特徴
日本国内の場合はJFAが定めた以下で述べる「チーム登録種別」によって、そのチームが参加できる大会が決められる。
男子サッカー
- 第1種
年齢に関する制限のないチームを指すが、大体が満18歳以上で構成されるチームである。プロチーム、社会人チーム、大学や専門学校などの学生チームが該当。
プロチームのみが参加できる大会は、リーグ戦だとJリーグ、カップ戦だとJリーグカップ・アジアチャンピオンズリーグ・クラブワールドカップなど。カップ戦はJリーグ在籍であることが基本条件となっている。
プロチームのみならず社会人チームや学生チームも参加できる大会は、リーグ戦だとJリーグの下位に位置するJFL・地域リーグ・都道府県リーグ、カップ戦だと天皇杯JFA全日本サッカー選手権大会・全国社会人サッカー選手権大会・全国クラブチームサッカー選手権大会など。
社会人チームのみが参加できる大会や学生チームのみが参加できる大会も勿論ある。
その他、J1リーグ優勝チームと天皇杯優勝チームが翌シーズン開始前に対戦するスーパーカップも存在する。
- 第2種
高校サッカー部のみが参加できる大会は主に夏のインターハイ(全国高等学校総合体育大会サッカー競技大会)と冬の高校サッカー選手権大会である。
クラブユースチームのみが参加できる大会は主に夏の日本クラブユースサッカー選手権大会(※U-18部門)と冬のJリーグユースカップである。
そして、両者共通の大会が高円宮杯U-18リーグであり、最高峰カテゴリであるプレミアリーグの東部地区または西部地区を制したものが進出できるチャンピオンシップでの優勝が、両者それぞれにおける国内3大タイトルの1つとなっており、当然3大タイトルの中での格は一番上となる。
かつてはスケジュールが厳しくなるまでは天皇杯の出場参加資格が与えられていた。
- 第3種
中学校サッカー部のみが参加できる大会は主に全国中学校サッカー大会(※全国中学校体育大会のサッカー競技種目)である。
クラブジュニアユースチームが参加できる大会は主に日本クラブユースサッカー選手権大会(※U-15部門)である。
そして、両者共通の大会が高円宮杯JFA全日本U-15サッカー選手権大会であり、両者それぞれにおける国内2大タイトルの1つとなっている。この大会には実質1次予選を兼ねている高円宮杯U-15リーグの最上位カテゴリである9つの地域リーグのいずれかで上位入賞するか、実質2次予選である大会そのものの地域予選を勝ち抜くと出場できるようになっている。
なお、第3種では女子選手の出場が認められている。(後述)
- 第4種
第4種ではチーム形態に合わせて指定される大会がほとんど見当たらず、全国大会でも12歳以下で構成されるチームであればほとんどのチームが参加できるようになっている。
第4種が出場できる大会の中には、年間のU-12世界一を決める大会である『ダノンネーションズカップ』の日本予選もあるが、過去に実際に世界一にまでなった日本のチームが1チームだけ出たことがある(※2014年度大会)。(しかも当時世界一になったチームというのが、JリーグクラブのジュニアチームではなくJFLクラブのジュニアチームであった。)
なお、第4種では女子選手の出場が認められている。(後述)
女子サッカー
女子に関しては区分が無い。これは女子の競技人口が少ないことが主因である(※区分が無いことでの影響については『リーグ構成』の項を参照)。なお、区分が無いことに一切関係なく、トップチームとは別にユースチームなどの育成組織を持っているクラブもある。
また、先述したことの影響で女子の大会も少ない為、女子選手の試合出場の機会を増加させようと、男子の第3種と第4種の大会には女子選手の出場が認められている措置が採られている。
2021年度から開催されるWEリーグはプロリーグであるため、プロチーム以外は参加資格が与えられないが、その下位リーグとなるなでしこリーグ以下のリーグに参加条件の変更はない。
なお、皇后杯JFA全日本女子サッカー選手権大会は全チーム共通で参加可能な大会である。
リーグ構成
