「やっと今、この地球が僕の故郷になったんです」
演者:真夏竜『ウルトラマンレオ』(ウルトラマンレオの声と兼任)
概要
外見年齢20歳。故郷のL77星をマグマ星人に滅ぼされて地球に亡命してきたウルトラマンレオの仮の姿で、レオリングを使用して変身。背番号は「7」。MAC入隊前は城南スポーツセンターの指導員として勤務しており、MAC入隊後も顔を出している。
なぜ漢字表記でもオールカタカナでもないのかは不明。おゝとりゲンと表記されることも多い。
第48話での台詞から逆算するに、本編開始の3年前の時点で既に地球に来ていた模様。
マグマ星人やギラス兄弟との戦いで変身能力を失ったモロボシ・ダンから地球防衛を託され、MACに入隊。
初期のダンからのムチャな特訓(ジープ特訓など)は今なお語り草になっており、演じた真夏氏ですら後に「ありゃマジで殺されるかと思いました」と述懐している。
梅田カオルが拾ってきた花を地球の花でないと察知し捨てるように促すも何も知らない山口百子に反論され事情を言い出せずに動揺したり、アトランタ星人が化けた内田三郎隊員が高倉長官の娘の婚約者であると知るなり、彼女の心情を察して苦悩したりと過去の防衛チームにいたウルトラマンである隊員とは正反対のナーバスな面がある。
また、第1話ではレオの能力でレッドギラスとブラックギラスの居所を見つけるも、マッキー1号のレーダーには何も映らなかった事から郷に入っては郷に従え(要約)とダンから叱責を浴びせられる事もあった(矢的猛が星涼子に同様の注意喚起を行なっている事もわかるように、ウルトラ戦士が地球で戦い続けるためのリスクマネジメントとも呼べるものである)。
MAC入隊当初は隊員の反発を買っていたが、ダンの課する特訓によって心身ともに大きく成長していき、隊員たちとも良好な関係になっていった。だが、築き上げたわずかな幸せはあっという間に崩された。
地球を狙うブラック指令が送り込んだ円盤生物・シルバーブルーメによってMACはゲンを残して全滅し、ダンは行方不明になり(後に生存が判明するも、『レオ』本編で明らかになる事はなかった)、ゲンの友人や恋人までもが犠牲になってしまう。以後、難を逃れた梅田トオルとともに美山家に身を寄せ、民間人の立場で円盤生物群に立ち向かっていく。円盤生物群との戦いでも苦悩することはあったが、それを乗り越えてさらなる成長を遂げた。
最終回(第51話)でブラックエンドを倒した後、本当の故郷となった地球の平和をその眼で確かめるため、ヨットに乗って海の彼方に旅立っていった。
歴代屈指の苦労人
故郷を滅ぼされた宇宙の難民という設定だけでも中々の苦労人だが、初の地球の戦いでもセブンが変身能力を失い、黒潮島(山本百子の出身地)がマグマ星人らによって沈没、島民の殆どが死亡するというあまりにも苦すぎる結果となっている(第15話に登場し、ゲンに稽古をつけてくれた津山青年はその数少ない生き残り)。
しかし、これで悲劇が終わるほど甘くもなく、戦いが激化するにつれて守るべき地球人を次々に失っていくという憂き目に遭う(大切な人々を失うという展開はシリーズでは往々にして見受けられるが、ここまで悲惨な目に遭い続けたのはそうそういないレベルである)。
そんな状況でも諦めずに戦い抜いたからこそ、『メビウス』での言葉には重みがあるのである。
戦いに巻き込まれた犠牲者は次の通りとなる(特に印象深いエピソードや親しい人々を中心に記述する)。
第2話 | 山口百子 | レオマスクパワーで復活 |
---|---|---|
第3話 | 梅田兄妹の父、鈴木隊員 | いずれもツルク星人によって殺害される |
第7話 | 洋子 | 友人である白土純隊員の恋人で、カーリー星人の犠牲となる。ちなみに洋子役を演じた菅沢恵美子は後に本編第48話でもテリナQに操られる女性役を演じている。 |
第11話 | マイティ松本 | 城南スポーツセンターに通う一郎少年の叔父。ケットル星人に殺害される(ただしゲンが一般人に対して「捕まえてくれ」と言って頼んで協力させたゲンにも責任がある) |
第13話 | 警官 | マックナイフを奪われ、バイブ星人に殺人容疑の濡れ衣を着せられる形となった |
第40話 | MAC隊員、山口百子、野村猛、梅田カオル | 松木隊員の誕生日にMACが壊滅、続いて百貨店が襲撃されて百子らが死亡 |
第48話 | 和久宏 | 喧嘩別れした写真家。リトルモアの襲撃に遭って死亡した代わりにその場にいた赤ん坊の救出には成功する |
なお、ウルトラセブンことモロボシ・ダンはなんとか生還しており、後続の作品にも客演している。
その後
『ウルトラマンメビウス』
「俺は、地球での最初の戦いで、沈むこの島を守れなかった…」
「そのために多くの人たちが犠牲になった。ここは俺が絶対に忘れてはならない場所だ」
