「Max Power(最強)!Max Speed(最速)!」
キャラクターとしてのウルトラマンマックス→ウルトラマンマックス(キャラクター)
概要
「ハイコンセプト・ウルトラマン」の2作目にあたる。
テーマが重く、シビアな内容だった前作『ウルトラマンネクサス』とは対照的に、「原点回帰」、「6つのS(ストーリー、シンプル、スピード、ストロング、SF、センスオブワンダー)」をテーマにしている。
金子修介がメイン監督を務め、メインライターに梶研吾と小林雄次を据えつつ、中島かずき、黒田洋介、更には三池崇史といった監督11名、脚本家18名という当時シリーズ最多のスタッフが担当した。音楽は蓜島邦明が担当。
OPの映像では最初にサブタイトル、最後に登場する怪獣の名前の他、ウルトラマンや怪獣、防衛隊隊員のシルエットが出てくる、EDが存在しないなど、原点回帰に努めている。
これらの要素の多くは、次作『ウルトラマンメビウス』にも受け継がれる。
『ネクサス』の制作時点で、TBS系の土曜朝7時半の放送枠が2006年4月の番組改編によりMBSの情報番組になることが既に確定していたことや40周年記念作品に向けてのスケジュール調整もあり、本作は3クールで終了することが当初から決定しており、最終的に『ウルトラマン』と同じ全39話に収まった(厳密にはこの後に総集編「スペシャルフィナーレ~ウルトラの未来へ~」が放送された)。
本作を最後にCBCの土曜朝7時半の全国ネット子供番組枠は廃枠となった為(放送枠はMBSの日曜朝7時00分と交換し、MBSの情報番組『知っとこ!』の拡大に充てられた)、『メビウス』はローカルセールス枠での放送を余儀なくされ、その後に制作された『ULTRASEVENX』を最後にTBS系から撤退してしまった。
ウルトラマンシリーズで唯一大晦日に放送されたシリーズでもある(『帰ってきたウルトラマン』や『ウルトラマン80』はどちらも『日本レコード大賞』で放送休止だったが、『マックス』は午前中に放送されていた為放送休止になっていない。また、この年を最後に『レコード大賞』は大晦日での放送が最後になり、翌年からは大晦日の前日の30日になった)。
本作を最後に『ウルトラマンタイガ』が放送されるまでナレーションは起用されなかった。また、ナレーションが起用された平成ウルトラマンシリーズでは本作が最後であり、登場人物が次回予告のナレーションを担当しなかったのは『ウルトラマンブレーザー』が放送されるまでは最後だった。
平成ウルトラマンでは唯一劇場版が制作されておらず、マックスとゼノンの劇場版初登場は4年後の『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』である。また、ゲーム作品も発売されていない。
ちなみに、『ウルトラマン』のハヤタ隊員役であった黒部進氏をはじめとして、科学特捜隊隊員として出演していた俳優が多く出演していることはファンの間では有名(当初は『マン』の数十年後を舞台とした作品の予定だった名残である)。
ゼットンやキングジョー、バルタン星人といった過去の昭和作品の怪獣・宇宙人が平成のテレビシリーズでは初登場となり、「子どもよりも親の方が必死に見ていた」といったエピソードもしばしば聞かれる。
本作品では『ウルトラマンティガ』以降の平成ウルトラシリーズの共通の特徴だったタイプチェンジ変身を採用していない(しかし途中で武器を貰って戦力強化に当ててはいる)。
物語の形式は初代ウルトラマンと同じオムニバス形式であり、毎話毎話が独立した展開になっている(一応第1話〜第3話、第13話〜第14話などどの世界線でも共通して起こったエピソードはあるようで、ギャラクシーレスキューフォースボイスドラマ第6話によれば、少なくとも第15話、第28話、第39話は共通エピソードの一つらしい事が明かされた)。
また、『マックス』はパイロット監督の意向によりM78星雲生まれとされているが、本作の世界はM78スペースとは別の世界が舞台である。しかしながら、明らかにM78スペースからの分岐とも解釈できる話や、そもそもメタフィクション的な話もあったりと、非常に扱いがややこしい作品でもある。逆に言えば、世界観設定に縛られないバラエティ豊かな物語が展開されているのも本作の魅力である。