男子の第1種・第2種・第3種、そして女子は共に、縦に連なったリーグ構成が特徴であり、上位カテゴリであればあるほど在籍チーム数が少なくなることが特徴であり、故に『リーグピラミッド(※ピラミッド型のリーグ構成)』とも呼称されることがある。この構成は元々、欧州サッカーのリーグ構成を模倣したものである。
特に男子第1種と女子のリーグ構成は、欧州サッカーと同じように「上位カテゴリがプロリーグで下位カテゴリがアマチュアリーグ」となっている。日本のリーグ構成の場合は社会人リーグの上位カテゴリを再編し、『プロリーグ』と『(プロリーグの直下のカテゴリに当たる)社会人リーグの上位カテゴリ』の2つに分離させた経緯がある。よって、ここで言うアマチュアリーグとは社会人リーグのことを指す。(※この辺が日本における野球界とサッカー界を比較する上での「プロとアマチュアの関係」の決定的な違いである。)
また、男子第1種の社会人リーグは、実はプロ化前から社会人選手の他にも満18歳以上の学生選手や籍を置きつつも実態は競技だけに専念できるノンプロ選手も参加出来ているという歴史的経緯もある。それが要因となり、現在では選手としての給与がもらえるプロ選手とセミプロ選手も無条件で在籍できるようになっている(※プロ化前は「スペシャル・ライセンス・プレイヤー」の名前でJSLだけにしかプロ選手は参加できなかった。これはJFAの上位組織となる日本体育協会(現:日本スポーツ協会)が当時、純粋なアマチュアプレーヤーの団体を標榜していたという経緯も影響している)。
ちなみに学生でもない18歳未満の選手、つまり第2種や第3種に当たる選手が学生リーグを除く第1種のリーグに参加するには(※第4種の選手については前例が一切無いので割愛する)、特別指定選手制度を活用することである。特別指定選手制度は第1種の学生選手と第2種の選手が対象であり、尚且つ、参加対象となるリーグカテゴリは現状だとJリーグだけである。当然だが、この制度の活用するためのハードルは高い。その他にクラブユース限定で、2種登録選手となるか、2種か3種の在籍途中でトップチーム昇格または帯同を果たすという2つの手段もある。この2つに限ってはトップチームがJFL以下の下位カテゴリに在籍するクラブでも可能なので、居るクラブによって出場できるリーグカテゴリが異なる。
一方で、女子の社会人リーグの場合は出来た時から女子に区分を設けていないこともあり、男子よりも参加できる対象の範囲が更に広く、無条件で、高校チームやユース(U-18)チーム、中学校チームやジュニアユース(U-15)チームも参加可能である。ただし、『なでしこリーグに小学生以下は参加できない』など、一部のカテゴリに何かしらの制限がある。なお、18歳以下の選手個人の場合は男子と似た形で、WEリーグとなでしこリーグを対象カテゴリとした特別指定選手制度が存在し(※対象選手は高校サッカー部かクラブユースに在籍する18歳以下の選手及び満18歳以上の学生選手である)、更にはクラブユース限定で2種登録選手ならぬ育成組織登録選手となることや、育成組織在籍途中でトップチームに昇格するという手段がある。繰り返し述べることだが区分を設けていないという時点で、そもそもこれらの手段を使わなくても高校生や中学生はプロチームや社会人チームに無条件で加入できる仕様となってはいるが、確実に加入して出場機会を得られるようにしたいのなら、これらの手段を活用出来るように努力したほうが寧ろ早いのである。信用が第一であるためだ。
余談で男子第1種に限った話をするが、レベルが底上げされた今だからこそ言えることだが、『元日本代表や元Jリーガーを始めとしたプロ選手だけで固めればアマチュアリーグは突破できる』というのは幻想であることは、プロリーグ参入を目指す数々のチームが証明している。結局はチームが在籍選手をどのように活かしつつ一致団結で突破出来るか次第なのである。そして、女子もいずれはプロリーグが出来て以降の時代の何処かで、男子第1種と同じ流れを辿り始める可能性は高いと思われる。
