概要
スズメ(雀/学名 Passer montanus)とは、鳥綱スズメ目・スズメ科・スズメ属に分類される小鳥の一種である。
特徴
ユーラシア大陸の熱帯域以外のほとんどに棲息している。
頭は茶色、くちばし・目の周り・喉・頬は黒、腹は白、翼は何色もの褐色系が木目のような斑模様を成す。
鳴き声は「チュンチュン」「チチチチ」など。
雛鳥、幼鳥は親鳥と違って嘴が黄色く(親鳥は嘴が黒)、体が小さく、毛がフワフワしていて丸みを帯びている。また、頭部が一部ボサボサしている。
主に竹林や雑木林に棲むが、民家があるとその屋根裏や瓦の隙間に営巣する習性がある。かなり狭い場所でも侵入して営巣するため、築年数の古い伝統的な日本家屋の場合、屋根部分から雀の巣がいくつも発見されるのはザラにある。
これは天敵に襲われる確率を減らすため、敢えて人間の近くで暮らしているものと推察されている。
警戒心は強いが、先の習性から人間とは付かず離れずの距離を保って生活している。
人間がいなくなるとその土地からスズメもいなくなるといわれるほど、人間と密接にかかわって暮らしている鳥である。
食性は雑食、特に昆虫とイネ科の種子を好む。しばしば水田に飛来し秋には稲穂もついばんでしまうが、稲穂が実る以前には稲についた害虫を食べるため、一概に稲の害鳥であるとは言い切れなく、相対的にも益鳥と見る考えもある。
都市部においてはさらに雑食化が進むが、新たに餌とした食物の多くは人の手による給餌や生ごみなどである。そのためか、レストランなどのオープンテラスで食事を摂ろうとすると十中八九近寄ってきて催促してくるので注意。
この両側面を裏付ける逸話として過去に毛沢東が害鳥である雀を駆除を推進し、個体数を激減するという成果を挙げ、これで雀の被害に悩まされずに済む!と人々は安堵した。
しかし、生態系とはそこまで単純な物ではなく、稲の害虫を捕食する雀がいなくなった結果、害虫が大量に湧いて農家が大打撃を受けてしまい、結局、ソ連から雀を輸入するという羽目になったという話がある(大躍進政策)。
集団行動することが多く、学説の中には「20羽以上集まらないと繁殖行動を起こさない」する説まである。
日本人との関わり
日本では最も身近な鳥であり、特に上述通り稲と関連の深い鳥であるため、稲作を土台としてきた我々日本人との付き合いは大変に長いものがある。
「雀の涙」「雀百まで踊りを忘れず」「雀刺し」など、雀に例えた慣用句は数多く、『舌切り雀』を始め、民話などでも様々な役どころを貰って出演している。
家紋としても用いられ、中でも有名なのは奥州伊達家の竹に雀(仙台笹・宇和島笹)の紋だろう。
現在では一部を除いて喪失したが、食用とする文化もあった。江戸時代の笑い話には、雀を酒に漬けた籾殻撒いて酔わせ、酔ってふらふらの雀を箒でかき集めて酒のアテに使うという話もある。
現在、京都伏見稲荷大社の参道にある3つの店舗に、冬限定で「雀の丸焼き」が販売されている。
※マイナビニュース「伏見稲荷になぜスズメの丸焼きがあるのか--その理由で味わい深さが変わった」
個体数の減少
現在、日本の市街地から徐々に雀が消えつつある。
驚くことに、「雀? どんな鳥? 見たことがない」 という若い世代までいたりする。
原因は減反政策による水田の減少もあるが、なにより欧米の家屋をモデルにした気密性の高いハイテク住宅の普及が一番の要因とされる。
雀の営巣に必要な「家の隙間」が無くなったことで、都市部に雀が住みづらくなり、徐々に住処を追われているためだという。
動物嫌いの人たちからは、「朝っぱらチーパー五月蠅い!!」 と心ない苦情を突き付けられてもいる。集団行動する鳥なので糞害の問題もある。
同じく棲みかとなる雑木林や竹林も減少し、日本の都市部は雀にとって暮らしづらい場所となっている。
分類学
シブリー・アールキスト鳥類分類では、
スズメ目・スズメ科・スズメ亜科に分類されていた。
日本鳥類目録では以下のように変わってきた。
改訂3版(1942年)スズメ科(現在のアトリ科)
改訂4版(1958年)キンパラ科
改訂第5版(1975年)ハタオリドリ科
改訂第6版(2000年)ハタオリドリ科
改訂第7版(2012年)スズメ科
「スズメ」の名が付くキャラクター
- 『探検ドリランド』のキャラクター。→長刀小町スズメ
- 『プリンセスコネクト!Re:Dive』のキャラクター。→スズメ(プリコネ)
- 『トワツガイ』のキャラクター。→スズメ(トワツガイ)
- 『王様戦隊キングオージャー』のキャラクター。→スズメ・ディボウスキ(ただし由来はスズメバチ)