短期集中表紙連載
たんきしゅうちゅうひょうしれんさい
主に一度本編からフェードアウトしたキャラクターたちによって、本編の裏でどのような出来事が起きているのかを一話一話の表紙(扉絵)を利用してサイレント漫画のような形で描かれたものである。
SBSやウソップギャラリー海賊団などと並ぶ本作の名物企画の1つであるが、これらの企画はあくまでコミックスに収録されるおまけコーナーの一環であるのに対し、ジャンプ掲載時から楽しむ事ができる点が特徴。
『ONE PIECE』の物語は基本的に主人公であるモンキー・D・ルフィ及び彼の率いる麦わらの一味を中心に進められるが、本作は非常に魅力的なキャラクターたちと途轍もない規模の世界観で描かれており、そのキャラクター1人1人、組織の1つ1つにドラマがあると言っても過言ではない。そんな本編外でのドラマの一部が描き出される人気企画の1つである。
作者本人によって描かれるため、当然エピソードは全て公式のものである。
特徴として、
1.各シーンは扉絵を丸ごと1つのコマのように使って描かれる。
2.感嘆符や疑問符などを除いてセリフがほとんど書かれない。
3.単発的なセリフや擬音語などは英語(アルファベット)で表記される。
本編と比べると状況を詳しく説明するものが少なく見えるが、ほとんど問題ないほど分かりやすく描かれているので各エピソードはサクサク読める。
そして、この企画のストーリーの主役となったキャラクターは本編に再登場する可能性が非常に高い。その再登場までの軌跡や新たな伏線、完全新規の重要キャラの登場、各キャラクターの意外な一面や人間関係が新たに判明するなど、単なるおまけ企画のように見えて本編に負けず劣らず濃いストーリーが展開される事も多い。一例としてモンキー・D・ガープ、黒檻のヒナ、ケイミーとパッパグのコンビなどは本編より先にこの企画内のストーリーにて先行登場している。
各キャラクターのエピソードごとに最終的な話数は異なる。あくまで本編などと比較すれば「短期(間内)」に「集中(的に)」連載されるものだが、それでも1つのエピソードが完結するまでに現実世界での連載期間は1年以上を費やす事も少なくない。もっともこれは本作が人気漫画であるために週刊時に巻頭カラーの見開きを担当することも多く、その場合は扉絵が省略されるから、という事情もある。
一部のエピソードはアニメ化され、補完されることもある。
原作コミックスとは別に、表紙連載も含めた扉絵だけをまとめたコミックス『ONE PIECE DOORS!』シリーズも販売されている。
バギー一味冒険記
全28話+番外編2話。
ルフィとの対決に敗れて島の外まで吹っ飛ばされた(体のパーツが足りない状態の)バギーと、遅れて島から飛び出したバギー海賊団の残党たちの珍道中。記念すべき第1弾であり、この頃より意外なキャラクターの再登場など、今後のシリーズにも受け継がれる要素が目白押し。
コビメッポ奮闘日記
全30話。
晴れて憧れの海兵となったコビーと成り行きで彼と共に海軍の雑用に就任したヘルメッポの日常風景。ある日、彼ら2人は海軍の船で海に出る事になるが、その船はヘルメッポの父であるモーガンを送検するためのものであった……。
ジャンゴのダンス天国
全37話。
撤退するクロネコ海賊団に置き去りにされてしまったジャンゴ。無論そのままシロップ村に滞在するわけにもいかず、村から追われた彼は東の海の流行の最先端、ミラーボール島へ上陸する。
はっちゃんの海底散歩
全40話。
麦わらの一味との戦いに敗北し、他の仲間たちと共に海軍に護送されていた中、1人脱獄に成功したはっちゃんは気ままに海中を泳ぎながら故郷へ戻ろうとしていた。道中で人(?)助けをしながら海を行く彼が出会ったのは……。
ワポルの雑食バンザイ
全23話。
ルフィに国外まで吹っ飛ばされながらもワポルは生き永らえていた。今まで通り、好き勝手に目に映るものを平らげていたが、自分の国でもない地でそんな事をしでかして許されるはずもなく……。
エースの黒ひげ大捜査線
全29話。
この日も食い逃げしながら黒ひげの情報を集めていたエースは、遂にとある町中でティーチを発見……と思いきや、勢いに任せてぶっ飛ばしたのは普通に黒い髭を生やしただけの全くの別人。度重なる問題行動に怒った町の住民は彼が能力者と知ってか知らずか、エースを川に突き落としてしまう。そのまま下流にまで流されたエースを救ったのは……。
