概要
粥または炊いた米と水に米麹(こめこうじ)を加え、6時間~1晩程度、55~60℃に保ち、米のでんぷんを麹で糖化した甘い飲み物。アルコール分はほとんど含まない。
酒粕を湯に溶かして火にかけ、砂糖を加えた速成のものもあり、この場合はアルコール分を少し含む。
日本では、含まれるアルコール分が1%未満であればアルコール飲料ではなくソフトドリンクとして扱われるため、未成年者でも飲むことができる。ただし、酒粕を使用した甘酒には微量とはいえアルコールが含まれる為に注意書きが記されているものが多い。妊娠中や車の運転を考慮した場合は酒粕を使わない甘酒が無難である。
かのようにウイスキーボンボンや奈良漬と並んで、フィクションでは未成年者を合法的に酔わせることができる飲食物として扱われることもある。
甘酒は元来、日常用よりはハレの日のもので、祝い事で供されたり、神に供えたり、神事に用いられるなどしてきた。
また、甘酒祭が各地で行われてきた歴史もある。
埼玉県北葛飾郡では9月9日の祭礼を『甘酒祭』とよび、その年に獲れた米で甘酒をつくり、豊作を祝う。
淡路島の津名郡では10月20日の地の神祭を『甘酒節供』ともいい、甘酒をつくって供える。
長崎県対馬では6月に、『ヤクマ祭』が催され、麦甘酒をつくり、甘酒団子を川の傍らに供えた。
甘味の少なかった江戸時代に珍重され、当時の江戸や京坂では甘酒売りの行商が盛んだった。甘酒売りは、甘酒釜を箱に入れて担ぎ、「あまーい、あまーい」と触れ歩いた。
また、社寺の門前には祭礼縁日の客目当てに腰掛け店を構えるものも現れた。初めは寒い季節に熱くして売ったが、やがて暑中に冷たくした甘酒を飲む事も好まれるようになった。俳句の世界では『甘酒』は夏の季語である。
「飲む点滴」と呼ばれる事もあり、発酵によってバランスのよい栄養素を含んでおり消化吸収もよく健康飲料の一つともいえる。
なお、中国にも酒醸(チウニャン)という似たような飲み物はあるが、そちらは酒薬(チウヤオ)で糯米(もち米)を糖化したもので、日本の甘酒とは異なる。
別名・表記揺れ
関連タグ
オオヤマツミ … 初めて甘酒をつくったとされる。
外部リンク
- 甘酒(Wikipedia)
- 甘酒と白酒の違いは何ですか。(農林水産省)