まさに人類の滅亡を救う希望は
我らが「悪魔くん」の手に委ねられた。
概要
作者は水木しげる。協力は宮田雪。
1993年、1994年に辰巳出版より全二巻で刊行。
1996年に扶桑社より文庫版として復刻された(全二巻)。
2016年に講談社より 水木しげる漫画大全集 『悪魔くん ノストラダムス大予言』 としても復刻されており、解説者は『ノストラダムスの大予言』(祥伝社)の著者の五島勉。
原作となっているのは週刊少年マガジン掲載の『悪魔くん』(山田真吾)であり、水木しげるが直接手掛けた最後の『悪魔くん』の漫画である。
ただし、マガジン版とは設定が異なるため、後日談や続編ではなくキャラが同じだけのパラレル作品と見た方が良い。(鬼太郎が何度もアニメ化されてその都度設定が変わっているのと同じ)
いわば歴代悪魔くんシリーズの集大成とも呼べる作品と言える。
「予言」を題材としているだけあって
- 「自衛隊の海外派遣が問題視される」
- 「東日本で大地震が発生し、原発が被害を受ける」
- 「対外進出をもくろむロシアが戦略戦争の口火を切る」(まあ本作では旧ソ連が一丸となってるけど)
などのえげつない描写が多い。
あらすじ
秘密結社「地獄の王」の噂を耳に入れた「悪魔くん」こと 山田真吾 は、その正体を突き止めるためメフィスト一行と16世紀のフランスへ。しかしそこではハルマゲドンを計画するシーレンと「地獄の王」が跋扈していた。
誰もが幸福に暮らせる千年王国を実現しようと闘う中で、ノストラダムスの予言を探っていく。
悪魔くん一派
悪魔くん
山田真吾(やまだ しんご)
天才的な頭脳を持つ少年。
前掲の通り週刊少年マガジン版と共通の設定・外見をしているが、蛙男や家獣を使役するなど、キャラクターに『貸本版』『千年王国』の初代悪魔くんこと松下一郎の要素が加わっている。
十二使徒
使徒の大部分は『ゲゲゲの鬼太郎』よろしく日本妖怪が占めている。
十二使徒のひとり。
山田真吾が魔方陣で初めて呼び出した悪魔。
真吾と契約したものの全く忠誠を誓っておらず、しばしばやる気の無い態度を見せ、その度にソロモンの笛で懲らしめられる。
メフィストのマントは時空を超越して飛ぶ力があり、本気になれば一万人の兵隊を一秒で全滅できる力を持っている。しかし、何万年も地底で眠っていたので怠け癖がついてしまった。
蛙男(かえるおとこ)
十二使徒のひとり。
山田真吾をメシアと呼んで仕えている魔法使い。
もともとは松下版に登場した使徒。
メフィストと仲が悪く、殴り合いに発展することも。
令和の世では何かと有名な、十二使徒のひとり。
十二使徒の中でも指示役の妖怪。
『ゲゲゲの鬼太郎』にも登場し、アニメでは第5シリーズの準レギュラー。
桂男(けいなん)
十二使徒のひとり。
月の力を利用した幻惑の術を使える妖怪。
ゲゲゲの鬼太郎にも登場し、アニメでは第4シリーズに登場する。
つらら女(つららおんな)
十二使徒のひとり。
つららを操り戦う妖怪。
ゲゲゲの鬼太郎にも登場し、アニメでは第3シリーズ、第四シリーズに登場する。
夜雀(よすずめ)
十二使徒のひとり。
透明な霊体でカラダが保護されており、エネルギーは吸い取られず、凍りもしない。妖怪。
鳥取県境港市の水木しげるロードには演出照明として影絵が設置されている。
百目(ひゃくめ)
十二使徒のひとり。
戦いにはあまり自信がない妖怪。
『マガジン版』にも登場した使徒たちのマスコット的キャラ。
コミックボンボンの『最新版』では第六使徒として登場するが、性格はかなり異なる。
鉄鼠(てっそ)
十二使徒のひとり。
ネズミの大群に化けることができる妖怪。
ゲゲゲの鬼太郎にも登場し、アニメでは第3シリーズ、第5シリーズでは妖怪四十七士として登場する。
水木しげるロードにはブロンズ像が設置されている。
そろばん坊主(そろばんぼうず)
十二使徒のひとり。
小言が多い妖怪。
ゲゲゲの鬼太郎にも登場し、アニメでは第5シリーズに登場する。
Jリーグが好き。
水木しげるロードには(ry
雷獣(らいじゅう)
十二使徒のひとり。
雷を落とし大雨を降らせる妖怪。
ゲゲゲの鬼太郎にも登場し、アニメでは第3シリーズ、第5シリーズでは妖怪四十七士として登場する。
水木しげるロードには(ry。
協力する使徒
倉ぼっこ (くらぼっこ)
十二使徒かどうかは不明。
悪魔くん達を乗せて空を飛ぶことができ、息を吹けば強風が吹く。火に弱い。
ゲゲゲの鬼太郎にも登場し、アニメでは第3シリーズ、第4シリーズに登場する。
鳥取県境港市の水木しげるロードにはブロンズ像が設置されている。
家獣 (かじゅう)
十二使徒かどうかは不明。
海で暴れると大渦が起こるほど巨大な力を持っている。キューバ危機の阻止に一躍買った。
もともとは松下一郎版『悪魔くん千年王国』で登場した使徒。
