円盤生物
えんばんせいぶつ
『ウルトラマンレオ』番組終盤〈恐怖の円盤生物シリーズ〉、及び『ウルトラマンメビウス』等々に登場した一群の怪獣の総称。
地球侵略を目的とするブラック指令の命令を受けて、ブラックスターから地球に飛来、侵略活動及びその最大の障害となるウルトラマンレオの抹殺を目的に活動を行った。
どの円盤生物も、飛行用の円盤形態と戦闘形態の相互変形を行うという共通の特徴を持つ。
円盤生物が登場した時期がMAC壊滅後だった為、後年の『ウルトラマンメビウス』の「アーカイブドキュメント」において『レオ』に登場した個体群は「ドキュメントMAC」ではなく「アウト・オブ・ドキュメント」として登録されている。
全体的にあまり怪獣らしくない、不気味でつかみどころのない外見が特徴で、海洋生物を連想させるデザインが多い。その内何体かは「ブラック○○」とネーミングされている。
星人ブニョ以外は皆何らかの生物と宇宙生物を合成した生体兵器だが、円盤形態への変形など機械的な要素も随所に見られるため、その本質は超獣に近いものがある。
基本的に全ての円盤生物が円盤形態に変形でき、人間が持てるぐらいの大きさまで小さくなれる個体もいる。これを利用して神出鬼没な行動を取り、レオの気づかぬ間に人間社会へと潜伏し、数多くの破壊工作を行った。
ブラック指令亡き後もノーバの別個体が登場したり、エンペラ星人がブラックスターの破片からロベルガーを誕生させたり、他の宇宙人がレオに登場した円盤生物の別個体を率いたりしていた実状から、本編に登場した個体の他にある程度の数が存在し、量産も可能であった様子が窺える。
ウルトラ怪獣大百科によれば、 “円盤生物は宇宙に住むカニやクラゲなどといった生物が改造された存在” との説があるが、今も生きている設定かは不明。
円盤生物の中でもたった1体で防衛チームMACをモロボシ・ダン(=ウルトラセブン)を含めて全滅させ、主人公おおとりゲンの恋人などをはじめ主要登場人物まで殺害した『最悪のトラウマ怪獣』シルバーブルーメと、『赤いてるてる坊主』そのものの余りにもシュールな容貌を持ちながら凶悪な破壊工作を行い、後続作品のメビウスや大怪獣バトルにも登場したノーバが特に有名。
また、蟹のような姿で肩書きの円盤の名を示すような形のブラックドーム、ラスボス扱いのブラックエンドが児童向けの雑誌で多く取り扱われ、知名度もそれなりに高い。
それぞれが独特の特殊能力に長けており、ある程度の個体差はあるが総じて高い知能を持つ。
シルバーブルーメ~アブソーバまでは自らレオに挑んでいった訳ではなく、あくまで自身の邪魔をしたレオと戦うのみであったが、ブラックスターの敵がレオのみ(MACは全滅、ダン隊長もこの時点では消息不明、MACの代わりの防衛軍も円盤生物に歯が立たない)と判明したためか、以降は本来の目的の地球侵攻と同時に、邪魔なレオの撃破も視野に入れて行動するようになり、その過程でウルトラマンと人間の関係に興味を持ち進化し始めた。デモスからは通常の襲撃のみならず、人間の心を支配し利用する策略が増えていきゲンを精神的に苦めた。
円盤生物は空中に浮遊しながら戦闘するタイプが多いが、普通の怪獣より小さめの体形も相まって、レオキック等の格闘技は打撃を与えても後ろに下がって威力を流されたり、当てにくいので効き目が薄く、ほとんどの円盤生物はそれまで使う機会が少なかった光線技で倒されている。
また円盤生物相手のレオは今までの戦闘の経験や修業の成果故か、多少の苦戦があってもかなりの差で倒してしまう場合が多く、カラータイマーが点滅する場面もほとんどなかった。レオが1人で倒せなかった円盤生物はハングラーのみである(ちなみに倒したのはアストラ)。
