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ベーターカプセル

べーたーかぷせる

ベーターカプセルとは、特撮番組『ウルトラマン』に登場する変身アイテムである。
目次 [非表示]

手にしたカプセル ピカリと光り 100万ワットの輝きだ

(OPより)


概要編集

ベータカプセル(ペイント)

初代ウルトラマンが、事故死させてしまったハヤタ・シン隊員に与えた変身アイテム。

ペンライトの様な形状をしており、ライトグリーンのメインカラーに黒い逆三角形の模様が入っているのが特徴である。

このカプセルの赤いボタンを押すことで、ウルトラマンの姿へと変身できる。右手に持ち高々と掲げてボタンを押すのが基本のポーズである。


通常はボタンを押した瞬間、眩しい閃光「フラッシュビーム」が放たれウルトラマンが登場するという演出になっているが、第3話第10話のみ、「発光部から放たれた帯状の光がハヤタの体を繭のように包み込み変身する」という演出になっている。

主題歌の中に「100万ワットの輝きだ」という歌詞があるようにフラッシュビームは非常に強力な閃光であり、光に弱い地底人を壊滅させた。


「これがないと変身できない」という重要な品物であり、落としてしまったりしてピンチに陥る場面も少なくない。変身時に取り落とした回数は8回に及ぶ。

しかし作中では本部に忘れて行く変身中に無くすスプーンと間違われるなどうっかりのようなケースも少なくない。

放送当時に連載されていた一峰大二氏と楳図かずお氏双方のコミカライズ版でも落としてしまうシーンがある。楳図版に至っては敵であるメフィラス星人に奪われる事態に……

なる前に、メフィラスの裏をかこうとしたサトル君によって、気絶している隙に掠め取られている


『ウルトラマンプレミアステージ2』ではしゃもじを取り出してしまい、バルタン星人にしゃもじの解説をされるというお遊びが仕込まれた。ハヤタはしばらくそのしゃもじで怪獣相手にど付き合いを行い、変身までの時間を稼ぐことに成功している。


帰ってきたウルトラマン』でも、企画段階ではベーターカプセルで変身することになっていたが、結局変身アイテム自体が削られた。

ウルトラブレスレットのウルトラスパークがベーターカプセルに翼の付いたようなシルエットをしており、一説にはこれがベーターカプセルの名残ではないかと言われている。


また『ウルトラマンパワード』は同作が『ウルトラマン』の海外リメイク版に近い作風ということもあって多くの設定が踏襲されているのだが、変身アイテム・フラッシュプリズムは、原語版では「ベータ・カプセル」と呼称されている。


劇場版『ウルトラマンX きたぞ!われらのウルトラマン』ではファントン星人グルマン博士が幼いころに見た光の巨人ことウルトラマンを召喚するために発明したが、召喚に失敗し研究所で大爆発が起こってしまった。

後にグルマン博士が開発した初代マンのサイバーカードエクスデバイザーでリードするとエクスベータカプセルが登場し、エクスパークレンスと合体させることでベータスパークとなり、ベータスパークアーマーを装着することができるようになる。

なお、『ニュージェネレーションクロニクル』での放送では発明のシーンがカットされてしまったため、何の予告もなしにいきなり登場する形になってしまっている。


シン・ウルトラマン編集

シン・ウルトラマン』でもポスターに科学特捜隊バッジとドッグタグの真ん中にベーターカプセルのようなものが確認できる。

2021年の円谷コンベンションにて、このアイテムがベーターカプセルであることが明言された。

センシティブな作品

起動点火装置を参照。


呼称問題編集

アイテムの名称は「ベーターカプセル」だが、劇中では第1話第18話でしか呼称されていない。

現在ではかなり減少傾向にあるが、90年代頃まではカプセルから放たれる光の名称である「フラッシュビーム」をアイテムの名称として紹介している資料も多かった。

放送当時の『週刊少年マガジン』の紹介記事では「ウルトラマンになるためのフラッシュビーム」「胸のビームを抜くと変身する」と書かれており、同誌掲載の楳図版コミカライズでも「フラッシュビームがないっ」と焦る場面が有るなど設定が定まっていなかったことがうかがえる。

