私達の住む太陽系は、およそ300万年に一度、ダークマター漂う未知の宇宙空間を通過します。
そこは、何が起こっても不思議ではない世界……
そのアンバランスゾーンを、皆さんは、今から体験する事になるのです――
ウルトラ戦士自体の詳細はこちらを参照。
概要
元々は、「イベントや出版物上でしか見られないウルトラマン」として企画された作品。後々に『ウルトラマンシリーズ』30周年記念作品としてのTV化が見越され1995年にパイロットフィルムが制作された。文字通り平成に作られていたが、時代背景としては昭和なので、一応昭和の雰囲気が醸し出している(戦闘シーンも含む)。最初から2人の新ウルトラマンが登場する事が前面に押し出されていただけでなく、パイロットフィルムではウルトラマンが目を細めるなどの革新的な演出が取り入れられていたが、諸般の事情によりそれはお流れになり、代わりにM78星雲世界から切り離された物語の『ウルトラマンティガ』が制作されることとなった。
そして約5年のブランクを置き、2000年に全12巻のオリジナルビデオ作品としてネオスは作成された。当然放送されることはなかったのだが、2002年に放送されていた『ウルトラマンコスモス』が大人の事情で一時的に放送休止状態になってしまった際は、第1話と第2話が代替放送として流されたこともある。コスモスが放送再開が決定した時、ネオスは第2話でほとんどのテレビ局が代替放送を打ち切りとなったが、一部地域のテレビ局では第2話以降も打ち切らずまたは時間枠を変え、最終回まで放送をしたところもある。2012年にはTOKYOMXで全話放送された。首都圏で全話が地上波で放送されたのはネオス誕生から17年後の事であった。ちなみにナレーションを担当した沢木郁也は同じ放送時間帯の裏番組のアニメにも出演していた事もあった。
ちなみに、ビデオ化に際して、ネオスとセブン21はリ・デザイン、ザム星人も設定を変えて登場したが、唯一ドレンゲランのみは登場が見送られた。
また、前田達也氏が歌う主題歌とセブン21のテーマソングがパイロット版の時点で完成していたが、OVで実際に使用されたのはProject.DMMがカバーしたType2001となっている。
現在はパイロット版の設定は必殺技を除いて使われることはないが、ウルトラマンボーイのウルころでパイロット版の映像が紹介された事もあった他、公式書籍でパイロット版に登場した怪獣が紹介される事もある。
あらすじ
300万年に一度、地球はダークマターと呼ばれる暗黒物質の雲の中に突入する。地球ではダークマターに接近するにつれ、『アンバランス現象』と呼ばれる天変地異が巻き起こることとなった。怪獣災害を危惧した宇宙警備隊隊長のゾフィーは、勇士司令部の戦士、ネオスを派遣する。ゾフィーは仲間のために自らの命を犠牲にした若き宇宙飛行士カグラ・ゲンキを助け出し、ネオスと一体化させて地球へと返した。ネオスは地球を守るため、特捜チームHEARTや親友のウルトラセブン21と共に怪獣たちと戦う。
登場するウルトラマン
ウルトラマンネオス
ウルトラセブンの父(つまりは彼の祖父)の率いるエリート部隊・勇士司令部の隊員。
必殺技は腕をX字に組んで放つ「マグニウム光線」と、十字型に腕を組むことで威力を上昇させる「ネオマグニウム光線」。
外見は初代ウルトラマンによく似ており、『ウルトラマン超闘士激伝』では闘士ウルトラマンの弟子と言う設定だった。
パイロット版のネオスはより初代ウルトラマン(Cタイプ)に近い。
ウルトラセブン21
宇宙保安庁に所属するネオスの親友で、ウルトラセブンにそっくりなレッド族の巨人。ちなみに彼の方がネオスより年上のベテラン。地球上では特定の人間体を持たない。
頭の宇宙ブーメラン『ヴェルザード』で敵を切り刻み、必殺光線のアドリウム光線(額のビームランプから放つ)やレジア・ショット(ワイドショットの強化版らしい)で怪獣を撃ち滅ぼす。
ウル忍ではセブンとアミアの間に生まれた子供として登場する(映像作品の方の息子はまだ企画すらなかったので仕方ないが)。赤ちゃんながらも超能力を駆使し戦った。
登場人物
