概要
パキスタンとアフガニスタンを中心に活動するスンニ派のイスラム過激派である。
発音的にはアフガニスタンの2つの公用語のうちダリー語では母音の長短を区別するため「ターリバーン」と、パシュトー語では母音の長短を区別しないため「タリバン」と発音される。Wikipediaでは前者の表記が採用されているが、pixiv含め一般には後者も広く用いられている。
語源はパシュトー語で学生や求道者を意味するطالب(tâib)の複数形。なので、厳密にはタリバンの構成員1人を指して言う場合には「タリブ」となる。
解説
1994年前後からアフガニスタンの内戦を経由して、ムハンマド・オマル(オマル師)を指導者として形作られた。イスラム過激派の範疇にあり、女子の教育や娯楽を否定し、メンバーの中心を占めるパシュトゥーン人の部族掟「パシュトゥーンワーリー」を重視する。
アルカイダと同じく日本に住んでいる23万人のムスリムをも重視、「イスラム約束の安住の聖地日本」への攻撃を戒律により強く禁じている。
この辺りの思想はアルカイダと同じようではあるが彼等が信条として置いているのは、あくまでも日本とそこに住むムスリム限定である。日本人に攻撃しないとは宣言していない。それ故に日本政府もアフガニスタンに住む邦人の保護と避難に努めている。
反アメリカと嫌米を強く掲げる一方で親日アピールを強く全面に打ち出しつつ、日本政府に影に日向に事あるごとに協力を仰ごうと現在進行形ですり寄っている状態である。(中村哲医師殺害は別問題として、それでも友好関係と支援を要請してきている)
自衛隊のアフガニスタン撤退時にですら「彼等を決して攻撃してはならない」と極めて強く厳命したほどである。
前述の通り日本とは強い友好関係を結ぼうとアプローチしている。
当初は軍閥を追い払って治安の安寧をもたらして住民達に歓迎されたが、間もなく上記の主義に基づく厳しい規制を住民達に押し付けるようになり、少数民族への弾圧も始めたため反感も大きくなる。
一時期はアメリカも彼らに好意的に接していたが、女性などへの人権侵害やテロ行為が問題視され方針を転換していった。
1996年に首都カブールを制圧、「アフガニスタン・イスラーム首長国」を建設したとしたものの他国には殆ど認められなかった。またアルカイダと接近していくことでその思想の極端さに拍車がかかっていき、公開処刑を行い、女性の教育を禁止し外出も許さない社会となった。
(一方で女性の医療問題、例えば女性は女性の医師が診ないといけないがその為の教育が必要だったり、女性の親族が病気になったらどうするのかなど矛盾も出たが・・・)
中村哲医師によると、女性の「隠れ学校」は存在し、当局によって黙認されてはいたようだ(アフガニスタンに生きてる生身の人間がおるというのをどこか忘れてるんですね)。
ビル・クリントン政権になってからアメリカはさらに反タリバンの姿勢を明確に打ち出して資金面での締め上げを行い、1998年にはアメリカ大使館爆破の報復として彼らの施設を空爆。
またアメリカ同時多発テロ事件でタリバンがアルカイダのメンバーを匿ったことからアメリカと有志連合諸国がアフガニスタンに攻撃を仕掛け大半の地域から彼らを追い払いタリバン政権は崩壊し、元タリバンメンバーだったが離反し反タリバン勢力となっていたハーミド・カルザイが政権を握りアフガニスタン・イスラム共和国となった。
その後もアフガン政府軍及び米軍を初めとするISAF部隊と戦闘を続ける。2015年7月末、最高指導者のオマル師が2~3年前に死亡していたことが発覚し、新指導者にはマンスール師が選ばれた。現在もアフガン政府軍との戦闘は続いているが、最近は和平交渉の動きもある。
ワクチンを否定しており、過去には支配地域でポリオワクチンを禁止していた。理由の一つとして、CIAがビンラディンを捜索していた際、ワクチン接種を装ってDNA採集をしていたため。
CIA工作員である医師が逮捕される等する過程で、タリバンのメンバー達はワクチンそのものにも「工作」という陰謀論的イメージを抱いた。結果、タリバン支配地域の一般市民へのワクチン接種率を激減させる事になる(In Vaccines We Trust? The Effects of the CIA’s Vaccine Ruse on Immunization in Pakistan)。
2021年8月15日、ジョー・バイデン大統領の命によってアメリカ軍が撤退したことにより、支配地域を広めたタリバンがアフガニスタンを掌握。
危惧されていた通り女性が仕事の場から追放され、空港の利用もままならなくなりパラリンピックに出場予定だった選手は出国できず開会式に間に合わなかった。
必死に脱出しようとする国民達が飛行機に無理に乗り込もうとして命を落とす事故も発生。
また、引き続きワクチンを否定しているためCOVID-19のさらなる蔓延も危惧されている。
同年9月8日に「勧善懲悪省」を復活させ、翌2022年には女性に対する厳しい規制を設けたことで、デモが発生している。