ゲダツのうっかり青海暮らし
全32話。
チョッパーとの死闘の後、自分のうっかりが功を奏して雲流しの刑を免れたゲダツはそのまま青海のとある島に墜落した。その地で偶然出会ったゴローの「温泉島」の夢を聞いた彼は青海の番長となる事を決意し、何を思ったかゴローを手伝う事に……。
ミスG・Wの作戦名“ミーツバロック”
全42話+番外編1話。
リトルガーデンに取り残されていたバロックワークスの残党トリオは、ある日新聞で自分たちの所属していた組織が壊滅した事を知る。するとミス・ゴールデンウィークは突然身支度を整え、同胞たちが捕らわれている監獄へ向かうべく行動し始めた。
エネルのスペース大作戦
全38話。
ルフィとの戦いに敗れ、たった1人で“限りない大地(フェアリーバース)”こと「月」へ向かったエネル。大半の読者は到達すらできないと考えていたが、その予想を裏切り本当に月に降り立ってしまった彼は現地を探索、そこで意外な真実を目の当たりにする事となる……。
CP9の任務外報告
全33話。
麦わらの一味との決戦に敗れ、バスターコールによる砲弾の雨に晒されるエニエス・ロビーに取り残されたCP9のメンバーたち。しかし、いち早く目覚めたブルーノの能力によって異空間へ避難し、どうにか全員一命を取り留めていた。それでも特に壮絶な死闘の末に力尽きたルッチだけは未だ意識が戻らず、さらに彼らに任務失敗の責任を押し付けたスパンダムからの刺客が迫ってきていた……。
ロビンのひどい事するわ
フランキーの今週のおれダメだ
ウソップの一人じゃ死ぬ病
ナミのウェザーリポート
ブルックの一宿一パンツのご恩返し
ゾロのあいつらどこだ世話がやける
それぞれ全2話。
シャボンディ諸島でバーソロミュー・くまによって散り散りに飛ばされてしまった麦わらの一味。彼らはそれぞれ飛ばされた地にて個性的な人物との遭遇や衝撃の体験をすることとなる。そしてそれが彼らのパワーアップへと繋がっていくのだが、それはもう少し先の話……。
世界の甲板から
全48話。
2年間の沈黙を破り活動を再開した麦わらの一味の情報は、新聞の一面を飾り、瞬く間に世界各地へ報道された。一味に縁のある人々は彼らの復活を喜ぶ。各地方のキャラクターの2年後の姿や近況が描かれており、現時点では全エピソード中最長。
カリブーの新世界でケヒヒヒヒ
全46話。
麦わらの一味やペコムズに叩きのめされたカリブーは、復活するや否や性懲りも無く魚人島にて人魚の誘拐を目論む。しかしジンベエの介入によってまたも叩きのめされ、遂に彼に連れ出される形で国外追放の憂き目に。コリブーが救出しようとコーティング船で追跡するが、ジンベエの遊泳速度に敵うはずも無く、結局単身のまま連れていかれた先は……。
ジンベエの海侠一人旅
全28話。
カリブーと別れた(というより放置した)ジンベエは仲間たちの元へ戻る道中、迷子になった海ネコと出会う。続けて出会った海イヌのお巡りさんに連れられ、彼らの町へ向かうが、そこで待っていたのは海底の町が丸ごと消えているという大事件だった。
世界の甲板から 5億の男編
全25話。
ドンキホーテ・ドフラミンゴを討ち取り、ルフィの懸賞金は5億ベリーにまで増額、一味の手配書も写真が更新され、現在の一味の姿がより明確になった。復活して早々に活躍を見せつける一味を、関係者は嬉しそうに新聞で確認する(ただし一部喜んではいない例外も)。
押しかけ麦わら大船団物語
全46話。
ドレスローザの一件後、勝手に麦わらの一味の傘下となった海賊たちのその後。美しき海賊団の成り立ち、バルトクラブの麦わらの一味布教活動、サイとウホリシアの縁談話、イデオ海賊団の結成など、各海賊団の小さなエピソードの詰め合わせ。
〝ギャング〟ベッジのオーマイファミリー
全37話。
ファイアタンク海賊団の「家族」の物語。ビッグ・マム海賊団の追っ手を撒いたファイアタンク海賊団は、シフォンの希望でローラを探すべくスリラーバークへ向かう事に。しかし世界会議の真っただ中で警備の厳しい赤い土の大陸を越えられず、やむを得ず近場の島で物資を補給しようとするが……。