この戦績から一部のファンから『頭脳に極振りし過ぎた虚弱体質のガリ勉集団』と揶揄されたりもするが、後に80やメビウスを苦戦させたロベルガーのように戦闘力そのものは決して低くない(相対評価をするなら『タロウ怪獣の中堅クラスよりは確実に強い』と言えるレベル)。
『レオ』が放映された1970年代中期は、ちょうど日本でUFOブームが爆発的に広まった時期であった。
そのムーブメントをウルトラシリーズにも積極的に取り入れることが検討されたが、宇宙怪獣や宇宙人が当たり前に存在するウルトラシリーズでいまさら「宇宙からやってきた未知の円盤」をそのまま出したところで新奇性は皆無である。
そこで空飛ぶ円盤に変形する怪獣という独自のギミックを持つ新しい敵が考え出された。それがこの円盤生物である…というのが表向きの登場経緯。
一方、『レオ』後半の放映当時はオイルショックの影響で未曽有の不景気であり、あらゆる製作費やギャラを削減しなければならない危機的状況に陥ってしまっていた。そのため『レオ』自体3クールでの打ち切りも検討された。一方「翌年春の朝日放送と毎日放送とのいわゆる“腸捻転ネットチェンジ”を控える中で、新番組を導入すると視聴者が混乱する」との意見が優勢となり1年間は放映しきることが決定された。その代わり、制作予算が極度に縮小されてしまうこととなった。
そこで、できる限り製作費を削減するために「レオと対決する怪獣を操演用の人形で演じる」「着ぐるみを作る場合も人形に近い簡素な造形とし、演出の方で視聴者を惹きつける」といった対応をとらざるをえなかった。
その結果、それまでのウルトラ怪獣とは毛色の異なる特徴的な敵として「円盤生物」が考案され、その一見幼稚ともとられかねないシンプルな造形がホラー風のシナリオと噛み合って逆に独特な不気味さをもたらし、ミニチュアワークや戦闘の質的演出等もパワーアップし、『レオ』後半の作品群に過去作にはない独特な作風、持ち味を与えることとなったのである。
ブラックスター出身の円盤生物
第40話『恐怖の円盤生物シリーズ!MAC全滅!円盤は生物だった!』に登場。
クラゲやイソギンチャクなどの軟体生物を思わせる姿をした円盤生物第1号。
円盤生物のデビューを飾ると共に、前述の鬼畜の所業で視聴者に多大なトラウマを植え付けた。
映像作品への登場は、今のところこの一度きりだが、円盤生物の中ではノーバと並んでダントツの知名度を誇り、ゲーム媒体ではお呼ばれが多かったりする。
第41話『恐怖の円盤生物シリーズ!悪魔の惑星から円盤生物が来た!』に登場。
カニやカブトガニ等の甲殻類を思わせる姿をした円盤生物第2号。
宇宙カニと宇宙怪獣を合成して作られた。小型形態が妙に可愛らしい。アホの子属性持ち。
第42話『恐怖の円盤生物シリーズ!レオが危ない!暗殺者は円盤生物』に登場。
クラゲに似た姿の円盤生物第3号。
こちらも割とトラウマメーカーである。
第43話『恐怖の円盤生物シリーズ!挑戦!吸血円盤の恐怖』に登場。
クモヒトデに似た姿の円盤生物第4号。
複数の小型円盤生物に分裂し、無差別吸血により大勢の人間を殺戮した。
第44話『恐怖の円盤生物シリーズ!地獄から来た流れ星!』に登場。
初の二足歩行型円盤生物で、火花を散らしながら飛ぶ隕石に擬態して地球に潜入した。
希少な直接戦闘担当。
第45話『恐怖の円盤生物シリーズ!まぼろしの少女』に登場。
ヒトデのような姿をした円盤生物第6号。
アシュランのように前後対照の青(氷属性)と赤(火属性)の面を持つ冷熱両用仕様。
