天装鬼
てんそうき
大食漢の男の「ダイエットしたい」という欲望を叶える為に誕生したが、思わぬ出来事により離脱せざるを得なくなり(後述)、新たに売れないミュージシャン・乾龍二の「祥子ちゃんに帰ってきてほしい」という欲望を叶える為に憑依した、天装モデルのヒトツ鬼。
ベニツ鬼が、大鬼と同型の黄色い冠を被った石像を思わせる顔に、鳥人鬼の物と類似した天使の羽で形成された胸鎧を身に着けたスキン・“天使像ヘッダー”を身に纏った姿。
胸鎧の真っ白い羽根は煌びやかかつ、石像風の顔は厳かだが、遠目から見るとミスマッチ感が大きいシュールさのある外見でもある。
変貌時には「螟ゥ陬?姶髫」(天装戦隊)の文字化けと、天装戦隊ゴセイジャーのクレストが浮かび上がる。
空・陸・海を司ったミラクル術をガチャガチャ転送して敵に攻勢する。更に背中の羽を展開して自在に飛行出来る等、理性的に動けない事を差し引いても多彩な技で縦横無尽に立ち回れる厄介な相手。
また、一度実体化しながらも宿主が欲望を失った事で自主的に宿主から離れ、別の欲望を持った人物を新たな宿主にして再実体化する生態をつぶさに見せた初のヒトツ鬼でもあり(※実体化寸前の鳥人鬼が、宿主乗り換えのプロセスを省略した形で見せたのが前例。奇しくもこちらも翼と大きく関わったヒトツ鬼である)、そこから偶然にも翼/イヌブラザーを主軸にした仮面劇の一端を担う事になった。
尚、乾が変貌した際には自分の頭部と同型の黄金の顔面像のオーラを召喚して「ガッチャ」と放つ緑の光線や、腕から熱線を放つ攻撃が新たに備わっている。
喫茶どんぶらでの雑談の中、嗅覚が優れるジロウは匂いから「翼=イヌブラザーでは?」と発言するが、ドンブラザーズの面々は誰も信じず、タロウの号令でイヌブラザーの正体暴きに動き出す。
そんな中、既に誕生・実体化を遂げて街に現れた天装鬼は、人を超えたダイエットの鬼となって是が非でも痩せるべく、豪雨の中一般人に襲い掛かっているとドンブラザーズが参上。ドンモモタロウがイヌに「喫茶どんぶらに来い」と約束を取り付けた上で交戦を開始するも、戦況が不利だと悟った天装鬼は海のミラクル術で発動した水飛沫に紛れて逃亡した。
その後も「痩セタイ!ダイエット、ダイエット!」と暴れ回っていたところ、いまや興味が天装鬼よりイヌの正体暴きに移っているドンブラザーズは、逃げる天装鬼そっちのけでイヌに縄をかけて捕縛しようとする。そのドサクサに天装鬼は陸のミラクル術を一発お見舞いして逃げ去ったが、吹き飛ばされたイヌは売れないミュージシャンの乾龍二と激突。
アバター解除した翼は元の場所に転送されて姿を消し、その際落としたサングラスと、側で気絶していた乾を見たドンブラザーズの面々は乾が、イヌブラザーだと勘違いしてしまう。
乾はそのまま事情もわからず戦いに参加することになり、空のミラクル術を用いた天装鬼の逃走を許してしまうも、それを目撃した翼は事態を察し、これ幸いと(犬塚の懸賞金とし100万円がかけられてしまい、先の正体調べの挙動不審な行動から仲間からも懸賞金で狙われていると勘違いしており)彼にイヌブラザーの座を譲る。
「ハァ…ハァ…助カッタ…。チョットダケ痩セタカモシレナイ……ン?カツ丼!?大盛り、無料…♡」
なんとか逃げおおせた天装鬼だったが、通りかかった食堂の「カツ丼大盛り無料」の貼り紙を見て変身を解除。大食漢の姿に戻って大量のカツ丼を平らげていると、女性店員に食いっぷりを褒められる。「ダイエット中だからこれでも抑え気味」と答えたところ、「私はいっぱい食べてくれる人が好き」との、今までの人生で初めての返答に心が満たされた事で、天装鬼は大食漢の体から追い出されて分離するという事態が発生。実体を保てなくなった天装鬼は欲望に支配された新たな人間を探すためにその場を後にした。
その頃、ドンブラザーズの仲間となった乾だったが、かつて唯一のファンにして元カノだった「祥子ちゃん」と、つよしの妻・みほを勘違いしてあわや決闘になりかける。そこにみほが到着、彼に夫婦仲を見せつけるべくその場で膝枕耳かきを開始する。
だがその悔しさと元カノを求める感情から暴走、新たな依代を見つけた天装鬼が取り憑き今度は乾がヒトツ鬼化。人を超えたシャウトの鬼となって祥子への思いどんどん叫びつつ、区別がつかないまま目に入った女性に次々と襲い掛かる。