『ウルトラマンダイナ』以来8年ぶりの「過去作要素の存在する作品」であり、以降のシリーズでは過去作要素の存在する展開が増えていく。
ストーリー
21世紀。世界各地に異常災害が発生し、空想の産物と思われていた怪獣が現実に出現するようになった。
それは、あまりに繁栄しすぎた人類という種に対して生態系が産み出した天敵でもあった。
チームDASHのダッシュバード1号の不時着現場に居合わせた災害ボランティアの青年トウマ・カイトは、負傷したコイシカワ・ミズキ隊員に代わってダッシュバード1号に搭乗してグランゴンやラゴラスの2大怪獣に立ち向かうが、怪獣の攻撃を受けてダッシュバードは操縦不能となってしまう。
そのとき、赤く光る玉が飛来してカイトを救った。
その正体は地球文明を監視するためにM78星雲からやってきた光の巨人だった。
自分の身を省みずに人々を救おうとするカイトの姿に「共振する個性」を見出した巨人は、カイトと一心同体となって人々の命を守るために戦うことを約束してマックススパークをカイトに与える。
こうして、ウルトラマンマックスが現れた。
そして、カイトはチームDASHへ入隊。ウルトラマンマックスの力が必要になると、カイトはマックススパークを使ってウルトラマンマックスに変身して怪獣や宇宙人と戦うのである。
登場人物
主人公。23歳。学生時代の旅行中に地震災害で両親を亡くし、そのことから誰かを守りたいと決意しDASH入隊試験を受けるが、不合格となってしまい災害ボランティアをしていた。しかし、グランゴンとラゴラス出現時の活躍を認められてDASHに特別入隊を果たす。マックスと一心同体で、マックススパークでマックスに変身する。
無鉄砲な所もあるが、心優しく真面目な青年で、養護施設の子供達にも慕われている。出動時にはミズキとコンビを組むことが多く(ミズキ曰く「相棒」)、後に結婚する。終盤ではキス(人工呼吸)シーンも披露するなどウルトラシリーズでも指折りのカップルに。
その後、『ウルトラマンX』でもゲスト出演し、大空大地と共にゼットンの脅威に立ち向かった(詳細は後述)。
DASHの紅一点。エースパイロットの設定はあるが地上戦の出撃も多く、妙に負傷率が高い。禁煙場所でシガータブレットをわざとらしく食べるなど、悪戯っぽいところもある。
序盤からいい雰囲気だったカイトを異性として意識するようになり、最終的に結ばれ孫もできる。カイトがマックスであることは、途中から気付いていた様子。
第37話にてサトン星人の末裔であるという説が浮上するも、真偽は不明。
DASHの隊長。基地・ベースタイタンで指揮を執るが、ダッシュマザーの操縦や地上戦に赴くこともある。
厳格で規律に厳しい一方、命令違反を犯した隊員の真意を汲み取る深い度量や、透明化した敵を撃ち抜いて見せた高い技量を持つ。
当初は嫌っていたヘヴィメタルなどのロック系音楽にハマッたり、宇宙人の挑発(特にシャマー星人からはやたらと「バカ」呼ばわりされる)に本気でキレかけるお茶目さから、部下からはたまに呆れられつつも、慕われているよき隊長。
ちなみに演じた宍戸開氏の実父である宍戸錠氏は円谷作品の『スターウルフ』で隊長役として出演していた。
共通装備のダッシュライザーと、彼専用モデルにて2丁拳銃を披露するガンマン。狙撃や主にダッシュバード2号での空中戦も乗りこなすが、高確率で撃墜される(その割に、ミズキとは対照的にほとんど無傷のギャグ要員でもある)。
遅刻の常習犯など失敗も多いが、それを補って余りある熱さから終盤ではエリーといい感じになる。
演じているのは、脅威のジャンパーや脅威のライダーを演じた小川信行氏。
英語と日本語の混じった口調で喋る外国人隊員。数時間から一晩で新装備を開発する、糸のこぎりとハンマーで戦闘機を修理できるなど驚異的な技術を持つ。
時々ロジカルなことを言ってエリーを困らせたりもする。カイトを「サムライ・ボーイ」と呼び、コバとは名(迷?)コンビを組む。
DASHのオペレーターを務めるアンドロイド。
詳細は個別記事を参照。
UDF日本支部の長官。
温厚かつ冷静な有能な司令官だが、怪獣の名前を自分でつけたがる子供っぽい一面もある。