埋れ木真吾版では第八使徒「家獣バウー」として登場する。
主要人物
作中では古代ユダヤのイッカサル一族の末裔であり、代々伝えられていたユダヤの秘宝「エホバの鏡」を所持している。この鏡には過去や未来へ渡る力があり、その力で見た未来の出来事を記したものが予言書「諸世紀」であるとされる。「エホバの鏡」を狙う死神伯爵一味に狙われるが、真吾たちに助けられて仲間となる。
この手の作品では珍しく何の特殊能力も持っていないただの医者兼詩人。そのため、タイトルに載っているにもかかわらず主人公でも何でもなく、戦闘では役に立たない。
第35代アメリカ大統領。「地獄の王」によりキューバ危機が起こされたため、悪魔くんと協力し外交努力で人類滅亡の危機を回避する。しかし、ダニエルの怒りを買い、差し向けられたヒットマン(リー・ハーヴェイ・オズワルド)に銃殺される。
八大仙人
桃源郷に住まう仙人。『貸本版悪魔くん』では敵だが、本作では流石に事態が事態なので悪魔くんに味方し、神界への生き方を教える。
立川でTシャツとジーンズを着てぶらぶらしてるお兄さんたちではない。神界の使者。
シーレンの野望を食い止める「ヒント」を与えるべく、悪魔くんの前に現れる。
地獄の王
本作の諸悪の根源(ラスボス)にして、悪魔くんシリーズ最強の敵。
かつてモーセによって封じられた魔王(ドラゴン)にして大邪神であり、人間界・悪魔界だけではなく仙界・神界の支配を目論む。
1999年7の月のグランドクロスの力を得たことにより、最終的にはエネルギーの余波で世界を揺るがし、水木作品すべてを通しても、直視しただけで死ぬヤトノカミや、触れた物質(建物、肉体問わず)を崩壊させる効果のある羽を持つストロファイアと並ぶレベルの強さを得た。
最期は死闘の末、悪魔くんに再度封印される。
『ゲゲゲの鬼太郎』『サラリーマン死神』に登場する水木作品の常連キャラ。
16世紀のフランスでシーレンを蘇らせた初代「地獄の王」総帥であり、全ての元凶。ユダヤの三種の神器を独占し世界を支配しようと目論む。実はユダヤ人であるが、三種の神器を独占するために「ユダヤ人こそが悪である」とナチスを扇動し、同族であるユダヤ人の大虐殺(ホロコースト)を行わせた極悪人。最後はヒトラーにユダヤ悪玉論を吹き込みすぎたのがあだとなり、自らがユダヤ人だとバレた為に射殺されるという自業自得の末路を辿る。
実はヒトラー父子と同じく、1万2千年前に神罰により滅ぼされたムー大陸の悪人たちの魂が転生した存在。
水木しげるの別作品『劇画ヒットラー』の主人公。シーレンの手先となり、第二次世界大戦を引き起こす独裁者。自分をコキ使っていた死神伯爵を始末し、その冷酷さと邪悪さを見込まれシーレンに2代目「地獄の王」総帥に任命される。
ナチスドイツ壊滅後も影武者を使って逃げ延び、暗躍する。
第1次中東戦争を引き起こし、ハルマゲドンの口火を切るも、メフィストとの戦いで火山島に転落し焼死する(これが原因で、ダニエルは悪魔くんを恨むことになる)。
『劇画ヒットラー』から続投したヒトラーの愛人。ヒトラーとともに影武者を使ってシーレンに保護され、ダニエルを生む。その後どうなったのかは描かれずフェードアウトする。
終戦記念日に生を受けたヒトラーとエヴァの息子(もちろん架空の人物)。両親とは似ても似つかない糸目にへの字口。
「地獄の王」にとっての悪魔くんとも呼べる天才児であり、悪魔くんのライバルとして立ちはだかる。
父アドルフ亡き後、3代目「地獄の王」総帥となり、邪教集団「アクエリアス教団」の教祖となり、人類を滅ぼして作り直すべく、兵器・石油・原子力を掌握し、第3次世界大戦の勃発を画策する。
本作においてはキューバ危機、ケネディ暗殺、ベトナム戦争、チェルノブイリ原子力発電所事故、湾岸戦争、エイズ大流行など、戦後の大事件は全部こいつのせいである。
しかし、いわば地球を一個の生命体とした場合、破壊をつかさどる破骨細胞に当たる存在であり、ダニエルという最大の「悪」があって初めて、創造をつかさどる骨芽細胞たる「善」の悪魔くんは千年王国を作り出すことができた。
プルトン
ヒトラーが原子力から作り出した空飛ぶクラゲのような群体生物。放射能を摂取して増殖する生物兵器。
ミカエル
地獄の王にとってのメフィストともいえる美少女。本名はアンドリエ。元は悪魔界の重鎮で、悪魔が人間界に干渉しないようにしていた番人であったが、人間界と悪魔界の統一をもくろむダニエルにより婚約者にされる。
シーレンとダニエルによる裏切りを受けて悪魔くんに味方する。
関連イラスト
別名・表記ゆれ
関連タグ
第二次世界大戦 中東戦争 ベトナム戦争 チェルノブイリ原発事故
日ユ同祖論:本作後半で触れられている。
封神演義:後半で明かされた真相が酷似している。(原作小説にも、藤崎版にも)