「人間は……やめろと言われた事をなぜやりたがるのか……」
「おい……私の身にもなってみろ “虫ケラ”の気持ちを理解しろと言うのか? 不可能だ……」
概要
『ONE PIECE』の作中世界を治める世界政府の最高権力五老星の1人。
普段は聖地マリージョアのパンゲア城にて他の4人と共に世界政府の方針を決定している。
肩書きは「科学防衛武神」であり、世界政府の実施する科学技術政策、防衛政策等に関する事項を分担管理しているようである。
プロフィール
本名 | ジェイガルシア・サターン |
---|---|
年齢 | 不明(最低でも200歳以上) |
身長 | 不明 |
肩書き | 五老星 科学防衛武神 |
所属 | 世界貴族ジェイガルシア家 |
悪魔の実 | 牛鬼(ただし悪魔の実かどうかは不明、理由は後述) |
覇気 | 覇王色 |
出身地 | 不明 |
誕生日 | 不明 |
星座 | 不明 |
血液型 | 不明 |
好物 | 不明 |
初登場 | 単行本25巻 第233話『世界最高権力』 |
CV | 野田圭一 |
人物
- 容姿
見た目は老人の姿でドレッドヘアのような白髪、尖ったような鼻そこそこ長い髭を生やし左目の横に傷が付いており、さらに五老星の中で唯一杖をついている。
- 性格
今までに登場した天竜人と同様に人命を軽く見ている。例としては世界政府側の人間が犠牲になるような事態になったとしても、「人間の命など“虫”だと思え、減ってもすぐに繁殖する」という冷徹な発言をする程である。
一方で一般的な天竜人と違い非常に理知的な思考をしており、ベガパンクに軍への技術の提供に感謝を表したり、バーソロミュー・くまとは海賊であるにもかかわらず取引を交わし内容を遵守するなど政治的駆け引きに長けた人物と描写されている。
またベガパンクに対し自身も科学者であると語っており、実際に優れた科学力や見識の持ち主だが、その本質は上記の発言通り人間を徹頭徹尾『虫ケラ』としか思っていない傲慢な現実主義者。
一方で自分の想定通りに進まない事態には理解が追い付かないという頭の固さや、世界政府上層部の例に違わず不都合を力で消し去ってことを収めようとする短絡な思考など、欠点も目立つ。
加えて後述するが、根本的な思考形態そのものに悪趣味さが垣間見えるなど、窺い知れるその人格は作中でも上位に入るレベルで邪悪そのものである。
言動から窺い知れるその精神構造は、人間という枠に当てはまらない上位種……冷酷ながら律儀な一面などを見れば、それこそ悪魔と呼んでも差し支えないかもしれない。
事実、醜悪な内面は彼自身のとある場面を迎えた際に放ったモノローグで明かされたがそこに至るまでにそのような状況になるようには図っておらず成り行きのような形で実現しかけた。立場上いくらでも悲劇をばら撒けるものの権力を使い欲を満たすような行動はあまりなく基本的に世界政府およびイムの利益のために行動している。
反面、「人類に進歩など必要ない」と言い切るほどに「現在」に固執し変化を排除し、既得権益にしがみ付いているようにもうかがえる。
なお、「科学防衛武神」という肩書通り、科学者としての見識をうかがわせるようなセリフは見られるものの、エッグヘッドに自ら上陸してから明かされたエピソードを見る限りくま絡みでは完全にベガパンクに出し抜かれている。
とはいえこれは比較対象が作中でも頭抜けてすぐれた科学者であるため、相手が悪すぎただけの可能性もある。また、ベガパンクがばれた時には自分の命すら危うくなる後述のある策を取ったことも考慮すると、くまの人格消去を回避することや誤魔化す手を取れない程度には科学知識を持ち合わせているのは確実と思われる。
