概要
声 - 小山茉美(1981年版)、川田妙子(1997年版)
演 - GUでの実写コマーシャル・中条あやみ
鳥山明による漫画『Dr.スランプ』および、その作品を原作としたアニメ『Dr.スランプ アラレちゃん』、『ドクタースランプ』などの主人公。
眼鏡を掛けたロボットの女の子。則巻千兵衛がノリと勢いで開発した人間型ロボット(アンドロイド)で、アラレがロボットであることはガッちゃんズとオボッチャマン、頭脳明晰なターボ以外内緒にしている(オボッチャマンを製作したマシリトは例外)。当初は「大都会島で養生していた妹」としていたが、千兵衛の祖父が登場した時は「キャラメルのおまけ」とごまかしていた。特技は「地球割り」「あいさつ砲」など。
食事はできないし排泄もしない(だからあんなにウンチに興味を示しているらしい)。エネルギー源はロボビタンAなる液体(原料は海水)だが、たまにジュースや水を飲んでいるシーンがある(初めこそ「おなか錆びない?」と気にする素振りを見せていたが、徐々に気にしなくなっていった)。
1980年トビウオ3日(5月3日)に誕生。身長139cm、体重31kg。
タグとしては「アラレちゃん」のほうが一般的。
趣味はコスプレ。80年代の時点でネコ耳や着ぐるみを常用していた。
眼鏡をかけているがこれは伊達眼鏡などではなく本当に視力が悪い。眼鏡を外すとロクにものが見えなくなる(「アラレ目テレビジョン」によって描写された裸眼時の視界は、ぼやけて一切何も認識できないレベルであった)。これは「ロボットなのに眼鏡をかける」という作者のシャレ的発想によるもの。ロボットなのだから本来は眼のパーツを修理すればいいはずなのだが、あえて眼鏡で解決するズレた発想こそが千兵衛博士の真骨頂である。
原作・1981年版では紫髪であるが、1997年版では(ドクタースランプ)では茶髪になっている。
だがその後は原作のデザインに再度戻され、21世紀になって登場した作品ではほぼ原作のデザインで統一されている。
声優についても1997年版版を除けば小山が一貫して演じ続けており、千兵衛を演じた内海賢二氏が亡くなってからは1981年版から唯一出演し続けているキャストである(『ドラゴンボール超』の千兵衛は、1997年版の屋良有作が演じた)。
漫画・アニメ界において作中で眼鏡っ子と呼ばれたキャラクター第一号。
つまりこの言葉の語源であり、その後の眼鏡キャラのジャンルに一石を投じた存在でもある。
当時、彼女の存在により勇気づけられ救われたリアル眼鏡っ子は数知れない。実際に「アラレちゃんのおかげで眼鏡をかける事が楽しくなりました(苦ではなくなりました)」という類の心温まるファンレターがジャンプや作者の元に数多く届いたとか。
というのも、アラレちゃんが登場するまでのアニメ・漫画ジャンルにおける眼鏡少女は、大抵が知性とパワーバランスを狡猾に用いたモラハラやマウンティングで主人公をイジメるライバルキャラだったり、あるいはお嬢様(悪役令嬢)の腰巾着キャラで主(友達)のために主人公を陥れて罠にかけるキャラだったり、というヒール役である事が多く、味方側としても知性を武器にするキャラ(あるいはただのモブ)であり「子どもに身近な存在」「明るいキャラ」としては描かれてこなかったのである。少女漫画に至っては眼鏡=ファッションの敵という扱いでありアラレの登場まで眼鏡っ子とはブスキャラの象徴であったのだ。
(小山が本作放映の1年後に主演した魔女っ娘アニメ「魔法のプリンセスミンキーモモ」でも、主人公のモモが眼鏡着用の美人に変身してモデルとして活躍し、世の眼鏡っこたちに夢と勇気を与えるというエピソードがある)
ちなみに彼女を眼鏡っ子というあだ名で呼ぶのは、毎回アラレちゃんにパトカーを吹っ飛ばされるペンギン村の警察官コンビ「ガラ&パゴス」の二人。
全くの余談であるが、「んちゃ!」「キーン!!」「ほよよ~」「バイちゃ!!」などの「アラレ語」は1980年代初頭に社会現象を巻き起こし、ビートたけしが当時ネタにしていたほど。
10年後にはオボッチャマンと結婚しており、千兵衛に赤ちゃんアンドロイド(ロボット)を密かに作ってもらい1児の母親になる。結婚して母親になっても相変わらずウンチつつきやパトカー壊しなどをやってるため、作者の鳥山からは「母親になってもまだこんなことしているのか?」といわれる始末。
上記のように当時としては非常に属性が多い女性キャラクターでもある。
性格
アラレちゃんは純粋で天真爛漫な性格の持ち主である。そりゃあもぉはた迷惑なぐらいに天然である。まぁDr.スランプという作品はアラレちゃんの天然っぷりが巻き起こす大騒動で出来てるようなモンだから仕方がないか。
無茶苦茶ではあるものの、アラレちゃん自身には悪意というものが全くない。とても優しい心の持ち主で、友達のクマ(熊型の人ではなく普通の動物)が撃ち殺されたときなど、クマにサイボーグ手術を施すために自分の体を丸ごと部品として差し出した(結果クマは、指先一つで木々を薙ぎ倒せるアラレちゃん並みのパワーになった)ほどである。