内閣情報局特捜チーム HEART
カグラ・ゲンキ(神楽 元気)
自衛隊特殊戦略部隊出身で、24歳。宇宙のDJ電波望遠鏡へ出向中にダークマターと遭遇し仲間たちを救出したが、宇宙へ放り出されてしまう。そしてゾフィーに救われ、勇敢な青年と認められてウルトラマンネオスと一体化し地球へ帰還した。明朗快活な性格で、奇跡の生還を果たした自らを「ミラクルマンを超えたウルトラマン」と称する一方、ザム星人関連の事件では思い悩む事もあった。
ミナト・ゴンパチ(港 権八)
自衛隊特殊戦略部隊出身の戦闘のプロで、HEART隊長のポストに志願し、隊員選抜も自ら行った熊本県出身の41歳。寡黙で頑固な印象だが、任務終了後に隊員達に寿司を奢る太っ腹な一面も持つ。趣味はチェスだが、主な対戦相手のアユミにいつも負けてばかりいる。
ウエマツ・ヒロノブ(植松 弘展)
元警視庁特別機動捜査隊隊員で犯罪心理学・爆発物関係を徹底的に学んだエリート警察官だった28歳。隊長不在時には代理を務めるサブリーダー的存在で、真面目な射撃の名手だが、第2話でザムタワーにヒノと共に侵入した際には、砕けた一面も見せた。
ヒノ・タカヨシ(日野 隆義)
ロボット工学の権威である26歳。流体力学・金属工学等あらゆる博士号を持つメカの天才で、少年時代は恐竜博士と呼ばれていたほど恐竜にも詳しい。自らが開発したメカには絶対の自信を持つ男で、少し調子に乗りやすいムードメーカー的な性格だが、仕事に対する責任感と同僚への仲間意識も強い。実家は蕎麦屋。
ハヤミ・ナナ(速水 奈々)
心臓外科を専門とする医学博士にして、DNA研究の第一人者でもある26歳。
その為、命の尊さを誰よりも知っており、第5話ではシルドバンの墓標に手を合わせ、深く頭を下げた。
戦闘要員としての実力も男性隊員に引けを取らず、カグラとペアを組んで行動する事が多い。
しかし、その一方でテレビ局のアナウンサーとカメラマンに気付かずに怪獣を攻撃しその結果両名を殺しかけたという事態を招いたことがある(なお、この行動はよくネオスへの批判として挙げられるが危険な場所に入り込んだアナウンサーとカメラマンにも落ち度はある等色々とあるので彼女1人の責任と言い切れない)。
最終話でカグラがネオスではないかと直感する。
キタバヤシ・アユミ(北林 歩)
コンピューターの天才で、コンピューター操作・通信を主に担当する18歳。帰国子女の為英語をはじめ、7ヶ国語を自在に話す。当初はHEARTのメンバー全員に軽口・タメ口調で話していたが、中盤以降はミナトには最低限のきちんとした言葉遣いで話すようになった。第8話では、恩師・宇佐美教授の娘・ミサキの命と心を救う活躍を見せた。
その他
フジワラ・ヨウコ(藤原 陽子)
内閣情報局秘書官。HEARTと内閣情報局のパイプ役で、HEARTの作戦時に連絡・調整業務を行う。当初は厳しく、馬鹿にする感じで隊員達を批評する事が多かったが、内心では非常に信頼しており、中盤以降は良き理解者としてのイメージが強くなっていく。文武両道で、特技は弓道。
放映リストと登場した怪獣、宇宙人
詳細はネオス怪獣を参照。
映像ソフト化
本作のVHSとDVD自体は2000年には発売されていたが、パイロット版はソフト化されていなかった。2011年に『パーフェクト・コレクションDVD-BOX』が発売。さらに2018年にはパイロット版やテレビマガジンサービスビデオも収録されたHDリマスターのBlu-rayBOXがめでたく発売された。
主題歌/挿入歌
パイロット版
- ウルトラマンネオス
作詞:松井五郎/作曲:鈴木キサブロー/編曲:矢野立美/歌:前田達也
「COLUMBIA Cover Version」では石原慎一がボーカルを担当した。
- ウルトラセブン21
作詞:松井五郎/作曲:鈴木キサブロー/編曲:矢野立美/歌:前田達也
「COLUMBIA Cover Version」では石原慎一がボーカルを担当した。
製品版
- ウルトラマンネオス TYPE 2001
作詞:松井五郎/作曲:鈴木キサブロー/編曲:大門一也/歌:Project DMM
OP主題歌。
