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翼竜とは

(1) 中生代に棲息していた飛翔爬虫類皮翼で空を飛ぶ。進化史上初めて飛翔した(滑翔ではなく完全な自力飛行を果たした)脊椎動物である。恐竜ではない恐竜とおおよそ同じ時期に共通祖先(原始的鳥頸類)から分化したグループであり、いわば「恐竜の弟妹」(※a)に当たる(この譬えで言えば、兄姉として現生ワニ類が属するクルロタルシ類〈※b〉がいる)。翼竜は、恐竜と同じように長きに亘って繁栄したが、中生代を終わらせたK-Pg境界大量絶滅期に恐竜とともに地上から姿を消した(※c)。

(2) 有翼のドラゴン、あるいは、ワイバーン飛竜)。

ここでは (1) について述べる。

脚注

  • ※a 化石の研究結果に基づく2023年の知見で、恐竜様類および恐竜は249Ma(約2億4900万年前)に出現、翼竜様類は236Ma(約2億3600万年前)に出現、翼竜は228Ma(約2億2800万年前)に出現。新たな発見に伴う変動の可能性あり。
  • ※b 化石の研究結果に基づく2023年の知見で、クルロタルシ類の出現は248Ma(約2億4800万年前)とされているが、形態学的にも系統学的にも“兄”の位置付けにある。
  • ※c 鳥類を分化させた恐竜は系統学的には絶滅していない。

古生物としての翼竜

学名ラテン語名):"Pterosauria"(仮名転写:プテロサウリア)。標準和名翼竜目(よくりゅうもく)、通称翼竜類翼竜

翼竜目に分類される、爬虫類の一タクソン(一分類群)である。

18世紀末にイタリア博物学者コジモ・アレッサンドロ・コリーニが化石を発表したことで知られるようになったが、当初は正体が判らず、哺乳類の一種であるとか、水棲動物であろうなどと、様々な仮説が立てられた。その後、19世紀初頭にフランスジョルジュ・キュヴィエによって空飛ぶ爬虫類であるとされた。

翼竜類は古くから恐竜類と極めて近縁であるとされてきたが、2000年代に入って急速に発展した分子学による解析結果も、係る学説を補強することとなった。

翼竜類は、伝統的分類では、尾が長く相対的に頭が小さい嘴口竜類(ランフォリンクス類)と、尾が短く翼と頭が大振りな翼指竜類/翼手竜類(プテロダクティルス類)に大別される。その一方で、今では嘴口竜類(ランフォリンクス類)が側系統群(※単一系統でまとめられるべき全体の一部が除外されている人為的分類群)であることが判っており、もともと側系統群自体を認めていない分子分岐学による分類では、この分類群は存在し得ない。そのようなことで、伝統的分類と分子分岐学的分類の間で大きな見解の相違が生じてしまっているのが現状である。

嘴口竜類(ランフォリンクス類)はジュラ紀に、翼指竜類/翼手竜類(プテロダクティルス類)は白亜紀に全盛期を迎えている。

種によって体格差は大きい。小鳥並みに小さな種(※翼開長と平均体重を比較すると、スズメ 約21cm・約26g、シノマクロプス 約33cm・不明〈▲1つ目のイラスト参照〉、アヌログナトゥス 約35cm・40g前後、ヒヨドリ 約40cm・80g前後、バトラコグナトゥス 約50cm・不明〈▲2つ目のイラスト参照〉、ペテイノサウルス 約60cm・約200g〈▲3つ目のイラスト参照〉、カワラバト 65cm前後・310g前後)が知られている一方で、小型飛行機に匹敵する巨体を誇るグループ(アズダルコ科|▲4つ目のイラスト参照)も存在し、かなりの多様性が認められる。

多くの種は捕食性(小は虫食性から大は魚食性・肉食性まで)であったと見られる。

また、2014年に中華人民共和国新疆ウイグル自治区の新疆天山近くで発見された新種ハミプテルス(学名Hamipterus)の化石から、集団で子育てをしていたと思しき証拠が確認される(2017年発表)など、翼竜に社会的側面があった可能性が指摘されている。

プテロダウストロシノプテルスの翼骨強度・加重・翼開長・アスペクト比を分析し、飛翔能力を定量化した研究や、ランフォリンクスの骨の長さの比率の研究などから、翼竜は孵化後すぐに飛ぶことができた可能性が指摘されている。

