「もうパワーアップしていくだけの殺し合いはたくさんだ!!そこからは何も生まれない!!」
概要
バトル要素のある少年漫画でよく起きる現象である。インフレの語源は勿論経済論に登場する「短期間での価値の高騰」を指す"インフレーションのこと。
──がループしていくことで、最初はちょろっと岩を砕いたり、ほんのちょっぴり火が出たりしていただけで驚かれたのが、いつの間にやら山を吹っ飛ばしたり都市を更地にしたり森を薙ぎ払ったり軍隊を瞬殺したりしなければ戦力にならないようになり、結果的に地球をエネルギー弾一発で破壊できる奴や、その気になれば全宇宙を一瞬で消せる奴、銀河を片手で掴んじゃうくらい巨大な奴が出現するなど、スケールもレベルもなんかよくわからない領域にまで達していくことになる。
中にはほとんど命がけでパワーアップしてもすぐにかませ犬化したり、「最強パワーアップ」などと謳いながら更なるパワーアップの必要に迫られるなんてことも。
こうした現象が起きる背景に、「トーナメントの法則」などと言われているものがある。
「勝ち残っていくことでより強い相手と戦う」トーナメント式の試合と形式が同じになっていくというものだ。
バトル漫画は主人公たちの「成長」に焦点があてられることが多く、その成長を表現する上で「強大な敵との戦い」は格好の題材になるため、物語が続く限り強い敵を次々と出さざるを得ない状況になっていく。
結果「強い敵→主人公パワーアップ→さらに強い敵→さらにパワーアップ→さらに…」のループ現象を生むことになり、こうした状況は「ありがちで面白みに欠ける」「テンプレに堕した」と否定的に語られることも多い。
実際、これを続けていくことで作品本来の個性が薄れ、「一体この作品はどんな漫画なのか」を読者も作者も見失ってしまう原因にもなる。
なお、漫画作品内でメタ的にパワーインフレを語った作品として、1990年代中盤『GS美神』内で「少年漫画って力のインフレが激しいから嫌いよ!」という台詞がある(この作品自体は実際にはラスボスとその側近が登場するまではそこまでインフレは激しくなかった)。この台詞を覚えていて後にネット上で使う人も多かったのではないだろうか。
スピードインフレ
パワーインフレの一側面で、『生徒会の一存』でヒロインの椎名深夏が「一瞬で距離を詰める攻撃に対応できるようになっても、次の奴はもっと遠い距離から反応できない速度で距離を詰めてくる」などと語っているアレ。いわゆるヤムチャ視点からの脱却と更なるヤムチャ視点の導入の無限ループである。
2chの「最強議論スレ」では「ガッシュ式計算」(最初にこの方法で速度を算出したのが『金色のガッシュ!!』だったため)として知られる。
パワーインフレが顕著な作品
漫画
ジャンプ作品
- ドラゴンボール
- 世界一有名なバトル漫画。初期は作中最強クラスであった亀仙人をはじめ、多くのキャラが戦力外になっていった姿を覚えている者も多いだろう。
- 魔人ブウ編で一旦完結後、正統続編として始まった『ドラゴンボール超』では、ただでさえ過激だった設定のスケール及び戦闘力のインフレがますます極端になる一方、それまで戦力外どころか役立たず認定さえ受けていたキャラも活躍する機会が大幅に増えた。
- ゲスト程度とは言え本編に絡む形(それも割と重要な役回り)で出てきた前作の主人公は片手で小突くだけで地球を壊せることを考えると、その終盤でようやく肩が並んだだけと言えなくもないが……あっちはギャグ漫画であるため、深く考えないほうがよさそうだ。
- リングにかけろ
- こちらはジャンプバトル漫画におけるパワーインフレの始祖。気弱で優しい少年がボクシングを通して成長する熱血スポ根漫画として始まったが、ライバル・剣崎順と彼のフィニッシュブロー「ギャラクティカマグナム」が登場してからというもの作風が一変、生々しい骨肉を砕く音が試合の度に鳴り響き、場外まで試合相手をぶっ飛ばし、ぶっ飛ばされた相手もゾンビのように復活して試合続行なんてのはもうお約束な、文字通り命懸けの死闘を毎試合繰り返すようになる。
- そして終盤は最早「ボクシング要素のある殺し合い」と化し、本当に試合後に命に関わるような展開になっていった。
- 聖闘士星矢
- こっちもこっちで序盤からムチャクチャな設定がつるべ打ち状態だったが、終盤では本物の神々が対戦相手となり、幾度となく世界が滅亡しかけた。
- キン肉マン
- 幽遊白書
- 序盤ではただのケンカ番長だった主人公が、終盤では拳圧だけで山を吹き飛ばせるようになり、6巻〜13巻に掛けて描かれた「暗黒武術会編」のラスボスにして読者に圧倒的な絶望感を植え付けた戸愚呂弟が続章ではB級程度にランク付けされ、実質的な最終章に当たる「魔界統一トーナメント編」では主人公達のみならず中盤以降の脇役勢までS級に到達するように。B級妖怪とは何だったのか…?