そして元カノを探す中で駆けつけたドンブラザーズと交戦するも、新たな憑依者である乾の欲望(=恋人への未練)への執着心がより強かった為か、以前の憑依者の時には見せなかった技を打ち出すなど戦闘能力が格段に向上した事に加え、仲間(と誤解している人物)がヒトツ鬼化したとして戸惑って戦えない。
翼「乾…すぐに元に戻してやるぜ!」
そこに翼が駆けつけ再びイヌブラザーへと変身。事情を知らない故にイヌブラザーが二人になったと困惑する面々をよそにドンドラゴクウが参戦、人間大虎龍攻神へと変身する。他の面々も負けじと人間大ドンオニタイジンへと合体、天装鬼は手から熱戦を放って負けじと対抗するも各々の武器で空中へと投げ飛ばされ、空高く伸びた刀身が自らを貫通。
これが致命傷となり、「祥子チャン…祥子チャァァ〜ン!!」と断末魔をあげて爆散・敗北。まだヒトツ鬼化して時間が経っていなかったのか、ヒトツ鬼ングにはならなかった。
これによって人間に戻ったと同時に、乾も誤解が解け元の路上ミュージシャンへと戻る。そこにかつての恋人である外国人女性・祥子と再会。
翼〈良かったな。お前には彼女がいる、夢がある。……でも、俺は…一人…。そして、ずっと迷子だ……〉
それを見届けた犬塚は一人寂しく立ち去るのであった…。
また、撃破された際にゴセイジャーギアをドロップした様子。
カツ丼を何十杯も平らげる程食の太い男性。しかし食の節制が出来ない事は当人も前々から悩んでいたらしく、ヒトツ鬼に取り憑かれる程ダイエットへの執着が募っていた模様。
しかし、たまたま見付けて元の姿に戻ってから立ち寄った定食屋の女性から、その気持ちのいい食べっぷりを褒められてダイエットへの強迫観念から解放された(もしかしたら「大食漢だから人に嫌われる」という思い込みの方が欲望の本質だったのかもしれない)。
- モデルとして使われた戦隊は『天装戦隊ゴセイジャー』。スキンの天使像ヘッダーはおそらくゴセイジャーのアイテム『ゴセイヘッダー』と考えられる。
- また天装鬼が登場したことで2010年代の戦隊のヒトツ鬼が全て揃う事となった。
- 史上初となる2人の男が同じ怪人へ変貌及び侍鬼以来のヒトツ鬼ングにならず等身大ロボ(虎龍攻神は初)に倒された個体となった。
- 頭部は大鬼の、ボディは鳥人鬼のリペイント。また、鳥人鬼は宿主を元々宿っていた人物から別の人物に切り替えた点や撃破された時の宿主の欲望に恋愛が関係していた点が共通している。そしてこの2体を合わせた点から頭部は変身アイテム『テンソウダーや主であるマスターヘッド、ボディはゴセイジャーの宿敵『救星主のブラジラ』と言う善と悪2つの天使要素も見事合わせている。
- 宿主は2人ともパートナーを見つけたのだが、原点にはパートナーを失ったメンバーがいる。
今回の話が恋であり、原典の『ゴセイジャー』にも恋にまつわるエピソードがあった。
- 大食漢の男役の西氏は『仮面ライダーフォーゼ』に合唱部員(作中では「グリークラブ」と呼ばれている3人組)の片桐平役で出演していた。
- 宿主の乾がミュージシャンの理由はゴセイマイクから、大食漢の理由は「ほら、美味しいもの食べると天にも昇る心地になるじゃないですか……」とのこと。
また『ゴセイジャー』にはエリが作ったどんぶり・エリ丼がある。
- また、天装鬼ングも投稿されている。
もしかして→五星鬼
救星主のブラジラ:原典におけるゴセイジャーを歪めた存在とも言える、ラスボスにして陰の主役でもあった宿敵。声を演じた飛田展男氏は当役以降戦隊シリーズの常連声優の一人になっており、ドンブラザーズでも元老院の一人役で出演している。
マダコダマ:VSシンケンジャーに登場する戦隊怪人。原点の変身アイテムを意識している灯籠を使って特殊攻撃を撃ち返す事ができる。
紫色の雨~La pluie violette~:空気中の水を転送させるアイテム。こちらはゴセイジャーの武器がモチーフとなっている。
恋煩い忍者チューピッド、デーボ・キャワイーン、レンアイワルド:歴代の天使モチーフの戦隊怪人。
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今回は令和戦隊の3作目『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』で登場した大食漢の男と乾龍二の欲望を叶える為に誕生したヒトツ鬼『天装鬼』の掛け合いです!1,037文字pixiv小説作品