翼竜は、進化史上初の飛翔性脊椎動物として三畳紀に登場した。翼竜の出現は、飛翔性昆虫にとっては空における“一人勝ち終了のお知らせであり、同時に、かつてない天敵の登場をも意味した。恐竜よりわずかに遅れて出現した翼竜は、その後、1億数千万年間に亘って繁栄する。兄弟分にあたる恐竜の一大分岐グループである獣脚類から更に鳥類が分化してくると、翼竜と鳥類は主に空の生態系を巡って競合することとなり、両者は棲み分けをしながら1億年近く併存した。適応放散の能力は明らかに鳥類のほうが優れており、彼らは水中にまで進出したが(例:ヘスペロルニス)、翼竜は巨体を活かしたニッチ生態的地位)を鳥類に明け渡すことなく、この方向ではますます進化を深めて大いに繁栄した。しかし、白亜紀末期に巨大隕石衝突が主な原因と推定されるK-Pg境界大量絶滅が起きると、恐竜を含む大半の大型・中型動物が地上から一掃され、翼竜もその一グループとなって姿を消した。翼竜が絶滅した後、翼竜が占有していたニッチの多くはK-Pg境界を生き延びた鳥類によって補完されることになり、また、夜行性で飛翔性の低位捕食者のニッチは遅れて進化してきたコウモリ類によって多くが占有されることになる。

関連作品

最古シリーズ

  • 翼竜を描いた現存最古のイラストは、MAXやすひろ「プテラノドンはかわいい」(2007年10月21日11時59分投稿)(『最古シリーズ』タグ付き、単立タグ『最古の翼竜』付き)。この作品は、プテラノドンを描いた現存最古のイラストでもあり(単立タグ『最古のプテラノドン』付き)、ロックタグ「恐竜」付きで恐竜が描かれていない現存最古のイラストでもある(※『恐竜ではない』タグ付きイラストで投稿日が最も古いものでもある)。
  • 翼竜を描いた現存最古のカラーイラストは、かびーにょ「びるる~ん!」(2007年8月作成、同年12月10日9時49分投稿)。「プテラノドンを描いた現存最古のカラーイラスト」でもある。なお、本件と関係ないが、この作品は「たらこ唇」をテーマに描かれた現存最古のイラストでもある。
  • 翼竜を基にしたデフォルメ創作キャラクターを描いた現存最古のイラストは、ツインテール女の子っぽい萌えキャラを創作した、かびーにょ「pixivzoo/プテロツインテルス」(2008年2月28日20時10分投稿|左の作品)である。なお、本作より古い「翼竜」ロックタグ付きのデフォルメ創作キャラクターの作品が1件現存しているが(2008年2月12日16時25分投稿|右の作品)、古生物学的に翼竜の特徴は見られず、明らかに羽毛恐竜のそれであって、正しくは「羽毛恐竜を基にしたデフォルメ創作キャラクターを描いた現存最古のイラスト」である。

関連タグ

古生物

創作等

創作での扱い

古くから知られる古生物であり、古典としてはコナン・ドイルの『ロストワールド』やエドガー・R・バロウズの『ペルシダー』シリーズに登場している。

20世紀に入ると、都市伝説や未確認生物(UMA)としても取り上げられるようになり、首長竜と同じく生き残りがいるとされるようになったが、進化論否定論者による報告や、収斂進化によって似たシルエットとなった鳥類との見間違いが多いとされる。

キャラクターとしては、プテラノドンモチーフにしたものが圧倒的に多い。

翼竜をモチーフにしたキャラクター等

アニメ

作品名キャラ名モチーフとなった翼竜
トランスフォーマースワーププテラノドン
ビーストウォーズテラザウラープテラノドン

特撮

作品名キャラ名モチーフとなった翼竜
仮面ライダープラノドンプテラノドン
仮面ライダーWケツァルコアトルス・ドーパントケツァルコアトルス
仮面ライダーOOOプテラノドンヤミー/プトティラコンボ/恐竜グリードプテラノドン
騎士竜戦隊リュウソウジャープテラードンプテラノドン
恐竜戦隊ジュウレンジャープテラレンジャー/守護獣プテラノドンプテラノドン
獣電戦隊キョウリュウジャーキョウリュウゴールド/プテラゴードンプテラノドン
空の大怪獣ラドンラドンプテラノドン
大戦隊ゴーグルファイブテラノモズー/テラノコングプテラノドン
太陽戦隊サンバルカントリモンガープテラノドン
地球戦隊ファイブマンテラノTVギンプテラノドン
爆竜戦隊アバレンジャーアバレイエロー/プテラノドンプテラノドン
爆竜戦隊アバレンジャーアバレキラー/トップゲイラートゥプクスアラ
爆竜戦隊アバレンジャーランフォゴールドランフォリンクス
秘密戦隊ゴレンジャー死の鳥仮面プテラノドン
ロストエイジストレイフプテラノドン/ランフォリンクス

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