以上により、日本のアマチュアリーグは事実上、純粋なアマチュア選手だけしか参加できないリーグではない。なので、「プロも参加出来るけどプロリーグではないリーグ」という意味でノンプロリーグとも表現されている。
ところで、下位カテゴリの中でも特にJFL以下について、「J4(=JFL)」だの「J5(=地域リーグ)」だのと『Jリーグ◯部相当』という風にJリーグに例える者・表現する者がマスコミも含めて多かったりもするが、これは国内リーグに詳しくない者に対して「JFL以下もJリーグなんだ」「Jリーグって"国内リーグ"の意味なんだ」などという誤った知識を与えてしまうことになるので、正しい知識を周囲に身に着けさせたいならば絶対に避けたほうがいい例え方・表現方法のため注意が必要である。(ちなみに海外サッカーのリーグにおいても近似の例え・表現をされてしまう場合がある。代表的なのがイングランドサッカーリーグ2部のEFLチャンピオンシップを「プレミアリーグ2部」と例えてしまうことである)
男子第1種
現在(2014年~)
以下のリーグ構成となっている
- J1リーグ(日本1部)
- J2リーグ(日本2部)
- J3リーグ(日本3部/ここまでがプロ契約選手の保有義務があるリーグ)
- JFL(日本4部/ここまでが全国リーグ)
- 地域リーグ(日本5~6部)
- 都府県リーグ/北海道ブロックリーグ(日本6~7部以下)
- 地区リーグ/支部リーグ(一部地域での最下部カテゴリ)
ところで、表向きは「J3リーグとJFLは同一カテゴリ(※即ち同じ日本3部で且つ地域リーグ以下は日本4部以下)」「J3リーグ創設によりプロとアマに分かれた」とされている。しかし、実際はJ3リーグ創設前と何ら変わっておらず、JFL以下はJ3リーグの下位カテゴリとして位置付けられており、当のJリーグや各種メディアもそのように扱っている。また、JFL以下もJFL以下で選手全員プロ契約のチームも当たり前のように在籍したりしている。
なお、2021年8月のJリーグ理事会後の定例会見にて、J3の在籍チーム数が上限(20チーム)に達した時点でJ3・JFL入れ替え制度を導入することが発表されている。この際、当時のJリーグチェアマンである村井満からは「無尽蔵にクラブ数を増やしていくことは現実的にはできない」との言及がなされている。そして、2022年シーズンにてJ3の在籍チーム数が上限に達したことを受けて、2023年シーズンからJ3・JFL入れ替え制度を開始することが発表された。
1999年~2013年
以下のリーグ構成となっている
- J1リーグ(日本1部)
- J2リーグ(日本2部/ここまでがプロ契約選手の保有義務があるリーグ)
- JFL(日本3部/ここまでが全国リーグ)
- 地域リーグ(日本4~5部)
- 都府県リーグ/北海道ブロックリーグ(日本5~6部以下/ブロックリーグは2003年創設)
- 地区リーグ/支部リーグ(一部地域での最下部カテゴリ)
一方、この時期には地域リーグ2部以下からの飛び級昇格制度が事実上設けられていたこともあった。『Jリーグ加盟を標榜するクラブに対する優遇措置』という制度と、在籍カテゴリを問わず全国社会人サッカー選手権大会の本選で3位以内に入賞することの2点である。前者は2003年度から2011年度まで、後者は2006年度から2017年度まで。どちらか1点が適用されれば、全国地域サッカーリーグ決勝大会への参加資格を獲られるというものであった。なお、この2点のどちらかの適用で実際に飛び級昇格を果たしたチームは僅かに2チーム。JFL昇格のハードルの高さを改めて思い知らされる制度でもあったと言える。
1994年~1998年
以下のリーグ構成となっている
- Jリーグ(日本1部/プロ契約選手の保有義務があるリーグ)
- 旧JFL(日本2部/ここまでが全国リーグ)
- 地域リーグ(日本3~4部)
- 都府県リーグ/北海道地区リーグ(日本4~5部以下)
- 地区リーグ/支部リーグ(一部の県地域での最下部カテゴリ)
1993年まで(トップカテゴリプロ化後)
以下のリーグ構成となっている
