《鬲秘?イ謌ヲ髫》
「動くな。漸く見つけた…俺ノ…理想…。俺ノ絵ノモデルニナッテクレ…!」
データ
身長/195cm
体重/234kg
スキン/キラキラのメイジ
むかしむかし/榊は短髪も似合う男だったそうな…。
概要
長髪の画家・榊の「理想のモデルを描く」と言う欲望を叶える為に誕生した、魔進モデルのヒトツ鬼。
ベニツ鬼がベージュカラーの下地に豪華絢爛な宝石を散りばめた、僧侶の頭巾を思わせる兜と胸鎧で構成されたスキン・“キラキラのメイジ”を身に纏った姿。顔部分は翡翠のマスクを彷彿とさせる水色の宝石の仮面に変化し、口へは六角形の黄色いクリスタルが嵌ったかの様な意匠となった。
肩部分も青と赤のグラデーションの効いたシンプルな物に変化し、これまでおどろおどろしさのあるデザインばかりだったヒトツ鬼にしては珍しい芸術的な趣を醸し出すも、顔の表情はムンクの叫びを思わせる苦悶の面相となっており、創作に行き詰ってスランプ気味な宿主の心理面も漂わせている。
また宿主の影響か、耳元にあるロン毛の様に長い装飾も特徴的。
変貌時には「鬲秘?イ謌ヲ髫」(魔進戦隊)の文字化けと、魔進戦隊キラメイジャーのクレストであるCARATのシンボルマークが浮かび上がる。
宿主の欲望に突き動かされるまま、自分の才能を引き出し煌めかせる理想のモデルに適った女性をどんどん探し彷徨い、目当てとなる人物を見付けるや実力行使で拘束・監禁してでも確保しようとする。謂わばやっているのは単なる誘拐で、ヒトツ鬼の人並み外れた身体能力を得たから相手を捕らえて監禁場所に運ぶ一連を単独で出来る様になっただけでしか無い。
戦闘でも全身のクリスタルを煌めかせて自分がひらめくままに立ち回るとされるが、特殊能力は特に持ち合わせず宿主も戦いの素人な為、実力はパッとしない。
総じて、派手で芸術的な外見に反して中身が伴わない、正に見かけ倒しのハリボテで終わったヒトツ鬼と言えよう。
活躍
既に欲望に引き寄せられた魔進鬼に憑依されている状態であり、自身の才能を引き出す為の理想のモデルを探す為に彷徨い歩き、喫茶どんぶらにて介人をこっそりモデルにしてデッサンするが納得がいかずに破り捨て、自らモデルに名乗り出たはるかも無視して店を後にする。
「何処にいるんだ…俺のモデル…。俺が描くに値するモデルは…!」
その後も、今にも倒れそうなおぼつかない足取りで彷徨っていた所、通りかかった雉野みほを目撃し、理想のモデルに巡り会えたと確信した榊は欲望に振り回されるまま誘拐し、自室に監禁。
縄で縛り付け、逃げられない様に拘束して黙々とデッサンを描き続けていたが、「どうせモデルにするなら美容師としての私を描いて欲しい」と、突如みほが散髪をさせて欲しいと言い出し、榊は脅迫した上で理想のモデルの為ならと散髪を許可。鏡に映った彼女を描いていたが、夢中になった隙を見計らってみほが切った髪で榊の腕を拘束。相手のまさかの行動と身動きが取れない急な事態へ戸惑った間に、そのまま彼女の逃亡を許してしまう。
拘束が解けぬまま彼女の後を追い掛け、彼女の身を案じて迎えにきたつよしと遭遇するが、怒りのあまりヒトツ鬼へと変貌。理想のモデルを取り返すべく、人を超えた芸術の鬼と化す。
「俺のモデルを返せ……返セェェェーーッ‼︎」
つよし「アンタが…みほちゃんを…!許せない…許せない、許せない、許せない、許せない…許せないっ‼︎」
愛する妻を危険な目に遭わせた事に怒りを燃やすつよし/キジブラザーとそのまま交戦、増援のアノーニ達に目もくれず苛烈な攻撃を加える相手に怯み、その間にキジ以外のドンブラザーズが駆けつけてアノーニ達を蹴散らされる。
更にヒトツ鬼の発生を感知したソノイの乱入も、ドンモモタロウがジュウオウイーグル、トッキュウ1号、パトレン1号、ルパンレッドとアバターチェンジを繰り返し、ドンリュウソウモモタロウアルターで迎撃した流れで、ドンブラスターで「狂瀾怒桃ブラストパーティ」を発動して撃破しようとする。
