護星天使……
それは、地球とすべての命を守ることを使命として生きる者たち。
強き力と清き心を持つ彼らは、遥か昔より人知れず邪悪な存在と戦ってきた……!
地球(ほし)を護るは天使の使命! 天装戦隊! ゴセイジャー!!
概要
2010年2月から放送されたスーパー戦隊シリーズ35周年記念作品。本作のモチーフは「天使」。
その為、メンバーの五人はみな護星天使と呼ばれる特殊な種族であると設定されている。
また、仮面ライダーシリーズなどで好評を博したカードによる戦闘システムを、初採用した戦隊でもある。
物語構成は地球を襲う悪しき魂とゴセイジャーの攻防が主軸に置かれたシンプルなもの。
戦いを通し護星天使たちの成長や居候先の少年・望との交流、人間として生きる素晴らしさなどが描き出されている。一方で「力とは何か、何のために使うべきか」が通年のテーマとして潜められていた節があり、故か中盤を中心に人間の暗部(他者や地球を害する人の力)に触れることもあった。
また、通常熱血役や頼れるリーダー役を務める事が多い赤い戦士であるが、本作のゴセイレッド/アラタは飄々とした中に熱情を秘めるという、これまでにないキャラクターになっている。
その為か、本作は地球の存亡を懸けた戦いの中でも全体的にほのぼのとした雰囲気漂う異色の作品となった。非常にシリアスな展開が続いた前作『侍戦隊シンケンジャー』とは対照的である。
また、物語が進むにつれて敵組織が何度も交代するのも大きな特徴である。
尚、『電撃戦隊チェンジマン』より戦隊シリーズの監督を多く務めた長石多可男氏にとって生前最後の監督作品となった。
評価
序盤からの展開がスロースターター気味だった事と、上記した地球の存亡をかけた戦いを序盤から展開しつつも妙にほのぼのした緊張感の無い雰囲気で、それでいて特に序盤は割とメンバー同士がギスギスした空気になる事も多いその独特な作風から、当初からかなり賛否が分かれていた作品である。
加えて、主人公のレッドを初めとした独特なキャラクターとぶっちゃけかなり詰めの甘い文芸や脚本、全体的なテンポの悪さと盛り上がりの低さから、評価はあまり芳しくなかった。
キャラクター面については、ゴセイナイトとブレドランは非常に高い人気を得たのだが、一方で特にゴセイナイトが人気を獲得し過ぎて、肝心のメインメンバー5人が食われてしまうという事態が発生。実際にアーツ化等のグッズ展開でも仮にも追加戦士であるゴセイナイトばかりが優遇されており、ゴセイナイトのソフビ等のグッズは入手困難なレベルなのに、メインの5人のグッズは投げ売りされるなどはっきりと明暗を付けられてしまっている。
最終的な各種売り上げも、玩具面で前述した通りライダーで人気だったカードを採用したシステムだったにもかかわらず92億と前作から落として100億のラインを切ってしまっていた(それでも後の『手裏剣戦隊ニンニンジャー』以降の作品と比べればまだマシな方ではあるが)。
しかし、現在では主にその後の客演作品が評価された事や、上記の妙にほのぼのした幼い作風やのんびりおっとりした登場人物達を「癒される」「好きだ」という人や、具体的な内容面でも「深掘りや考察の余地も多い」など前向きな見方が増えてきた事、さらには千葉雄大が出演していたという話題性から再評価されてきている。これによってメインメンバー5人のファンも着実に増えてきている。
また、乃木坂46の井上小百合が好きな男性のタイプとして、ゴセイナイトを挙げていた事でも一時話題となった。ここでもやっぱりゴセイナイトだとか言ってはいけない。
物語
太古の昔から天上の世界『護星界』に住み、地上を見守ってきた種族『護星天使』。
ところが、地球に侵攻した『宇宙虐滅集団ウォースター』の攻撃により護星界と地上を結ぶ『天の塔』が破壊されてしまう。
護星界との連絡を絶たれた地上に残されたアラタたち五人の見習い天使は、『天装戦隊ゴセイジャー』を結成しウォースター、そしてそれに続く悪しき魂たちに立ち向かっていく。
登場キャラクター
護星天使とその協力者たち
