概要
独裁制が行われている場合において、その頂点として政治や集団を支配し操る立場の人物を指す。経緯や形態、思想などは様々だが、権力が一個人か思想を同じくする少数の者に集中している点で共通している。
また、制度としては独裁ではないものの、結果的に権限が特定人に集中し独裁的な政権運営が行われる場合も独裁者と扱われる場合が多い。
現代では独裁自体が否定的に評価されることが多く、「独裁者」と呼ばれる場合好意的な評価はされない。
実際有名な独裁者としてはスターリン、ヒトラー、毛沢東、ポル・ポトのように数千万単位の死者を出した悪名高き暴政者が多い。
また、独裁者の中に潔癖志向もいるという文献も中には存在する。
一方、独裁制のメリットを生かして近代トルコの礎を築き尊敬されているケマル・アタテュルク、「欧州の火薬庫」ともいえるバルカン半島を優れた統率力でそれを押さえ込み、40年に渡る平和を実現したチトー、シンガポールを先進国に発展させたリー・クアンユーのような、国父や英雄として現在でも慕われている独裁者の例も存在する。なお、ケマルは独裁者ではあるが生前から独裁の限界を悟っており没後は集団指導体制を促したという。
映画「独裁者」
チャールズ・チャップリンが監督・製作・脚本・主演を務め、ヒトラーとナチズムの風刺を主なテーマとしたアメリカ映画。それまでのサイレント映画からトーキー映画に変えた作品でもある。1940年10月公開だが、日本は当時ドイツと同盟関係にあったため、公開されたのは20年後の1960年になってから。
ストーリー
第一次世界大戦。トメニアの兵士として戦線で戦うユダヤ人である床屋のチャーリー。逃げるチャーリーは将校シュルツを助けたが祖国は敗れ、逃げた時に意識を失い、以後20年も昏睡状態になった。
その20年後のトメニアはチャーリーと瓜二つのヒンケル総統が国を支配し、自由を民主主義を否定し、ユダヤ人を迫害していた。目覚めたチャーリーは現状を理解できずにいたため突撃隊を怒らせてしまったが、突撃隊隊長がかつて助けたシュルツだったため難を逃れた。
隣国オストリッチ進駐を企てるヒンケルはますますユダヤ人迫害を強め、追放されていたシュルツとともにチャーリーは収容所に送られてしまう。
進駐を邪魔しようとする隣国バクテリアの独裁者・ナパロニを何とか説き伏せたヒンケルはついにオストリッチを侵略する。ところがその直前に脱走したチャーリーとヒンケルが入れ替わってしまい、ヒンケルとなったチャーリーは群集を前に演説をすることに。
この演説シーンの為、サイレント映画だと伝えきれないのでトーキー映画に路線変更したという逸話があるが実際は違うらしい(詳細はチャップリンの項目を参照)。
なお、この映画「独裁者」の製作当時はヒトラーならびにナチスの本当の恐ろしさである「ホロコースト」の事を彼は知らなかったらしい。ヒトラーとナチスを茶化して風刺しているわけだが、もしそれを知っていたら作れなかったという。
代表例(2021年6月現在)
現在
- 金正恩 (北朝鮮。核兵器・ミサイルに溺れた、独裁者の代表格)
- 習近平(中国。2018年3月で任期を撤廃し、完全に独裁化)
- ウラジーミル・プーチン(ロシア。選挙をやっても独裁できる手法を確立)
- アレクサンドル・ルカシェンコ(ベラルーシ。ヨーロッパ最後の独裁者)
- イサイアス・アフェウェルキ(エリトリア)
- ニコラス・マドゥロ(ベネズエラ)
- ムスワティ3世(スワジランド)
- リー・シェンロン(シンガポール)
- バッシャール・アル=アサド(シリア)
- グルバングル・ベルディムハメドフ(トルクメニスタン)
- ポール・カガメ(ルワンダ)
- テオドロ・オビアン・ンゲマ・ムバソゴ(赤道ギニア)
過去
- アドルフ・ヒトラー(ドイツ)
- ヨシフ・スターリン(ソビエト)
- ベニート・ムッソリーニ(イタリア)
- フランシスコ・フランコ(スペイン)
- 毛沢東(中国)
- 鄧小平(中国)
- 江沢民(中国)
- 胡錦濤(中国)
- 蒋介石(中華民国)
- 李承晩(韓国)
- 朴正煕(韓国)
- 金正日(北朝鮮)
- 金日成(北朝鮮)
- 東條英機(日本)
- サダム・フセイン(イラク)
- カダフィ大佐(リビア)
- ニコラエ・チャウシェスク(ルーマニア)
- ポル・ポト(カンボジア)
- チトー(ユーゴスラビア)
- リー・クアンユー(シンガポール)
- サパルムラト・ニヤゾフ(トルクメニスタン)
- フェルディナンド・マルコス(フィリピン)
- ロバート・ムガベ(ジンバブエ)
- アウグスト・ピノチェト(チリ)
- ムスタファ・ケマル・アタテュルク(トルコ)
- イディ・アミン(ウガンダ)
- ジャン=ベデル・ボカサ(中央アフリカ共和国)
- モブツ・セセ・セコ(ザイール共和国)
- ウゴ・チャベス(ベネズエラ)
- ホスニー・ムバーラク(エジプト)
- フランソワ・デュヴァリエ(ハイチ)
- チャールズ・テーラー(リベリア)
- アマドゥ・アヒジョ(カメルーン)
- マクシミリアン・ロベスピエール(フランス)
- ヤヒヤ・ジャメ(ガンビア)
- ヌルスルタン・ナザルバエフ(カザフスタン)
- アブデルアジズ・ブーテフリカ(アルジェリア)
- ザイン・アル=アービディーン・ベン・アリー(チュニジア)
- フィデル・カストロ(キューバ)
- ピエール・ヌクルンジザ(ブルンジ)
- ホー・チ・ミン(ベトナム)
- ゴ・ディン・ジエム(南ベトナム)
- オマル=アル・バシール(スーダン)
- モハメド・シアド・バーレ(ソマリア)
- ベン・アリ(チュニジア)
- イスラム・カリモフ(ウズベキスタン)
- メンギスツ・ハイレ・マリアム(エチオピア)
- イドリス・デビ(チャド)