- ジャングルの王者ターちゃん
- バトル路線を取り入れて以来、対戦相手が普通の格闘家→サイボーグ格闘家→吸血鬼→主人公のクローン→古代人→未来から来た昆虫型バイオ改造人間とエスカレート。特に悪の組織「ケルベロス」のサイボーグ格闘家は、初めて登場した頃はそれなりに強かったのに、クローン編終盤では時間稼ぎすらできないまでに成り下がった。
- ただし味方側のパワーアップ自体はヴァンパイア編でほぼ収まり、クローン編終了後はバトルを交えながらもむしろ野生動物及び地球環境保護のメッセージ性を強く押し出した作風になったため、読んでいて感じるインフレ度は控えめ。
- 世紀末リーダー伝たけし!
- 作者自身が古き良きパワーインフレ漫画に親しんで育った世代だけに、町の不良との喧嘩→巨大不良組織との喧嘩→孤島で怪物と喧嘩→魔界で能力バトル→特殊能力を持ってる不良との喧嘩……と順当なエスカレートを遂げる。「回復アイテムを持ってきたのに役に立たない」など、過去の長編シリーズに登場した強キャラのかませ犬化もたびたび見られた。
- 一方でジャンプ・コミックスの余白では「生みの苦しみ」もたびたび吐露しており、インフレも楽じゃないことがよくわかる好例となっている。
- シャーマンキング
- NARUTO
- BLEACH
- 家庭教師ヒットマンREBORN!
- トリコ
- テニスの王子様
- めだかボックス
- 軽いノリで恒星を宇宙の塵にするようなキャラが登場する学園漫画も本作くらいだろう。
- べるぜバブ
- 終盤ではもはや不良の名を借りた魔王の代理戦争と化した。
- ONEPIECE
- 舞台が移り変わることで仲間の戦力外化や「四皇は前座に過ぎない」といったような物語的破綻は避けているのだが、新世界編(特にワノ国編)以降から覇気の設定はどんどん盛られ、それに伴いかつての強敵はおろかかつての章ボスすら噛ませ扱いに。
- また、この影響で、現四皇の一角に喧嘩を売った最初の敵キャラや、海軍の英雄に負けた大海賊が強キャラ扱いされたりするネタまで生まれ、逆に序盤から中盤にかけて倒されたかつての章ボス達が読者から過小評価される事も。
- また、懸賞金額は初期と比べてかなりインフレしており、「懸賞金が強さのステータスそのもの」になっていると誤解されがちだが、懸賞金は「政府が見た危険度、影響力」が重視されている為、必ずしも強さには直結しない。(例としてチョッパーの懸賞金や懸賞金が低い段階で七武海となった者達、ローとキッドの懸賞金額が四皇のルフィと同額などが挙げられる)もっとも、懸賞金が高くなれば相応の実力者が増えてくるのが現状であるが……
- 遊戯王ZEXAL
- 過去作『遊戯王GX』を超える世界観のインフレ。ラスボスが多元宇宙そのものとか、どこのグレンラガンっすか!?