- Jリーグ(日本1部/プロ契約選手の保有義務があるリーグ)
- 旧JFL1部(日本2部)
- 旧JFL2部(日本3部/ここまでが全国リーグ)
- 地域リーグ(日本4~5部)
- 都府県リーグ/北海道地区リーグ(日本5~6部以下)
- 地区リーグ/支部リーグ(一部の県地域での最下部カテゴリ)
1992年以前(トップカテゴリプロ化前)
以下のリーグ構成となっている
- JSL1部(日本1部)
- JSL2部(日本2部)
- 地域リーグ(日本3~4部/当時は北海道リーグのみ2部制)
- 都府県リーグ・北海道地区リーグ(日本4~5部)
- 地区リーグ/支部リーグ(一部の県地域での最下部カテゴリ)
男子学生リーグ
以下のリーグ構成になっている
- 地域リーグ(1部~2部)
- 各都道府県リーグ及び同相当のリーグ(2~3部以下)
男子第2種
以下のリーグ構成になっている
- U-18プレミアリーグ(1部/東西の2地域リーグ制)
- U-18プリンスリーグ(2部/9地域リーグ制)
- U-18都府県リーグ/U-18北海道ブロックリーグ(3部以下)
- U-18地区リーグ/U-18支部リーグ(一部地域での最下部カテゴリ)
男子第3種
以下のリーグ構成になっている
- U-15地域リーグ(1~2部/9地域リーグ制)
- U-15都府県リーグ/U-15北海道ブロックリーグ(2~3部以下)
女子
現在(2021年~/トップカテゴリプロ化後)
以下のリーグ構成になっている
- WEリーグ(日本1部/プロ契約選手の保有義務があるリーグ)
- なでしこリーグ1部(日本2部)
- なでしこリーグ2部(日本3部/ここまでが全国リーグ)
- 地域リーグ(日本4~5部)
- 都府県リーグ/北海道ブロックリーグ(日本5~6部以下)
2015年~2020年(トップカテゴリプロ化前)
以下のリーグ構成になっている
- なでしこリーグ1部(日本1部)
- なでしこリーグ2部(日本2部/ここまでが全国リーグ且つプロ契約選手の保有義務があるリーグ)
- チャレンジリーグ(日本3部/東西の2地域リーグ制)
- 地域リーグ(日本4~6部/関西リーグは2013年から2019年まで3部制/東北リーグは2019年創設)
- 都府県リーグ/北海道ブロックリーグ(日本5~7部以下)
2010年~2014年
以下のリーグ構成になっている
- なでしこリーグ(日本1部/プロ契約選手の保有義務があるリーグ)
- チャレンジリーグ(日本2部/東西の2地域リーグ制)
- 地域リーグ(日本3~4部/一部地域のみ)
- 都道府県リーグ及び同相当のリーグ(日本4~5部以下/一部地域のみ)
2004年~2009年
以下のリーグ構成になっている
- L1リーグ/なでしこリーグディビジョン1(日本1部)
- L2リーグ/なでしこリーグディビジョン2(日本2部)
- 地域リーグ(日本3~4部/一部地域のみ)
- 都道府県リーグ及び同相当のリーグ(日本4~5部以下/一部地域のみ)
1996年~2003年
以下のリーグ構成になっている
- L・リーグ(日本1部)
- 地域リーグ(日本2部/一部地域のみ)
- 都道府県リーグ及び同相当のリーグ(日本3部以下/一部地域のみ)
1989年~1995年
以下のリーグ構成になっている
- JLSL/L・リーグ(日本1部)
- JLSLチャレンジリーグ(日本2部/1992年に創設)
- 地域リーグ(日本3部/一部地域のみ)
- 都道府県リーグ及び同相当のリーグ(日本4部以下/一部地域のみ)
ちなみに女子の地域リーグや都道府県リーグは既に一部の地域で誕生済みであるが、地域リーグの成績に関係なく一定の条件を満たすと日本女子サッカーリーグに参入できる状況が未だに続いている。(※現在は皇后杯の本戦出場権を獲得すると在籍カテゴリが都道府県リーグであっても日本女子サッカーリーグの入替戦予選大会に参加できるというルールがある(早い話が事実上の飛び級制度である)。一方で、日本女子サッカーリーグからの降格先は大体が1つ下のカテゴリに当たる地域リーグである)