概要
Hesperornis(ギリシア語で「西の鳥」)。
それは8000万年程前の北アメリカ・ロシアに生息していた原始的な海鳥。
体型はペンギンに似ているが、背丈は最大で1.8mに達し、鵜のような長い首と鋭い歯を持ち、翼も二の腕辺りまでしかない程短く退化していた。
そのため、翼(フリッパー)で水中を飛ぶように泳ぐペンギンに対し、ヘスペロルニスは主に足の水かきで泳いだとされる。短い翼もかじ取りには役立ったらしい。
骨格から「潜水や遊泳には適していたが、陸上では素早く動く事ができなかった」とされており、そもそも直立できず陸上では腹這いで進んでいたとも考えられている。一部創作物ではこの説が採用されている。
結構大きめな鳥ではあるが、海ではモササウルス類や首長竜(プリオサウルス類)、サメなどの大型魚類、陸では肉食恐竜の餌食になることも多かったようで、意外に天敵が多かった模様。
余談
- イクチオルニス、プテラノドン、エラスモサウルスは同じくらいの時期に同じようなエリアで暮らしていた。当時の北アメリカには大陸のド真ん中を縦断する浅海(白亜紀海路)があったので、現在内陸部にあるノースダコタ州~テキサス州でも彼らの化石がしばしば産出する。ちなみに縦断されていた当時の北アメリカは東側がアパラチア大陸、西側がララミディア大陸と呼ばれ、生息する恐竜などにも違いがあった。
- プロトプテルムも4000万~1500年前にかけて栄えた海鳥である。ヘスペロルニス同様に長い首とクチバシを持ち、ペンギンのような暮らしぶりをしていたが、収斂進化の結果そうなっただけで類縁はない(ヘスペロルニスは白亜紀の終わりに絶滅したグループ)。