※この記事はストーリーの重大なネタバレを含んでおります
「どうしたんだ?おれ……」
「何で?…まだ立てる」
「敗けたのに楽しくなってきた…アハハハハ!!」
「おれのやりたかった事全部できる…………!!」
「これがおれの最高地点だ………!!」
「これだ…!!!"ギア5"!!!」
概要
内容 |
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能力 |
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欠点 |
『ONE PIECE』の主人公、モンキー・D・ルフィの身体強化技"ギア"シリーズの1つである。
四皇の一角である百獣のカイドウとの3度目の死闘の末、ルフィはCP‐0のゲルニカの妨害によって、"声"が消える程の致命打を受けた。
しかしその後、ルフィの心臓が解放のドラムのリズムを刻み始め、ニカッと笑うと共に突如復活を果たす。
ルフィ本人にとっても予期せぬ出来事であったが、「やりたかった事が何でもできる」と直感し、この状態を自身の最高地点であると定めて"ギア5"と命名した。
その正体はルフィが幼少の頃に食べたゴムゴムの実……真名「ヒトヒトの実 幻獣種 モデル“ニカ”」の覚醒によって起きた身体の変化である。
"ニカ"とはかつて存在した伝説の戦士であり、"解放の戦士"、"太陽の神"とも言われ、その体はゴムそのものの性質を有していたと伝わる(詳しくは該当記事を参照)。
つまり、ギア5の発動は"太陽の神ニカ"の性質を再現した現人神になること、そしてルフィの心身が能力の力へ完全に追いついたことと同義である。
五老星はニカが再来する事態を何より恐れており、それを阻止すべくCP-0にルフィの暗殺を命じたのだが、皮肉にもそれが覚醒の切っ掛けとなった。
なお、ワノ国編終盤にてゲルニカが撮影したギア5状態のルフィの写真がモルガンズの手に渡ったため、四皇入りを果たしたルフィの手配書の写真はギア5のものになっている。
容姿
※正式なカラーリングが判明して間もないため、本稿イメージ画像は殆どが非公式のカラーである。
武装色の覇気によって四肢や胴体の一部が黒く変化するギア4とは異なり、腰巻き以外の着用していた服を含めて全体が白くなり、目の虹彩は赤く染まる。また、髪は炎のように逆立ち眉の形状も変化する。
そしてギア4の時と同じくギア2の状態で出現する蒸気をさながら乙姫の羽衣のように羽織っており、髪型の変化も相まってどこか日本の神道における雷神や修験道における蔵王権現を思わせるような出で立ちをしている。
更にこの状態では象主が「解放のドラム」と形容し、ルフィ自身も気づく程に心臓の音が変化し、その音は正しくドラムのリズムである。
そしてこの形態になると"太陽の神"の影響が強く出るのか、ルフィの心は如何なる苦境であろうと楽しい感情で満たされ、意味もなく笑えてきてしまうらしい。
いかなる戦いも愉快な絵面に変え笑い続けるこの状態こそが、ギア5の最大の特徴と言える。
戦闘能力
発動方法
「上がれ心臓の音…!!」
自身の心臓の鼓動を"解放のドラム"のリズムにして発動できる。
本編でギア5を初めて発動させることができたのは、カイドウの一撃を受けた際に起こった正に奇跡であったが、以降はルフィがコツを掴んだことで自らの意志で心拍を変えて自在に発動できるようになった。
もともとギア2からの強化は、ゴムのような肉体(血管)をポンプのように使って血液の循環をブーストさせることで身体能力を向上させていたが、心臓そのものが変化したことにより更なる飛躍がもたらされたと考えられる。
能力
ゴムのような肉体を活かして自身の速度を強化できるギア2、骨風船によって身体の一部分を巨大化させて技の威力を強化できるギア3、筋肉風船とルフィ自身の鍛錬で得た覇気で巨体と弾力を得られるギア4に対して、このギア5は悪魔の実の覚醒を基盤とした形態である。
五老星曰く、ルフィが食べた悪魔の実の覚醒はゴムの体に、更なる“腕力”と“自由”を与えると伝わっており、ルフィ自身も「おれのやりたかった事全部できる」と語るまでの極大の強化が為される。その為ギア5を発動させて行う戦闘は四皇のカイドウですら「見たことがない」と称する程に自由なものになり、かつては苦戦を強いられ現在は同じく能力を覚醒させたロブ・ルッチを相手に一方的な戦闘を展開し、終始圧倒できる程の戦闘能力を発揮できるようになる。
