「じょ〜〜ダンじゃなァいわよ───う!!! このあちしを誰だと思ってるわけェ!!?」
「オカマよ!!? “オカマ道(ウェイ)”貫く あちしは オ・カ・マッ!!!」
概要
大柄でオカマ口調、背中に"オカマ道(ウェイ)"と書かれた白鳥のコートを愛用している常にハイテンションで騒々しいオカマ。「オカマ拳法(ケンポー)」なる独自の拳法で戦う武闘家。
超人系悪魔の実・「マネマネの実」の能力でどんな相手にも変身できるが、能力自体は戦闘に不向きなため自前の格闘術だけで戦うスタイル。
珍妙な格好と言動のオカマということで一見イロモノ枠のネタキャラとしか思えないが、漢気溢れるナイスガイな面も持ち合わせており、二重にも三重にも強烈な印象を残した。
その雄姿から、ファンの間でも作中でのルフィたちからの愛称でもある「ボンちゃん」の呼称で親しまれている。
初登場時は、王下七武海(当時)サー・クロコダイルが組織する秘密犯罪会社「バロックワークス」のオフィサーエージェント(上級幹部)の一人。「Mr.2 ボン・クレー」のコードネームで呼ばれた。
同社では基本的に幹部は男女のペアで行動しているが、彼の場合はオカマであるためパートナーが存在しない。代わりに直属の部下であるビリオンズ数十名を率いて行動している。
部下たちとの関係は非常に良好なようで、ときには共に歌やダンスに興じることも。
なお本名が明らかになったのは532話(大監獄インペルダウン編)だが、判明以降も作中では「Mr.2」「ボン・クレー」、およびそれらに準ずる通称(ボンちゃんなど)で呼ばれることが多い。
ちなみにオフィサーエージェントはミスター「No.」呼称の男性とミス・「休日」呼称の女性という振り分けだが、彼の場合No.2が男性名で、ボン・クレー=盆暮れが女性名らしい。
プロフィール
本名 | ベンサム |
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異名 | 荒野のベンサム |
コードネーム | Mr.2「ボン・クレー」 |
年齢 | 30歳→32歳 |
身長 | 238cm |
懸賞金 | 3200万ベリー |
所属 | 秘密犯罪会社バロックワークス オフィサーエージェント→ニューカマーランド新女王 |
所属船 | 快速スワンダ号 |
悪魔の実 | マネマネの実 (超人系) |
出身地 | 東の海 |
誕生日 | 8月15日 (お盆) |
星座 | しし座 |
血液型 | F型 |
好物 | タコパフェ、釜炒り茶 |
一人称 | あちし |
笑い方 | あーっあっあっあ、がーっはっはっは |
好きな言葉 | あやふや |
初登場 | 単行本15巻 第129話『まっすぐ』 |
WT100 | 22位(88082票) |
CV | 矢尾一樹 |
人物
「……ここで逃げるは オカマに非ず!!!」
「命を賭けて友達(ダチ)を迎えに行く友達を… 見捨てておめェら 明日食うメシが美味ェかよ!!!」
「かかって こいや」
バロックワークスの工作員として、アラバスタ王国乗っ取りのための最終作戦「理想郷(ユートピア)作戦」においては、指令の下マネマネの実の変身能力を活かして国王ネフェルタリ・コブラになりすまし、国民の眼前で凶行を行うことで反乱を焚き付け、国を撹乱させた。
こうした悪事に手を染めてきており、クロコダイルの真の目的に対しても「それを国ごと奪っちゃおうって訳なのねい!?あちしゾクゾクしてきたわ!!」と楽しんで協力、風貌や言動こそ奇怪だが、実は友情を何よりも重んじ、義理人情にも厚い。
一度友達(ダチ)と認めたもののことは決して忘れず、その相手のためなら自ら命を投げ出すことすら惜しまない。(オカマなのに)漢気溢れる古風な性格の持ち主。
一度は敵として戦ったが、バロックワークス解体後は麦わらの一味がネフェルタリ・ビビと再会するために部下たちと共に海軍の囮役を買って出たり、監獄島インペルダウンではルフィたちを脱走させるために、メインゲート操作のために一人で島に残る道を選ぶなど、自己犠牲も厭わない行動に出たこともある。
…この人なんでバロックワークスに入ったんだろうか。
