概要![編集](https://s.pximg.net/source/dic/images/icon_edit_partial.svg?20120424)
ここでいう"社会人"とは、義務教育を終えた後に高校や大学、専門学校などの義務化なされていない教育機関に通わない者を指す。日本の場合は基本的に満18歳以上の者たちが社会人サッカーを嗜むことが多い。
日本国内における社会人サッカーを対象とした大会は、リーグ戦だとJFL・地域リーグ・都道府県リーグ・(北海道や一部の県で行われる)地区リーグ或いは支部リーグが主であり、時々東京都や大阪府やその他一部の県で独立リーグの形で市区町村リーグが開催される場合がある。カップ戦は天皇杯を始め、全国社会人サッカー選手権大会や参加資格が都道府県リーグ以下の下位カテゴリ在籍チームに限られる全国クラブチームサッカー選手権大会、参加資格が関東リーグ在籍チームにKSL市原カップ、参加資格が関西リーグ在籍チームに限られるKSLカップ・・・などがある。
プロと学生に対する登録規制が緩い日本の社会人サッカー![編集](https://s.pximg.net/source/dic/images/icon_edit_partial.svg?20120424)
元々、日本国内の社会人による団体球技スポーツにおいては、野球に匹敵する影響力がある。それは、日本国内における『アマチュアによる全国規模のリーグ戦』を一番初めに確立させた競技だからである。これは、ドイツ人のサッカー指導者で"日本サッカーの父"と呼ばれるデットマール・クラマーによる「リーグ戦形式にしなければ日本の強化にはならない」との提唱を元に実行されたもので、1965年に日本サッカーリーグ(JSL)という名前で初開催された。
JSL創設時点で『サッカー王国』と呼ばれる静岡県も含めた地方に有力な社会人チームがまだ少なく、且つ、当時は創設されて1年も間もなかった頃とはいえ新幹線が既にあったことから、地域リーグではなく全国リーグとして創設されることが決まった。ただし、当時の新幹線は東京~新大阪までの東海道新幹線のみで、JSLオリジナルメンバーの8チーム中2チームが後に1970年代後半に全線開通される山陽新幹線沿いのチームであった為、この2チームはそれまでの間は別の交通手段を用いらなければならなかった。
ここからが本題なのだが、このJSL、正式名称に"社会人"の固有名詞を入れることもなく、また、社会人スポーツにおいて当時主流だったチーム形態である"実業団"の固有名詞も入れることはなかった。それは、「社会人だけでなく大学にも門戸を開放しよう」という意図が当初からあった為。しかし、当時の有力な大学チームたちは既に地域ローカルで開催されている大学リーグとのスケジュール調整が上手くいかなかった為、社会人界隈からのこの誘いには断念することになる。一方、各大学チームたちは早くもこの昭和の時代にてトップチームとは別にサテライトチームを創設しており、トップダウン形式でJSLの下に創設されていく地域リーグとその下の都道府県リーグに、創設したサテライトチームを社会人チームの扱い(※所謂"社会人登録チーム")として送り込んでいくこととなる。
ところでJSL時代において、平成に入って創設されることとなるJリーグの開催前までは、チームのプロ化どころか選手のプロ化も容認されづらかった。それは日本サッカー協会(JFA)の上位団体として存在する日本体育協会(現:日本スポーツ協会)が「純粋なアマチュア選手の団体を標榜している」という時代でもあった為、プロ選手を認めた場合はJFAが日本体育協会から追放される恐れがあった(※仮に追放されると当時は有力なスポーツ大会でもあった国民体育大会に界全体で出場できなくなる)。こういう背景もあってか、当時の日本サッカー界自体も元プロ選手が存在するだけでアレルギー並みの反応が起きてしまい、結果として『外国人選手の試合出場は来日・登録から半年間は認めない』という制限が追加されるほどであった。それだけ、言葉だけでも「プロ(プロフェッショナル)」というものにとても敏感な時代であった。後にJSLで設けられるプロサッカー選手制度の『スペシャル・ライセンス・プレーヤー』は「公にプロ(プロフェッショナル)って言葉を使わなければええで」ということで日本体育協会から認定されることとなる。