演:千葉雄大
天空を司る種族≪スカイック族≫の青年。
「とにかく、やってみる」が口癖の明るく前向きな戦士で、どんな困難にも負けない強い心を持っている。
演:さとう里香
≪スカイック族≫の女性で、アラタの幼馴染。
「なんとかなるなる」が口癖の脳天気な性格で、気まぐれな行動で周囲を翻弄することもしばしば。
演:浜尾京介
大地を司る≪ランディック族≫の青年で、ゴセイジャーで一番の力持ち。
やや直情径行型の性格だが努力家で、常に自分を鍛えることを怠らない。
演:にわみきほ
≪ランディック族≫の少女で、アグリの妹。
負けん気が強くて猪突猛進、プライドが高い仕切りたがり(通称ダンドリスキー)。
演:小野健斗
大海を司る≪シーイック族≫の男性。
冷静沈着かつ生真面目という典型的なシーイック族の性格をしているが、融通が利かないところもあり、とんでもないボケをかますこともある。
- "地球を清める宿命の騎士"ゴセイナイト
声:小西克幸
ウォースター亡き後に出現した地球犠獄集団・幽魔獣の前に敢然と立ち塞がる謎の戦士。
その正体はかつて1万年前のゴセイジャーと共に幽魔獣と戦いこれを封印、氷の下で眠りながら地球のゴセイパワーを浴びて超進化した最強のヘッダー・グランディオンヘッダーである。
声:宮田幸季
マスターヘッドが地上に密かに送り込んでいたサポートロボット。
声:沢木郁也
護星界の指導者で、本作の司令官ポジション。データスやテンソウダーなどを通じてメッセージを送ってくる。
人間たち
演:中村咲哉
ある日アラタが出会った小学生。護星天使の存在を知る唯一の人間。
何事も諦めがちな冷めた性格だったが、護星天使との交流を通し自分を信じて進むことを学んでいく。
望の父親で、星空をこよなく愛するアマチュア天文学者。
「素晴らしき星空の会」「素晴らしき大喜利の会」などに所属し、日々研究に励んでいる。
- 天知裕子
単身赴任中の望の母親。「裕子さん」の愛称で親しまれ、天知家に多くの伝説を残す。
劇中には電話越しの声のみが登場し、その姿は最後まで謎のままだった。
呼称表
が\に | アラタ | エリ | アグリ | モネ | ハイド | ゴセイナイト | データス | 望 | 天知博士 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
アラタ | 俺 | エリ | アグリ | モネ | ハイド | ゴセイナイト | データス | 望 | 天知博士 |
エリ | アラタ | 私 | アグリ | モネ | ハイド | ゴセイナイト | データス | 望 | 天知博士 |
アグリ | アラタ | エリ | 俺 | モネ | ハイド | ゴセイナイト | データス | 望 | 天知博士 |
モネ | アラタ | エリ | お兄ちゃん | あたし | ハイド | ゴセイナイト | データス | 望 | 天知博士 |
ハイド | アラタ | エリ | アグリ | モネ | 俺 | ゴセイナイト | データス | 望 | 天知博士 |
ゴセイナイト | ゴセイレッド | ゴセイピンク | ゴセイブラック | ゴセイイエロー | ゴセイブルー | 私 | データス | 望 | 天知博士 |
データス | アラタさん | エリさん | アグリさん | モネさん | ハイドさん | ゴセイナイトさん | 僕(データスハイパー時は俺) | 望くん | 天知博士 |
望 | アラタ | エリ | アグリ | モネ | ハイド | ゴセイナイト | データス | 僕 | お父さん |
天知博士 | アラタ君 | エリさん | アグリ君 | モネさん | ハイド君 | ゴセイナイト | データス | 望 | 私 |
悪しき魂
己の欲望のために力を行使し、他者を傷つけ害する者たちの総称。ゴセイジャーは彼らの魔手から地球の平和を護るべく戦い続けた。
また、各組織を正体不明の策士・ブレドランが渡り歩いていた。
