麦わらの一味の中で見ても全体の最終結果で見てもルフィ、ゾロ、ナミに続く形で4位だった。ちなみにこれまでに行われた公式の人気投票においては3位で終わる方が多かったが、初めて公式で行われた人気投票においては4位だった。サンジにとって「4」はある種の鬼門と言える数字なのかもしれない。
- 声優・俳優
アニメ版で幼少期のサンジの声を担当した大谷育江氏は、後に『ドラム王国編』で一味に仲間入りしたトニートニー・チョッパーを担当することになる。以降も上述のヴィンスモーク家での回想シーンの他、アニメオリジナルエピソードとして頻繁にサンジの幼少期のエピソードが挿入されているが、いずれも共通して大谷氏が兼任し続けている。
また、『パンクハザード編』ではトラファルガー・ローのオペオペの実の能力により一時的にチョッパーの精神がサンジの肉体に移され、図らずも大谷氏が成人後のサンジまでアフレコする構図が描かれる形となった。
なお、オーディションでは松本保典氏に決まりかけていたが、同時期に『サザエさん』の波野ノリスケ役に採用されたため、スケジュールの都合で辞退したらしい。
元々平田氏はゾロ役としてオーディションを受けたがあえなく落選。サンジ役のオーディションを受けて合格し、尾田氏と対面すると尾田氏からは「そっちになりました」と言われた。何故ゾロの時落としたかを聞くと「噛んだから」という単純な理由だった。なお、ゾロ役の中井和哉については30直前に公務員から声優に転職して3年目でナレーション中心の活動からアニメ出演の浅い状況からのキャリアだったので平田氏は中井和哉の事は全く知らなかった。だが、中井氏がゾロ役に起用されてゾロの演技を聞くと「こりゃ勝てない」と負けを認めざる終えなかったという。
WCI編での印象的な号泣シーンは、当初台本に「(泣く)」と記載されており、監督も平田氏の泣きの演技を入れる予定だったが、平田氏がコミックスも読んだ上で「泣きたくない。画で泣かせてくれ。」と直訴したことで、アフレコ無しの画での表現のみとなった。
2015年に市川猿之助率いる『スーパー歌舞伎』版にてサンジは中村隼人が演じている。中村は本編では他にもイナズマを演じている。
関連イラスト
バラティエ
2年前(分け目右目、顎ひげなし)
STRONGWORLD
カマバッカ王国
2年後(分け目左目、顎ひげあり)
Z
GOLD
STAMPEDE
RED
関連タグ
海賊 コック 悪魔風脚 眉毛 クソ/毒舌 メカクレ 残念なイケメン スケベ 毒親の被害者 ブルーヒーロー
異名・別名
黒足のサンジ おそばマスク チビナス(ちびなす) ヴィンスモーク・サンジ
モンキー・D・ルフィ ロロノア・ゾロ ナミ ウソップ ネフェルタリ・ビビ カルー トニートニー・チョッパー ニコ・ロビン フランキー ブルック ジンベエ
ジェルマ66 ヴィンスモーク・ジャッジ ヴィンスモーク・ソラ ヴィンスモーク・レイジュ ヴィンスモーク・イチジ ヴィンスモーク・ニジ ヴィンスモーク・ヨンジ
その他
デュバル…サンジの最初の手配書イラストにソックリだったせいで害を被った人。なんの因果か、鉄仮面のデュバルと呼ばれた彼と同じくサンジもまた鉄仮面を付けていた(実の父親の命令によって…)。
???…パシフィスタに代わる海軍の新兵器。サンジ同様、制作工程に血統因子を利用していること、炎を操ること、頑強であることなどが共通。一方、彼らが天使の名が由来であるのに対し、サンジは悪魔の名を冠する技を操る。
その他(他作品)
レオ…重度の女好きでたとえ相手が誰であっても絶対に女性を殴らない主義である点が共通する。
ガオーン…特定の者に対しては贔屓するがそうでない者はぞんざいに扱う点が共通している。また料理を行う点や特定のメンバーとケンカになることが多い点も共通。
メリア・メルトリア…男性をぞんざいに扱う金髪キャラ繋がり。もっとも彼女の場合はサンジや上記のガオーン以上である。
佐倉杏子…「口が悪い」、「食べ物を粗末にすると怒る」、「父親に関する嫌な思い出がある」、「よく細長いものを加えている」といった共通点がある。
花村輝々…超高校級の料理人の肩書を持つキャラクター。料理人でどんな料理も得意、変態という共通点があるが、サンジは女性に対してメロメロなのに対し花村の場合は異性のみならず男性も対象に当たるという相違点がある。
中の人繋がり
ジャック・スパロウ(パイレーツ・オブ・カリビアン)…サンジと同じく海賊。「船長」という立場から、第2部開始時に登場したアノ人の配役はこのキャラクターが由来なのでは?とも言われている。
沙悟浄(最遊記)…コチラは陸路だが旅をしており、女好きの愛煙家。更に毎日喧嘩する仲間がいてるなど他人とは思えないほどの共通点がある。
ザ・ニンジャ(キン肉マン)…続編『キン肉マンⅡ世』以降の各媒体から声が同じ。『Ⅱ世』ではゾロの中の人が演じる鬼畜超人と因縁浅からぬ関係。どちらかというとゾロ&ハンゾウの話題とセットでこの中の人ネタに触れられる程度だが、ダークカラーの衣装、スピーディーな体術、「悪魔」や「地獄」、「炎」に(初出演のⅡ世のエピソードでは「クソ」にも)縁があったりと意外に共通点が多い。
ボヤッキー(ヤッターマン)…『夜ノヤッターマン』以降の各媒体から中の人が同じ。「世界中のレディ」に惚気るサンジに対し、こちらも「全国の女子高生の皆さん」へのアピールにご熱心。なお、初代声優の八奈見乗児氏は本作でガン・フォールとして出演しており、衝撃貝の使い方を説明する際に、サンジや他の船員たちと声を揃えてお馴染みの「ポチッとな」の台詞を発している。因みに同じく着想を得たキャラクターとしてフォクシーが登場している(ヒゲや出っ歯を除く顔の造形、美女と大男の三人組で行動する点などが共通)。
ガッシュ・ベル… 幼いサンジと同じ声優が演じている金髪の少年。優しい性格、力をつけるまで周囲から落ちこぼれ呼ばわりされていた、物語の後半で実は王族の生まれで複雑な家庭環境だったことが判明する、外見がそっくりの多胎の兄弟(ガッシュは双子)が冷酷非情な性格をしている等、共通点が多い。最大の違いは、「実父に虐げられていたが実母や姉、育ての親(師匠)の存在に救われた」サンジに対してガッシュは「養母に虐げられていたが実の両親と兄の存在に救われた」点。
クライン…ライトノベル『ソードアート・オンライン』の登場人物で、こちらも火属性かつ女好き。人柄はサンジ同様良いものの、いかんせんデリカシーに欠けるため、やはり女運に恵まれない。
他媒体の演者
窪塚洋介…インディードのCMにてサンジ役になった俳優。