- さらにカードゲームとしても攻撃力1万超えを度々出し、最大で204000を叩き出すというインフレっぷりを見せた。
- 押忍!空手部
- 高校鉄拳伝タフ
- ボボボーボ・ボーボボ
- マッシュル-MASHLE-
- 魔力が使える者は顔に線状のアザ(以下「線」)があるが、強者であればあるほど2本線、3本線と増えていく。もちろん後半は複数の線持ちがデフォルトに。
サンデー作品
- YAIBA
- 最初は木刀で殴り合いをしていたのが、いつの間にか地球を簡単に破壊できるような剣が登場するようになり、最終的に木刀で殴り合うトーナメントバトルになるという異例の作品。
- うえきの法則
- 金色のガッシュ!!
- 初期の時点で学校の屋上の一部を吹き飛ばす描写があったが、千年前の魔物との戦いからインフレが顕著になり、最終章のクリア編では敵味方諸共地形を大きく変えるほどの術を連発するように。
マガジン作品
- ガクラン八年組
- 魔法先生ネギま!
- 序盤こそラブコメをやっていたが、最終的には地形を変えるような攻撃が入り乱れ、マッハ440で戦闘するような完全なバトル漫画にチェンジした。
- RAVE
- 大体アスラのせい。
- FAIRYTAIL
- 家一軒壊す程度だった主人公が、現在では雲が頭にかかるサイズの巨人を一撃で倒しています。
- GetBackers奪還屋
- 終盤で唐突にインフレし、時間を完全に無視して活動可能などと言うわけのわからないインフレを起こした。連載が終了してから長いが、未だに漫画作品でも一二を争うスケールのでかさという驚異的な作品。
- 七つの大罪
- リオネス王国奪還篇まではむしろ主人公側が無双することの方が多い程だったが、十戒篇以降からドラゴンボールのように強さの数値化が始まり、急激にパワーインフレを起こしていった。
その他
- 鉄腕アトム(地上最大のロボット編)
- ウルトラマン超闘士激伝
- ウルトラマン+ドラゴンボール+聖闘士星矢……と書けば、もう語るまでもないよね。
- グラップラー刃牙
- インフレの激しさは作中でも「もう私は挑む気も起きない」などといったセリフで如実に描かれている。ちなみにその発言をした人は「挑む気も起きない」と言った人と善戦した主人公に後に勝利する。
- 爆走兄弟レッツ&ゴー!!
- 一騎当千
- 学園漫画なのに後半では余波でビル群を倒壊させるような戦闘を行う。
- 彼岸島
- 初期の主人公は吸血鬼1人にも苦戦していたが、島での修行後は数十人の吸血鬼を薙ぎ倒せるようになり、最新シリーズの『48日後…』では吸血鬼が変異した「邪鬼(オニ)」と呼ばれる巨大な怪物をも一刀両断するまでにパワーアップしている。
- 美少女戦士セーラームーン
- フリージング
- 最初は人類の敵「ノヴァ」の脅威に対抗するための育成機関である学園内で、戦士となる少女たちがしのぎを削る……要は内輪揉めを描いていたが、その内輪揉めが拡大していった影響でノヴァの脅威度も上がっていき、それに対抗するため隠し玉と言うべきキャラが次から次へと投入され、それに応じて主人公側もどんどんパワーアップしていくなど、強さのレベルも戦いの規模も桁違いになる。
- アメコミ
- 海外も負けず劣らずインフレが凄まじい。そもそもDCコミックスの二枚看板の片割れである『スーパーマン』からして、地球の悪党と戦うには明らかなオーバースペックであり、劇場版では「地球を自分の飛行速度で逆回転させる」ことでタイムリープさえ可能にしてしまった。以降もスーパーマンほどではないにしろ、神話の世界のゴッドパワーや現代科学の範疇を超えたオーバーテクノロジーが頻出し、二枚看板のもう一方である『バットマン』の質実剛健の路線が浮いて見える。
- 方やMARVELはといえば、悪党のスケールインフレが凄まじいことになっている。始祖たる『キャプテンアメリカ』にて「ナチスの残党」といういかにも欧米らしい悪の組織から始まったが、徐々に宇宙人やミュータント、神話の神々や怪物など、DCコミックス以上にバラエティー豊かなラインナップが揃っていく。そしてヒーロー側も『ハルク』という「怒りで無制限に強くなる」最終兵器を投じた矢先に、ギャラクタスをはじめとした「全宇宙規模の天災」レベルという歯止めが効かない次元にまで到達してしまった。加減しろ莫迦!
