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概要編集

宇宙から飛来したとされる青い発光体「ビースト因子」が、他の生物に取り憑くことで誕生する謎の生物群。「異生獣」とも呼ばれる。

ウルトラマンネクサス』における、いわゆる防衛隊の「ナイトレイダー」とその母体たるTLTはこれに対処するために結成された。


形態は総じてグロテスクの一言に尽き、見た者の恐怖や嫌悪感をとにかく煽り立てる醜悪さが特徴。


ネーミングは「○○タイプビースト」という二つ名に5文字の名前で統一されている(クトゥーラのように長音符でもカウントされる)。また、同種の別個体や複数の形態を有するビーストなどは「グローラー」「ブルード」「クライン」など、特徴を表す単語が付け足され区別される。


ビースト一覧編集

リストは各タイプ登場順。

これら以外にもEpisode12、16で登場した、人間に取り憑いて宿主の怒りや憎しみの感情を食い、幻覚を見せる不定形のスペースビースト(タイプ、名称共に不明)が存在している。溝呂木の命令でその一部を孤門憑依させ、幻覚を見せて彼を闇落ちさせようとしたが、Episode12では姫矢のブラストショットで除去され、Episode16では孤門が闇を克服した際に発せられた光に呑み込まれて消滅した。


生態編集

全ての個体が、ウルトラマンのものとは真逆の波長を持つ特殊な波動「ビースト振動波」を発する。

種全体がこの振動波のネットワークで絶えず情報交換を行っているため、学習能力の発達や能力の進化が恐ろしく速い。

生命力も尋常ではなく、際限なく増殖する種や、粉々に爆砕されてもピンピンしている種もいる。加えてそれぞれが固有の能力を持つことも多いため、ネクサスやナイトレイダーを苦しめる頻度も高く、厄介な強敵・難敵としての印象を多くの視聴者に刻みつけている。


成長の糧は当然捕食であり、特に人間等の高度な知性体を好む。

しかし、肉体的な成長はオマケに過ぎず、真の目的は「知性体の恐怖の感情そのものを食らい、種としての進化を加速させる事」である。

ビーストへの恐怖が次々に新たなビーストを呼び、最終的にビーストの大発生により人類滅亡──それがTLTが想定する最低最悪の終末シナリオである。


なお、捕食はあくまで恐怖の感情を得る手段の一つに過ぎず、実際に終盤にてイズマエルの市内出現による世間の認知と、正体を明かしたダークザギによる世界各地におけるビースト因子の急速な活性化及びビーストの大量召喚等、「恐怖」を自分たちに向けさせるファクターさえあれば人を捕食せずとも成長し強くなることが可能。


闇の巨人達はこの肉の悪魔達を使役する能力を有し、人類を恐怖と絶望で支配しようと暗躍する。


強靭な生命力編集

先述の通り、劇中で登場したスペースビーストはネクストによって倒されたザ・ワンの細胞から生まれたものだが、親同様に倒しても細胞一つでも残っていると増殖・再生して復活、ないし別のビーストとして新生する場合があり、完全に殺すのは困難を極める。


故にネクサスは身を削ってメタフィールドを展開したり、エネルギーを大幅に消耗するオーバーレイ・シュトローム等の必殺技で細胞を分子レベルで完全消滅させることを強いられ、TLTも戦闘後に専門の部署がビースト細胞を全て回収し、出現地を念入りに消毒するなどの徹底した対処を行っている。

ただし、劇中で自力で再生したのは再生器官を持っていたノスフェルのみであり、基本的にはウルティノイドの働きかけによって復活する。そのため、シュトロームソードで抹殺されたはずのガルベロスがイズマエルの素体になる、アンノウンハンドに破片を回収されたリザリアスがパワーアップして帰ってくる等、これらも効果的な方法であるとは言い難い。

さらに言えば、後年の作品では基本的に復活しないことが多い。


対抗策編集

ナイトレイダー所属の部隊メモリーポリスがビーストを目撃した人々の記憶を消すのは、ビーストの大量発生を防止する意味合いもある。そのうえポテンシャルバリアの影響で都市部に出現できなかったこともあり、ビーストの存在は公には知られていなかった(ただしメモリーポリスの存在と混ざった『怪物バンニップ』の都市伝説としてひそやかに語られてはいた)。

しかし、記憶を消すという方法はビースト達の出現率を減らすには有効な手段ではあるが、上記のように人々が恐怖を自覚し、闇に立ち向かう勇気を得て恐怖を乗り越える事ができれば、記憶を消さなくともビーストの発生を抑制することが可能らしく、後にスタッフのインタビューにて、その事実がビーストおよびTLTの存在を公表する切っ掛けになった事が明かされている。