しかし、「愛する妻に危害を加えた奴はこの世にいない方が良い」と密かに思っていたキジが突如乱入して妨害。その隙を見逃さなかったソノイに棒立ちになっていた所に一太刀を決められ、ヒトツ鬼ングになる事も無く宿主諸共消去されてしまった。
倒された際にキラメイジャーギアをドロップし、介人の元へ送られた(この時の介人はやや難色を示したような顔をしている)。
榊
理想のデッサンモデルが見つからず彷徨う、長髪の男性画家。
昔は短髪も似合う男だったらしいが、芸術活動にのめり込んだ事で身嗜みに無頓着へなったらしく、長髪姿は散髪を怠った故の物。
そこをみほに突かれて反撃をされた上、彼女を監禁した事が仇となり、妻に対する狂気とも思える愛を剥き出しにしたつよしに因って、(直接手を下された訳でもソノイを唆した訳でも無いが)実質見殺しにされる形でソノイに消去されてしまった。
しかしドン46話でソノイが許しの輪の力を作動させたことにより他の人々やつよしと共に亜空間から解放された。
介人のデッサンを見れば判るが、彼の画力はかなり高いので、自首して罪を償い、再び絵を描いてもらいたい。
余談
- モデルとして使われた戦隊は『魔進戦隊キラメイジャー』。スキン名はキラメイジン、顔の色はオラディン王のイメージと考えられる。一方で魔進モデルという割にはキラメイ魔進の要素はほとんど無い。魔進鬼ング(仮)が魔進ファイヤモチーフになると思っていた人もいた模様。
- また榊の髪が長いのは髪→神絵師とかけた洒落と思われ、キラメイレッドの変身者は「若さ溢れて未来がある高校生で、他者の意思を尊重出来、想像を絵に描き起こす(事が多い)」のに対し、魔進鬼(榊)は「実体のあるモデルに固執する、己の欲求を満たす為なら他者の拘束も厭わない、スランプ気味な中年男性」と見事に対になっている。因みに、元ネタのレッドも、(準)レギュラーをモデルにした絵を描いた事がある。
- 更に元ネタの方は他者の良い所を引き出して共に煌めく事が出来たのに対し、魔進鬼(榊)はつよしの暗い狂気の面=“淀み”を引き出してしまい、一時の感情に突き動かされた彼の行動で見殺しにされる結末を迎えてしまった。
- レッドの変身者とつよしは「ネガティブな自己評価を半ば信じていた」共通点があるが「純粋に才能を称賛する言葉をかけられたか否か」が両者の分かれ目となった。レッドの変身者は「仲間達と巡り合い、自己評価を塗り変えながら大きく躍進して行った((準)レギュラーとは最終的に交際に発展(?)している)」のに対し「その良縁に巡り逢えなかったせいで、自己評価を塗り替えられないまま拗らせてしまった(妻とは夫婦関係であるがそれもまやかしであった)」つよしと実に対照的である。
- そしてつよしは三度もヒトツ鬼と化し、45話において突如現れた脳人によって「ヒトツ鬼となった一般人」として消去される結末を迎えた(上記の通り、46話で解放されたが)。
- もっと言ってしまえば、このエピソードでは脳人であるソノイが桃井タロウ/ドンモモタロウと共に(しかもお互いの正体を知らずに)人助けをしていた事とドンブラザーズであるつよし/キジブラザーが大事な人が危険に晒されたとは言えヒーローにあるまじき行為に及んだ事が対比に描かれ、本作が単なる善悪の構図とは言えない作風である事を物語っている。
- 作中のデッサンは事前に用意した物では無く、榊を演じる島田氏本人が描いた物。
- キラメイジャーはペンギンを主人公とした作品とコラボしたことがあるが、ドンブラザーズでペンギンと言えば...。
- 更にその作品にはつよし並みに恐ろしい思考を持つキャラも...
- 「完全読本」によると上記の通り魔進要素は「イメージが幅広すぎる」という理由から存在せず、キラメイジャーを「クリスタルの魔法使い」と言う解釈に沿ってデザインされた。また、宿主の職業から絵の具やパレット等の画材のモチーフが取り入れられている。
- pixivでは魔進鬼ングがオリジナル怪人として投稿されている。