ダテ博士や考古学者オザキとは旧友とのこと。
かつては有能な戦闘機乗りだったらしく、劇中で長官なのに戦闘機で出撃するというウルトラシリーズでもかなり異例な行動を見せ、見事な操縦テクニックを披露したこともある。
趣味は盆栽で、剪定ハサミを天高く掲げる癖がある。
ゼットンが出現した際には何故か妙に怯えていた。
演じていた黒部進氏が、初代ウルトラマンに変身するハヤタ隊員役だったことはファンの間では有名。
上記の数々の行動や人間関係も、その辺をオマージュしている節がある。
DASH専属の怪獣生態学者。怪獣の行動を予期して作戦立案に協力するだけでなく、優しい性格でも隊員達から慕われている。
トミオカ長官とは旧知の仲であり、二人そろっての登場も多い。怪獣生態学者になる前には、『アンバランス』という特撮番組に出演していた女優であったことをうかがわせるエピソードもある。
中の人は桜井浩子氏で、初代ウルトラマンの番組でフジアキコ隊員を演じ、その前番組『ウルトラQ』(企画段階の番組名が『UNBALANCE』)にも江戸川由利子として出演していた。やっぱり中の人ネタ。
ダッシュバード3号の製作者にしてトミオカ長官の戦友。
普段は別の拠点ベースポセイドンに勤務しており、ベースタイタンにも時折やってくる。トミオカ長官によると昔から色々なものを製作していたらしい。
ダテ博士を演じた二瓶正也氏は初代ウルトラマンでイデ隊員を演じており、黒部演じるトミオカとの関係性やネーミング、メカニック担当という設定もイデ隊員をオマージュしたものとなっている。元々は第23話限定のゲストだったはずが、いつの間にか準レギュラーになったようだ。
関連イラスト
放映リスト
マックス怪獣も参照。
話数 | サブタイトル | 登場怪獣 |
第1話 | ウルトラマンマックス誕生! | グランゴン・ラゴラス |
---|---|---|
第2話 | 怪獣を飼う女 | エレキング |
第3話 | 勇士の証明 | レギーラ |
第4話 | 無限の侵略者 | スラン星人 |
第5話 | 出現、怪獣島! | レッドキング・ピグモン・パラグラー・サラマドン |
第6話 | 爆撃、5秒前! | レッドキング・ピグモン・パラグラー |
第7話 | 星の破壊者 | ケサム |
第8話 | DASH壊滅!? | バグダラス |
第9話 | 龍の恋人 | ナツノメリュウ |
第10話 | 少年DASH | メタシサス |
第11話 | バラージの預言 | アントラー |
第12話 | 超音速の追撃 | ヘイレン |
第13話 | ゼットンの娘 | ゼットン・ゼットン星人 |
第14話 | 恋するキングジョー | キングジョー・ゼットン星人 |
第15話 | 第三番惑星の奇跡 | 完全生命体イフ |
第16話 | わたしはだあれ? | 宇宙化猫タマ・ミケ・クロ |
第17話 | 氷の美女 | エラーガ・ニーナ |
第18話 | アカルイセカイ | シャマー星人 |
第19話 | 扉より来たる者 | ギルファス・ターラ星人 |
第20話 | 怪獣漂流 | クラウドス |
第21話 | 地底からの挑戦 | ゴモラ |
第22話 | 胡蝶の夢 | 魔デウス |
第23話 | 甦れ青春 | フライグラー |
第24話 | 狙われない街 | メトロン星人 |
第25話 | 遥かなる友人 | ネリル星人キーフ・ゴドレイ星人・(謎の異星人?) |
第26話 | クリスマスのエリー | ユニジン |
第27話 | 奪われたマックススパーク | エレキング(成体、幼体)・ピット星人 |
第28話 | 邪悪襲来 | ルガノーガー・リリカ |
第29話 | 怪獣は何故現れるのか | ゲロンガ |
第30話 | 勇気を胸に | ラゴラスエヴォ・グランゴン(2代目) |
第31話 | 燃えつきろ!地球!! | モエタランガ |
第32話 | エリー破壊指令 | ケルス・ケダム |
第33話 | ようこそ!地球へ 前編 バルタン星の科学 | タイニーバルタン・ダークバルタン・海獣 |
第34話 | ようこそ!地球へ 後編 さらば!バルタン星人 | タイニーバルタン・ダークバルタン |
第35話 | M32星雲のアダムとイブ | ホップホップ・アダムとイブ |