後述するがエッグヘッド編での立ち回りを俯瞰して見ると、指揮能力や危機対処能力は押しなべて低い模様。
これは、推し量れる価値観の根底に(世界政府上層部全てに言えることだが)「自分たちと相容れないものは世界に必要ない、だから消しても問題ない」という認識が存在することが理由と思われる。
戦闘能力
人間の姿から牛鬼という怪物に変身する。
覚醒した動物系に宿る羽衣のような蒸気を纏っており、五老星共通の能力として電伝虫を介さないテレパシーのような能力と不死身の肉体と呼ぶ程の再生能力を有する。
動物系幻獣種の能力と思われるが、他の能力者と比べて異質な点が多く、作中でも明言されていないので現時点では不明。
- 人獣型(仮称)
頭に牛や鬼の様な角を生やし上半身は人で下半身は蜘蛛のような生物の胴体という異形の姿。元より身長2m少々のロブ・ルッチの頭が腰ほどまでしか届かない長身(最低でも3m以上)だったが、この姿に変身するともはやフランキー将軍にも匹敵する程の巨体となる。
ちなみに人間時に尖っていた鼻は普通の人間のような丸い穴が見え、そこそこあった髭ももじゃもじゃのように大きくなっている。
- 獣型(仮称)
ルフィの攻撃に圧倒された後、早急にケリをつけるべく変身した。腕が消失し、より外見が蜘蛛に近づく。また白目が暗い色に染まり目つきも鋭く変化。人間というよりは怪物に近い外見となり、非常におぞましい風貌となる。
- サターン聖の能力
- 遠距離から魔法陣のような模様(サークル)を通り移動。自分だけではなく他の者も転送可能で距離は分かる範囲ではエッグヘッドからマリージョアまでと超距離である。
- 見えない何かで複数の相手を抑えつける技
- 睨みつけた相手に瞬間的に頭蓋が吹き飛ぶほどの衝撃を与える技
- 足に木を腐食させるほどの猛毒を付与する(獣形態時に使用)
- 爆発性のある小さな弾を口から複数発射
この他にもトシトシの実による年齢操作が効かないなど、人外の存在である可能性すらある。
- 基礎戦闘能力
単純な脚による刺突攻撃も仮にもパシフィスタであるくまの身体を貫くほどの威力を持つほどには強力。
一方で上記の再生能力を持つとは言えジュエリー・ボニーにあっさり刺されて流血する、くまの鉄拳を受けて簡単に吹っ飛ばされ重傷を負うなど、純粋なフィジカル面については高くはなく、能力を鍛えてフル活用するタイプの強者と言える(死なない限り再生できると考えれば納得のいくスタンスではあるが)
- 覇気
作中で覇気を使用している場面はあまり見られなかったが1115話の一コマに周りの電伝虫が停止しており、さらによく見ると黒い稲妻があることから覇王色の覇気かと思われる。
また、イムの存在を知ってしまったコブラを粛清しようとする際には拳銃を取り出しており、ラボを破壊する際には杖を武器として用いている。
- 考察
1094話に登場した頃はサターン聖が変身した蜘蛛の姿のモチーフは不明で、サターンの名と牛や鬼の様な角を生やした蜘蛛の姿から日本の妖怪である牛鬼または土蜘蛛ではないかと考えられていたが、1110話にて『牛鬼』(読み方はぎゅうき)である事が判明した。
牛鬼は西日本を中心に様々な逸話がありほとんどは人喰いで獰猛という言い伝えが多い。
さらに牛鬼の下記の逸話を見ると能力と似通った所がある。
- 牛鬼は毒の息を吐くというものがあり、猛毒はここに由来すると思われる。
- 相手を抑えつける技:これは恐らく山陰地方に伝わる逸話で牛鬼は濡女や磯女と共に海中から現れ女が赤子抱いてと言って相手を呼びとめ相手が赤子を抱くと石のように重くなって動けなくなり、その隙に相手を食べるというものがある。