果ては「フラッシュビーム ベーターカプセル」というややこしい名前の玩具まで発売されていたりして…

ちなみに1992年にバンダイから発売された公式グッズである。

近年の玩具などでは「ベータカプセル」と長音符を1つ省略して表記されることも多く、紹介ページ内で両方の表記をしていることもあるため、表記揺れが発生する一因になっている。

まれに「βカプセル」とギリシャ文字表記されることも。


設定の変遷編集

番組製作当初は、「ウルトラマンの故郷は宇宙から大量のベーター線が降り注いでいる」と設定されており、カプセルにも変身1回分に必要な量のベーター線が詰まっている事になっていた。

しかし劇中では「ウルトラマンのエネルギーは太陽エネルギー」としか語られず、カプセルに付いても「ボタンを押せば変身できる」程度の扱いしかなされず、変身の原理などの説明は皆無であった。


その為か放送終了後に出た資料では、「大量の光エネルギーが詰まっている」「ディファレーター線発生器が内蔵されている」など、解説が一定していない。


70~80年代に発売された円谷プロ監修の図鑑などでは、「一度変身すると24時間変身できなくなる」「エネルギーの容量はウルトラマン80のブライトスティックの半分程度」と記述されていたが、その設定が現在も生きているのかどうかは不明である。


漫画版にて編集

  • 放送当時『ぼくら』で連載された一峰大二氏の漫画版では、デザインが大きく異なり、カプセルといいつつライトの形状をしている原作とは違って、実際に細長いカプセルといった形になっている。

またボタンも二つ存在しており、変身の際はリング状の光がハヤタを取り巻き、カラータイマーによる変身解除はすうっとウルトラマンが虚空に溶けるように消えていく。

またハヤタの姿に戻った後にカプセルを太陽へ向けてエネルギーを充填しているシーンが存在する。充填時間が短かったせいか既に傷付いた状態だったせいかは不明だが、この再変身では変身した時点でカラータイマーが点滅しており、限界が近いことを示していた。


  • 放送当時『週刊少年マガジン』で連載された楳図かずお氏の漫画版では先端の尖った銃弾やペンのような形状となっている。スイッチの類は見当たらず、サトルくんは見たこともない変なものとしか認識できなかった。カラーリングは後ろ半分ほどは黒、その先は白色となっている。

先述の通り、掲載誌の特集記事と同様に「フラッシュビーム」と呼称されている。


  • 小学館の書籍『ウルトラマンひみつ大百科』収録の漫画版では「傷付いた異星人とひとまず一体化して命を助ける為の装置」とされていた。

本来は初代マンの同僚であるクロードという戦士ウルトラの父が渡したものだが、彼がベムラーとの戦いで死亡した為、マンが受け継いだ。

ただしこの漫画は「編集部が創作したもの」と断られており、公式設定ではない。


  • ウルトラマン_THE_FIRST』(高田裕三)では概ねデザインに変更はないものの、先端の発光部がニキシー管や真空管のようにやや尖った形状になっている。

商品化編集

現在では信じられない話ではあるが、放送当時変身アイテムというものは変身時のエフェクトのひとつと認識されていたそうで、放送当時は一切商品化されていなかった。第26話で少年が木の棒を掲げてウルトラマンを呼ぼうとする場面があるが、実際に当時のごっこ遊びでは木の棒や懐中電灯マーブルチョコレートなどのお菓子の箱などで代用していたという。

玩具化された回数自体は少なくないのだが、放送当時の撮影用小道具が現存していない事と、画面にはっきり映っている回が少ないこともあり、原作番組の知名度とは裏腹に再現性の低いアイテムである。

効果音が鳴らなかったり、大きさがおかしかったり、そもそもカラーリングからして似せる気ゼロだったり…


2009年にバンダイから販売された食玩「アクションアーカイブ ウルトラマン」シリーズの「変身!ベータカプセル」は形状がほぼ原作準拠、スイッチによるサウンド機能が備わっており、フラッシュ機能がない事を除けば過去のベーターカプセル玩具の中でも随一の出来栄え

