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ULTRA_N_PROJECT

うるとらえぬぷろじぇくと

ULTRA N PROJECTとは、2004~2005年に行われた雑誌連載・映画・テレビドラマからなる連動企画である。
目次 [非表示]

概要

ウルトラマンコスモス最後の映画が終了した翌年の2004年、新たなるウルトラ戦士の在り方、即ち「ネオスタンダードヒーロー」の確立を目指した円谷プロダクションによって発表された。


『YELLOW EYES』というダークな物語をたたき台に

  • ウルトラマンになった父親を主人公にすることで、親子二世代に楽しんでもらう劇場版ウルトラマン
  • その映画から連なる、対象年齢層を引き上げたダークな物語を描くTV放映のウルトラマン
  • コスモスから上記二作品までの空白期間を埋めるための雑誌展開のウルトラマン(登場時に既に空いてしまっているが)

の三企画からなるメディアミックスを試みた初のウルトラシリーズ作品群。


世界観を創造するにあたり、平成初期三部作及びそのなどで実績を挙げた脚本家長谷川圭一が招聘され、「ご都合主義なしのシリアスな作風だがスプラッタでも絶望的でもない」世界観が描かれていくことになる。


従来の作品とは一線を画す新機軸を確立するため画期的な企画であると同時に、プロダクションの運命の転換点となる、幾多もの苦難にぶち当たる波乱万丈のプロジェクトなのであった。


各企画の概要

ウルトラマンノア -NOA NOSTALGIA-

「バトルオブドリームNOA」としての雑誌展開で描かれたウルトラマンノアの物語。媒体によってストーリーや登場キャラクターは大幅に異なるものの、ノアとウルトラ戦士で協力してダークザギを撃退するまでが描かれている。

Nプロジェクトとしては珍しく、他2作品と比べて従来のターゲットに向けた設定や世界観を犠牲にした雑誌展開らしいノリ重視の作風になっている。また他の雑誌展開の例に漏れず基本的に後年の作品どころか映像作品内でこの出来事が触れられることはまずない。後述のネクサスでも拾われたのはノアとザギのキャラクターのみである(さらにザギは大幅に演技を変更されているなど、半ば別キャラとして扱われている)。


テーマの「NOA NOSTALGIA」は直訳すると「ノアによる郷愁」で、各所で「魂の原点回帰」の意訳が充てられている。


ULTRAMAN -NEXT EVOLUTION-

元の宇宙へ戻ったノアがスペースビーストザ・ワン」を追って地球へ飛来した際に起きた最初の戦いの物語。ウルトラ作戦第一号がモチーフ。


テーマに掲げられた「NEXT EVOLUTION(次なる進化)」の通り、いつもと違ったスケール感の巨大ヒーローの描写、板野サーカスの導入によるCGの進化など、後年の作品に繋がる特撮面での進化を遂げている。


ウルトラマンネクサス -NEXUS TRINITY-

「ULTRAMAN」から五年が経ち、スペースビーストが頻繁に現れるようになった地球で、悲しい運命に翻弄されながら成長する青年孤門一輝の物語。

後述のように様々な要素が重なり大きな失敗に終わった半面、後にも先にもないだろう先鋭的なストーリーが特定層の支持を獲得した異色のTVシリーズ。

特に、映像面では前述の『ULTRAMAN』から引き続き板野サーカスをテレビ放送でも多用、後続作品の流れの基盤を固めることとなる。


「NEXUS TRINITY(3つの連鎖)」のテーマ通り、ミステリアスな物語が「ウルトラマンノア」や「ULTRAMAN」の要素を受けて衝撃的な結末へ収束する姿は「諦めなかった」視聴者に大きな感動を生んだ。


"N" THE OTHER

『ULTRAMAN』のDVDのブックレットに収録されている短編集。『ネクサス』と『ULTRAMAN』本編で詳しく描かれなかった描写を掘り下げ、補完するエピソードが収録されている。

来訪者の星でかつて引き起こされた惨劇と、人間と来訪者の回顧、そして山岡一ダークザギと出会い、同化された過程が描かれる。

  • ACT-2 深淵 -アビス-

海上自衛官の有働貴文ビースト・ザ・ワンと遭遇し、同化された時の様子が描かれる。

  • ACT-3 復活 -レザレクション-

『ULTRAMAN』とネクサス本編との間に人類はスペースビーストに対抗するためにどのような対策を取ったのかが水原沙羅の視点から描かれる。また、最初に出現したスペースビーストであるゼロの存在が語られる。