第46話『恐怖の円盤生物シリーズ!戦うレオ兄弟!円盤生物の最後!』に登場
脚の生えたチョウチンアンコウのような姿の円盤生物第7号。
頭部の触角を信号機のように擬態させ、巨大な口でクレージーゴンのごとく車を喰らう。
直接戦闘担当その2
第47話『恐怖の円盤生物シリーズ!悪魔の星くずを集める少女』に登場。
二枚貝に似た姿の円盤生物第8号。
桜貝そっくりの姿をした分身『テリナQ』をばら撒き、それに触れた人々の精神を支配した。
第48話『恐怖の円盤生物シリーズ!大怪鳥円盤 日本列島を襲う!』に登場。
鳥か翼竜のような姿の円盤生物第9号。
円盤形態が存在しない珍しいタイプで、新宿の高層ビル群を襲撃した。
第49話『恐怖の円盤生物シリーズ!死を呼ぶ赤い暗殺者!』に登場。
タコ(よりも赤いてるてる坊主そのもののシンプルかつシュールな外見)に似た姿の円盤生物第10号。
そのユーモラスな姿と裏腹に、劇中ではトオル少年に取り付くと、人々を赤いガスで発狂させて殺し合わせる悪夢のような活動を行った。
第50話『恐怖の円盤生物シリーズ!レオの命よ!キングの奇跡!』に登場。
アメーバのようにドロドロとした外見の円盤生物第11号で、宇宙人でもある珍しい存在(本記事では便宜上円盤生物に分類されているが、これに含めないとする意見もあり、ファンの間では見解が分かれている)。
レオを氷付けにして死体をお墓に捨てたヤベーやつ。人間態を演じる蟹江敬三氏の怪演は必見。
第51話(最終話)『恐怖の円盤生物シリーズ!さようならレオ!太陽への出発(たびだち)』に登場。
球体状の体から鋭い刺や尻尾が生えている、円盤生物第12号。テントウムシやヘビトンボの幼虫などを思わせる姿をしている。
最後にして直接戦闘に関しては最強の円盤生物であり、レオの名を呼びながら各地を破壊して回った。
『ウルトラマンメビウス』第31話『仲間達の想い』に登場。
アウトオブドキュメントにも記載されていない新種。
円盤形態から怪獣形態へと変身し、洗練された肉弾格闘と光弾攻撃でメビウスと互角に渡り合った強敵。
『ウルトラマンメビウス』第41話『思い出の先生』に登場。
ロベルガーの亜種であり、体の赤い部位が黄色くなったほか頭部の角が2本増えている。
ウルトラマン80に追跡され、そのまま地球に飛来。80とメビウスを相手に立ち回った。
その他
第40~51話(最終話)に登場。
黒服を身に纏った宇宙人であり、ブラックスターから円盤生物を次々と呼び出して指令を与えている存在。
見た目は地球人とほぼ同じだが、肌が不気味な青白い色をしている。
第40~51話(最終話)『恐怖の円盤生物シリーズ!さようならレオ!太陽への出発』に登場。
ブラック指令の要請を受けて、次々と円盤生物を送り込んでいた悪魔の星。
後に『ザ・ウルトラマンメビウス』にて「惑星自体が円盤生物の生産工場を兼ねた巨大な円盤生物だったのではなかったのか?」と推察されている。
ノルバーグ
『ウルトラマンG』第10話『The survivalists(第47格納庫)』に登場。
狂信的な自然保護主義者であり、自らが人類の支配者となるべく活動しているエコテロリスト。
休眠していたUF-0を兵器として利用しようと企むが……
レオの前番組である『ウルトラマンタロウ』にて初登場した宇宙人。
小説「ザ・ウルトラマンメビウス」において、円盤生物軍団を率いていた(良く自分より遥かに強い連中を率いられたな……)。
エンペラ星人の尖兵でもある。
『ウルトラマンメビウス』にて遂に姿を現した暗黒の皇帝。
〈光の国の天敵〉たる存在でもあり、多数の配下を従えている。