- 睨みつけた相手の頭部に衝撃を与える技:牛鬼は凶眼というものを持ち睨みつけた相手を過労死させるというのがある。
活躍
※名前判明以前は親記事を参照。
過去
くまの回想で挟まれたゴッドバレーでの人間狩りにおいては、38年前の出来事にもかかわらず現在と全く変わらない姿で登場している。
「ハチノスの宝」に纏わる目的のもと襲撃してきたロックス海賊団、ロジャー海賊団を始めとする海賊たちの急襲による混乱の中、ニキュニキュの実を食べたくまを発見し衝撃波で転倒させると、「バッカニア族には奴隷になるか死ぬかしか許されていない」と冷淡に語った。
これに当然くまは反駁し「ニカのように一人でも多くの人たちを救いたい」と叫ぶが、
「……だから消えるんだ お前たちは」
と一顧だにしなかった。
なお、この時点ではいかなる経緯か意図か、くまを取り逃がしている。
しかしそれから十数年後、聖地へ天竜人の妻として拉致されたジニーに対して薬物実験を(恐らく秘密裏に)行っており、さらにボニーに対しても密かに「悪魔の実の力をエキスとして注入すれば能力を宿せるのか」という実験を行ってもいたことがエッグヘッド編で発覚している。
つまるところくまの身に降りかかった不幸の全ての元凶がこの男である。
そして、ベガパンクに会いにエッグヘッドを訪れたくまと彼の会話を盗聴しており、黄猿たち海軍を派遣した。クローン兵の素体としてくまは優秀であるがそれ以前に懸賞金2億9600万の名の知れた海賊であり、それを素体としたクローン兵を海軍が保有するのは面目が立たないと語った。
その上でボニーの治療への条件としてクローン兵の素体となることに加えて、追加条件としてポートガス・D・エースが落とした王下七武海の後任に海賊として加盟すること、海軍の人間兵器となること、その力を世界政府へ向けさせないためにくま本人の自我の喪失という3つの要求をする。
くまの改造が完了に近づくと、命令できない状況での暴走を止めるためとして自爆スイッチをつけるようベガパンクに命じた。この時ベガパンクから意識を切り替える発明を試すため、くまの自我を少し残すよう頼まれるも却下。
やむなくベガパンクは命令通りの措置を施したが……。
エッグヘッド編
空白の100年の研究をしていたベガパンクを確実に抹殺するため、海軍大将黄猿が率いる艦隊と共に自らエッグヘッドへと出航する。
エッグヘッド到着後、ドーベルマン中将から、エッグヘッド内部の状況を聞き、エッグヘッドの従業員、研究員、従業員の乗った船を沈めるように命令を下している。また、麦わらの一味がエッグヘッド研究層にて、ベガパンクの欲を人質にして立て籠っていることを知ると、即座に彼女の命とベガパンク全員の脳の役割を担っているパンクレコーズ、そしてマザーフレイムを生み出せる融合炉を最優先とし、その他の物は失っていいという方針を定める。
黄猿が先陣を切って島に上陸した後は、海軍全体の指揮を執り始め、最終的に「5」の数字が五法に並ぶ魔法陣を介して人獣型の姿でエッグヘッドに出現。
ベガパンクたちの前に立ちふさがるが、そこにくまの記憶を見たボニーの奇襲を受ける。
しかしそれも「刺されたくなければ避けておるわ!」と一蹴して再生、サンジたちを抑えつけながらギア5の反動で無力化したモンキー・D・ルフィの抹殺にかかったが、フランキーによって阻止される。この時サターン聖は 「……成程…協力型の海賊団か…」 と彼らのチームワークに感心するような様子を見せた。
その後しつこく襲ってくるボニーを捕らえ、彼女とくま、ジニーの身に起きた災難が全て自分の采配に起因することを淡々と語り海兵に射殺させようとするが、まさにその瞬間に背後から襲ってきたくまのレーザー攻撃で海兵が壊滅。
