覚えて置け………私の名はベムラー………始まりの敵だ
概要
本作の最重要キャラクター。
ウルトラマンスーツと酷似した装甲服を身に纏っているが、トゲを思わせる突起が多いデザインで、地球人に比べて手足が長い。また、マスクの破損部分からはかの宇宙怪獣ベムラーを思わせる牙の生えた口や口元の網目状の模様が確認できる。
また、第42話では黒いスーツの男性の姿でヤプールと接見している(恐らく人間に擬態した姿と思われる)。
高い戦闘力を誇っており、手や口から光線や光弾を放てるほか、アーマーから副腕を出して攻撃するなど多彩な攻撃手段を持っている。また、体の半分以上を消し飛ばされても生きている程の異常な生命力を誇っている。
現時点での詳しい目的は不明だが、物語が始まる12年前より独自の思惑で暗躍しており、主人公である早田進次郎やその父の進(ハヤタ隊員)が持つ「ウルトラマン因子」を危険視している(ただし、エースキラー事件収束後は「ウルトラマン因子」の力を完全にものにした進次郎に対して「最早おまえを抹殺する必要は無くなった」と告げている)ほか、星団評議会の暗部やゼットン星人・エドの目的や真意についてもある程度把握しているような素振りを見せている。
そのため、物語の様々な秘密を握る重要なキーパーソンだと目されるが、長らくの間、その詳細は不明のままであった。
劇中では真意が見えない不気味さが漂うが、星団評議会の指令で接触したエージェントであるスクルーダ星人・アダド曰く「目的のためなら悪役に回ることすら厭わない」とのスタンスを取っているらしいことから、単純に侵略目的の凶悪な宇宙人と言う訳ではない模様。
ベムラーが起こしたと思われていた飛行機事故も、正確には助けようとしたが間に合わず、映像のせいで事件を起こした黒幕と勘違いされていたことが真相である。事故の生き残りである北斗星司もそのことを知っており、ベムラーを慕っていた。
さらに、かつて幼い頃にウルトラマンに助け出された遠藤庸介が感極まって涙を流すシーンがあった(本人も理由はよくわからなった)ことや、進次郎が北斗の治療を進言した際に「地球人を助けるのはこれが初めてではない」と発言したことなどから、その正体はある異星人と深い係わりがあるような節があったが…?
関連項目
以下ネタバレ
テロ組織『暗黒の星』との総力戦に挑んだウルトラマン達。
最後の手段として怪獣化したペダンを倒すべく、進と進次郎、2人のウルトラマンはスペシウム光線で迎え討つ。しかしペダンの肉体は強靭で、2人の光線を同時に受けていながらも「地球製のウルトラマンの力はこんなものか」と凌いでみせる。想定以上の苦戦に進は……
進「手を貸せ────── ベムラーッ!!!」
進次郎「……?! なんでベムラーに…?」
「気付いていたのか…ハヤタ・シン」
進「私を誰だと思っている」
「…止むを得んか…」
進次郎「……ちょ…ウソだろ…!?」
「終わらせるぞ ハヤタ・シン 進次郎」
ベムラーがとった構えはスペシウム光線のそれであった。
第70話にてその正体は初代ウルトラマン本人だったと判明。まさに始まり(=宇宙怪獣ベムラー)の敵(=ウルトラマン)という意味では、初めて進次郎に名乗った時の言葉通りだった。
この姿でも、かつての光の巨人としての姿と同じ形状のスペシウム光線を放てる。
なぜかつて自分が倒した怪獣の名前を名乗っているかはわかっていない。
ただ、現在の姿になったかについては、本人は「評議会と戦う為に今の姿になった」と述べている。
かつてハヤタのことをゾフィーに
「立派な人間だから犠牲にできない。私は地球に残る」
「私の命をハヤタにあげて、この地球を去りたい」
と口にするほどに地球を愛したはずの彼が、いくら進次郎とハヤタの体に宿る自身の因子が常人離れしているとはいえ、場合によっては抹殺することさえいとわないほどに強硬姿勢を取ったり、後に科特隊の庇護下に置かれることになった獅子兄弟から
「ウルトラマンはこの宇宙にとっては悪である」という言葉が出たりなど、その行動・目的は表立って地球を守っていた頃と比べると読めないものが多い。
現在進次郎たちと協力体制を敷くこともあるようになったため、上記の「目的のためなら悪役に徹する」ことも考えると、進次郎たちを襲った意味は、
- 敢えて悪人のふりをして攻撃を仕掛けることで、進次郎やハヤタの持つ因子がどの程度のものか。平和に害するか否かを確かめるため
- 進次郎がハヤタを経由して受け継いだ自分の力を正しくコントロールさせるため
という説等が予想される。
ハヤタもまだベムラーの正体に気づいてない頃、「本気になれば私を殺せたはず」と、自分を殺さなかったベムラーの行動の意味を図りかねていたため、その可能性はあると思われる。
しかし、本当にその通りなのか、未だにこれらの行動の意味は謎に包まれている。
なお、明確に進次郎たちの味方として行動するようになって以降は、天然気味のレナの言動に振り回されてしどろもどろになる等、ギャグシーンも盛り込まれるようになり、以前と比べるとけっこう態度が丸くなっている節も見受けられる。
その後、ゼットンコアとの戦いでテンペラー星人に頭を砕かれてしまい、科学特捜隊基地へ収容されるが、ある夜に体が発光し、体内からベーターカプセルが現れた。
実はゼットンコアによる光の国の封印の際、肉体を捨ててエネルギー体になることで星から脱出していた。そして地球に向かう前に適当な死体を見つけ、それに取り憑いていたのが現在のベムラーとしての姿である。
進次郎と初めて戦った際にスーツの下が異形の姿だったのも、体の殆どを吹っ飛ばされても生きていたのもそのためであり、ヤプール曰く「元が死体だから、遅かれ早かれ今の体を維持するのも限界が来ていた」らしい。
余談
進次郎に破壊された後の14話以降のスーツをよく観るとウルトラマンの姿に無数の突起をつけたデザインである事、父親である早田進からも「何か感じとったものがあった」と公言されており、その正体の伏線がある程度貼られていたりする。
なお、ウルトラマンの前身である企画が烏天狗型の怪獣ベムラーをメインヒーローに饐えた『科学特捜隊ベムラー』であり、この事から、連載開始当初からファンの間では正体が初代ウルトラマン本人ではないかと疑う声も少なくなかった。
ちなみに、『ウルトラマンネクサス』の前章に当たる当作品と同名の映画ではウルトラマンとベムラーに相当する存在の本質は同等であるかのような描写があった。
アニメ
CGアニメでは、実はレナが誕生して間もない時期に、本来の光の巨人としての姿で人々を守るために怪獣と戦っていたことになっており、その後の時期に星団評議会と戦うために今の姿=ベムラーとなったと思われる。
だがその戦いの際に、レナの母が戦いに巻き込まれて死亡してしまう。そのせいで、原作漫画ではウルトラマンのファンであった遠藤刑事が、逆にアニメではウルトラマンを嫌うようになっている。
レナもまたそれに影響を受け、実母のことでウルトラマンのことをよく思っていない。
なおスペシウム光線を放つ際の音声が、ウルトラマンスーツから放つ光線が「ピャー」に対し、こちらは本来の「ザー」になっている。