そしてプロリーグ創設に辺り、野球界のように別途の創設とはせずJSLを改組することで創設することを決め、既存の社会人リーグはプロリーグと直結する下位リーグとして現在に至ることとなる。これにより、『プロが上位カテゴリでアマチュア(社会人)が下位カテゴリ』という本場・欧州サッカー界からの踏襲である国内リーグ構成の"基本形"が完成する。
こういう様々な経緯もあり、野球界に続く団体球技のプロリーグ創設を行ったサッカー界は、プロリーグ創設以降の社会人リーグにおいて、プロ選手やプロ指導者、学生選手や学生指導者の在籍をも無条件で認めていった。このスタンスはその後の社会人選手たちが人知れず仕事をしながらサッカーへの情熱を持ち続けられることへの要因となっており、同時にプロ選手やプロチーム、学生選手や学生チームが混じる為に嫌が応でも対峙する社会人選手や社会人チームのレベルアップが右肩上がりのままとなる要因ともなって定着し、他競技界の社会人リーグと比較するとプロや学生のチーム及び選手に対する登録規制が緩い状況となって今に至る。
反面、サッカー界による社会人サッカーのこのスタンスに対し、黎明期からプロ組織とアマチュア組織が別々に創設され発展していき現在に至るまで未だ対立状態が根強く残る日本国内の団体球技の先駆者たる野球界、その影響が強い日本では「プロとアマチュアは厳格に別々にしなければいけない」という考えが根強くある為に反発の声もある(※サッカー関係者の中にも少なからずいる)。一例として、サッカー界がプロリーグであるJリーグの最下位カテゴリのJ3リーグとアマチュア社会人リーグ最上位カテゴリを兼ねたリーグであるJFLとのリーグ戦の成績を基準とする入れ替え制度を2023年から本格的に導入し始めた際は、特に野球界の現状をサッカー界を含めた他競技界にもそのまま当て嵌めたがる人たちから「プロとアマを入れ替えるということがそもそも組織が違うから無理な話だ」などと批判的・否定的・反発的に主張されることもあった(参考ソース1(まとめブログ)/参考ソース2(YouTube))。また、先述した考え方が強過ぎるあまり、「欧州サッカー界から踏襲し続けているからああなっている」ということを説明しても納得しない者も居る。
尚、2000年代からザスパ草津の成功を発端にJリーグ在籍枠が上限に達成した後もJリーグを目指すチームが途絶えず増え続けており、且つ、Jリーグを目指さないアマチュア社会人チームたちが「Jリーグ参入を目指すチームを邪魔をする形となるチーム」という立ち位置をも確立させてマスコミからを取り上げられることも増えた為、社会人サッカーの現在のスタンスを『面白い』と好意的に捉える者も増えている。今後は仮にそういう者たちを増やし続けようともするならば、社会人サッカーという枠組みを維持しつつの限界ギリギリに達するほどの発展が重要不可欠となるが、それはJFAの事業に直接関わるサッカー関係者次第となる。どの道、社会人サッカーが日本国内アマチュアサッカー全体における最上層であることと社会人リーグに当たるカテゴリ全てが学生リーグを除く日本国内サッカーの第1種リーグ全体の発展における『土台』『基盤』『縁の下の力持ち』を兼務していることに変わりはない為、尚更無視は出来ないであろう。
日本の社会人サッカーにおけるチーム(クラブ)形態![編集](https://s.pximg.net/source/dic/images/icon_edit_partial.svg?20120424)
- 実業団チーム
別名『企業チーム』。民間企業のサッカー部のみならず(公務員による)公営組織のサッカー部も実業団の枠に当て嵌まる。民間企業の社員の身分のままサッカー選手としての活動に専念できる『ノンプロ選手』の存在は実業団チームならではと言えよう。実業団によって異なるが、企業・公営組織公認の部(強化指定)となるチームもあれば、公認されなかったり強化指定から外れたりして同好会扱いとなるチームもある。男子ではJリーグ開幕以降を契機にプロチーム化またはアマチュアのままクラブチーム化を図った実業団チームも数多く現れた。
- クラブチーム
