概要
「仮面ライダーシリーズ」における「最強フォーム」の言葉は、以下の2つの意味を持つ。
- TV本編の最終強化形態として登場した形態。
- 仮面ライダーの「強さが最強」のフォーム。
公式が「最強フォーム」として挙げるのは専ら1の方である。
後述の通り、2を考慮すると複雑な事情に直面したり、平成後期以降は「最終回限定の最終フォーム」、「劇場版や外伝での究極フォームや究極フォームとは違う劇場版限定フォーム」の派生も出ているが、公式からはほぼ統一されている。
本項ではこうした事情を前提とした上で解説する。
最強フォームの判断材料
公式が正式に「最強フォーム」と発表した形態は明確に最強フォームと言える。
放送中の雑誌や最強形態玩具、東映公式の『仮面ライダー図鑑』では分かり易く「最強」「究極」で表現される事が多い。仮面ライダー図鑑では単語検索による絞り込みも可能だが、一部掲載されていない例外もある。しかし、その場合は作品内の最強形態と並び立つ強化形態が実質最強フォームと言える。
また、『ガンバライド』、『ガンバライジング』、『ガンバレジェンズ』等の媒体でも最強フォームと紹介された場合に該当するが、『バトライド・ウォー』シリーズのシステムの都合や開発時期により、一部のゲームでも時期やシステム的な都合で例外が存在する。
レジェンドアイテムの増加に伴い、基本フォームに加え最強フォームも展開される事がある。
特に分かり易いのがライダーカード、ライドウォッチ、レジェンドライダーケミーカード。ライダーカードとライドウォッチはそれぞれ最強フォームのみ他フォームとはデザインや音声仕様が異なる(前者は基本形態と同じくカードの名義は「カメンライド」でカードの背景も最強フォーム用で、ソレ以外の強化フォームは概ねフォームライドになっており、後者はアーマータイム時の音声は専用の歌になっている)特徴で、ケミーカードも基本的には基本フォームと最強フォームのみなので、容易に判別可能(但し、例外として、ソレ以外の強化フォームではスターガッチャードとタジャドルコンボのカードがある)で、レジェンドカメンライザーで使用するとそれぞれの最強フォームの音声になる。
最強と最終
前提として、最強フォームとは「最終の強化形態」と定義されているので、原則的には「最強フォーム=最終フォーム」である。
ここに「テレビ本編で登場した」と定義すれば、殆どの最強フォームは自然と公式見解と一致する。
こうした定義に一石を投じたのが『仮面ライダー電王』であり、中間強化にて全イマジンを結集したクライマックスフォームが登場後、それが使えない事情により良太郎の単独変身としてライナーフォームが登場した影響で、終盤で登場したフォームの方が、総合スペックでは弱体化している事例が発生した。
これにより、両者の戦い方や勝率のイメージもあって、「最強と最終強化は別」なる概念も発生している。
しかし、こんな感じでテレビ本編の中で強化フォームが使用不可になり代替措置があるケースは少なく、グレートクローズは基本フォームの代替措置として登場したので、最強フォームにはならない。
後に『仮面ライダーゼロワン』で、最終決戦で1度しか登場しない特別なフォームが登場し、現在では非公式用語ながら明確に最終フォームの形で区分される傾向になった。
また、『仮面ライダーW』以降は劇場版や外伝として「最終回よりも後のエピソード」により公式が最強としたフォームを超えた強化が描かれる機会も増え、上述の電王にも超クライマックスフォームが登場したが、これらは登場時期や宣伝で「究極」の単語が使われる傾向から、公式からは究極フォームの呼称で呼び分けられている(ゲームのPVやCMでは実際に「究極フォーム」として紹介された)。
しかし、必ずしも後から登場したにも拘わらず、スペックが下がっているフォームは最強じゃないとは限らない。
仮面ライダーW サイクロンジョーカーエクストリームは、単純な格闘戦スペックでは仮面ライダーW ファングジョーカーより弱体化しているが、怪人の能力の解析・無効化により一方的に有利を取れるチート能力を持っているので、スペックよりも遥かに強力な最強の能力を備えている。
仮面ライダーアクセルに至っては、仮面ライダーアクセルトライアルでは、スピードに特化する影響で他の全てのスペックを大幅ダウンさせる弱体化ぶりだが、その超高速で確かな強さを実現した。続く仮面ライダーアクセルブースターは逆に走力が通常より低下しているが、飛行能力があるので足で走る遅さはデメリットにならず実質的にスピードも向上している。