映像はウルトラマンが活躍するシーンではなく、カグラが宇宙空間に放り出されたシーンを描いている。
ここから第一話の展開につながるため本来であればOP演出として問題はないのだが、なぜか2話以降もこの映像が使用されたためにネタにされることも。
- IN YOUR HEART
作詞:松井五郎/作曲・編曲:大門一也/歌:松本梨香 with Project DMM
ED主題歌。ちなみに松本梨香が初めて担当した特撮ソングである。
- ウルトラセブン21 TYPE 2001
作詞:松井五郎/作曲:鈴木キサブロー/編曲:大門一也/歌:Project DMM
ウルトラセブン21の戦闘テーマで挿入歌として使用された。
余談
パイロット版の特撮シーンの多くはウルトラマン80から流用されている。
かつてウルトラマンランドが存在していた三井グリーンランド(現:グリーンランド)でCMキャラクターを務めていたこともあった。
まともなテレビ放送がなかなかされなかったシリーズだけあって、長らく日陰者に甘んじていたネオスであったが、2017年、全世界に向けて放送される「TOKYO BRAND」PVに初代や当時の最新ウルトラ戦士を差し置いてまさかの登場を果たし、ファンを驚かせた。
さらに台湾のロックバンド『五月天』の最新MVにも登場。
田口清隆監督によって日本で撮影された非常に凝った特撮とネオ・スラッシュやネオマグニウム光線といった光線技を放つネオスや、歌詞に合わせた彼と少年の物語は一見の価値ありと言える。
かつてステートファーム社のイメージキャラクターに選ばれたことも含めて、現在の彼は海外に向けた作品での日本代表ウルトラマンとして活躍していると言えるかもしれない。
『ウルトラマンオフィシャルデータファイル』(デアゴスティーニ/2009〜2011)『トピックインフォメーション SERIES16「ウルトラマンネオス」SHEET01』によれば、第2回の会議時点ではウルトラマンネオスの変身アイテムはエストレーラーになることが決定していた(ビデオ版でようやく披露できた形となる)。一方でセブンタイプの登場も当初の予定通りに実現したが、この段階ではウルトラセブン21は"アコレイザー"で変身する『ウルトラセブンエスピード』という名称であった。
また、ネオスのネーミング案にはウルトラマンダイナなる名称も検討されていたが、これはTDG三部作の『ウルトラマンダイナ』にて日の目を見る事になる。
なぜネオスなのか?
海外展開にてネオスが抜擢された理由は、チャイヨー絡みの版権問題が関わっている。
この問題の詳細は省くが、裁判の末に海外展開の権利を取り戻した円谷プロだが、海外でウルトラシリーズを扱うにあたり、平成10年以前の作品を使う場合はバンダイが絡む、という契約が存在したことが足を引っ張った。
国内で行う分には何の問題もないし、海外であっても子供向けの展開ならばバンダイが玩具展開をするため問題はない。だが、CMなどでウルトラマンを使う場合、バンダイを通さず円谷単独で契約を結びたい場合、平成11年以降のウルトラマンしか使えない。しかも宣伝を担当する関係上、一目見てウルトラマンだとわかるシンプルな外見であることが望ましい。
そこで白羽の矢が立ったのが、正式な作品としての成立が平成11年であり、かつ初代ウルトラマンにそっくりなネオスだったのである。
『ウルトラギャラクシーファイト』
2020年11月にYouTubeで配信され映像作品『UGF 大いなる陰謀』でグレートやパワードなどの海外戦士や相棒のセブン21とともに主要キャラとして出演した。
この発表にファンからは喜びの声が上がり、『ネオス』を知らない層への認知度が上がった。
関連イラスト
関連項目
ウルトラシリーズ 昭和ウルトラマン ウルトラマン超闘士激伝 ウルトラ銀河伝説
ウルトラマンガイア・ウルトラマンR/B:主役ウルトラマンが二人登場する作品。ある意味ネオスがこうした作品の先駆けとも言えなくもない。
ネオライダー:平成に作られたが、背景的には昭和の面影があるという共通点がある。
ウルトラマンリブット、バーチャルヒーロー、ウルトラマンレグロス:イベント用(だった)ウルトラマン