顛末

残念ながら、商業・興業的な観点から言えば、Nプロジェクトはシリーズ屈指の失敗だったという他ない。


『ULTRAMAN』は、コスモスの時に主演の杉浦太陽が誤認逮捕をされたことや「大人向けのウルトラマン」というコンセプトそのものを配給元の松竹に警戒されてか大々的な広告等のバックアップを受けることができず、「ウルトラマンネクサス」の視聴者以外には完全に空気のまま上映を迎えてしまった。

あまりにも無惨な興業結果を受けて、続編としてクランクインしていた『ULTRAMAN2』は告知すらないまま頓挫してしまった。


では「ネクサス」の方はと言うと

  • グロキモデザインのスペースビーストによる生々しいホラー描写(一応断るが決してスプラッタではない)。
  • ウルトラマンが何度もピンチに陥り、防衛チームはTAC顔負けの超ブラック組織ギスギスした人間関係、一般市民への記憶操作で主人公達の活躍が世間に認められない、という状態が長い間続く。
  • 1体のスペースビーストを数話かけて単調な異空間で倒すというファンですら指摘するテンポの悪さ。
  • クリスマスからお正月にかけての商戦期がグロテスクホラーの絶頂時期で、登場した新兵器も販促する気がないとしか思えない描写をされる。
  • 中 盤 ま で 雰 囲 気 と 画 面 が 暗 い

など、円谷プロの本意でない部分(後述)もあったとはいえメインターゲット層の子供に受け入れられるとはとても思えないものを作り上げてしまった結果、視聴率は2~3%がデフォで玩具は投げ売り、さらには新聞の投書欄で批判され、このトラブルに便乗して社内クーデターが起きた結果当時円谷プロ社長の円谷英明が解任され、最終的に1クールの放送短縮にまで追い詰められてしまった。


しかし、これらのほとんどはネクサスが元々予算が少ない中、深夜枠を想定した企画だったことに起因する(予算でビル破壊などが難しいことから作られたメタフィールドなどはその最たる例)。

予算不足からシリアスなドラマ重視の構成を作ったにもかかわらず、クランクイン後に放送時間が土朝に決まるなど、現場以外で大ハプニングが発生していた。

また、『ULTRAMAN』についても本来の想定時期(ネクサス放送前の夏休み)の上映スケジュールを抑えられなかったこともあり、全体的に関係者の動きが噛み合わなかった故の悲劇と言える。

もっとも、それらを踏まえても上記の特色は一度に取り入れるにはシリーズとして先鋭的すぎるものばかりで、新要素を詰め込み過ぎた感は否めない。

それでも、それほどまでに各種経費を削減し経理の正常化を図った本プロジェクトだったが、スペースビーストの着ぐるみ製作に倍以上の予算を懸けたことで結局大赤字になるという本末転倒な結果となるなど、本作以前からの課題を解決できなかったことも大きい。


そのためこのシリーズを「ウルトラシリーズをダメにした面汚し」「シリーズの保守化を招いた」「作品のクオリティを考慮すればもっと売れるべきだったはず」と言う人もいるが、これらはTDG三部作などで採算度外視の作品を作り続けた結果によるもので、このシリーズにだけ原因があるわけではなく、むしろこれらの作品は採算度外視でクオリティーの高い作品を作り続け、経営をずさんにしていた状態下での結果であるので、頭ごなしに批判してはいけない。


他にも、当時の円谷プロが創業者一族である円谷一族とその取り巻きであるイエスマン達によるワンマン経営状態で誰も異を唱えられなかった、誰もその状況を不思議に思わなかった、という会社・上層部の腐敗とも言うべき事情もあった。

「ウルトラマンなら仕方がない」というこれまでの甘い考えが一族とイエスマン達に浸透しすぎて採算度外視に疑いを持たなかった結果、制作費を回収するために不可欠な商業的側面を軽視しすぎたこと、失敗した場合のことを充分考えなかったため実際に失敗した時に対処できずそれまでのツケをまとめて払わねばならなくなったことも大きいだろう。


いずれにせよ、メディアミックス三軸の内二つが折れてしまったダメージは致命的で、

翌年から放送された『マックス』では、好評を得たものの銀行から借りた『メビウス』の分も含めた2作分の制作費をこれ1作で使い切ってしまい、結果として『メビウス』の制作のために新たな借金を増やさざるを得ず、さらなる経営状況の悪化を招き、『メビウス』でもさらなる売上の低下などからダメージを回復できなかったことに加え、さらなる借金を負った円谷プロは30億円の赤字を抱えて倒産寸前まで追い込まれることとなった。