こうしたスペックが下がっても、それを補ってありあまる特殊能力で最強を実現している場合にはスペックが下がっても最強に異論はほぼ入らない。
平成2期以降はこうした、「中間フォームがスペックが最強」で「最強フォームは特殊能力が最強」とする形式も多数存在している。
作中設定と作中外の扱い
以前は僅かだったが、『仮面ライダー鎧武/ガイム』頃から、別のベルトに変えて強化発展型の別のライダーに変身するケースがちょくちょく登場している。
仮面ライダー斬月と仮面ライダー斬月・真と、仮面ライダーゼロワン、仮面ライダーゼロツーが該当し、実際にこれらは別個に登場しているライダーになっているので、それぞれ別人が変身し、対決や共闘をする展開も見られた。
一方で、斬月と同じ形式の仮面ライダー黒影と仮面ライダー黒影・真は別ライダーとして扱われたり、基準もバラバラである(斬月と黒影の決定的な違いを挙げるなら、黒影の変身者が黒影・真に1度も変身しない違いがあるにはある)。
仮面ライダーG3と仮面ライダーG3-Xもこのケースに該当する。
また、「別の仮面ライダー名」にはならないケースでも、「仮面ライダーとしての名前は変わらないが、既存フォームからアイテムもスーツも全てが一新されている」事例も存在する。
仮面ライダーバロンと仮面ライダーバロン レモンエナジーアームズ、仮面ライダーゴーストと仮面ライダーゴースト グレイトフル魂、仮面ライダー迅と仮面ライダー迅 バーニングファルコン等が該当し、これらは強化フォームの1種に分類されるが、システム上は実質的に別ライダーである。
こうした事情による、「強化フォームの1種だが、設定上は別のライダー」のケースであっても、公式では「発展前と発展後は同じライダーの強化として扱う」のがほぼ通例になっている。
仮面ライダーゼロワン メタルクラスタホッパーについては、作中で「ゼロワンシステムの最強の限界点」と最強フォームとして扱われているが、システムから再設計したゼロツーは作中設定で明確に別ライダーと明言されているが、公式では一貫してゼロワンの最強フォーム及びゼロワンの1形態として扱われている。
この影響なのか、一部のライダーについては「劇中での設定上の最強フォーム」と「劇中では別ライダー扱いされている直系発展型ライダー」により作中と作中外とで最強フォームに齟齬が生じている。
しかし、この事例においては最終回にて「ゼロワンシステムのまま再構築により理論限界点を超えた新たな最強フォーム」としてのリアライジングホッパーが登場した事で、ゼロワンシステムとしての作中最強設定は更新されている。
また、例外中の例外として「常に最強フォーム」とするライダーも存在している。
仮面ライダーオーディンは同作の他ライダーが最強フォームに使用するアイテムの効果を常に発動していたので、基本フォームは存在しない。
仮面ライダーエターナルは当初より最強フォーム級の圧倒的なスペックを持っていたが、後に外伝で加頭順が変身した際の本来のフォーム(レッドフレア)が登場し、適合率による最強フォーム(ブルーフレア)として覚醒した扱いである事が判明した。
しかし、こうしたライダーは「能力的には最強フォームだが、その姿が基本フォーム」なので、公式的には強化・最強フォームでは無く、基本フォームとして扱われている(エターナルの場合は公式的には「不完全フォーム」が後付けされた位置付けになっている)。
この他にも、仮面ライダーアークゼロの後継機である仮面ライダーアークワンは前述のゼロワン・ゼロツーと同じ関係の発展型ながら、明確に別ライダーとして扱われ、一方でゼロツーと共にゼロワンの強化フォームとして扱われたりと、どの基準で同じライダーとして扱うかは複雑な状況にある。
仮面ライダーエデンと全く同じアイテムで変身し、僅かにスペックが上回っている仮面ライダールシファーも一般的な分類で考えると、強化フォームであるが、別ライダーとして区別されている。
更なるイレギュラーとして、『仮面ライダーオーズ/OOO』では当時のスタッフインタビューにて「(タトバ以外の)全てのコンボは上下関係が無く、全てのコンボが最強フォームであり、オーズは複数の最強の姿を使い分ける」コンセプトが語られている。
実際に、作中ではコアメダル争奪戦の影響でオーズはほぼ亜種で戦っており、全てのコンボが出番が少なく、「変身さえ可能であれば即戦力」として終盤でも活躍している。
その上で、設定はどうあれ「物語の盛り上げや玩具販促の為には、パワーアップ展開は必要」と大人の事情により便宜上の強化フォーム・最強フォームが定義された経過が明言されている。