ならばとボニーを地面に放り出し自ら手にかけんとするも、割り込んできたくまに防がれ失敗。
さらに目の前で凄まじい怒りの形相で拳を構えるくまに対して流石に焦りの表情を見せ始める。
「どうなってるベガパンク!!? こいつは死んだハズだ!!!革命軍がくまを連れ去った数日後!!私はこいつの『自爆スイッチ』を押したのだから!!!」
叫ぶサターン聖だが、実際ベガパンクが取り付けたのは自爆スイッチではなく、くまを完全な植物状態にする「完全停止スイッチ」であった。それでもくまは動き、そしてこの場にやって来た。
いずれにしても唐突に訪れた想定外を前に、本物の狼狽を見せるサターン聖は次の瞬間、顔面にくまの怒りの鉄拳を受けて吹き飛ばされ、瓦礫の下敷きになってしまい、左角と右手を失う重傷を負う(それでも呻きつつくまを睨みつける余裕を残している)
それでもほどなく抜け出して戦線に復帰、ベガパンクにこの事態を問い詰め「愛ゆえと説明しても良い」と返され、
「成程……それは人体の盲断及び不具合(エラー)である さらば用済みの男たち…!!!」
と、千切れた右腕や折れた角を逆再生のように復元する能力を見せながら停止したくまにトドメを刺そうとするが、立ち直ったサンジに阻止され、さらにフランキーが放ったラディカルビームを追撃で喰らう。
一応任務を優先するボルサリーノもここで戦線復帰したが、混沌を極める事態を打破すべくバスターコールの発動を指令。
「『世界の秘密を探求する者』……『失われた種族の血を引く者』……『古き神を呼び起こしてしまった者』―――この島は不都合に満ちている!!!」
脱出を呼びかけられても「私と黄猿はここに残る」と断り、ベガパンクを「空白の100年を知識欲に負けて探求したお前が全てを巻き込んだ」と詰る(が、その後直接動こうとはせず、脱出に向かうベガパンク達をボルサリーノに妨害させる)。
そして空中に投げ出されたくまとボニーをパシフィスタに狙撃させつつ、
(最高じゃないか……!! 命を捨てて生かした娘が……!! 己のクローンに殺される愚かしさ!! 虫ケラに相応しき……!! 愚の骨頂!!!)
内心大いに悦に入るという下種な顔を見せた。
だが、「父の姿をしたパシフィスタにボニーが殺される」という最悪の事態を憂慮していたベガパンクによるパシフィスタの命令権第一位をボニーに設定しておくという仕込みによりこれは挫かれ、それどころかパシフィスタが「最優先命令」により海軍を攻撃し始めたため、いよいよ怒りを露にしベガパンクの胴体を脚で刺し貫く。
パシフィスタが使えないならとボルサリーノに一行の抹殺を指令するが、間髪入れずに完全復活したルフィが乱入しこれも失敗。
とどめとばかりエッグヘッドに襲来したのは、道中で脱出船を追っていた部隊を粉砕して「太陽の神」のもとに駆け付けた巨兵海賊団のツートップであった。最後はルフィの「ゴムゴムの白い銃乱打」を食らい吹っ飛ばされた。
飛ばされた先で黒ひげ海賊団幹部のデボンとオーガーに遭遇し、変身の種類を増やす為かデボンに触れられた(この時デボンと会話し、ティーチの目的が「世界」であることを聞くや攻撃を仕掛けたが、オーガーの能力で逃げられている)。
損傷を修復して立ち上がった後はルフィとサンジの前に再び立ちはだかるが、その表情はもはや人らしさなど微塵も感じられないような恐ろしい形相であり、ただ無言で淡々と敵を攻撃し続ける異形の怪物と化していた(サンジからも「随分人間の部分が減ったな」と言われている)。
しかし、いくら再生によってルフィ側の攻撃が効かないとはいえ、身体能力の差からか怒りの猛攻もギア5(ニカ)状態のルフィには遊び感覚であしらわれてしまい、お互いに一向に有効打を与えられない攻防が続く。
