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概説

現人神(あらひとがみ)とは、「人間の姿で現れた」のことである。

同義語として現御神(あきつみかみ)、現神(あきつみかみ)明神(あきつみかみ)がある。

荒人神(あらひとがみ)とも書く。たまに現代神と誤記される。

多くは「その神話宗教における神の血を引いている」「その身に神が宿っている」と称される、若しくは称している人物。

古くは世界中で皇帝などの君主が自らを「神の子孫」「神の化身」と称し、自身の権力の正当化や民への威圧として利用してきた(君主崇拝)。君主崇拝自体は一神教仏教の国教化によって消えて行ったが、君主を地上における神や仏法の代理人と捉える考え方はその後も残った。

余談だが、没した人物がとなり祀られる信仰人神(ひとがみ)と呼ぶ。海外でも関羽などの武将が神に祭り上げられるケースがある。

現在の現人神

天皇も一種の現人神と見なす考えは古代よりあり、第二次世界大戦中はとくに神格化が強まった。終戦後、昭和天皇は詔書(いわゆる「人間宣言」)で自身の神格性を否定し、欧米各国では大きく報道されたが、日本ではいわゆる人間宣言はほとんど注目を集めなかった。

これは、詔書で否定されたのは西洋的な神格であったが、の概念が欧米のキリスト教、ユダヤ教やイスラム教における、いわゆる「唯一神」とは異なり、ましてや日本では「人間」が同時に「神」であることが矛盾だとは考えられていないことによる。天皇が西洋的な意味での神と考えていた日本人は一人もいなかったのである。

平成時代の現在でも日本古来の伝統的な天皇の現人神観念が存続していることは、即位時の大礼からも見てとることができる。

本来日本において「現人神」とは天皇などの君主に限られたものではなく、古代〜中世には諏訪信仰における守矢氏等の神官の家系などが崇拝の対象にされたほか、娼婦芸能人身体障害者などが差別されつつも崇拝の対象にされていた。

海外でもチベット仏教におけるダライ・ラマやパンチェン・ラマなどの「生き仏」がそれに当たる。インド神話でもヴィシュヌ神が英雄の姿に転生する「アヴァターラ」、多神教の神話では神と人間のハーフとされる「半神」という概念がある。

近年ではこれが転じて、「神がかった成果を出した人物(主にスポーツマン)」を称する場合がある。

「漫画の神様」と称された手塚治虫や、ピクシブにおける「神絵師」も、現代の「現人神」と言えるかもしれない。

このように現実に神として扱われる人物もいるが、キャラクターの設定としてこの要素を持つものもいる。

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