第36話 | イジゲンセカイ | シャマー星人・レッドキング(2代目)・ピグモン |
第37話 | 星座泥棒 | ケプルス・サトン星人 |
第38話 | 地上壊滅の序曲 | オートマトン・サテライトバーサーク・スカウトバーサーク |
第39話 | つかみとれ!未来 | デロス人(デロス)・ギガバーサーク |
番外編
スペシャルフィナーレ | ~ウルトラの未来へ~全39話の怪獣・宇宙人 |
---|
主題歌
作詞:及川眠子/作曲・編曲:高梨康治/歌:TEAM DASH with Project DMM
Project DMMと主要キャスト陣により手掛けられたOPテーマ。OP映像はウルトラマン80以来となる影絵を採用している。
唄い出しから「マックス!マックス!マックス!」という非常にインパクトのあるフレーズが入るのが特徴である。
挿入歌
- NO LIMITED
作詞・作曲・編曲:大門一也/歌:Project DMM
- NOT SO BAD
作詞・作曲:高橋ヨシロウ/編曲:ACTION/歌:BAD SCANNERS(ACTION)
劇中に登場するバンド「BAD SCANNERS」が手掛けたという設定の挿入歌。
ドラマCD
「結集!ウルトラヒーロー宇宙大決戦!」内にミニドラマが収録。
ネクサスとジャスティスを除いた平成ウルトラマン達がクロスオーバーするという内容。
時代設定
※以下、考察などが多分に含まれます。
時代設定は2005年当時の世相を反映しているが、『クライマックス・ストーリーズ』でのカイトの孫達の発言によれば、エピローグ時点(2076年)で本編から50年の時が経ったとされている為、2025年辺りではないかと思われる。
しかし、これはあくまでも最終回を基準にした場合の解釈であり、他のエピソードでは辻褄が合わない場合がある。いくつか例を挙げてみよう。
- 第24話は『ウルトラセブン』から約40年後の未来である事が仄めかされている。
- 放送当時はウルトラマン生誕40周年が間近であり、2000年代の話であると推察できる。
- ただし、メトロン星人が修復されるシーンにてなぜか1984年公開の映画『ウルトラマン物語』のポスターが映っており、回想の舞台が1960年代とするのは無理がある。
- 一方で『ウルトラセブン』の舞台は1980年代後半とする公式資料(参考:『宇宙船特別編集_円谷プロ検定公式テキスト2013』(ホビージャパン)P33より)もあるので、そちらを基準とすると矛盾は少ないと思われる。
- 2005年時点で主流な携帯電話が主な要素として登場するので、このエピソードでは、単純に2005年の日本と1967年の日本の違いを表している。
- 第25話では平成17年9月頃の新聞が登場しており、このエピソードは2005年頃であることが推察される。
- 第29話でゲロンガが出現したのは1964年で、現代に当たる時代がそこから40年以上後の話とされているので2005年頃の出来事となる。
余談
マックスの声を演じた中井氏は、「マックス」放送以前に円谷プロが出していたビデオ「ウルトラスーパーランキング!」で、奇しくもマックスにそっくりなウルトラセブンの声を演じていた。
『ウルトラマンジード』で主演を務めた朝倉リク役の濱田龍臣は、幼少時代リアルタイムで視聴していたとのこと。
令和2年7月7日より、Youtube公式チャンネルにて毎週火曜日18:00より配信されている。
4月14日まで配信された『ネクサス』と同じ枠での配信である。
第11話では監督の手掛けた怪獣映画の人形が登場し、子供の人形ごっこながら特撮ファン待望のシーンが描かれた。監督は放送版に限りこのシーン挿入する条件で自ら許可を得たとのことで、DVDではカットされている。
近年の作品で本作の地球(宇宙)が言及される際には最強最速のマックスを苦戦させる怪獣等が多かったことから、そういう意味での特殊な場所として言及されることも多い。
サブタイトルに前編・後編が付くのは『ブレーザー』が放送されるまでは最後だった。
関連タグ
メトロン星人 - 『ウルトラセブン』に登場したものと同一人物が再登場している。
ウルトラマンネクサス→ウルトラマンマックス→ウルトラマンメビウス