――俺が戦っている物、それは……宿命です――
演:桐島優介
概要
本編開始以前からウルトラマンネクサスの変身者「デュナミスト」として活動していた青年。年齢27歳。
元東都日報新聞社所属のカメラマンで、社会の不正を暴こうという正義感と野心に燃える熱血漢だったが、社会の腐敗や人間たちの欲望といった負の感情を目の当たりにするうちに徐々に人間不信に陥り、自分を追い詰めるかのように海外の紛争地域に渡り、戦場カメラマンとなった。
戦地で負傷した自分を助けてくれた現地の少女「セラ」と親しくなり、つらい現実に負けず強く生きる彼女を次第に妹のように思うようになる。だが戦闘が再開したときにセラの制止を振り切って戦地へと向かい、悲惨な光景をカメラに収めていく中、自分を探しにやってきたセラが目の前で爆死してしまった事で心に大きな傷を負ってしまう。加えてその時のセラを撮影した写真が皮肉にも高く評価されたことで、さらに苦しむ事になってしまった。
その後は何の目的もなくただ世界中を放浪する身となったが、夢の中に現れたセラに導かれるように謎の古代遺跡にたどり着き、ウルトラマンと一体化。それ以降はウルトラマンの力を異星獣スペースビーストから人間たちを守るために使うようになる。
「過去は変えられないが、未来なら変えられるかもしれない」
ナイトレイダーの孤門一輝とは助け、助けられる内によき戦友となる。
以下本編12話〜最終話までのネタバレ注意
孤門が恋人である斎田リコを失った時は彼にかつての自分の姿を重ね、過去や怒りの感情ではなく未来に目を向けるよう諭し、見守り続けた。
だが度重なる激戦の末に自身の体に徐々にダメージが蓄積していき、ゴルゴレム戦以降はウルトラマンの力を解析するための人体実験も手伝って心身ともにボロボロとなり変身もままならない状態に陥ってしまった。しかし孤門や元同僚の佐久田恵にいくら引き止められても、ビースト退治に対して妥協することは一切なかった。
そして遂に溝呂木眞也=ダークメフィストの策略によって、これまでの戦いのダメージもあり、クトゥーラに敗北、終焉の地に拘束され光の力を奪われかける。
「力を与えられたこと…それが俺に対する、罰だと思ったから」
「ボロボロに傷つき、一人孤独に死んでいくことが、せめてもの罪滅ぼしに違いないと…」
この時「自分の得た光の意味」について考えていたことが明かされる。強烈なサバイバーズギルトを持っていた彼は、自分が地球と人類を守るために戦い、死ぬことが「人々が死ぬ瞬間ばかり撮っていた」「人々を救えなかった」過去の自分への贖罪になると考えていたのだった。
「准、その力は罰なんかじゃない」
「あなたに与えられたその光は、長い時を越えて、多くの人たちに受け継がれてきたの」
「その光を得た人たちは、時には大切なものを失いながらも、必死で戦ってきた」
「守ってあげて。大切な人たちを、その力で」
「俺は今度こそ守ってみせる、この光で。それが…俺に与えられた使命だ」
しかし精神世界に現れたセラの言葉で光の力の真の意味に気付き、戦う意志を取り戻して復活、身体を拘束していた禍々しい蔦を破る。足りないエネルギーも孤門が発射したウルティメイトバニッシャーによって回復。メフィストの闇の光弾を受け止めて、光の光弾に変換して返す余裕すら見せる。
「この力は、決して希望を捨てない人々のためにある!それに気づけぬお前が、勝てる筈がない!」
壮絶な空中戦の末、メフィストの大技「ダークレイ・シュトローム」に自身の「オーバーレイ・シュトローム」で対抗、撃ち合いの結果発生した爆炎の中に飛び込み、渾身のパンチでメフィストに引導を渡した。
「孤門、光は……絆だ」
「誰かに受け継がれ、再び輝く」
一面見渡す限りの眩い光の中で孤門の目の前に現れ、光の本質が絆であることを伝えると、最後に満面の笑みを浮かべながら光の中に消えていき、消息を絶った。
「立て孤門!お前は絶望の淵から何度も立ち上がった。だから俺も戦えた」
その後の動向は不明だが、最終回にてデュナミストとなりダークザギと戦う孤門に激励の言葉を送り、孤門の変身するウルトラマンがジュネッスへと変身する奇跡を起こすきっかけとなった。