第34話に登場。すべての光線技を無効化するリフレクト星人に敗北したウルトラマンメビウス=ヒビノ・ミライを黒潮島に呼び出し、托鉢僧の恰好で現れる。既に地球から離れたゲンだが、今も彼には地球こそが本当の故郷であり、メビウスが自分の故郷を託せるに相応しいかを試すためにやって来たのだ。
メビウスと手合わせを行い、彼に欠けていることを教えたのだった。その姿は、かつて自分に技を叩き込んだダンにそっくりだった。なお、その際に怒ったリュウとジョージからトライガーショットを突き付けられた際には「武器に頼れば隙が生まれる」と語った。
「お前たちの戦いは、必ず勝たなければならん戦いなんだ! そんなこともわからずに、よくウルトラマンを名乗れたもんだ…」
「その顔はなんだ? その目は! その涙はなんだ! そのお前の涙でこの地球が救えるのか?」
自分自身に決別するかのように、ゲンはかつて自分がダンから言われた言葉でミライを叱咤激励し、さらに自分が使った胴着を投げ渡した。
ミライはGUYSとの猛特訓の果てに新技を編み出した。そして、リフレクト星人に戦いを挑むメビウスだったが、リフレクト星人はガンフェニックスを捕まえて人質に取ろうとする。ゲンは再びレオに変身し、メビウスとともにキックを放ち、リフレクト星人を撃破する。その雄姿を見て、ゲンはミライに地球の平和を託して去っていった。怪獣たちに殺された人々の霊を慰めるために。
尚、この事件でGUYSの隊員たちは彼がかつてMAC隊員としても戦っていた事実を知らされており、何気に世界観を共有している続編作品の登場人物たちが、過去のウルトラ戦士の秘密を明確に知る初めての事例となった(正確には『ウルトラマンダイナ』で客演したマドカ・ダイゴのほうが先なのだが、あちらは曖昧な形となっている)。
『ウルトラマンサーガ』
本編では光の国でダン、ハヤタ、郷、北斗とともに登場。人間態でのダン、および郷とは38年ぶり、ハヤタ、北斗とは初共演となった(ただしハヤタ役を演じた黒部進とは『レオ』第30話で共演しているが、こちらはハヤタとは別人として出演している)。DC版にてハイパーゼットンが召喚したタイラントを始めとした怪獣兵器の前に現れると、他の兄弟とともにウルトラマンの姿で立ち向かう。
『ULTRAMAN』
こちらの作品でも、正史においてゲンに当たる人物が登場。弟も同伴しており、スクルーダ星人・アダドを追う刺客として、星団評議会に雇われる。
その正体は滅びたL77星最後の生き残りの兄弟である。
その風貌は獅子の鬣のような髪型と髭の青年として描かれており、耳もエルフ耳のように尖っており、正体を表すとウルトラマンレオに似た姿となる。
性格も過酷な人生を送ってきたがゆえか、見た目に違わず荒々しいが非常に弟思い。
戦闘の際には弟ともどもコンバットスーツを着用し、ドーピングして戦闘力を大きく上げたアダドとも互角以上に渡り合う戦闘力を見せるが、SEVENとウインダムのコンビネーションには手も足も出ず、弟を人質に取られてしまうが、SEVENとの問答を経て、身の上を共感されると自らを始末しに来たノーバを相手に共闘した。
以後は諸星を兄貴と仰ぎ、彼についていく事を決意した。
当初はかつてウルトラ族の封印に関わっていた事や考え方の違いから自分たちは「ウルトラマン」ではないと否定していたが、ザラブ星人らが化けたULTRAMAN達との戦いでベムラーから科特隊の仲間=ウルトラマンと認められ、弟ともどもスーツを改造したウルトラマンスーツを装着。名実ともにウルトラマンの仲間入りを果たしたのであった。いわく、地球人のいう「ウルトラマン」像はそこまで不快には感じないとのこと。
戦闘力も最新式バリアをラッシュで容易く破壊できるほどにアップしている。
余談
企画時の初期名は「おおとりレオ」。
レオが格闘主体なために勘違いされがちだが、「武器に頼れば隙が生じる。最後に頼るべきは自分自身だ」という『メビウス』客演時のセリフは、武器を使うことを否定しているわけではない。事実としてレオは必要とあらば、レオヌンチャクで戦うシーンがあり、愛弟子であるウルトラマンゼロは格闘だけでなくゼロスラッガーでの戦闘が主体である。
ここで彼が言っているのは「武器を過信しすぎず、己の実力を磨くことが大事」ということ。その言葉を裏付けるようにリフレクト星人は自分の防御力を過信して敗北している(GUYSを雑魚と呼んだことからもその慢心具合が窺える)。いかに優れた武器でも、使う者の実力が伴っていなければ真価は発揮されないのだ。
関連項目
マゼラン星人マヤ:かつてダンに牙を向いた敵宇宙人。最後は母星に見捨てられて、ダンから差し伸べられた手を拒否して自決した。ゲンの生き様はダンからすれば彼女の裏返しだと言える。
イグニス:後のウルトラ作品にて同じように邪悪な輩に故郷を滅ぼされた宇宙人。後にウルトラマンの力を手に入れる。
歴代ウルトラマンの主人公系譜