概要
バット星人が操るゼットンの別個体。『帰ってきたウルトラマン』最終話「ウルトラ5つの誓い」に登場。
初代と比べて角がプヨプヨしており、体型もだらしなく、体の色も退色したかのように灰色っぽくくすんでいる。
「ゼットーン」ではなく、「ブモー」という唸り声を上げる。
関連書籍では
- 「初代の美しさに比べ、うすぎたない。体もブヨブヨだ」(ケイブンシャ『怪獣ものしり百科』)
- 「(やはり太目で、手をばたつかせる)バット星人とあまりにいいコンビ」(辰巳出版『帰ってきた帰ってきたウルトラマン』)
- 「肥満体型で体色もくすんでおり、初代とは似ても似つかない」(メディアファクトリー『空想法律読本2』)
などと散々な書かれ方をされている。
とはいえ、画面映えする市街地での活躍を果たしたこと、ラストを飾る最終話に登場した怪獣であることなどから(初代には及ばないものの)人気は高く、ソフビ人形、ガチャフィギュアにガレキ等々と商品化・立体化の機会は比較的多い。
しばしば「二代目の着ぐるみは劣化していた初代ゼットンのそれを修繕したもの」と勘違いされることがあるが、二代目の着ぐるみは新造である。
初代ゼットンの着ぐるみは当時、アトラクション用途で酷使と補修が繰り返され、二代目の着ぐるみ以上に劣化していて到底撮影に使用できるような状態ではなかったらしい。
ただし、胸の発光部は初代から流用したものとされる(しかし、それ故に無理やりくっつけたような形になり、胸がかなり出っ張って不恰好になってしまった)。
このような状態になってしまった理由は、次回作の現場に人手が割かれていたためだとか。
この二代目ゼットンの登場は、旧作の人気怪獣を再登場させる『帰マン』の「延長にあたっての強化案」の一環としてのものであった。また、「番組延長に関するメモ」によると、初代ウルトラマンがゼットンに雪辱戦を行うという構想もあったらしい。
戦闘能力
ゆるキャラのようなマイルドな外観ながらも侵略兵器としてはガチ目の能力を持っており、頭部の発光体から撃ち出す光弾と手の先から火花状のゼットンナパームを遠距離攻撃の手段として備える他、ジャックの打撃にもある程度は耐えるタフネスを持つ。しかし打撃でダウンする、スペシウム光線を防げなかったことなど初代と比較すれば防御面はやや頼りない。
動きは鈍重ながらもバット星人との連携によりこれを補っている。又、飛行するマットアローを叩き落とす程度の反応速度も有している。
初代の使ったテレポートやバリアは未使用であるが、接触時に電流のような効果を表わした能力こそが形を変えたバリア能力で、MAT隊員らの前から姿を消したのがテレポート能力ではないか、という推測もありこれがゼットン二代目が成長過程の未成熟個体ではないかとする説に信憑性を与えている。物理方面に能力を割り振ったにしては格闘戦でもいまいち奮わないのもこの一助となっている。
関連書籍ではバリア能力を持ってはいたが、使う間もなく倒されたとする説も提唱されている。実際、反射や吸収能力への対策なのかジャックも光線技の使用は控えているようにも見受けられる。
- 光弾
- 頭部の発光体から連射する光弾。主に対空攻撃に使用。帰ってきたウルトラマンに放った際には回避された上、命中弾はガードされ何ら有効打となり得なかった。マットジャイロ一機を中破させ、マットアローのオイルタンクを破損させ不時着に至らしめた。
- ゼットンナパーム
- 両手から怪光線のような音とともに放つ。主に対地攻撃に使用。着弾地点は爆発炎上するが、散弾のような投射兵器であるのかMAT隊員らには着弾の間隔が広すぎて命中せず。建物などには広範囲に効果があるもののウルトラマン相手には目立った効果も無かった。
- バリア(?)