一人称は「あちし」であり普段はおどけた態度なオネエ言葉で話すが、真剣な際には荒っぽい任侠じみた口調で凄んでみせたり、ときには友への激励を送ったりなどしている。
口癖として「ジョーーーダンじゃなーーーいわよーーーう!」等の他、「どう」と発音するべきところを「ドゥー」と発音することがある。
オカマとして一種の誇りのようなものを抱いており、コートの背面に描かれた「オカマ道(ウェイ)」や「オカマは男であり女である=最強」などの独自の解釈を持つ。
こうした経緯から、カマバッカ王国の国王であるエンポリオ・イワンコフのことを「イワさん」と敬愛しており、いつか対面することを夢見ていた。
恋愛観に関しては定かではないが、アラバスタ編ではビビを見た時「アラ!!あなたカーワィーわねー好みよ♡食っちゃいたいチュッ♡」と話していたことから男性寄りな感性と思われる。オカマである以前に「新人類(ニューカマー)」=性別に囚われないということなのだろう。
戦闘能力
悪魔の実
「芸では ナッスィンッッ!!!」
右手で他人の顔に触れる事でその人物の身体的特徴を完全にコピーし、自分の体に自在に反映させる事ができる「マネ人間」。左手で自分の左頬に触れると変身は解除される。
コピーできる情報は顔立ちだけではなく、声や体格、傷痕や性差に至るまで全てが完全に一致した状態で反映される(雲突く巨漢や人間ですらないチョッパーにすら化けられる)。至近距離で能力を見たウソップも「「似ちまう」なんてもんじゃねェ 「同じ」なんだ」とのこと。
さらに過去に触れた人物は二度と忘れる事は無く、いつでも好きな時にその記憶を引き出して変身する事ができる。つまりその性質上、人に触れる度にメモリーの容量とバリエーションはひたすら増え続けていく。また、一部分だけ発現させることも可能であるため無限の組み合わせの顔立ちや体格を作ることすらできる。
しかし傷跡までコピーする性質を考えれば、左腕を失ったシャンクスのような人物に化けた場合解除する手段がなくなってしまうように思えるが詳細は不明。
作中では対象の相手に成りすまし、陽動や潜入、騙し討ちといった手段で用いている。
アラバスタではコブラ王に成りすまし、国の貴重な水源である降雨を独占しようとしたことを認める証言など、国民を辱める言動で王族・国民間の関係悪化を後押しした。
一方で、他の能力者のように自身の能力を戦闘(攻撃手段)として用いることはない。…というのも、彼の戦法の要である「オカマ拳法」は自身のしなやかな肉体があってこそ本来の力が発揮されるものなので、他の肉体では体現することができないらしい。
一応、相手の情に訴えかける目的で戦闘中に相手の知人の姿に化けたりはするものの、攻撃の瞬間には姿を戻しており、サンジ戦では即座にこの癖が見抜かれてしまった。
なお本編中には巨人族をはじめ、巨人族を遥かに超える巨躯の持ち主達や、銃でも大砲でも傷つかない万国の主、自殺が趣味の地上最強の生物など、その肉体だけでも恐るべき戦闘能力を誇る者たちがいる。彼らのような人物をコピーした場合いったいどのような状況になるのか、非常に興味深いところである。
……無論、顔に触れられればの話ではあるが。
基礎戦闘力
戦闘ではバレエのような動きと足技を主体とする「オカマ拳法」を主体とする。格闘術でMr.1ことダズ・ボーネスやサンジと互角以上に渡り合うほどの手練れであり、ほぼ徒手空拳だけでバロックワークスのMr.2の地位まで上り詰めている事からもその実力が垣間見える。
「アン ドゥ オラァ!!」の掛け声に合わせた三発1セットで攻撃を放つ型を基本とし、回避されても柔軟な動きで相手の軌道を捉え、次の攻撃へ繋げていく。また、一部小道具を用いた技も使用する。よく軽やかに片足を上げて回転するのだが、その際どう見ても関節を無視して足が弧を描き曲がっている。
そのムチャクチャにも思えるしなやかさこそオカマ拳法の真髄なのだろう。
技
攻撃技はほぼ全てオカマ拳法である。
- マネマネ合成顔(モンタージュ)
過去に記憶した全ての人物の顔の中からそれぞれのパーツを合成し、自分の顔に反映させる。