相棒のアンクと同じメダルのタジャドルコンボ、絶滅生物であるプトティラコンボが「他のコンボより特別な存在」として扱われ、見た目のパワーアップ感や後半のドラマの中核として抜擢されたが、あくまで商業事情から生じた特別な事例であり、設定上はこれらが「最強」にはならない。
「水辺ならシャウタコンボが最強」とイメージすれば分かり易い他、数の暴力や分身からの変身で全コンボが並ぶガタキリバコンボが実質最強フォームとする意見もあるが、最強フォームが集合する際や最強フォームの玩具は基本的にはプトティラである(例外で1回だけタジャドルが最強フォームの代わりになった事はある)。
こんな感じで、公式の定義を考慮せず、最強フォームはどれなのかを考えると、それぞれの作中での定義やそもそもどれが別フォームでどこからが別ライダーなのかも定義が複雑であり、その食い違いにより議論が泥沼化する事も意外と多い(特に上記の通りオーズは公式の回答が出ているにも拘わらず未だに論争が絶えない)。
こうした意味でも、設定やスペックの最強と公式での定義の最強とは別である事は重々理解しておきたい(そして、スペックの数値は基本的に劇中では反映されないので、参考にするのは推奨しない)。
しかし、上述の問題が生じるのは基本的に「強化された姿も仮面ライダー」である場合に限定される。
ロード・バロンや超魔進チェイサー、エボルト怪人態は最強形態に相当する存在としての怪人態であるが、「ライダー」としての姿から逸脱しているので、別枠として扱われており、最強フォームには含まれない。ゲームでは最上位の形態として扱われるケースはあるが、それは「ライダー」であるかに拘らないケースに限定される話と言える。
ゴルドドライブやゲムデウスクロノスみたいに、ライダーに似た強化形態でありながら明確に怪人と定義されている存在も同様である。
客演・続編
『仮面ライダーディケイド』の頃からレジェンドライダーが劇場版や外伝にゲスト出演する機会は恒例化している。
こうした作品ではゲストにまで複数のフォームを出せる尺が少なく、基本フォームのみの出演か基本フォームと最強フォームのみの出演となるケースも多い。
また、「冬映画」や「Vシネマ」として、最終回後の物語が描かれる例も定番化している。
この時、一部の作品・ライダーは、本編の最終局面や最終回にて、変身アイテムを破損・消失していたり、世界や歴史が変わった事で、「変身能力を失っている」ケースが存在する。
この場合はこうしたエピソードの中で変身能力を取り戻す必要があるが、作品によっては「変身自体は可能になったが、最強フォームのアイテムは取り戻していない」状態のまま進行するケースがある。
一例として、『仮面ライダーオーズ/OOO』は最終決戦で恐竜メダルは破壊され、その他のメダルも異次元へ失われた。その影響で後日談エピソードでは仮面ライダーポセイドンや財団Xの複製品からメダルを奪って変身しているが、奪った中に恐竜メダルは存在しなかったので、最強フォームでありながらプトティラコンボは登場しなかった。
また、『仮面ライダー電王』はその人気もあり客演や続編も非常に多いが、佐藤健氏の多忙により出演できず、イマジンだけが登場する頻度が非常に多い。
この結果、単独変身故に佐藤健の出演が必須となるライナーの登場は不可能で、それぞれが担当する形態か良太郎が不在ながらもクライマックスフォームのみが登場するのが通例になっている。
こうした事情の結果、本来であれば、最強フォームが活躍する場面で、他のフォームが活躍するケースが稀に発生するが、これはあくまでシナリオ時系列や変身者の問題で使用出来ずに変身していないだけであり、公式が最強フォームの見解を変えている訳では無い。
一応、こうした問題が生じるのは「本編の続きとして同一人物が変身する」場合の話であり、パラレルワールドや召喚による登場であれば、こうした事情を無視して最強フォームが呼び出されるケースも存在する。
公認だが非公式な存在
また、東映公式作品以外の公認作品(『HERO SAGA』等)で事実上の最強フォームが追加されるライダーも存在している(帰ってきたV3、仮面ライダーG4-X、アナザーアギト バーニングフォーム、仮面ライダーライアサバイブ、仮面ライダーリュウガサバイブ、仮面ライダークウガ スーパーライジングアルティメット、仮面ライダーブラーボ ジンバーメロンアームズが該当する)。
この他、『ガンバライジング』では仮面ライダーアークゼロの最強形態が仮面ライダーアークワンになっていたり(BS6弾のみ)と当初は最強形態として予定されていたライダーが諸事情で全く別のライダーとしてカウントされるイレギュラーも起こったりする。