いち法人として独立したスポーツクラブ及びサッカークラブが当て嵌まる。大まかにはプロチームもこちらとなる。アマチュア契約の選手の場合は、クラブスポンサーの下で社員として働くことが時代を重ねるにつれて増えていっているが、未だに選手独自で働き口を探さないといけなくなる場合もある。また、この形態の為に実業団チームよりもプロチーム化がし易い。あと、女子ではよくあったことだが、男子では実業団チーム化を図ったクラブチームは稀である。
- プロチーム
クラブチームの内、Jリーグ参入を目指すチームとJリーグ在籍クラブのサテライトチームがこれに当てはまることが多い。"ことが多い"とは、つまるところアマチュアのままで社会人サッカー界を過ごす前述した形態のチームもいる他、極稀にJリーグ参入を目指さないままプロ形態で運営するチームもあったりする為。ただし、Jリーグ在籍クラブのサテライトチームについては、FIFAによる移籍制限のルール(※夏と冬の年間2回のみ)を社会人リーグもモロに受ける形がネックとなっていたり、そもそも「サテライトチームの保有そのものがお金がかかりすぎる」ということもあって、チームを(在籍カテゴリが非全国リーグであっても)廃止・解散させている或いは最初からサテライトチームを保有しないというクラブが相次いでいる。その影響で、Jリーグ在籍クラブのトップチームに入団する新卒選手に対する出場機会の確保と育成の2点が長年の課題となっている。
- 社会人登録の学生チーム
大学チームのみならず、専門学校チームや専修学校チームにも当て嵌まる。大学チームは学生リーグに在籍するチームのサテライトチームという立ち位置であるからか、社会人選手が在籍する社会人登録の大学チームは極少数である。反面、専門学校チームや専修学校チームは学生リーグよりも社会人リーグにトップチームを含む傘下チーム全てを参加させることが多いため、プロチームや実業団チーム、アマチュアクラブチームから選手を『非学生選手』として躊躇なく移籍加入させることがやれている。
- 外国人チーム
正式には『JFA準加盟チーム』であり、外国籍選手が6名以上在籍しているチームが該当する(ソース:PDFファイル)。この制度のおかげで、上位カテゴリたるプロリーグのJリーグとは異なり、JFL以下の下位カテゴリ全ては外国籍選手枠の制限を受けない。反面、その制限を受けない代わりに正式名称の通り、チーム自体には年間のリーグ戦以外の大会への出場制限が科せられており、特筆するべき点として天皇杯本選への出場が不可能となっている。また、サッカーの上手い外国籍選手だらけにすれば、JFA準加盟チームの最高峰であるJFLまで勝ち抜けれるわけではないのもそうで、実際に2010年代前半までにおける外国人チームの筆頭であった東京都に拠点を置くFCコリアが、2016年シーズンを境にわずか3年で関東リーグ1部から東京都リーグ2部にまで陥落していったことからも窺える。
別名・表記ゆれ![編集](https://s.pximg.net/source/dic/images/icon_edit_partial.svg?20120424)
- ノンプロサッカー
- アマチュアサッカー
関連タグ![編集](https://s.pximg.net/source/dic/images/icon_edit_partial.svg?20120424)
- サッカー
- 海外サッカー - 日本の社会人サッカー界と接点が無いわけではないが、交流はあまりない。
- 国内サッカー
- プロサッカー - 社会人とは縦に連なる直接の関係にある。当然プロ側が上位カテゴリである。
- 学生サッカー - プロと同様に貴重な選手供給源で、選手にとっても社会人は貴重な進路先だ。
- 高校サッカー - 同上。少しでも上を目指す選手にとって社会人はお手本ともなるカテゴリだ。
- クラブユースサッカー - 同上。一方で、ユースチームを保有する社会人クラブは存在する。
社会人サッカーを舞台とした漫画![編集](https://s.pximg.net/source/dic/images/icon_edit_partial.svg?20120424)
- フットボールネーション - ビッグコミックスペリオールで連載中のサッカー漫画。第1部は天皇杯本選での優勝を目論む社会人クラブチームが舞台となっている。
- 俺たちのフィールド - 週刊少年サンデーで連載されたサッカー漫画。主人公が帰国後に当初プロチーム化・プロリーグ参加を希望しなかった、かつて父親が在籍した実業団チームに在籍し奮闘する話がある。