サンジとの戦いではこの技で「世界一変な顔」を作り、爆笑させて隙を作ろうとしたが、いざ作ってみたら90%自分の元の顔だったため、目論見が外れるばかりか当のサンジから憐みの視線を貰うだけだった。ちなみに残りの10%は(おそらくウソップのものと思われる)長い鼻で、結局これも見慣れているサンジにはまるで効果が無かった。
現在、唯一マネマネの能力を利用した技で、オカマ拳法とは直接関係は無い。
ゲームでは「世界一変な顔(通用せず逆ギレして蹴飛ばす)」の他にもDr.くれはのモノ投げやゼフの晴天割コック帽による押し潰しにモンブラン・クリケットの体術、ヨサクに化けて紙一重からの奇襲にモーガンの斧手による斬撃、イガラムやMr.7、Mr.9での銃撃、果てはボタン操作による隠し要素としてパンダマンに化けてG・P・Dを仕掛ける事も。
- 血と汗と涙のルルヴェ
オカマ拳法の中では珍しい移動技で、本人曰く「オカマに不可能はないのよう!!!」
とのこと。関節を無視したレベルで柔軟な彼にしかできまい。
- どうぞオカマい拳(ナックル)
見る限りはただの正拳突き。
だがルフィのゴムフックと同様、傍目から地味に見えるだけで、サンジなどの手練れと渡り合える体技であることに変わりないため、相手にとっては充分脅威。
- うらぶれ白鳥(スワン)舞踏会
酔拳のような不規則な動きで相手の攻撃を受け止めつつ流れるように攻撃を仕掛ける。
- 白鳥アラベスク
一点集中の連続キックを叩き込む。
サンジの羊肉ショットと相殺するほどの威力を誇る。ちなみに「白鳥」の読み方は、原作では「はくちょう」だが、アニメ版では「スワン」になっている。「うらぶれ白鳥舞踏会」に合わせたのだろうか?
- 蹴爪先(ケリ・ポアント)
体ごと回転し、その爪先で相手を横から突き刺すように蹴り払う。
- マスカラブーメラン
目元のマスカラを引き剥がし、相手に向けて回転させながら投げ付けて相手を切り裂く。
”ブーメラン”なので途中で軌道を変えて戻って来る。結果的に飛ばした刃物が自分に向かって来ることになるが、もちろん”キャッチしマスカラ”、自分が傷ついたりはしない。
- あの夏の日の回想録(メモワール)
爪先を軸に高速で回転し、その勢いのままに相手に突進して蹴り払う。
オカマ拳法の中でも特に強力な大技。同様に回転しながら空中に飛び出し、落下の勢いも乗せて繰り出す”あの冬の空の回想録”という亜流技も存在する。
- 爆撃白鳥(ボンバルディエ)
普段から背中に背負っている白鳥の首を足先に装着し、その嘴で突き刺すような蹴りを放つ。
本人曰く「オカマ拳法の”主役”(プリマ)」。しなる首は相手に蹴りの軌道を読ませず、鋼の嘴は石の壁を簡単に貫通し煙を上げるほどの威力を生み出す。
一点に凝縮された攻撃力はその攻撃箇所にのみ甚大なダメージを与え、その周辺には傷一つ与えない。さらに長身に加え白鳥の首の分リーチも長く、接近戦においては非常に強力。ただしそのリーチが仇となり「返り」が遅くスキが生じる。
ちなみに向かい合って相手側から見た場合、右側の首がオス、左側の首がメスだとか。他人から見るとどうでも良さそうだが、本人的には結構重要なことらしい。
”爆弾白鳥アラベスク”という強化技らしきものも存在するが、残念ながら劇中ではその威力を窺い知る事はできなかった。
ゲームでは決め技として「爆弾白鳥アラベスク」を使用、〆にオカマ道で啖呵を切るのが恒例。
- あの秋の夜の夢の二度見
凄い勢いで二度見する。以上。
一応オカマ拳法の技らしいが、存在意義さえ不明の技である。
- お控え・ナ・鞭打(フェッテ)
空中から足を振り下ろして相手を強打する。
獄卒獣ミノタウロスの巨体を撥ね退けるくらいの威力はある。覚醒状態の動物系能力者から仲間を助けるのに一役かったが、相手の丈夫さも並ではなかったため、すぐに反撃されてしまった。
名台詞
どれも彼の義理人情に溢れた生き様を物語っている。
男の道をそれるとも
女の道をそれるとも
踏み外せぬは人の道
散らば諸共
真の空に
咲かせてみせようオカマ道(ウェイ)
散らば水面に いとめでたけれ友の華
地獄にも
咲く一輪の友情の花
寄せては返す波跡に
忘れ形見の花びら残し
いつか再び
咲かせてみせようオカマ道(ウェイ)
オカマ畑で また 会おう!!!