アニメ
- ゲッターロボアーク
- 生命は純粋になるほどに……強大な宇宙を求めてゆく……宇宙を喰ってゆくのだ!!
- ガンダムシリーズ
- おおむね10年も経てばどのモビルスーツも骨董品扱いされる。ただ、現実でも戦争を通じて技術革新が飛躍的に進む(世界大戦前後の戦艦とか軍用機のように)ため、あながち荒唐無稽というわけでもない。『機動戦士ガンダムUC』のように「その方が古参ファンは喜ぶ」なんて身も蓋もない理由で過去作に出てきた旧式機が活躍する描写も。
- 『機動戦士ガンダムSEED』シリーズでは最初のTVシリーズでジェネシスという撃てば地球上の生物の半数が死滅し地球が死の星になるような凶悪兵器を出してしまったがために、後のシリーズで核兵器や都市を丸ごと壊滅させる戦略兵器レクイエムが登場しても「でもジェネシスにくらべたらハナクソみたいな威力だよな…?」というデフレが起こってしまっている。それでいいのかコズミック・イラ。
- 『機動戦士ガンダム00』シリーズでは1stシーズン終盤で主人公側の特権だったテクノロジーが流出したため、4年後の2ndシーズンではモビルスーツの性能が大きく進化。完結編では圧倒的物量を持つ宇宙生命体ELSが登場した。
- モビルスーツだけでなく、ニュータイプも最初は単に「勘が鋭くてテレパシーが使える」程度のものだったのが、サイコミュの発達によって小惑星を単独で押し返したり使用者の願いを叶えてしまう力場を発生させたりなどと、どんどんスケールが大きい力を発揮するようになっていき、もはやオカルトの領域まで踏み込んでいる。
- 天元突破グレンラガン
小説
- とある魔術の禁書目録など、鎌池和馬の作品全般
ゲーム
シリーズもの全般
- あるゲームの続編を作る際、ファンのために「もっとやり応えのあるものを」と意気込んだスタッフが前作よりクリア条件の水準を上昇させることがある。
- とはいえ、敵の攻撃の威力や与える効果が過剰になったり思考ルーチンが複雑化したりしてもプレイヤーの技量次第で追従できるため、難易度は結果的に前作とほぼ変わらなかったりむしろ下がったりするのはよくあること。
- また、RPG等で高レベル主人公が苦労する敵と互角に戦えるNPCが出てくると、「お前らが世界救えよ」と揶揄されがち。有名なのは『ドラゴンクエストⅥ』に登場するライフコッドの村人だろう。
- 『XakⅡ』の村人に至っては前作で邪神を倒した主人公(LV50)より強い敵と互角に戦っている。
- 一方、『イースシリーズ』では何かと理由をつけて主人公を弱体化(LV1化)させる。『Ranceシリーズ』に至っては、毎回「だらけていたから腕が鈍った」で済ませている。
トレーディングカードゲーム
- 基本的に、後から登場したカードほど高い性能を持つ。
- TCGの人気は売上に直結しているため、購買意欲を刺激するために適度なインフレは必要不可欠と言えるが、そのままほっとくと最終的には飽和を引き起こしてゲームが閉塞状態に陥ってしまうことから、何らかの形で古いカードを新環境からまとめて退場させて強制的に刷新・代謝させる必要がある。
- ゲームによっては新しいシステムの導入や古いカードの救済処置を行うことで対処しているものも存在するが、その結果古いカードに新たな悪用法が生まれ、結果的にインフレを加速させる要因となることもある。
- 世界最古のTCG『マジック・ザ・ギャザリング』では、過剰なインフレを防ぐために新規に制作されるカードのパワーレベルを意図的に抑えた上で、最新2年分のセットのみを使用できるフォーマットを導入してインフレを防いでいる(2年が過ぎてカードが使えなくなることを俗に「スタン落ち」と呼ぶ)。抑えすぎて、インフレとは真逆の「デフレ」が起こることもしばしば。