自分と同じ存在であるオボッチャマンのことは大切に思っており、彼のピンチには我をも忘れて駆けつけることもしばしば(その性格から恋愛感情は殆ど感じられないが、それなりにオボッチャマンの事が好きではあるようだ)。
意外にも原作の連載最初期では、比較的他人に礼儀正しく話したり、普通の女の子のように「クスクス」と自然に笑う仕草も見せ、千兵衛にも敬語を使うなどある意味まともな面も見せていたが、天然ボケな面が破壊的に目立つようになるのと反比例して、初期の数少ないまともな面もまるで見せなくなった。
喜怒哀楽の感情で云う、「喜」と「楽」のみに偏ったような性格だが、友達の動物が危害を加えられた時など、稀に怒りの感情をあらわすこともある。哀しみの感情に関してはさらに稀である。
【中田ヤスタカがアラレちゃんをイメージして作詞・作曲した歌謡曲『すんごいオーラ』】(歌唱:竹村桐子)
※「すごいすごいってなるくらい」や「ておーい ておーいって逃げてくよ」ついで「すんごいオーラに包まれた まぶしいくらいの女の子」など連想できるキーワードを歌詞にちりばめている。
なお、アラレの体内にオケラが入ってしまった際には別人のように可憐でおしとやかな性格に変貌しており、一話限りの一時的なものとは言え、その変貌っぷりは村民全員がドン引きする程だった。
能力
アラレちゃんの能力は理不尽なまでのスーパーパワーである。ロボットなんだから当然だろと思われがちだが、冷静になっていただきたい。確かにロボットだからパワー面や頑丈さで人間より強いのは、ある程度おかしくない現象だが、アラレはこんな小学生並みのサイズの体で地球を鉄拳一発で真っ二つにしたり、体当たりで人間を月まで吹っ飛ばしたりしているのである。
……まぁアラレちゃんだししょうがないか。
初期の頃は体が異常に頑丈なだけであったが、話が進むにつれてパワーインフレを起こしており、気がつけば神にも等しいスーパーロボットに成長してしまった。
子供の頃とは言えあの悟空さが仰天するほどのパワーを発揮したんだから相当なモンである。
(後に、少なくともあの時点では悟空よりアラレのほうが強かったんじゃないかなあと作者が明かしている)
千兵衛にとってアラレの桁外れなパワーは意図したものではなかったらしく(いわゆる設計ミス)、作中でも何度かアラレのパワーを人並みに抑える改造を施そうとしていたが、当然のように尽く失敗に終わっている。
見ていて心配になってくるほど精神年齢が低いのであまり知られてないが、電子頭脳は極めて優秀である。教科を問わず勉強が得意で、特に数学が強く、大都会島からやってきた転校生の問題集を暇つぶしに解いても全問正解している。まあそんな頭脳もアラレ自身の底抜けに脳天気な性格に加えてギャグ時空なペンギン村では活かす機会が皆無なのだが。
あと、アンドロイドであるために首が取れる。物語当初は、それでも首と胴体がコードで繋がっている「有線式」だったのだが、先述のクマを助けるための施術をきっかけとして頭脳が電波を飛ばして体を制御する「無線式」へ、さらに後には体にもバックアップ(補助)用のサブ電脳が搭載されており頭脳の指令が受けられない際には体だけが独立して動ける「頭体相互半独立式」へと地味にバージョンアップした。
人前で度々自分から首を外すことも多く、これが普通の漫画ならロボバレを危惧する場面になるのだろうが、ペンギン村の住民達が誰も彼も適当な性格なため深く追求されることはほとんどない。
まぁ、メタ的な事を言えば、こうした「首とれ表現」は全部作画と物語の都合によって発展した設定だったりする。
まず、アンドロイドらしさを表現するために首を取りコードを見せた。しかし週刊連載をしていくうちにコードを描く手間がとれなくなって無線式にした。無線式にしたことで「アラレが頭を失くす」という展開を使えるようになったが「頭脳の圏外になったら体はどうなる。体を誰かに拾われたらメカバレするだろ」となり、さらには「体だけが独立して動いてたら、みんな驚くし自身の正気を疑う(ここにおかしみが生まれる)」という結論となって「半独立式」へと発展する事となった。
また、代名詞である「んちゃ」の挨拶を大声で叫ぶことで「んちゃ砲」というかめはめ波を思わせる光弾のようなものを発動できる。具体的に何を発射してるのかは不明だが、「んちゃ」以外の言葉でも発動可能であるため、アラレちゃんの大声そのものに破壊力があるということなのかもしれない……。
が、この技はエネルギーを大量に消費するらしく、数発で機能停止してしまうため連続使用の際はロボビタンAでの補給が必須のようである。もしかしたら活動エネルギーそのものを凝縮して放出しているのかもしれない。