「友情ってヤツァ… つき合った時間とは関係ナッスィング!!!」
「友達(ダチ)だからよぅっ!!!! 理由なんざ他にゃいらねェ!!!!」
「麦ちゃんっ!!!! ……………!!! 助けに来だっ!!!! ………!! ゆ… 友情の!!! 名のも゛どに゛っ!!!!」
ベンサムの部下達
バロックワークス時代のボン・クレーことベンサム直属の部下達。ベンサムを「ボン・クレー様」と慕っており、ベンサムもまた部下を傷つけられればたとえ相手が格上だろうと挑みかかるなど、ビジネスライクな関係性が大半を占めるバロックワークス内では珍しく結束は非常に強固。
バロックワークス崩壊後もベンサムと行動を共にしており、最後は彼の「命を賭けて友達(ダチ)を迎えに行く友達(ダチ)を…」「見捨てておめェら明日食うメシが美味ェかよ!!!」」という言葉に心打たれ、ルフィ達を逃すため共に海軍に挑んだ。
殆どの者は名前も公開されていない言わばモブキャラだが、紛れもなく彼らもベンサム同様ルフィ達にとっての恩人であり、ルフィの感謝の言葉も「お前らの事絶っっ対」「忘れねェがらな゛ァ〜〜〜!!!」というベンサムとその部下達に向けたものだった。
活躍
アラバスタ篇
初登場は第155話。Mr.0から「任務に失敗したMr.3をリトルガーデンとアラバスタ王国の航路上で抹殺せよ」との指令を受け、船でリトルガーデンに向かうも、すでにルフィに倒され、こうなることを察していたMr.3は逃亡していた。それを知らない彼は往路で船を見逃したと考え、復路で任務を遂行すべくアラバスタへ帰還することになる。
その道中、ドラム王国での一件を経て、アラバスタへ向かっていた麦わらの一味と偶然船がすれ違い、海霧の混乱を機に起こった成り行きで彼らの船に救助される。部下たちが気付いて捜索している間、Mr.2と一味は双方とも正体を知らないまま意気投合し、「余興」と称して披露したマネマネの実の能力で盛り上がり、僅かな時間の内に交友を深め友達(ダチ)となっていた。
ようやく部下に発見され自身の船に戻るが、別れ際に部下が「Mr.2ボン・クレー様」と呼んだことや、余興の中でみせたマネマネのメモリーの中にコブラ王の顔があったことなどから、彼が敵対するバロックワークスの人間であることを知った一味は、船が離れた後に彼の能力の対策を思案することになる。
アラバスタ到着後は、バロックワークスの集会所であるスパイダーズカフェに出向き、Mr.1&ミス・ダブルフィンガーペア、Mr.4&ミス・メリークリスマスペアと合流。その後、4人と共にカジノ「レインディナーズ」のVIPルームへ招かれ、はじめて社長であるMr.0ことクロコダイルと対面する。彼が4年をかけておこなってきたアラバスタ王国乗っ取り作戦の総仕上げ「理想郷(ユートピア)作戦」の実行役の1人として、アラバスタ国王のネフェルタリ・コブラに扮し、反乱軍を煽り立てた。
ちなみに、作戦説明時に現れたMr.3によって王女ビビ及び麦わらの一味が生きていることが明らかになったが、自分がその「敵」と親交を深めていたことに気づいたため、(たまたまキッチンにいたサンジを除く)麦わらの一味の顔ぶれを提供するという思わぬ手柄を上げている。
首都アルバーナではエージェント総出でビビを足止めしようとするも、一味の撹乱作戦によりそれぞれ偽物を追走してしまい、まんまとビビを取り逃す。ベンサムは偽物であったウソップとマツゲを2秒(それぞれ1秒)で倒し、ウソップのゴーグルやマントを奪って彼に成りすまし、追いついたビビに接触を図る。しかし、一味が施していた「仲間の証」の二重構造を知らなかったことで正体がバレ、その間にサンジが割って入ったことで彼と戦闘することになる。
序盤こそ彼のわかりやすいほどの女好きな気質を利用し、ナミに扮して翻弄し優位に立っていたが、間もなく攻撃時の隙を見抜かれ、以降は己の技による攻撃に徹し、熾烈な攻防の末に惜敗。負けはしたものの、サンジからは珍しく互いの健闘を讃えられて握手を求められ、ベンサムも涙しながらそれに応えた(直後にちゃっかりトドメを刺されたが)。