また、仮面ライダー図鑑にると、新1号(またはネオ1号)、新2号もフォームの1つとしてカウントされているので、現時点では最強フォームともされるが、本項では扱わない。
命名の法則
フォームチェンジの延長である最強フォームだが、大別すると、最強フォーム名の「仮面ライダー〇〇 △△フォーム」になる、ライダー名に単語が付いた「仮面ライダー△△〇〇」に変化する、ライダー名自体が「仮面ライダー△△」に完全に変化する、の3つに分かれる。
1つ目のフォーム名の変化は最も多く、特にフォームチェンジの多い主役ライダーは最強フォームまでこの形式の事が多い。多数のフォームで段階的に「盛る」傾向も特徴。
2つ目の形式は以前はサブライダーに多かったが、主役にも複数該当している。
3つ目は仮面ライダーゼロツー等の極めてイレギュラーであり、最強以外のフォームを含めてもゼロワン関係に限定されている。
書籍等においては、1は「仮面ライダー」を省略しフォーム名のみ表記、2と3は「仮面ライダー」まで含めて正式名称として記載される事もある。しかし、必ずしも絶対の省略=フルネームでは無く、媒体によって表記が統一されていない。
しかし、pixivでは記事タイトルの法則性として完全な統一はされていない。
最強フォームの裏事情
2号ライダー以降のサブライダーの最強フォーム登場が物語の終盤近くになる場合もあるが、これは毎回東映側がまず物語をバンダイに提示し、その感動を伝える事で成立しているから。つまり、東映側からの打診の結果なので、必ずしもバンダイが出したい形態及び必ずすべきノルマとしては設定されておらず、実現したとしても玩具は確実にプレバン送りとなる運命が待っている。『リバイス』以降はこの傾向が顕著。
一覧
太字は公式で扱われている最強フォーム。
☆マーク付きは本編外のみの登場。
昭和ライダー
『仮面ライダー(第1作)』
『仮面ライダーストロンガー』
『仮面ライダー(第6作)』
『仮面ライダーJ』
平成ライダー
『仮面ライダークウガ』
『仮面ライダーアギト』
※:上記の通り新たに製作されているので、G3との共闘が可能
『仮面ライダー龍騎』
『仮面ライダー555』
『仮面ライダー剣』
※:本格的な登場までかなり期間が空いており、それまではジャックフォームが最強フォーム扱いだった。
『仮面ライダー響鬼』
『仮面ライダーカブト』
『仮面ライダー電王』
『仮面ライダーキバ』
『仮面ライダーディケイド』
『仮面ライダーW』
『仮面ライダーオーズ/OOO』
『仮面ライダーフォーゼ』
『仮面ライダーウィザード』
『仮面ライダー鎧武』
- 仮面ライダー鎧武 極アームズ
- 仮面ライダーバロン レモンエナジーアームズ
- 仮面ライダー龍玄・黄泉 ヨモツヘグリアームズ
- 仮面ライダー龍玄 ジンバードラゴンフルーツアームズ☆※1
- 仮面ライダー斬月 カチドキアームズ☆※2
- 仮面ライダーデューク ドラゴンエナジーアームズ☆
- 仮面ライダーナックル ジンバーマロンアームズ☆
- 仮面ライダーグリドン ライチアームズ☆
- 仮面ライダーブラーボ キングドリアンアームズ☆
- 仮面ライダーフィフティーン 鎧武アームズ
※1:ヨモツヘグリアームズが変身不可能な状態の為それに代わるフォームだが小説限定フォーム。
※2:以前までは仮面ライダー斬月・真やジンバーメロンアームズが最強フォームとして扱われたが、現在前者は別ライダーとして、後者はより強力なカチドキアームズの登場により最強フォームとは扱われていない(後者は小説限定フォーム)。
『仮面ライダードライブ』
『仮面ライダーゴースト』
『仮面ライダーエグゼイド』
- 仮面ライダーエグゼイド ムテキゲーマー
- 仮面ライダーブレイブ レガシーゲーマー レベル100
- 仮面ライダースナイプ シミュレーションゲーマー レベル50
- 仮面ライダーレーザーターボ
- 仮面ライダーゲンム ゾンビアクションゲーマー レベルX-0
- 仮面ライダーパラドクス パーフェクトノックアウトゲーマー レベル99
『仮面ライダービルド』
『仮面ライダージオウ』
令和ライダー
『仮面ライダーゼロワン』
※:上記の通り、システム的には新たに製作されているので、ゼロワンとの共闘が可能
『仮面ライダーセイバー』
『仮面ライダーリバイス』
『仮面ライダーギーツ』
『仮面ライダーガッチャード』
- 仮面ライダーレインボーガッチャード
- 仮面ライダートワイライトマジェード
- 仮面ライダーヴァルバラド黒鋼
- 仮面ライダーレジェンダリーレジェンド
- 仮面ライダードレッド参式
- 仮面ライダーガッチャードシャイニングデイブレイク☆