しかし残ったのは負の遺産だけではない

  • CGを積極採用し続けた結果、元々日本トップクラスだった円谷のCG技術はさらに磨かれた。特に空中戦描写は明確にクオリティが上がり、それこそロボットアニメ顔負けの激しい激突描写も増えるようになる。
  • 創業者の円谷英二氏が根っからの技術者で、常に採算度外視・品質至上主義を掲げてきた創業者一族による赤字経営は将来破綻することが目に見えており、むしろNプロジェクトのタイミングで問題が表面化しなければ、取り返しのつかない所まで負債が膨れ上がっていた
  • その独自性ゆえにコアなファンが多く、近年ではネット配信サービスと相まって、新規層獲得と再評価の流れが来ている(思い入れのあるスタッフも多く、若手スタッフなどにはネクサスで育った層も)。
  • ギンガ』にNプロジェクトの残滓設定の根幹に関わる部分に採用されたほか、Nプロジェクトのエッセンスとキャラクターは小説展開で扱われている。
  • ネクサスのスタッフ、キャスト陣は逆風の中でも結束を強め、現在も「絆会」という集まりを続けている。

などなど、ウルトラシリーズ50周年前後辺りで円谷プロが復活を果たした今だからこそ言えることではあるが、Nプロジェクトは商業面でも創作面でも非常に重要なターニングポイントなのである。


事実、円谷プロが黒字転換を果たせたのは、創業者一族追放からわずか1年後だったために、手遅れになる前に「癌」を取り除くことができたからといえる。その後は創業者一族から経営権を剥奪し、会社からも追放。予算や赤字体質への反省から放送時期こそ短いものの、赤字が出ないように「クオリティは維持しつつも無駄は省け」を旗印に、大岡新一10代目社長や親会社となったTYO→フィールズ社、メインスポンサーとして長い付き合いを持つバンダイナムコグループをはじめとした新経営陣により、採算を意識しながらもクオリティの高い『X』や『オーブ』などの作品が制作され、ここ数年は黒字経営が続いている。2014年には債務超過が終了したと発表された。


多数の問題点も抱えた本シリーズだが、作品についての評価は決して低くなく、むしろ現在での高評価の声が多いまである。

その証拠に、『ULTRAMAN』のDVDは好セールスを記録し、『ネクサス』もDVDや配信などの一気見で再評価されている。また、後の作品にもネクサスの役者が何らかの形で登場したり、力の入った客演回が作られている。


さらに、『ファイトオーブ』に登場する怪獣使いレイバトスは、ソフトの付録小冊子にて『2000年代に映像作品として不成立となった別作品のために用意されたもの」であり「ベースデザインが板野一郎氏、デザインが酉澤安施氏」で「既に完成していたスーツをそのまま流用したもの」』との記述があり、没になった『ULTRAMAN2』との関わりが示唆されている。


このように、後年の作品に何らかの形で深く関わってくる事が多いため、黒歴史として扱われてはいない事が窺える。


むしろ、近年では拾いきれなかった要素への再挑戦やゲスト枠獲得など、シリーズでもかなりの注目株である。


様々な困難にぶつかった本作だが、本意でない形でもやりたいことを貫き通したがために、唯一無二の存在になれたのかもしれない。


余談

『バトルオブドリームNOA』は絵本という形式(漫画作品でいう単行本化)で流通している。しかし、10年以上前の代物なので在庫が無かったり、あっても値段が上がってたりと入手困難なものになっている。そのせいで内容については前述の通り尾ひれがついて広まっている事が多い。


入手が比較的容易な方はM78ワールドにコスモスが登場しているなど後のシリーズと明らかに矛盾した描写が見られる。これは他の雑誌媒体も同様だが、設定を作りこんでいる本企画では面倒な事態である。

矛盾点が少ないものもあるが、そちらはネット上でも在庫がほとんど出回っておらず、あったとしてもシール絵本なので完全版での入手はかなり鬼門である。


矛盾はあるものの、漫画版ネクサスに付属する設定資料集では『“N” THE OTHER』と共に公式設定として扱われている。しかし、どの雑誌が正史なのかは依然不明。


関連タグ

作品・設定


登場人物


ネクサスの能力など


スタッフなど関連人物

長谷川圭一 椎名高志 小中和哉 アベユーイチ

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