その後ルフィによりクロコダイルが打ち倒され、海軍が彼や幹部らを含むバロックワークス構成員を逮捕したため、事実上の組織解体となった。
しかしベンサム(およびその部下たち)は辛うじて海軍の縛から逃れ、麦わら一味の船であるゴーイングメリー号を占拠。電伝虫を介してルフィたちに船を預かっている旨を伝え、合流してからは共に海軍の包囲網を脱出する作戦を持ちかける。あくまで利害の一致による一時的な同盟であり、ゾロやナミからもその思惑を既に見透かされてはいたものの、結果的にメリー号を保護してくれていたことも事実であり、以降は「ボンちゃん」「麦ちゃん」と呼び合うほどまで友情を回復する。
共に出港して間もなく、海軍大佐(当時)である“黒檻のヒナ”らの軍艦に包囲されてしまうが、対岸で待つビビとの約束を果たそうとするルフィたちに心打たれたベンサムは、部下たちと変装して麦わら一味になりすまして囮となる。引きつけたヒナたちの艦隊に包囲され、鉄の槍で船を串刺しにされ、それでも玉砕覚悟で海軍に挑んだ。
その雄姿にはルフィやウソップ、チョッパー、さらにはあのサンジまでもが涙を流して悲しみ、犠牲となった彼らに感謝の言葉を投げかけた。
このベンサムの犠牲によってルフィたちはビビの元へと向かうことができた。もしベンサムがいなければ、ONEPIECE屈指の名シーンであるビビとの別れはなかったのだ。
短期集中表紙連載第八弾「ミスG・Wの作戦名“ミーツバロック”」
海戦でヒナに捕縛されたようだが、隙をついて脱獄したのかキューカ島に指名手配書が張られていた。
同じ頃、仲間たちを救い出そうとリトルガーデンを脱出したミス・ゴールデンウィーク、Mr.5、ミス・バレンタインたちもまたキューカ島に上陸していたが、間もなくヒナに発見されてしまう。交戦の末にミス・バレンタインが捕縛され、島に潜伏が判明しているミスG・W、Mr.5、Mr.3の三名に「夕刻までに出頭しなければミス・バレンタインを処刑する」と警告文を掲げられた。
しかし、Mr.3は我が身可愛さにそのまま逃亡しようと船の準備を始めていた。見かねたMr.2は彼の前に立ち塞がり、オカマ拳法で締め上げる。ふん縛ったMr.3を海軍が待つ海岸に叩き出した…かと思いきや、それは変身したMr.2。仲間を救うために孤軍奮闘を繰り広げる。海兵たちを全滅させるも、ヒナのオリオリの実の能力で再び捕縛されてしまう…が、すでに混乱に乗じて目的のミス・バレンタインはMr.5たちによって救出されていた。
かくして捕縛されたMr.2とMr.3はクロコダイルやMr.1のいる留置所に連行され、共に大監獄インペルダウンに投獄されることが決まった。
ちなみに、Mr.4、ミス・メリークリスマス、ミス・ダブルフィンガーはミスG・Wたちにより「バロックワークスをもう一度」と救出されるも、クロコダイルとMr.1は「気が乗らない」として脱獄を拒否していた。
インペルダウン篇
インペルダウンに連行された彼は、「LEVEL3」“飢餓地獄”に収監されていた。
水や食料もまともに与えられず、尚且つ下層の「LEVEL4」“焦熱地獄”の発する熱で多くの囚人がカラカラに干からび半死半生の状態になる中、なぜか彼だけ相変わらず元気そのもので、同じ房の囚人たちを相手に歌と踊りに興じていた。
脱獄するハズが下層に来てしまった“道化のバギー”と“Mr.3”により、ルフィが兄ポートガス・D・エースを助けるためにインペルダウンに潜入したことを知らされ、彼を助けるために同じく牢から脱出する。ルフィと涙の再会を果たし、以降はエースのいる最下層LEVEL6へ向かう彼に協力する。同時に、自身も憧れであるカマバッカ王国の女王(?)エンポリオ・イワンコフが同じくインペルダウンの下層に捕らわれていることを噂で聞いており、彼を救出したいという希望を語っていた。
