放鳥

ほうちょう

放鳥とは人の管理下にある鳥類を屋外に放つ事。

概要

　放鳥は保護活動や導入目的で実施される場合が多いが、鳩など人の管理下に戻ってくる事を前提としている場合や、キジやウズラなど狩猟や射撃の標的として放たれる場合もある。

　現在では生態系保全の観点から、無闇に実施するべきではないとされることが多い。

放鳥の成功例と害悪の例、微妙な例

トキ

　トキは日本を代表する鳥の一つであったが、水田の管理方法の変化や圃場整備などによる生息環境の悪化、狩猟圧などにより日本在来の個体群は絶滅した。このため、人工的に繁殖させた中国産個体群を放鳥し、野外にトキを復帰させる取り組みがなされている。

　生物の外来個体群の導入は生態系や遺伝的多様性の損失に繋がるため、非常に慎重に実施されるべき事柄である。トキの場合も賛否はあるものの、在来の個体群が生き残っている可能性がゼロであり交雑による遺伝的な撹乱の心配が無い事や、元々居た種の再導入であり環境への影響が少ないと考えられる事、非常にシンボリックなものであり文化的価値が大きい事などから基本的には賛同される事が多く成功例といえる。放流も参照。

クロエリセイタカシギ

　クロエリセイタカシギはアメリカ西部などを原産とする国外外来種であり、日本のセイタカシギの近縁種または亜種とされる。

　日本では2001年頃に奈良県でとある画家によってシロトキなどと共に数十羽～数百羽が放鳥されたとされる。その後、本種と在来のセイタカシギの中間的な形態の鳥が目撃されている事から、セイタカシギと交雑している可能性が指摘されており、在来のセイタカシギに遺伝的汚染を引き起こしていると考えられる。

ライチョウ

　ライチョウも保護目的の放鳥が多い鳥であるが、失敗例や課題も多い鳥として知られる。なにが問題だったのか書き出すと物凄く長くなるためこれ中央アルプスにおけるライチョウ移植事業の課題：北米のライチョウ移植プロトコルおよび IUCNガイドラインとの比較とか参照。