- 触れた相手に電気ショック様の効果がある一種のバリアと思しき能力。ジャックを一時的に麻痺させた。
戦歴
帰ってきたウルトラマン
バット星人による『ウルトラ抹殺計画』の一環として、バット星人のMAT基地破壊工作に先んじて東京・B地区に投入され広範囲に破壊活動を行い、更には出動したマットアロー、マットジャイロを迎撃した。
ジャックとの戦いではバット星人と連携、羽交い締めにされたウルトラマンジャックのカラータイマーに集中攻撃を加えんとするが、MATの援護射撃を背中に受けたことにより誘引され一時はバット星人と分断されてしまう。
更にジャックとの格闘戦にもつれ込むも、光弾とナパームも大した効果も無く、反撃で膝を突くほどのダメージを受けてしまう。
しかし間一髪、復帰したバット星人が介入で戦況は大きく傾きジャックを袋叩きにかけ勝利は確実かと思われたのだが…。
カラータイマーが点滅し、エネルギー切れ目前に思われたジャックをやぐら投げで投げ飛ばすゼットン。
しかし余力を残していたジャックのウルトラクロスでバット星人は心臓を貫かれ即死。
直後にジャックに殴りかかるゼットンだが、ウルトラハリケーンで投げ飛ばされたところへスぺシウム光線を受け爆発四散。バット星人の後を追うこととなった。
余談
- 歩く際にはツノがプルプル動いてかわいいという好意的な声も。
- 投げ飛ばされるシーンで空にゼットンの影が映る撮影ミスが起こっている。
- このジャックとゼットン2代目の決戦の結果から「ゼットンという種族は『データに無い攻撃には滅法弱い』(綿密な制御や相手の行動の抑制・パターン化が必要)のではないか?」という考察が出現(事実、これ以降のゼットンは大半が新技や予想外の技を使われて倒されている)。
- 居村眞二の漫画『決戦!ウルトラ兄弟』では弟のゼットン三世が登場している。
- 『レッドマン』に登場したゼットンはこの二代目の着ぐるみが使われている。2016年の配信ではその容姿故の配慮か『ゼットン2代目』と表記されている。
- ウルトラマン超闘士激伝の玩具展開「超闘士鎧伝」では、ダークベンゼンによってパワーアップさせられた、他の2代目・再生と共にソウルブレストを纏うゼットンⅡが登場した(顔ぶれは出光のCMに因む)。ガシャポンフィギュアは太り気味だが角は垂れておらず、元のデザインを踏襲しつつ恰好悪く見せまいとする造形スタッフの努力が窺える。
- 『スーパー特撮大戦2001』では、『帰ってきたウルトラマン』シナリオの最後のエピソードでナックル星人がジャックを殺すために地球に解き放つ…のだが、外見はどこからどう見ても初代ゼットンである。
- 『ウルトラマンサーガ』に登場したハイパーゼットンの幼体(ギガント)の鳴き声は、二代目ゼットンのものを加工したものが使われている。
- ちなみに成長したイマーゴの鳴き声は初代ゼットンでありここから想像するに「2代目は育成途中の若い個体だったのでは?」という意見も少数ながら存在する。
- 『ウルトラマンX』に登場したゼットンはゼットントルネードという技でバリアを破られてから光線で倒されるという、どこか似た倒され方をしている。
- 『ウルトラマンタロウ』放送中の児童誌(『小学三年生』1973年12月号)によると、「怪獣軍団」(児童誌上の設定で存在した侵略宇宙人の集団)はタロウと戦う再生・改造怪獣の一体として最初にゼットンを候補に挙げたが、「新マンに負けているから」という理由で外したという。(「過去に負けているから」という理由で外したのであれば、再生・改造怪獣は例外なく倒されており、特にベムスターやベロクロンに至ってはそれぞれジャック、エースに二度も敗れている。あまりにも基準が謎である。ただ、あくまでも当時の雑誌設定なので公式設定ではないことは留意されたい。)
- 『ウルトラマンタイガ』第18話、『大いなる陰謀』でタロウの息子タイガがゼットンと戦った(前者はゼットンを操っていたのもバット星人だった)。
- 『ウルトラギャラクシーファイト大いなる陰謀』では人工ゼットン軍団が登場するが、内一体のゼットンのスーツが妙にヨレヨレであり、ポーズも二代目のようなものであることから、一部視聴者からは「これは二代目ゼットン」「ヨレヨレスーツになったゼットンを二代目として起用したのか?」と言われたりしている(今のところ公式では明言されていない。また、原典では使用しなかったバリアーを普通に使用している等の違いもある)。
- 鳴き声は『ウルトラマン』のダダの流用。
- MATの援護こそあれ、最初の羽交い締めと、不意打ちの足払いを除けば、ジャックは二代目ゼットンとの戦いで終始優勢だった。
- ウルトラ怪獣モンスターファーム(2022年発売)ではゼットン種には育成に不利な条件が数多くあり、ウルトラ戦士相手にここまで食い下がれたゼットン2代目(と育成者の初代バット星人)も再評価されるという事態になった。
- このゲームでのゼットン種は『非常に短命』、『固有特性があまり強くない』、『ガッツ回復が遅い』という欠点を持っており(特に寿命が問題)実は2代目の様にある程度伸ばす能力を決めてしまうのが最適解と言われている。
- 後に、奇しくも郷秀樹役の団時朗氏が最後に郷を演じた『ウルトラマンサーガ』のボス怪獣としてハイパーゼットンが、そしてジャックの声優として最後のウルトラシリーズ出演作となった『ウルトラファイトオーブ』ではそのハイパーゼットンがレイバトス配下の怪獣軍団の一員として登場している。
関連イラスト
関連項目
ハイパーゼットン:リファインされたバット星人が操るゼットン。こちらは見た目も能力もはるかに洗練されものすごく強い。実質進化体。
メフィラス星人二代目:同じく初代とは似つかない造形。卑怯もラッキョウもあるものか。