共に各階層の看守と戦闘を続けながら下層へと降りてゆくが、署長マゼランに対し勝機がないとして一時戦線離脱。その後ルフィが毒に侵され投獄された際にはハンニャバルに変身して「LEVEL5」“極寒地獄”に潜入。軍隊ウルフの襲撃や全身の凍傷に苦しみながらもルフィをイワンコフの下へ送り届け、彼を救ってもらおうと奮戦した。無数の軍隊ウルフたちの襲撃を受け万事休すかとおもわれたが、このとき瀕死のルフィが“覇王色の覇気”の片鱗をみせて彼らを撃退、何が起こったのかもわからぬまま、ベンサムもまたいよいよ限界となりその場に倒れ込んでしまう。
しかし、これまでルフィの奮戦をジャックした監視モニターで見守っていた「LEVE5.5 ニューカマーランド」のイナズマによって二人は間一髪のところで救助され、その地の女王として君臨していたイワンコフととうとう対面する。しかしベンサムは、自身の悲願成就よりもルフィの命の危機を心配し、彼のホルホルの実の能力で彼を救ってほしいと懇願。彼の能力でも、あくまでマゼランの猛毒に対抗する免疫療法しかないこと、そのために寿命も犠牲にすることになることを知り絶望するも、それでも少しでもルフィの力になろうと、半日以上も苦しみ悶える彼に大声量でエールを送り続けた。そんなベンサムの姿をはじめは嘲笑していた周囲であったが、何時間も毒に打ち勝とうとそれぞれの闘いを続ける二人に共感し、ついには共に応援をはじめ、最終的にはその輪にイワンコフまで加わることになる。
彼らの想いが通じたのか、ルフィは奇跡的な復活を遂げる。
何があったのか訳も分からずにいる彼の態度にベンサムも叱りつけてやろうとするも、重傷でありながら叫び続けたせいか今度は彼のほうが昏倒。事情を知ったルフィからは感謝されると共に、ベンサムがイワンコフに会いたい一心でここまできたことを代弁され、イワンコフのほうも「可愛いとこあるじゃない」と好感を寄せられていた。
その後、ルフィはイワンコフやイナズマの協力を受けてLEVEL6まで到達するも、すでにエースの姿はなく、代わりに協力を持ちかけてきたクロコダイルや、彼と同じ元・王下七武海のジンベエらを連れて大返しを開始する。その際、ベンサムもイワンコフからホルモンを注入され復活。自分でも制御できないほどの高速スピンをしながら看守たちをはねのけていった。
同じく上層で他の囚人たちを開放してまわっていたバギー、Mr.3たちも加わりようやく出口まで辿り着き、ジンベエが海軍から軍艦を奪ってそのまま闘争するはずだったが、外海へ出るための「正義の門」を開くため、ベンサムはジンベエ以外の仲間たちに内緒で監獄に残留。マゼランに扮して司令室に指示を送り、正義の門を開かせた。
第548話 ありがとう
門をくぐる直前にルフィもベンサムがいないことに気付き、ジンベエと繋いでいた電伝虫を介して最後の言葉を交わす。ルフィからは、自身を逃がすためにまたも犠牲になろうとすることを責められるも、エースの処刑が差し迫る中、その想いを犠牲にすまいと、そのまま船を進めることを決断し、大声量で感謝の言葉を送った。バギーやイワンコフ、その他知り合って間もない囚人たち、さらにはBW時代は険悪だったMr.3までもがその言葉に続き、ベンサムに言葉を投げかけた。そんな彼らの暖かい言葉におもわず号泣してしまうベンサムだったが、最後は必死の笑顔を作った上で…
「必ずアニキ救って来いやァ~~!!!」
…と、ルフィに侠気溢れるエールを送り通話を終えた。
このとき既に本物のマゼランに追い詰められるという絶体絶命の状況だったが、マゼランも憤怒の表情を崩さずとも、ベンサムたちの通話中一切の手出しをせず見届けている。
通話を終え、晴れ晴れとした表情で向き直り構えるベンサムに対し、マゼランは「最後に言い残すことはあるか」と問いながら毒手を振りかざした。ベンサムは一言、
「本望」
そう言い残し、物語からフェードアウトした…
彼の犠牲にはルフィをはじめ、脱出したほぼ全員が涙を流した。
ベンサムのルフィたちへの最後の言葉は、かつての同僚の心を動かし、彼は直後のマリンフォード頂上戦争において、重要な役割を自らの意思で果たすこととなる。
その後の生死や行方はよくわかっていなかったが、第666話の扉絵連載にて「インペルダウンLEVEL5.5番地ニューカマーランド新女王ボン様」なる扉絵が登場。