配下の中には円盤生物が存在するほか、上記のロベルガーの誕生にも関わっている。
『大怪獣バトルシリーズ』における黒幕宇宙人であり、全てのレイオニクスの父的存在。
エンペラ星人と同様に多数の配下を従えている。
ゲーム及び漫画版では、シルバーブルーメを利用してレイオニクスのパワーを吸い上げていた。
『大怪獣バトルシリーズ』にて初登場したウルトラマンゼロの宿敵であり、ウルトラマンジードの父親。
こちらも多数の配下を従えている。
ウルトラ銀河伝説ではベリアル怪獣軍団の中にノーバとロベルガー二世の姿が確認できる。
円盤生物の中でも屈指の知名度を誇るシルバーブルーメとノーバが擬人化された他、彼らを従えていたブラック指令までもが擬人化される予想の斜め上の展開がなされた。
デザインは全員爆天童氏が担当している。爆天童氏によると “最初にノーバがデザインされ、その後2体の円盤生物をラインナップに加えることとなった” 模様。一応すべての円盤生物のデザインを考えており、その中からブラック指令とシルバーブルーメがチョイスされた。爆天童氏のツイッター上では惜しくも没になった他の円盤生物たちのラフ画やブラック指令の没案が公開されている。
尚、漫画『ギャラクシー☆デイズ』の最終回では、新たにブラックエンド、デモス、ブニョと思われる3体の円盤生物の怪獣娘が登場しているが、この回限りの特別出演だったのか、今後発表される予定のキャラクターを先行登場させたのかは今のところ不明(一応、上記のリンク先で公開されているラフ画とは異なるデザインになっている)。
メディア展開においては、2018年公開の劇場版作品『怪獣娘(黒)〜ウルトラ怪獣擬人化計画〜』で3人揃ってメインキャラクターに抜擢された(当然ながら円盤生物達を主役とした作品が作られるのは今回が初めてである)。
担当声優は、ブラック指令役が新田ひより、シルバーブルーメ役が高橋未奈美、ノーバ役が石原夏織となっている。主題歌も、OPはこの3人にペガッサ星人/平賀サツキ(声-八木侑紀)を加えた『ブラックスターズ』が担当する他、EDをノーバ役の石原夏織が担当する。
尚、最初はTV版と同様GIRLSを主体とする話を考えていたが、既にTVアニメ版で活躍や成長の過程を描いていたり、1時間の短い尺の中ではメンバー全員の活躍を描くのが困難であった事情もあり「それならばシリーズで新しい動きを展開するためにも新しいキャラクターたち(特に正義の味方に敵対する小規模な組織)をメインにした方がよいのではないか」との流れになった。
監督を務めた山本靖貴氏によると、その過程で漫画『ギャラクシー☆デイズ』の番外編に登場した円盤生物達が目に留まり、作品の方向性に条件が合致していた点や、監督自身が彼女達に愛着を抱いた事情もあり、晴れて映画の主役に抜擢されたのである。
また、映画の公開を記念してdアニメストアで〈恐怖の円盤生物シリーズ〉の全エピソードが期間限定公開され、平成最後の年に思いがけない形で円盤生物たちにスポットが当たる事態となった。
なお、ファンからは皮肉混じりで『アラビアン風で来るのでは?』と言われていたが実際のデザインはそういう要素は全くなかった。
第39番目のスーパー戦隊『手裏剣戦隊ニンニンジャー』には円盤生物同様にレトロチックな円盤状のUFOに変形するUFOマルが登場する。
ちなみにニンニンジャー忍びの26にて『アカニンジャー超絶がウルトラマンレオのポーズをとって巨大化』する珍事を果たした(尚、超絶のモチーフの獅子つながりかは不明)。
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