敵組織の内部構造の大幅変化は戦隊ではお馴染み、改名や複数組織の登場も前例はあった。しかしゴセイジャーでは敵組織自体が一つ滅ぶ度に前の敵とは出自&目的の全く異なる存在が現れ新たな敵として立ち塞がるという戦隊では初の(ほぼ)完全なる敵組織交代制が採られ、ストーリー進行に伴うそれと共にゴセイジャーが戦う理由も少しずつ変化していった。
出自が徐々にゴセイジャー達に近しくなり、またゴセイジャー達のゴセイパワーを逆手に利用する展開も何度か発生するなど、正義と悪の差が力を行使する目的に絞られていくのも特徴。
宇宙虐滅集団 ウォースター
惑星のモンス・ドレイクを首領とした地球侵略を目論む宇宙人軍団。
劇中唯一の外敵で、主に破壊と蹂躙のために力を行使する。ゴセイジャーは地球在来種を守る為に戦った。
地球犠獄集団 幽魔獣
長い封印から復活を果たした奇怪生命体群。
構成員はブロブの膜インとビッグフットの筋グゴン、そして、チュパカブラの武レドラン。
戦いの本質は在来種同士の生存競争であり、主にテラフォーミング(と精神面での人間嬲り)のために力を行使する。ゴセイジャーは地球環境を守る為に戦った。
機械禦鏖帝国 マトリンティス
首領の10サイのロボゴーグが築く、機械による人類支配を掲げるロボット帝国。
幹部は、エージェントのメタルAとサイボーグのブレドRUN。
人外ではあるものの、劇中唯一の人類由来の敵で、人類の殲滅ではなく主に支配(と自己顕示,ある種の鬱憤晴らし)のために力を行使する。ゴセイジャーはヒトの自由と平等の為に戦った。
地球救星計画
ブレドランの正体である救星主のブラジラが行おうとする、地球破壊と新世界創造を目標とした計画。
ブラジラとの戦いが始まる!
ゴセイジャーの(元)同族で、地球の為の正義を自称。
現地球の破壊、己が望む世界への作り直し、そしてその新世界の頂点に立とうとするために三組織で得た力を己の本来の力と合わせて行使する。
ゴセイジャーは全ての命を守る為に戦い、その果てに自分達の力の理由を見つけた。
用語
護星天使
遥か昔に、地球人の一部で特殊能力を持った者達が異世界「護星界」に移り住み、その中で鍛錬を積み地球を守る任務を負った者のことを指す。つまり地球人の亜種のような存在である。姿は地球人とそっくりで食べるものも同じ。最終回以降は羽根を背中から出して飛んでいる(着地後など使わない時は消えている)。
混乱を避けるためにゴセイジャーは戦闘のたびに地上の人々から自分達に関する記憶を消去している。
ゴセイカード
護星界の住人のパワー、ゴセイパワーを刻んだカード。
比較的近年できたもののようで、ゴセイパワーを精度よく使えるようにするアイテム。
各話リスト
話数のカウントは「epic○」で統一されている。
主なゲスト出演者
沖佳苗(第5話・アナウンサー役)
渡辺哲(第7話)
伊藤陽佑 (第10話・マジス役)
さかなクン (第10話)
小川輝晃 (第19話)
広瀬仁美 (第19話)
いとうまい子 (25話・モネの母親役)
馬場徹 (第36話)
音楽
主題歌
作詩:吉元由美/作曲:YOFFY/編曲:Project.R(籠島裕昌)/歌:NoB (Project.R)
OPテーマ。
作詩:藤林聖子/作曲:岩崎貴文/編曲:Project.R(大石憲一郎)/歌:高橋秀幸 (Project.R)、ヤング・フレッシュ
EDテーマ。「TYPE 2 REMIX」(リミックス版)、「護星天使ヴァージョン」(メインキャスト歌唱版)など様々なバージョンが存在する。
作詞・作曲:NoB/編曲:河野陽吾/歌:MAKE-UP
劇場版主題歌。
挿入歌
- 降臨!ゴセイグレート
作詞:八手三郎/作曲、編曲:三宅一徳/歌:NoB(Project.R)
- 闘え!そして糧を得よ!
作詞:八手三郎/作曲:高取ヒデアキ/編曲:Project.R(高木洋)/歌:高取ヒデアキ(Project.R)
- ☆Fight☆
作詞:マイクスギヤマ/作曲、編曲:岩崎貴文/歌:五條真由美 (Project.R)
- 撃て!その殻を打ち破れ!