さらにはベガパンクが世界中の人々に向けて何かを発信しようとしており
サターン聖及び他の五老星はそんな状況に焦り、ある事を決意する──────
「呼ぶぞ」
「ああ」
その瞬間・・・既に混沌を極める戦場に、サターン聖がエッグヘッドに現れた時と同じ魔法陣が4つ同時に浮かび上がった。
そして魔法陣からサターン聖と同等の強大な覇気を放つ怪物の姿をした残りの五老星達が姿を現した・・・・・・
その後、ルフィに爆発性のある弾を発射するがルフィはその弾を打ち返し自身に直撃する。しかし効いた様子は無く燃え盛る炎の中、眼を光らせていた。
そしてベガパンクの配信を本格的に止めるべく、マーズ聖に続いて自身もフロンティアドーム内へ侵入。
そこで偶然にもかつて赤犬が取り逃したオハラの生き残りであるニコ・ロビンと遭遇。
すぐさま攻撃を仕掛け、ロビンを守るために立ち向かってきたナミ、ウソップ、チョッパー、ブルック、リリスと戦闘を開始する。
「“配信電伝虫”を!! いや、聞こえた生命反応を全て壊せ!!! その他は二の次だ!!」
「ベガパンク!!!! それ以上喋るな!!!!!」
だが、マーズ聖が自身の能力の関係で「融合炉」の部屋に行けないこと、最優先事項はベガパンクの配信を止めることになっていたため、一味を通り過ぎてドーム内部に突入(頭部を吹き飛ばす眼光や猛毒を使えば他の一味を退けつつロビンを確保できた気もするが、焦っていたためか使用する事はなかった)。
マザーフレイムのある融合炉の区画に突入すると人型に戻り、ラボ内の生命反応を虱潰しにし始める。……のだが、直前に「最も傷つけられぬ部屋だ」と言っていたにもかかわらず、杖で計器を殴って破壊して行くなど、やはり脳筋じみた行動であった。しかしその後は直接的な破壊行動を抑え、覇王色の覇気を発動して生命反応のある電伝虫を気絶させていった。
その後ヨークが配信電伝虫の居場所が鉄の巨人の中にある事を聞くと急いでそちらに向かった。
そして鉄の巨人をウォーキュリー聖が吹き飛ばし放送が止まると今度はヨーク以外の存命中ベガパンク(リリスとアトラス)及び麦わらの一味の抹殺を図るべく巨兵海賊団の船を強襲。鉄の巨人と戦闘中のピーター聖の頭部を踏み台にして巨兵海賊団の船首に張り付き、ボニーとくまを抹殺しに掛かる。
だがドリーとブロギーに防がれている間にガス欠から立ち直ったボニーが加わり、さらにルフィの横槍で攻撃を全て逸らされた上に「ゴムゴムの白い銃乱打」と「解放のニカパンチ」の同時攻撃を受けて再生が追い付かず体が崩壊。
さすがの五老星と言えども体が破壊されては踏み止まることは出来ず、再度陸地に戻される。
そしてバラバラ状態から再度再生し追撃しようとするが鉄の巨人が持っていたジョイボーイの覇気が込められた結ばれた紐を解いた事で甚大な覇気が迸り変身状態を解除されてしまう。
その後、人間状態のまま目の前にいる鉄の巨人の機能停止を見届けた。
余談
- 名前の「サターン」について、由来は恐らく土星の英名である"Saturn"。太陽系の惑星で、古代兵器のウラヌス=天王星とポセイドン(ネプチューン)=海王星、そして作中で名称が明言されていない地球を除くと、水星・金星・火星・木星・土星の5つになることから、他のメンバーも同じく惑星由来の名前と予想されており、その予想は的中することとなった。
- 牛鬼は怪力以外にも神通力といった上記の魔術的要素を持つといった逸話があり、意味は違うが充分に発達した科学は魔法と区別が付かないという言葉がある通り牛鬼と科学防衛武神の役割は関係していると思われる。