……だったのだが、2016年にバンダイが完全再現をうたった「ウルトラレプリカ ベーターカプセル」を受注生産で販売したところ、これは変身後に強制的に戦闘BGMやカラータイマー音などが流れるものとなっていて、純粋なベーターカプセルの変身グッズとは言い難い……というか余計な機能がついているあたり、見た目はともかく正直ある意味では食玩以下の再現度となってしまった。完全再現とはなんだったのか。


そのため、2022年現在外見・効果音・フラッシュ機能と全て揃ったアイテムは、2011年の空想ラボによる限定生産品「徹底再現1/1ベーターカプセル」(登場話数ごとにデザインが微妙に違うため数バージョン存在)しか存在していない。

……と、思われていたが、来る2022年、「ウルトラレプリカ ベーターカプセル 55th Anniversary ver.」としてウルトラレプリカとしてのベーターカプセルが5年以上もの歳月を経て発売された。単なる再販ではなく、元の変身後にBGMが鳴る使用は廃止され、モードの切り替えによる任意のBGMの再生/停止が可能となった。また、客演時の変身音も追加された豪華仕様となっている。


備考編集

デザインは少なくとも成田亨ではないとされる。本編美術の岩崎致躬か成田と共に特撮美術としてクレジットされている深田達郎が有力視されているがはっきりとは分かっていない。


『ウルトラマン』最終回にて、ゾフィーがハヤタと初代マンを分離する際、本カプセルと同型のアイテムを用いていたが、これが何だったのかは劇中で明言されておらず、後の作品にも同様のアイテムは登場していない。

資料によっては「ベーターカプセルの別個体」とされている。

これがベータカプセルの別個体だった場合、結果的に『ウルトラマンジード』から『ウルトラマンデッカー』までの新世代ヒーローズに見られた複数存在するアイテムの先駆けといえる。

『ウルトラマン』の撮影用プロップは現存しておらず、単体の写真などもない為、実は当時の資料と呼べるものは本編映像しかない。

初代ウルトラマンの変身アイテムという事で様々な形で何度も商品化されているが、その資料の少なさ故にプロップの再現を目指したものであってもほぼ全て細部が異なっている。

実際のプロップは単2乾電池2個を内蔵し、スイッチを押すと電池同士が接続して回路が繋がりフラッシュが発行するというギミックだったとされる。

あまりしっかりした作りをしていなかったようで、発光部を覆う銀フレームや本体がベコベコであったり、銀フレームと本体の間に黒いテープが巻かれていたり、赤いスイッチや本体下部の銀部分が飛び出ていたりするなど、その作りの荒さが原因で同一のプロップ(と思われるもの)であっても頻繁に形が変わっている。


余談編集

  • ウルトラマンガイア』の初期のエピソードでは主人公の「高山我夢」がウルトラマンガイアの光を光電子管に収めたものを一時的な変身アイテムに使っていた時期があるが、この電子管の見た目といい変身時の動きや演出がベーターカプセルと非常によく似ている。

  • 変身中に落とすという珍しい場面から、ベーターカプセルは変身時にウルトラマンの耳の中にたまに見える棒状の突起物(電飾のスイッチ)に収められているというジョークが有る。

  • たがみよしひさの短編漫画『妄想超人マイナマン』では、怪獣に襲われる悪夢に悩まされる主人公が、夢の中でウルトラマンに変身して対処するために、現実世界でベーターカプセル状の変身道具を自作するシーンがある。

  • 漫画版『ロックマンエグゼ』(鷹岬版)第二巻で熱斗がPETではなく、スプーンやフォークでプラグインしようとする描写があるが、これは言わずもがなベーターカプセルと間違えてスプーンで変身しようとしたシーンのパロディ。

関連項目編集

ウルトラバッジ ブライトスティック スパークレンス リーフラッシャー エストレーラー コスモプラック エボルトラスター ギンガスパーク オーブカリバー

いずれも使用法が類似した後輩ウルトラ戦士達の変身アイテム。


ウルトラアイ:次作の重要度に反してぞんざいな扱いの変身アイテム

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