1年後にはきちんと回復し、カメラを持ち歩いていた。
後日談小説『再臨-ドリームス-』では個展を開くことになったことが明かされている。
ULTRAMAN
漫画『ULTRAMAN』公式スピンオフ小説『ULTRAMANSUIT ANOTHER UNIVBERSE』のEpisode18 『戦場 -キリングフィールド-』と『聖地 -サンクチュアリ-』『生贄 -サクリファイス-』に登場。
内戦が頻発していた東南アジア某国で戦場カメラマンを務め、現地の少女セラと心を通わせ、共に暮らしていた。
ユザレの残滓を探すダイゴが手がかりとなる夢で見た遺跡を撮影した唯一の人物として接触を試みた。
反政府ゲリラに左足を撃たれて、セラの住む村に運び込まれてダイゴと知り合い、村が追跡していたゲリラやペドレオンに襲われても戦場カメラマンとして撮影を続けており、この異様な光景に慣れているかのようであった。
実は姫矢は戦場カメラマンとして活動を続けるうちにクライマーズ・ハイで恐怖心が麻痺してしまっており、そんな自分に恐怖して死に場所を求めていたが、熱病に掛かった所をセラに救われて彼女の笑顔を撮りたいと感じるようになった。この為、セラは彼の希望も同然なのである。
姫矢はもう一つ悩みを抱えていた。例の遺跡に行くとゲリラにセラが撃たれてしまうが、彼はカメラマンとしての性に逆らえずに撮影を続けてしまい、その写真は世間で評価されるものの、罪悪感から命を絶つという悪夢を見ていたのだ。その為に当初は遺跡へ行くことを渋っていたが、地底湖でのTIGAの戦いを見て、自分も未来を変えようとカミーラ相手にシャッターを切って勝利に貢献し、遺跡に無事に辿り着く事ができた。
半年後にはセラの笑顔を写した写真が世間で評価され、内乱は終結。姫矢は現地に残って戦乱の爪痕を撮り続けているという。
先述のような奇妙な夢を見ていた事から彼もまたこの世界の『敵能者(デュナミスト)』である事が示唆されている。
なお、本作のシナリオは姫矢編のメインライターであった長谷川圭一氏が担当しており、もし、セラが生存していたらというIFを描いたエピソードとなっている。
公式読本『ULTRAMANSUIT ANOTHER UNIVERSE MANIACS』書き下ろし小説『生贄-サクリファイス-』ではビシュメルの脅威から人々を守るため、ダイゴから光を受け継ぎNEXUSSUITを装着して戦う。
余談
姫矢から憐に光が渡ったことに関しても理由付けがされている。
姫矢が世界の放浪の旅に出ていた頃、アメリカである少年を見つけた。その少年の雰囲気に自分と同様の孤独を感じ取った姫矢はカメラを向ける。この一期一会の繋がりが、光の流れを決定づけることとなった。
――そしてその少年は、アカデミーから脱走して間もない頃の憐であった。
その一方で、真木から姫矢に光が渡った理由は不明のままである(漫画『ウルトラマン THE NEXT』では、姫矢がザ・ネクストに関するニュースを街頭で見ているというシーンがあり、両者の接点が描かれている)。
公式から明言はされていないものの、『決戦!ウルトラ10勇士!!』に登場したネクサスは、劇中の描写(パワフルな戦闘スタイル、ジュネッスの形態が赤、ダークメフィストのエタルダミーと戦っていた…など)から、変身者が姫矢であった可能性が有力視されている(前述したセリフも言っている)。
当初、溝呂木を演じた俊藤光利は姫矢准役のオーディションにも参加していた。
姫矢准役を演じた桐島優介は当時28(1月6日までは27)歳で、テレビシリーズにおいて主役ウルトラマンに変身する俳優としては歴代最年長記録を更新した。
関連項目
カメラマン 戦場カメラマン 革ジャン トラウマ ハードボイルド
蛭川光彦・・・こちらもウルトラシリーズにおけるジャーナリストであるが、姫矢とは色々な意味で真逆の人物。
火野映司・・・過去に戦場で仲良くなった少女の戦死を目の当たりし、トラウマになっている、ヒーローへの変身能力があるなど共通点も多い。