- 彼がエッグヘッドに上陸して最初に対峙したメンバーはベガパンク本人に加え、ベガパンクの元同僚の息子であるサンジ、ベガパンクの故郷で2年間を過ごしたフランキー、ベガパンクに父を改造されたボニーの3名であり、奇しくも全員がベガパンクと何らかの関連性を持つ人物である。
- サターン聖の立ち回りを見てみると、五老星全員に共通する危機意識の薄さが読み取れる。彼に限らず、長きに渡り「世界最高権力」として君臨し秩序を維持してきた経験、そして圧倒的戦闘力ゆえか、ニカの覚醒やベガパンクの通信に対しても「自分たちが動けば何とかできるだろう」と楽観している節があり、後者についてはマーズ聖が阻止に失敗した(これについても読みの甘さがうかがえる)ことでやっと慌て始める有様である。元々「理解の及ばない、あるいは政府にとって不都合なものは消せばいい」というやり方を通してきた弊害と思われ、暴虐的な手段を躊躇なく取る反面、危急の事態に対する対応力が低いと思われる(マーズ聖が通信を止めるため「融合炉を破壊したらどうなる?」と尋ねた際には「この島や周囲の軍艦・海兵が消し飛ぶのはいいとして」と前置きした上で止めており、彼らにとって重要なものはあくまでイムの命令であることがうかがえる)。
- 愛情や怒りなどの感情に由来する現象に対して「人体の不具合」と述べた辺り、精神面に起因する変化を肉体側の異常として理解している様子が見受けられる。
関連項目
この先にはネタバレにして彼に関する最期の記述が記されています。
ルフィ達が脱出した後、目的の物は手に入ったので「差し当たってはこれでいい」としてエルバフへ向かおうとする中将達に対し追跡はやめておくように指示し、余計な詮索をしようとしたドーベルマンに衝撃で重傷を負わせる。
……が、直後、彼自身も急に苦しみながら崩れ落ちる(当然だが、イムの存在を知らない中将達からは「何らかの病気」だと思われていた)。
彼もまた、「第二のジョイボーイ」たるルフィを逃がした失態でイムから見限られてしまい、科学防衛武神の座もガーリング聖が後釜として任命されていた。
「まさか私は……イム様……!!」
イム「サターン……なぜ逃がした “ジョイボーイ”を」
「慈悲を……!! あそこまで掴み所のない力だとは……!!」
「イ……ム……!! あああああああああァ!!!!!」
そして、中将達の目の前で「黒い何か」を体中から放出しながら急速に干からび、イムへ命乞いをしながら覇気の大爆発を起こして死亡。
五老星最初の脱落者となり、爆発跡には骸骨だけが残されていた。
これまで描写されてきた限りでも、人間を「虫ケラ」呼ばわりして「気持ちを理解することなど不可能」だと平然と吐き捨て、傲慢と差別、知的好奇心が重なって散々数多くの人間の人生を好き放題に踏み躙り、狂わせてきた挙句に被害者を平然と煽ってもいたこの男の最期は、よりにもよって自分よりも上位の支配者の怒りを買って粛清され、命乞いをするも聞き入れてもらえずにそのまま果てるという、余りにも惨めで皮肉な末路だった(上記の通り直前のシーンでは、自身がドーベルマンに対して容赦ない粛正を行っている描写が、それらをより際立たせているとも言える)。
この直前、200年前に発見された鉄の巨人を処分を命じられていたにもかかわらず、研究に使えると秘密裏に匿っていた事実が自身の回想で明かされており、皮肉にも自分で口にした「やめろと言われたことに首を突っ込む愚か者」になっていた故に身を滅ぼす結果となった。
この時のサターン聖は部下の科学者に対し「バレたら私が庇うから研究しろ」と理想の上司のような振る舞いをしている。この時はまだ科学者としての矜持があったようだ。
なお、エッグヘッドでの乱戦の最中、彼の外見データを得た海賊の存在もあり、今回の処刑はそれに対する備えも兼ねた可能性もあり得るだろう。