これまでに判明している能力は以下の通り。
- 身体の巨大化
- 腕力を自在に強化
- 周囲の物体にゴムの性質を付与
その変化は物体はおろか周囲の人物にも及び、ゴムに変化させた壁や地面を活用すればカイドウの"熱息"も跳ね返し、殴りつけたカイドウの顔面はその後ろまでめり込んで伸びた。このことから相手がどれだけ硬くても防御力をほぼ無視して攻撃できる模様。
また、どういう訳か雷までもゴムに変化させることが出来るようで、カイドウとの戦いの際には降り注ぐ雷を槍のように握って投げつけたり、掴んだ雷を軸にポールダンスの如く空中で回転するといった機動力の向上にも役立てている。
- 空中を走る
- 耐久力
- 物の創造能力
なお、創造したアイテムは一定時間で消滅する模様。
弱点・反動
打撃に対する防御力がこれまで以上に強化されるギア5だが、ギア4とは異なり斬撃が弱点であることは変わらないままである。
また、ギア5が解除された時にはカイドウやボニーがルフィであることが分からなくなるほど身体が老化する。この反動は超新星編時点のギア3の身体が縮む副作用と同じようなもので、一定時間が経てば元に戻る。
他にも、ルフィ本人曰く消耗が凄いらしく、死にかけの状態でギア5を連続で発動した際にはカイドウに「死ぬぞ」と言われていた。
また、この状態になったら誰相手でも無双できるというものでもなく、覚醒後もなおカイドウに苦戦している。尤も、相手のレベルが文字通り「世界最強」だった故、あまり比較にはならないが。
技
技名は今までのギアとは異なり、"JET"といった決まったフレーズや動物の名前が必ず付く法則は見られない。しかしどの技も自由度の高いものとなっている。
名前はほとんどがその場の思いつきであり、技をやった後に「今の技の名前何にしよう?」と考えてるものすらある。(この事から、ルフィは今まで使用してきた技の名前は全て自分自身で考え使用している事が判明している。)
エッグヘッド編以降は技を考えていたのか、“白い(ドーン)”というフレーズがつく技が増えた。
- ゴムゴムの風船
- ゴムゴムの脱出ロケット
流れは通常時の「ゴムゴムのロケット」と同じだが、この技を使用する際、ルフィはカイドウの目玉の裏から手を伸ばし、鼻を掴んで勢いをつけていた。
- ゴムゴムの巨人(ギガント)
身体を自在に巨大化できる能力を用いて、自身を巨人族並かそれ以上の体躯に変化させる。
ある意味ギア3の究極形とも言える。
余談だが、アニオリながらこの技以前に「身体の大きさを変えられる悪魔の実の能力を持った巨人を小人サイズの状態で呑み込み、体内で巨大化させる」という驚きの方法で、ほぼガワだけながら文字通り巨人サイズにまで巨大化したことがある。
- ゴムゴムの縄跳び
- ゴムゴムの???
敵の攻撃で歪んだ身体をカウントダウンを行って戻した後に腕及び全身を「ゴムゴムのUFO」のように回転させながら敵に接近し、敵の顔面に目掛けて拳を放つ。
一見ふざけた技であるが、武装色と覇王色の覇気を纏った技の威力は拳がカイドウの顔面を貫通したように見える程にのめり込み、カイドウを地面に背をつけさせる程強力である。ただし実際に顔面を貫通しているわけではなく、悪魔の実の覚醒によって拳が当たる瞬間にカイドウの顔がゴム化したからと思われる。
単行本では分かりやすいように修正が入った。
- ゴムゴムの雷
落雷をゴム化することで掴み、投げ槍のように相手に投げつけるという、カイドウ曰く「デタラメ」な技。
高い威力を誇る落雷のタイミングを自在に操れるという強力な技だが、カイドウには避けられてしまった。
一応言っておくが雷を反射神経で避けられるカイドウが異常なだけである。
- ゴムゴムの猿神銃(バジュラングガン)
自身の腕を鬼ヶ島を上回る程の大きさまで巨大化させ、膨大な武装色及び覇王色の覇気を纏って放つ「ゴムゴムの猿王銃」の強化版。その威力はこれまでの技とは一線を画し、火龍大炬を使用したカイドウの防御を正面から打ち破り、天空から地中奥深くのマグマ溜まりに叩き落とせる程絶大(カイドウはマグマ溜まりに落ちていることから、少なくとも地下数kmの深さはあると考えられるため、ワノ国の地質構造を考慮しても、地下10km付近、或いはそれ以上の深さまで落ちていても不思議ではない)。
ルフィはこれまで100種類を超える技を使用してきたが、技名に神という単語が付けられたのはこの技が初であり、今までのギア5の技名がその場の思いつきの様なネーミングセンスであったのに対してこの技のみしっかりと当て字を使われた上で放っている(意味は後述)。