- 『遊戯王OCG』では定期的に制限・禁止カードを更新することでインフレにある程度歯止めをかけている(インフレを完全に止めることはできないので、インフレについていけなくなった過去のカードが禁止・制限を解除されることもある)。
- 『カードファイト!!ヴァンガード』は当初、「1枚のアドバンテージ=カウンターブラスト2点」として設計されていたが、レギオンメイト編以降はカウンターブラストが1点のみ、あるいはカウンターブラストとソウルブラストを1点ずつで同様のことができるようになり、迂闊にダメージを与えると、とても痛い反撃が飛んでくるようになってきている。
- 特殊な例として「甲虫王者ムシキング」はアダー完結編への移行に伴ってルールが大きく変更されたため、インフレが急激に起こり、それまでのカードが事実上弱体化した。
ソーシャルゲーム
下記に名前が挙がっている作品に限らず、長期に渡りサービスが続いているソシャゲはインフレが起こりやすい。
- パズル&ドラゴンズ
- スマホゲーにおけるインフレの代表。最初はヴァンパイアロードの攻撃力4倍が最強だったが、年を重ねるごとに最強パーティがコロコロ変わり、しまいにはカンスト上限値(数十億単位)での殴り合いに。
- 10周年ラストチャレンジLvEXに至ってはHP2000億を攻撃力50分の1で倒す、つまり実質10兆の大台に乗った。
- 被ダメージのインフレも激しく、3年目あたりに脅威になってた先制攻撃は3万ダメージだが、10年目以降の高難度ともなると100万ダメージが1ダンジョンに1回は飛んでくる。
- モンスターストライク
- 魔法使いと黒猫のウィズ
- 攻撃スキルは最初期はせいぜい1.5倍程度だったが、「激化大魔術(スキルを使う度ダメージが2倍、最大64倍)」と「蓄積大魔術(特定条件を満たして170倍)」が主な転機。
- ただし、編成次第でその効果を十二分に発揮できなかったり、初期の人気カードやイベント関連カードでも更なる進化形態で現在の新規カードと遜色ない性能になったり、敵がさらに凶悪なスキルを使ってきたりするので、インフレを感じさせるのは、大体は古参のプレイヤーだったりする(当時編成に悩ませた高難易度イベントを、ほぼ力押しで突破出来てしまうなど)。
- 白猫プロジェクト
- 吸収スキルを持つキャラが無料で配布されたのを筆頭に、ほぼ無制限の自己回復やダメージを無効化するバリアなどのスキルを持つキャラが次々と登場。もちろん雪だるま式に火力も上がっていき、1発で億単位のダメージを叩き出すようになったが、それに伴い属性敵や超耐性、さらにはバフ無効化と敵の方もインフレしていった。当時最強と名を馳せた過去キャラは環境についていけなくなり、神気解放やクラスチェンジという方法もあるとは言え、古参ユーザーの不満の種となっている。
- 開発元もそれは理解しているようで、あるコラボイベントにて言及している。そのコラボ先の作品が作品なので、勝手に言わせてるだけかもしれないが。
- 三千界のアバター
- 多々買わなければ生き残れないを地で行くゲームだが、色んな方向でインフレし過ぎたため中堅クラスのプレイヤーキャラでさえ一騎当千レベルという有様。しかも世界によっては一騎当千クラスのキャラでは倒せないくらい強い奴が単なる戦闘員というまるで意味がわからない状況まで産まれている。
- 当然「廃人」クラスのプレイヤーキャラの能力は桁違いで、中堅クラスのプレイヤーキャラを指1本触れず瞬殺できるという無茶苦茶ぶり。
- 艦隊これくしょん
- 艦娘ではなく、敵の深海棲艦が著しい。もちろん味方も対策が打てるシステムを漸次追加されてはいるものの、ようやく同じ土俵が見えたと思う矢先に純粋なパワーと防御で屋台屋を重ねてくるため、常に苦しい戦いを強いられる。
- 一応、難易度調整は可能だが、やはり高難易度の方が強力な装備が手に入るとあって、最高難度の「甲」で挑む提督が後を絶たない。そして最終的に甲で突破する提督が最多になるあたり、提督たちも大概だったりする。