一方、レーテの内部にはビースト因子を対消滅させる抗体のような因子が偶然発生しており、レーテに人々の恐怖心を溜め込んでいたのは、この因子の発生メカニズムを解明する為でもあった。

しかし、その研究が完成する前にレーテは崩壊し、来訪者も全滅してしまったため、抗体に関しては完全なロストテクノロジーになってしまった模様。


正体・出自編集

高度な知性を持った生命体に生じる恐怖がビースト振動波=Χ(カイ)ニュートリノとシンクロすることで発生する「Χ獣(カイじゅう)」

かつてM80さそり座球状星団からやって来た“来訪者”の星を襲い、滅亡の瀬戸際まで追い込んだ邪悪な宇宙怪獣が、ほかならぬスペースビーストである。


正体や出自について判明しているのは以上で、ビーストがいつどこでどのようにして誕生したのかについては一切が謎。劇中では天然の個体はほとんど登場していない点がより謎を深めている。

上記のように、知的生命体の天敵とも呼べる特性を数多く有していることから、何者かが知的生命体を滅ぼすために作り上げた生体兵器ではないかという説もある。


来訪者の母星はビーストの攻撃で危機に瀕したものの、伝説の光の巨人によって一度は救われた。しかし、来訪者がノアを模して生み出した対ビースト用決戦兵器「ウルティノイド・ザギ(後のダークザギ)」の存在に引き寄せられるかのようにビーストは再来。そしてあろうことか自我を得て暴走したザギがビーストを増殖・進化させる能力を獲得したせいで完全に手に負えなくなってしまい、最後の手段である母星爆破を決行した。

ビーストは母星諸共消滅したかに思われたが、ザギの手で光量子情報体「Χニュートリノ」となって生き延び、爆発の勢いに乗って宇宙中に拡散し、やがて地球へと飛来した。


『ネクサス』の前日譚である映画『ULTRAMAN』に登場したビースト・ザ・ワンは、地球で確認されたスペースビーストの第1号である。ザ・ワンは弱体化していたノア=ザ・ネクストに敗れ去ったが、飛び散った細胞は全世界に拡散して地球上の様々な生物に取り憑き、数多くのビーストが誕生して闇夜を跋扈するようになり、物語は5年後の時間軸である『ネクサス』へと続いていく。


当初は来訪者が発生させたポテンシャルバリアによって、人の多い都市部に侵入する事はできなかったが、来訪者がポテンシャルバリアを維持するのが難しいほど大幅に衰弱してしまったことで、アンノウンハンドの力添えもあって都市部にも出現するようになった。


しかし、最終決戦にて首魁のダークザギが倒された事に加え、ビーストの記憶を吸収するレーテを失った人間達が、恐怖を消すのではなく真っ向から立ち向かう方向へとシフトしたことで、勢力は大幅な減衰を見ることとなった。

ただし出現自体は続いているようで、世間一般の認知を得て強化されたTLTによって引き続き駆除が行われている。


結果的に見るとネクサス以前の昭和平成シリーズやネクサス以降のメビウス~ニュージェネシリーズのような本編終了後も怪獣や侵略者との終わりなき戦いや、新たな災いの火種が残されているTVシリーズが多い中で、「完全に人の手のみで対応できる上に敵勢力が弱体化した」「人々が恐怖を乗り越え怪獣の発生を抑制できるようになった」という具合に、本編序盤から中盤までの暗さに反して次作『マックス』共々ハッピーエンドと言って差し支えない形で物語は幕を閉じた。


他作品への客演編集

ギャラクシークライシスダークスパークウォーズエックス謎の発光生命体の戦いの末に発生したウルトラフレア等の要因によって生じた時空の歪みを通して、本来存在していたネクサスの舞台となる世界から、M78スペースや『ギンガ』、『X』の世界などの別世界にも飛ばされた個体が何体か登場しており、文字通りの侵略的外来種として現在も移動先の宇宙に被害をもたらし続けている。あまりに凶悪な性質故か、その悪名は並行世界にも広く知れ渡っており、別世界の戦士であるエックスもその存在を認知していた。

ただし『大怪獣バトル』ではレイオニクス手持ちとして使役される個体がいたり、『ギンガ』の世界では固有の意思を持たないスパークドールズなって登場しているため、怪獣を使役する能力を介することでウルティノイド以外の者がビーストを味方にする事もできるようである。


小林泰三の小説『ウルトラマンF』では、イデ隊員がザ・ワンの細胞を調査し、「他の生物の細胞を取り込み、分解するとともにコピーを生産し、必要な部分だけを遺伝子に取り込む」生体的システムを持つと分析している。また、この特性故にビースト細胞そのものの実態は不明だったため、イデはこの細胞に「影」という仮称をつけようとしていた。その特性と仮称は、同作者のオリジナル作品『AΩ超空想科学怪奇譚』に登場する敵対勢力と酷似しているのだが……?