もしも、現実に再現できたらイグノーベル賞ぐらいは堅いだろう。
しかし、原作漫画の中では意外にもアラレが最強というわけではない。エネルギー切れに追い込まれたり、普通にアラレ以上のパワーをもつ敵が出現するので、アラレの力をもってしても敵に歯が立たなかったり、ボディを壊されてしまったり、という事態も何度か起こっている。その度に、ガッちゃん、オボッチャマン、摘突詰など、他のキャラクターが敵を倒している。
なお、家事能力は皆無である(製作目的が不明な原作およびアニメ一期版はまだしも、メイドロボットを作ろうとして偶然できてしまった二期版も同様なのは目も当てられないが)。
鳥山明氏にとっても思い入れのあるお気に入りのキャラである。
ドラゴンボールでの登場
ちなみに、無印版ドラゴンボール、およびその劇場版のひとつ「摩訶不思議大冒険」にてガッちゃんと則巻千兵衛と共にゲスト出演している。ゲーム作品でも「ドラゴンボールZ Sparking METEOR」、「Jスターズビクトリーバーサス」などでも共演している。
2014年9月にスズキの軽自動車・ハスラーのCMに出演(CV:小山茉美)。同CMのシリーズにはアラレ以外のキャラクター達も多数出演している。
「ドラゴンボール超」にも登場。桃白白と戦うより前に出たきりなので、映像作品での悟空との共演はアニメ2作目のドクタースランプ以来で本当に久しぶりである(作中の年月でも25年以上ぶり)。
「超」43話で一瞬だけの登場となった。
※この経緯が生かされたか、元々予定にあったのかは不明だが3DSソフト「ドラゴンボールフュージョンズ」にも登場が確定、原作での初登場の時期を考えれば「ドラゴンボール」枠ではあるが「ドラゴンボール超」枠に収まっている。
※ブウが地球ぶっ壊したときにはどうなったんだ、とお思いの方もおられるだろうが、人造人間8号が普通にブウ編最終回や「超」で出ていたことから、鳥山世界においては高度な人格を有していればロボットでも神龍の力で生き返ることが出来るのかもしれない。『ドラゴンボールGT』では地獄からメタリック軍曹が復活していたし。……え? そもそも地球壊したぐらいでアイツら破壊しきれるかって? それは、まぁ、うん、そうねぇ……
その後、「超」69話にて再登場。
留守番を担当していたが、地獄から蘇ったDr.マシリトが混入した「アソビタインX」によって遊びたい欲求を100倍にされガッちゃんとともに暴走し、世界発明品アワードの会場を荒らしていく。
ギャグ漫画のキャラの力を存分に発揮しベジータを瞬殺し、んちゃ砲は超サイヤ人ブルーとなった悟空のゴッドかめはめ波と互角の威力を発揮した。
おまけに次は100倍んちゃ砲を撃とうとしたが、ビルスの登場により中断された。
前回は一瞬の登場だったためか、アラレと悟空は二人とも今回が久しぶりの再会だと認識していた。
年齢差以外に初対面と知り合いの違いもあるのか、ベジータは「おっさん」で悟空は「悟空くん」と呼んでいた。
余談
連載開始時はあくまで千兵衛が主人公でアラレはマスコットキャラクター的な位置づけだったのが、担当編集者鳥嶋和彦の指示によりアラレが主役の作品に方針転換された。
物語序盤では小柄ながら背丈もそれなりにあり、膨らみもくびれもちゃんとあったのはあまり知られない事実。意外だが、序盤はDr.スランプらしからぬシリアスな展開が含まれており激怒した表情のアラレの描写もある。
話が進んでいくなかで、登場キャラ全体のデフォルメ化が進行し続けたため、現在の知られる幼児体型に落ち着いている。
なお原作の後期(JC16巻)には「読者の疑問にお答えする」というギャグ漫画ならではの回があるのだが、案の定、このデフォルメの進行に関してツッコミが入っており「アラレにはサイズの異なるスペアボディ(あるいはバージョンアップに合わせて使わなくなった旧ボディ)が複数、用意・保管されている」という一応の回答が成されている。ただし、これは作者が辻褄合わせに出した(千兵衛を100円で買収して用意させた)回答である事も同時に表現されている(なので、それ以前にアラレがバラバラになった回では、これらのスペアボディは使われず、代わりにオボッチャマンのボディで代替した事がある)。
関連イラスト
関連タグ
Dr.スランプ アラレちゃん ペンギン村 則巻千兵衛 ガッちゃん オボッチャマン
ロボット アンドロイド 眼鏡 紫髪 怪力
手を広げる
霰(艦隊これくしょん) …口癖が「んちゃ」だったりする
ブルーン…令和における眼鏡を掛けるロボット
チャコ(DQB2)…キャラデザ及びカップ焼きそば現象。
白玉兎のロール…アラレちゃんに影響されたと思わしき要素がいくつか存在し、原作でのお月見衣装とうまくミックスさせたような意匠となっている。
ギャル刑事トマト…本作を描くきっかけとなった鳥山による読み切り作品のタイトル兼主人公。初期のアラレは、トマトにどこか似ている。