曖昧さ回避
- 主に四国地方に出没する妖怪。本項で解説。
- 『ぬらりひょんの孫』の登場人物。→夜雀(ぬら孫)。
- 『東方Project』の登場人物。→ミスティア・ローレライ。
- 『音戯の譜』の登場人物。pixivではこのキャラクターに対してタグが用いられることも多い。
概要
鳥の妖怪。袂雀(たもとすずめ)、あるいは鳥ではなく黒い蝶の様なもの、蛾の一種とも。雀のように「チッ、チッ、チッ」と鳴き声をあげながら夜に現れる妖怪で、山道を歩いている人の前後について来るという。
種類
場所 | 鳴き声 | 怪異 |
---|---|---|
高知県幡多郡田ノ口村(現・黒潮町) | チッチッチ | 不吉・夜盲症 |
高知県幡多郡富山村(現・中村市) | チッチッチ | 不吉・夜盲症 |
高知県安芸郡北川村 | チャッ、チャッ | 騒々しくて歩けない・山犬の出る前触れ |
愛媛県南宇和郡城辺町 | ちっちっ | 声で行き先をさえぎられ歩けなくなる・山犬の先触れ |
高知県の田ノ口村や富山村では、夜雀に憑かれるのは不吉とされ、富山村ではこれを除けるの呪文として
「チッチッチと鳴く鳥は、シナギの棒が恋しいか、恋しくばパンと一撃ち」または
「チッチッチと鳴く鳥を、はよ吹き給え、伊勢の神風」などと唱えると良いという。また、迂闊にこれをつかまえると夜盲症を患ってしまうという。和歌山県では不吉なものではなく、夜雀が憑いている間はオオカミが山の魔物から守ってくれる証といわれる。
高知県の高岡郡東津野村(現・津野町)、窪川町(現・四万十町)では「袂雀(たもとすずめ)」ともいい、山犬や狼の出る前触れとされる。2人以上で歩いていても、なぜかその中の1人にだけしか聞こえないことが多い。これが現れたときには
「大シラガ、小シラガ、峠を通れども神の子でなけりゃあ通らんぞよ、あとへ榊を立てておくぞよ、
アビラウンケンソワカ」
と唱え、木の枝を3本立てると袂雀はついて来ず、狼や山犬が現れることもないという。また、袂雀が袂(和服の袖付けから下の、袋のように垂れた部分)に飛び込むことは不吉とされ、これが出る道を歩く人は、袂をしっかりと握って歩いたという。愛媛県の南宇和郡城辺町(現・愛南町)でも袂雀といい、これの鳴き声に遮られて歩けなくなることがあるという。
高知県の安芸郡北川村では黒い蝶のようなものといい、「チャッ、チャッ」と鳴きながら懐の中や傘の中に入ってくるので、騒々しくて歩くに歩けなくなってしまうが、気を静めると自然と消えてしまうという。愛媛県でも同様に蛾の一種とされ、山犬の出る前触れとして、道を歩けないほどに飛んで来るという。
水木しげる作品
『ノストラダムス大予言』では使徒の1体として登場し、常に霊体で身体を包まれているためにメフィストの『絶対零度』でもノーダメージで凍結せず、精気を吸われてしまう事も無いと言う設定になっていて、作中で登場した厄介な敵プルトンを封じ込めるのに大きな役割を担っている。
なお、御大の描く夜雀は真っ黒い身体に大きな目をしていて何とも愛くるしい。
関連タグ
ノストラダムス大予言 ぬらりひょんの孫 東方Project ミスティア・ローレライ
参考リンク
怪異・妖怪伝承データベース「夜雀,タモトスズメ」(国際日本文化研究センター)