- 少女☆歌劇レヴュースタァライト -Re LIVE-
- リリース当初はあまりインフレが進んでいなかったが、2020年以降になると、パーティ編成コストが15かかる代わりに、総合力10000越えという破格の性能を持っている☆4舞台少女シリーズやアルカナ・アルカディアを筆頭に、通常アクトやクライマックスアクトの性能が強力、解除不可能な状態異常攻撃、強力なオートスキル(しかも、その中にはオートスキルを4つ保有する舞台少女もいる)を持つ舞台少女が急激に増加。パーティ編成にコスト上限がなく彼女達が出場可能なVSレヴューでは必ずと言っても良いほど猛威を奮っていた。
- その後も総合力のインフレは続き、2022年の誕生日限定舞台少女以降、パーティ編成コスト23/総合力25000越えの舞台少女が数多く登場、2023年では、ついにコスト23/総合力30000越えの舞台少女も登場し、前述のアルカナ・アルカディアに代わって、VSレヴューで猛威を奮っている。
- そして挙句の果てには、2023年10月13日に、コストが26かかる代わりに、これまで登場してきた★4舞台少女よりも総合力が高く、それに加えて、新スキル「座長スキル」と「開演スキル」を所持している★5舞台少女も登場してしまった(参考)。
- プレイヤーLv上限や絶対数の少なかった頃ならBAN機能で何とか出来たのだが、現在は★4舞台少女や★5舞台少女が大量に増えすぎた関係もあり、3人以上その舞台少女で固められているパーティがかなり多くなったということ、そして、他のソシャゲと比べると、新舞台少女が登場する度に、それ以前に登場した舞台少女がかなり早い段階でインフレについていけない状態になってしまうことも多い(例えば、3か月前に登場した舞台少女が、(新たに登場した舞台少女によって)普通に産廃レベルになってしまうという事例までもある)ということもあり、初心者や無課金勢にとっては、VSレヴューで高ランクを狙うのは完全に至難の業に変化している。
- そのため、一部のユーザーから「毎回インフレで新キャラしかまともに使えないゲーム」という否定寄りの評価を出されていることもある。特に前述の★5舞台少女が判明された時、流石に多くのユーザーからも、「無課金勢にはゲームやるなって言ってる」「(インフレによって)破壊され尽くした環境を更に壊すのか」などの否定寄りの意見が出ていた。
- そして2024年7月30日ついにサービス終了が発表され同年9月30日にサービス終了してしまった。
- ガンダムトライヴ
- ソシャゲ史上最悪のインフレとして名高いゲーム。1ヵ月ごとにダメージ量が10倍になるペースを延々と続けている。
- 2024年に入り1秒間に9999無量大数ダメージ等という明らかに可笑しい数値を公式がネタにしたかと思えば、6月になったらそれでも足らなくなり、万<無量大数>という新桁を導入する始末。ここまで来るとどこまでインフレできるかを楽しむゲームになっているといっても過言ではない。
その他
- BEMANI
- 単にオブジェ数やギミックを増やすだけで簡単かつ自然に難易度を上げられるため、続編は必ず難易度がインフレする。
- スーパーロボット大戦
- 参戦作品の設定にも多少は左右されるが、概ねシリーズを重ねるごとに世界観や戦乱の規模、ラスボスの強大さなどがインフレする。
- ウルティマオンライン
- ソーシャルゲームの前身であるPCオンラインゲームの中でも最古の部類だが、この時代から早くも終わりなきインフレがパターン化されていた。
- サービス開始当初に最強の座に君臨していた地獄の王ロード・オブ・アビスが数秒で倒されるほどインフレが進み、その更に何十倍も強いボスの取り巻きとしてゾロゾロ湧いてくるなど、名前負けどころではないザコに成り下がっている。