背中に「梵」と書かれた白鳥のコートを着用し、バレエのようにスネ毛の生えた脚をあげたベンサムらしき人物が描かれていた。
“黒ひげ”の襲撃による大混乱で助けられた面もあったのかもしれない。
余談
高い人気
上述の通りベンサムはアラバスタでの海軍による包囲、マゼランの毒による瀕死状態、インペルダウンの正義の門の開閉とルフィの窮地を三度も救うという大活躍をしており、戦闘能力の高さやキャラの濃さ、何より義理堅く人情も重んじるその性格から悪人(第171話でコブラ王に扮して行った行為など完全に人の道を踏み外している)ではあるがファンからはとても高い人気を持つ。
第2回キャラクター人気投票では9位にランクインした。ニコ・ロビン(11位)やクロコダイル(15位)に勝っただけでなく、ビビ(10位)より高かった。
2021年に行われたキャラクター世界人気投票では全1174キャラ中、なんと驚異の22位にランクインした。この順位はスモーカー(27位)、ペローナ(25位)といった人気キャラよりも高く、なんなら麦わらの一味のフランキー(28位)やブルック(26位)にも勝り、21位のビビにすら2,563票差と肉薄しているのだ。
世界レベルで人気なオカマなのである。
声優とキャラクター構想
声を担当する矢尾一樹は、過去にクロネコ海賊団副船長(現・海軍本部海兵)のジャンゴの声も担当しており、このときに本作の作者である尾田栄一郎と交流し友人関係となったという。本項のベンサムや、後に矢尾が麦わらの一味としてレギュラー入りを果たすフランキーなどはいずれも矢尾との交流によって生まれたキャラクターであり、ベンサムについては矢尾が尾田を全国のオカマバーに連れて行ったことがキッカケで誕生したとされている。
当然ながら、ジャンゴおよびベンサムはフランキーより以前から登場しているキャラクターなので、麦わら一味の声優では通例の兼役時の「粗忽屋」名義は使用されていない。
因みにベンサムもフランキーも外見のモデルはカナダの俳優ジム・キャリーと推察されており、それぞれ主演映画の『ジム・キャリーはMr.ダマー』と『エース・ベンチュラ』がモデルとされる。
このベンサムを2015年に市川猿之助率いる『スーパー歌舞伎』版にて坂東巳之助が好演、完コピ、完璧とまで言われる大評価を受けたという。なお、巳之助はロロノア・ゾロも本編で演じている。
アニメ版と“オカマ道”について
「オカマ」という表現が不適切と判断されたのか、TVアニメ版では「オカマ拳法」ではなく「バレエ拳法」、大柄の「バレリーナ」、コートの背中に「盆暮れ」と変更された。“オカマ道(ウェイ)”の部分は英語で“Oh, Come My Way”と表現されている(ただし、『エピソードオブアラバスタ』では原作同様“オカマ道”)。
……かと思いきや、インペルダウンで再登場した際には何事もなく「オカマ拳法」と叫んでいた。何があったのだろうか(恐らく時代の流れで「オカマ」が徐々に世間的に受け入れられるようになっているのもあると思われる)。
キャラクターソング
「ONE PIECE Character Song Album」にて、”Oh come my way”が収録されている。原作160話で彼が口ずさんでいた「アン♪ドゥ♪オラァ~~♪」でお馴染みのあの曲である。
また、「TVアニメワンピース15周年記念 ワンピースニッポン縦断!47クルーズCD」では宮城県を担当。名産品の「笹かま」、名峰蔵王山の「お釜」による選出と考えられる。
関連イラスト
関連タグ
Mr.2:こちらの方が投稿されているイラストが多い
ボンカレー:名前のモデルと推測されることがある。
スティンガー(ゾイド):偶然なのか狙ったのかは不明だが、ベンサムとかなり類似性が強い。該当項目を参照。
エンヴィー(鋼の錬金術師):他人の容姿に変身できるという点で共通している。
本条鎌足:同誌の漫画るろうに剣心の登場人物で、アシスタント時代の作者がかつて発案したオカマキャラ。一国の乗っ取りを企む組織の幹部であり、組織崩壊後に味方となる点も共通している。