余談編集

これまでのシリーズでも見ていて気持ちのいいものではない見た目の怪獣はある程度確認できるが、スペースビーストのように「作品を通してそんな連中ばかり出てくる」ケースは珍しいといえ、人類はおろかそれ以外の生物との相互理解も共存も不可能とされる、シリーズ全体を見渡しても異例のカテゴリーである。

『ネクサス』が新たなウルトラマン像を確立させるコンセプトのもとに作られたため、前作との差別化の意味も込めて、「共存不可能な絶対的な敵対者」として位置づけられている。


一応感情らしきものも持っているようだが、『X』での客演時にガオディクションで解析された際は「攻撃」「捕食」の感情しか検知できず、怪獣との共存を願う主人公ですら即座に駆除判断を下した程である。

実際、『ネクサス』本編においても、黒幕の思惑もあるとはいえ人類側と歩み寄れるような進化を遂げた個体は一切おらず、仮に心があったとしても、その精神性は人類とは完全に相容れないものである可能性が極めて高い。

また、エサとして知的生命体の恐怖を必要とする「知的生命体の天敵とも言うべき本質は無視できるものではなく、この点においても他の怪獣とは一線を画した存在となっている。


こうしたコンセプトのため、どの個体も醜悪な怪物としてのデザインとキャラクター性が強調されている。


また、これまでにも『A』のヤプールや『ガイア』の根源的破滅招来体のように「シリーズを通しての敵」というものは存在していたが、今作ではそれらとは無関係な怪獣(上記2者からそれぞれ例を挙げれば、前者は番組後半の超獣や宇宙人、後者は地球怪獣など)が一切登場せず、登場したのはダークザギ等の闇の巨人とスペースビーストのみである。

強いて言えば、『レオ』の番組終盤から登場した円盤生物は、シリーズを通して最終話まで登場し続け、ウルトラマンを精神的に追い詰める戦略を多用した点でスペースビーストに近い存在である。


『ULTRAMAN』制作時およびネクサス当初は、ザ・ワンとウルトラマンが対をなすという設定があったため、立ち位置や設定がもう少し異なる存在であった可能性がある。更に、ビーストの集大成としてイズマエルの代わりにダークルシフェルというキャラクターが存在する予定だった模様。


ちなみに全ての生態系の敵という事実が強調されているビーストだが、皮肉なことにそのスーツの改造元はその多くが保護の対象であった『コスモス』に登場した怪獣だったりする。


『ネクサス』は全編低予算で制作されており、様々な経費を節約して経理の正常化を目指したものの、ビーストの着ぐるみ製作には従来の倍以上の予算をつぎ込んだことで結局赤字になってしまったというエピソードがある。


関連タグ編集

ULTRA_N_PROJECT


ウルトラマンネクサス


ULTRAMAN(映画)


ネクサス怪獣 ウルトラ怪獣


エイリアン クリーチャー グロテスク


地球怪獣(ウルトラマンコスモス)前作に登場した、ビーストとは真逆の存在


円盤生物昭和ウルトラマンにおける似たような存在。ビーストはある意味平成の円盤生物と言えるだろう。


ヤプール:裏設定では、彼ら亡き後に登場する超獣は一部を除いてヤプールの細胞片から誕生した個体らしい。


ゴーデス:細胞から作り出される怪獣などの点が共通している。


シャドウ(怪獣娘):人類との共存が不可能な敵対勢力であり、「ビースト」と呼ばれる個体群がいることが共通している。上記の通り、『ウルトラマンF』ではスペースビーストの細胞に「影」と名付けられようとしていた。


外道衆約4年3ヶ月後のスーパー戦隊に登場する名前5文字・共存不可能な存在という点が共通。こちらは食人こそ行わないが、破壊活動や精神攻撃によって生じる人々の「苦しみ」「嘆き」といったものを糧にする点で「知的生命体の恐怖」を食うスペースビーストによく似ている。


グロンギアンノウン(仮面ライダーアギト)魔化魍:こちらも人類とは共存不可能な種族という共通点がある(『漫画版クウガ』を除き、作中、共存の道も示されなかった)。

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