概要
「てる=照る」が指すように、天気が晴れになる事を祈って作られる人形である。
前近代はリアルな造形をしており、酒を供えたり川に流すなど呪術らしい祈り方がなされていたとされるが、次第に簡略化が進み、現在では丸めた布を別の白い布でくるんだものを軒先や窓際などに吊るすという方法が一般的になっている。素材すらティッシュというものさえ珍しくなくなった。
かつては名前も地域によってまちまちであったが、大正時代に『てるてる坊主』の名で作られた童謡が流行した事から、その名前と内容が全国的に共有されるようになった。
この童謡では、晴れたら金の鈴や甘酒を与えるが、曇りや雨だった場合は首をチョン切るというやたら物騒な内容が歌われており、当時の感覚でも物議を醸したという。
これはそもそも経緯が逆で、元は処刑をモチーフにした人形だからとする説も存在している。すなわち、吊るすのは「首吊り」に、チョン切るのは「斬首」に由来しているというわけである。
罪人と呪術は基本的に結び付かないので都市伝説とされるが、中世以前の社会では呪術で生贄が出る事自体はそう珍しい話でもなかった。結果が自分達の生死を左右する天候関連なら尚更である。
人形の由来に生贄がある事も併せて考えると、地域によっては晴れたら神のように扱われ、曇りや雨なら凄惨な私刑を受けた人間が実在していてもおかしくない・・・のかもしれない。
なお、現在でも主に作法に関する部分で「顔は描かない」「儀式後は神社で燃やす」といった伝承のバリエーションが見られる。
また、上下逆に吊るすと雨乞いになるとする説もあり、これを「ふれふれ坊主」などと呼ぶ事もある。
直接の関係は無いが、ポンチョやラップタオルなどを着用した様子を「てるてる坊主」と形容する事もある。
関連イラスト
イラストでは構図の関係上、傘に吊るしているものが多く見られる。
上記のような背景から、ホラー系の作品も多い。
ダジャレとしても有名。
関連タグ
一休さん てるてるぼうず(のんのんびより) てれてれぼうず ノーバ クールスプーク
野比のび太 - 『ドラえもん』のエピソードで「ふれふれ坊主」を「ルテルテ坊主」と呼んだ。
- 日和坊(ひよりぼう)
「日和坊主」とも。日本に伝わる日照りの神、あるいは妖怪で、てるてる坊主はこれを呼ぶまじないに由来しているとも言われる。
- 掃晴娘(そうせいじょう)
中国に伝わる晴天を司る女神で、やはり晴天を願って掃晴娘の人形を軒先に吊るしておくという風習を伴っていた。それが伝わって日本のてるてる坊主に繋がったとする説もある。