作詞:八手三郎/作曲:谷本貴義/編曲:Project.R(大石憲一郎)/歌:谷本貴義 (Project.R)
- データスハイパー 天使と共に
作詞:藤林聖子/作曲、編曲:渡辺宙明/歌:MoJo
- フェスティバル
作詞:八手三郎/作曲、編曲:池毅/歌:串田アキラ
- ゴセイナイトは許さない
作詞:八手三郎/作曲:三宅一徳/編曲:Project.R/歌:宮内タカユキ
- ドラスティック・グランディオン
作詞:八手三郎/作曲:菊池俊輔/編曲:亀山耕一郎/歌:水木一郎
- スーパーゴセイジャー
作詞:YOFFY / 作曲、編曲:IMAJO/編曲:Project.R(大石憲一郎)/歌:サイキックラバー(Project.R)
- 夢 Dream
作詞:八手三郎/作曲・演奏:IMAJO/歌:和田慎太郎
- ゴセイアルティメット〜希望の樹の華
作詞:八手三郎/作曲:NoB/編曲:Project.R(籠島裕昌)/歌:NoB (Project.R)
- Over The Rainbow
作詞:八手三郎/作曲:鈴木盛広/編曲:Project.R/歌:ゴセイジャー(千葉雄大、さとう里香、浜尾京介、にわみきほ、小野健斗)
関連映像作品
スーパー戦隊VSシリーズ劇場
epic.15(ウォースター壊滅回)からepic.45(年末総集編&ブレドランが正体を現す回)の放送回にかけて、本放送の1時間前である日曜朝6:30~7:00に関東ローカル圏で放送されていたTV番組。
ゴセイジャーの5人をナビゲーターに、『超力戦隊オーレンジャー オーレVSカクレンジャー』から獣拳戦隊ゲキレンジャーVSボウケンジャーまでの劇場未公開であった戦隊VSシリーズ作品OVAを2~3回に分けて再編集して流していた。
ナビゲーションのパートでは歴代衣装のコスプレや、1時間後の本編に関する話題などの茶番劇が繰り広げられる。Vシネマ宣伝のために前作の提灯が乱入したことも。
なおepic.24と43の放送日は前者が夏映画、後者が仮面ライダー映画の特番のためVS劇場は放送休止となっている。
劇場版
2010年8月7日公開。本作の単独作品。
2011年1月22日公開。本作と前作『侍戦隊シンケンジャー』のクロスオーバー作品。
2011年6月11日公開。本作と次作『海賊戦隊ゴーカイジャー』をメインとしたスーパー戦隊35作記念作品。
Vシネマ
2011年6月発売。本作の最終回からレジェンド大戦までの間の出来事として描かれている。
余談
次作がアニバーサリー作品になること自体は当初から決まっていたのか、その前座と言わんばかりにこれまでの歴代戦隊のセルフオマージュとおぼしき部分がとりわけ散見されることが一部視聴者から指摘されている。
ただあくまで
- タイトルロゴの土台に漢字表記
- 序盤で敵の攻撃によって故郷に帰れなくなり、その前後に偶然出会った一般人の少年の家に居候する
- 強い気持ちに応えて降臨する新術
- 地球人外の番外戦士と少年の交流
- 戦いが終わる度に毎回一般人から自分達や敵に関する記憶を消している
といった表層的な細かい要素においてであり、本作にオリジナリティが無いという意味では勿論ない。
また、ネットに流出していた「初期設定稿」とされる画像やEpic10のゴセイグリーンの存在から、当初は赤青緑黄桃の王道カラーになる予定だったのではとの噂もあった(その場合、ゴセイブラックがゴセイグリーンになり、ランディックのゴセイスネークは緑になったかも知れない)。
電撃戦隊チェンジマンから長く続いた神谷明が東京ドームシティ(後楽園ゆうえんち)のCMを本作が最後となる。次作(海賊戦隊ゴーカイジャー)以降、別の方が毎年ナレーションを行う。
2019年8月30日から東映特撮YouTubeOfficialで本作が初配信されたが、偶然にも最終回が配信された日は本作の放送開始からちょうど10周年を迎えた2020年2月14日である。
エンジェルロードとのコラボ
2023/08/25に47戦隊47都道府県の影響か香川県のエンジェルロードとのコラボが発表された。
「天装戦隊ゴセイジャー」が香川県小豆島のエンジェルロードとコラボ!