概要
『ウルトラマン』の主人公である初代ウルトラマンのスーツのうち、もっとも初期に使用されたスーツ(及びそのマスク)のこと。
頬がこけて皺のよったような顔つきのマスクが特徴的だが、これは設定のみで使用されなかったボツ技「シルバーヨード(口から液体を飛ばして攻撃する必殺技)」や会話シーンのために、マスクの口が動くように設計されていたためとされている。材質も、口元を中心にラテックスが用いられており、柔軟だが劣化しやすかったそうだ。
この構造ゆえ、非常に見えにくいがシーンや写真によっては、スーツアクターを勤めた古谷敏氏の口元や歯が見えてしまっている。まるでウルトラマンに歯が生えているようでもあり、この人みたいな状態である。
第1話「ウルトラ作戦第一号」から第13話「オイルSOS」まではこのスーツが使用されたが、激しい撮影に伴う劣化により交換されることになり、第14話「真珠貝防衛指令」以降はBタイプと呼ばれる新造マスク・スーツへと移行した。この時、口の開閉ギミックの使用予定はなくなったとの判断により、マスクからはこのギミックがまるごと廃されている。
その後、さらに改善とデザイン変更を加えたCタイプと呼ばれるスーツも登場。後年の作品では、このCタイプが初代ウルトラマンの基本の顔として用いられていった。
備考
Bタイプ移行後、マスク部分は劣化のため廃棄された。首から下の部分は、第18話「遊星から来た兄弟」でニセウルトラマンのボディとして使用された後、最終回「さらばウルトラマン」でもゾフィーのボディとして使用。さらにその後、ゾフィーのマスクのまま初代ウルトラマンに戻され、イベントのヒーローショーや1969年に上映されたサークロラマ映画「ウルトラマン・ウルトラセブン モーレツ大怪獣戦」の新規撮影部分に使用されていた(いずれもスーツの模様にAタイプの面影が残っている)。
後のゾフィーやウルトラマンジャックは最初からCタイプに似た顔立ち(実際同じ原型を使用して造形されている)で登場するため、Aタイプは「地球に就いたばかりで弱体化した姿」とする説もある。その説を反映したのか、『ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟』で命がけの変身を行った際にはAタイプの姿だったが、後に再登場した際にはいつもの姿に戻っていた(単にジャックと紛らわしいからかもしれないが)。ちなみに口のギミックは復活されていないため、昭和当時のマスクのように口は開いていない。なお、このスーツは『大決戦!超ウルトラ8兄弟』においても使用されている。
楳図かずお版のコミカライズや高田裕三の『ウルトラマンTheFirst』ではAタイプのマスクが使用されている(後者では第2部が始まってからBタイプになったが)。
なお、映画『ULTRAMAN(映画)』に登場するウルトラマン・ザ・ネクストの不完全形態であるアンファンスは全身に皺のよったデザインであり、Aタイプのスーツをモチーフに造形されているためと言われているが、これは誤りである(実際は造形チェックの際に小中監督が『Aタイプみたいだね』と感想を述べたことに尾びれがついただけである)。
『シン・ウルトラマン』においても地球に飛来した直後のウルトラマンの顔がAタイプを意識したものになっている(これに加えて、体の色も銀一色だった)。2度目の変身以降は、人間と一体化した影響もあってかCタイプ状の顔に変化し、赤いカラーリングの加わったお馴染みの姿となった。また、こういった外見の変化は劇中の登場人物の口からも直接言及されている。
余談
テレビ朝日のバラエティ番組『アメトーーク』の企画「ウルトラマン芸人」でこのマスクが紹介された際には、出演者から「ブラマヨの吉田さんみたい」とイジられていた。