- また、このゲームはスキル制を採用しているため複合職業のキャラクターも作れるのだが、インフレによって「パラディンサムライネクロマンサー」みたいな無法キャラが誕生。この組み合わせではネクロマンサーの吸収能力とパラディン・サムライの火力上昇スキルがすべて掛け合わされた結果、1回殴る毎にHPやMPが完全回復というゲームバランス崩壊級のチート状態になっている。
- ラグナロクオンライン
- ウルティマオンラインより少し後発の、やはり古代のオンラインゲーム。正式サービス開始当初には高くて1000程度だったプレイヤーの攻撃力が、3次職実装後は10万、100万、1000万とソシャゲ並の加速度的なインフレが発生。本格的なインフレ運営の走りだと思われ、ある意味時代を先取りした存在かもしれない。
- 4次職実装後は1億以上のダメージを秒間5発もの超スピードで叩き込むほどの更なるパワーインフレが起こっている。
特撮
- ウルトラシリーズ
- 昭和の作品では子供達に現行作品のウルトラマンを強く見せるためなのか前作のウルトラマンよりも圧倒的に技の威力が盛られていることが多い(特にタロウ)。
- 歴史を重ねるごとに地球規模・宇宙規模で災厄をもたらす怪獣が増え、最強怪獣の代表格だったゼットンも今やかませ犬に甘んじることが多くなってしまっている(但しこの点に関しては個体差等の可能性もある)。
- たった一人で光の国を壊滅できる悪の戦士とそいつと互角に渡り合える若き最強戦士の登場で、ひとつのピークに達した。
- 仮面ライダーシリーズ
パワーインフレへの対応策
これまで述べてきたようなパワーインフレを抑制する手法としては
- 単純な力押しではなく、トリックや地形効果、不確実性などを利用した「駆け引き」を取り入れる
- 相性や弱点を設定しておく
- 劇中のどんなキャラでも絶対に勝てないジョーカー的キャラを配置し、パワーに具体的な上限を設定する
- 定期的に舞台を変える、敵の能力や戦い方を変えるなどして強さをリセットする
- 最初から主人公を最強格にしておく。
などがある。が、パワーインフレを防ぐためこのような設定を導入していても、メインキャラやボスキャラクターなどに強力かつ万能な能力を与えてしまい、ストーリーの途中でパワーインフレが目立ってくることもままある。
- また、コンピュータゲームであれば「甲虫王者ムシキング」の「すてみのいちげき」、「ポケットモンスター」の「はやてのつばさ」同様、弱体化させる事もある。このケースではインフレよりもデフレを望む声も多い。
アンチパワーインフレ漫画
「最初から主人公が最強」「成長する余地がない主人公」の漫画などはインフレが少ない、その場合たまに脇役や敵役にインフレが起こるがそこまで気にならない事が多い。
本作の第3部で「スタンド」が導入されて以降、単なるバトル用の能力ではない能力やテクニカルなものもたびたび登場するようになった。「スタンド」は個々の精神が具現化した、能力を持つ偶像であるがゆえ、能力発動の条件や弱点、運や本体の機転、相性や状況等に応じて、最強と謳われる能力すら最弱級のものに敗北を期すことがある。また、本作は部が変わるごとに主人公・主要人物・舞台等が異なる独特な形式をとっているため、35年以上連載を続ける長寿作品にもかかわらずパワーインフレはあまりおこらない。
しかし、作中でも長い時間が経過する作品の為、ジョセフ・ジョースターや空条承太郎などの元主人公が加齢により弱体化するパワーデフレが発生する。また、シリーズが進むにつれて新登場するスタンド能力設定の難解さが増して、読者が話の流れやバトル描写を理解しづらくなるなど別の問題を抱えている様子。
パワーデフレに関しては、ガンダムシリーズ等のリアルロボットアニメでも、先代主役機が弱体化する現象が起きており、UCガンダムはガンダム0083の例みたいに歴史から存在を抹消する等の対処をする事があるものの、後付けや設定変更で結構破綻している事も見受けられる。