またこの技は劇場版『ONE PIECE STAMPEDE』でルフィがギア4を発動した上でバレットに対して使用した「ゴムゴムの大大大猿王銃」を彷彿とさせるが、武装色の内部破壊の技術と覇王色の覇気が合わさったこちらの方が威力は遥かに強力と思われる。
- ゴムゴムのモグラ銃(ピストル)
エッグヘッドにて再び対峙したロブ・ルッチに対し使用した。
余談だが、この技以前にアニメ版ではアラバスタ道中にてメスカルサボテンを食べて錯乱した状態で、腕を砂中に忍び込ませ軌道を予測させないように打つ「ゴムゴムのサブマリン」と言う技をゾロに対し使用していた。
- ゴムゴムの白い鞭(ドーンウィップ)
自身の回転の勢いが強すぎて使用後に無防備になる弱点があるが、当たったときの威力は高い。
- ゴムゴムの白いロケット(ドーンロケット)
発射の際は髪の毛からゴーグルを創造して装着する。
エッグヘッドでは真空ロケットの軌道パイプを発射台にして使用し、その威力は覚醒フォルム状態のルッチの意識を飛ばしかける程だった。
余談
- コミカルな描写
ギア5の発動時には覚醒したルフィやその覚醒ルフィに掴まれたカイドウ、そして戦いを観ていた周囲の人物の顔から目玉が飛び出すという、一昔前のカートゥーンアニメのような演出が覚醒後の戦闘には追加されている。
カイドウからも「まるで絵物語」と評されたが、これは前述の周囲の物体にゴムの性質を付与する能力によるものとみられる。
これらは1930年台のカートゥーンに顕著にみられた、キャラクターの体やあらゆる物体がゴムように伸縮する「Rubber Hose Animation」と呼ばれる表現を意識したものと思われる。
ちなみに、その代表の宇宙の帝王をも恐れさせた中年警官は、コラボ企画にてゴムゴムの実を食べている。
- 解放のドラム
- ジョイボーイとの関係
- 読者の質問に対する作者の回答
- モチーフ
また、インドにおいて白い猿、人々を笑顔にする、伸縮自在の法で大きくも小さくもなれる、服装が2年後のルフィとそっくり、父親が風に関係する、インド神話最強クラスの戦闘力、「猿神」で「バジュラング」という当て字になっていることからハヌマーンなのではとも考察されている。
小冊子「Road To Laugh Tale」に掲載されたギア5の設定画に「ハヌマーン 猿神」とあり、ほぼ確定と思われる。
尚、「ゴムゴムの猿神銃」(バジュラングガン)に関しては雷神インドラがヴリトラという龍を倒すのに使われた武器である『ヴァジュラ』もモチーフに含まれているという意見も少なからずあり(ヴァジュラ+コングでバジュラング)、ルフィはこの技を龍に変形したカイドウとの戦闘で使っている。
また、コンセプトとして確定しているモチーフがあり、それが『トムとジェリー』である。
尾田氏は青山剛昌氏との対談にて、ギア5のカトゥーン的な描写は『トムとジェリー』に由来していると述べている。
更に、『トムとジェリー』を参考にしたと思われる描写は、ゴムゴムの実の腕が伸びる様や、水を飲み干して身体を水風船やポンプの様に膨らませる、ギア3の腕を風船の様に巨大化させる等、これまでにも散見される(と言うか、他作品を参考にしたとしてもその中でも明らかに『トムとジェリー』から参考にしたと思われる要素が多い)。
また、主人公の1人であるトムの本名は「Thomas D. Cat(トーマス・D・キャット)」と「D」のイニシャルをミドルネームに持っている点も類似している。
関連イラスト
まだ正式なカラーリングが判明して間もないため、以下のイラストはすべて非公式のものである。
またその情報が判明したのが初登場の1話後、つまり本誌掲載基準で一週間後だったため、着色だけイメージのイラストも多く、特にジャンプ漫画の大先輩の影響か、怒りで覚醒した穏やかな心を持つ戦士のような着色が多い。
関連動画
関連項目
ONEPIECE モンキー・D・ルフィ
ギア2 ギア3 ギア4
悪魔の実 ゴムゴムの実 ヒトヒトの実
ニカ 解放の戦士 解放のドラム
ジョイボーイ
ネタバレ注意‼️
2022年公開のONE PIECE FILM REDにおいてテレビアニメ本編に先駆けて映像作品に初登場。映画ではラスボスにとどめの一撃を入れる際にギア4から覚醒する形で顕現しその直後に後ろ姿とはいえ全身像が明らかになるなど、サプライズとして登場した。