《迚ケ蜻ス謌ヲ髫》
「ねぇ、皆遊んでよ!“だるまさんがころんだ”やろー!いくよ!だーるーまーさーんーがーこーろーんー、ダッ!」
「駄目ダヨ動イチャ!モットチャント遊ンデヨ!!」
CV:塚尾桜雅
データ
身長/186cm
体重/223kg
スキン/バッディーなチーター
むかしむかし/鼻たれ太一は友達に遊んでもらえずとても寂しかったそうな…。
概要
入院中の老人・井沢太一の「皆と遊びたい」と言う欲望を叶える為に誕生した、特命モデルのヒトツ鬼。
ベニツ鬼がチーターを模したスキン・“バッディーなチーター”を身に纏った姿で、頭部はそのまま耳の強調されたチーターの獣人風に変化し、宿主の欲望の影響故か子供っぽい悪戯な笑みを湛えた子鬼にも見える。また、顔全体を俯瞰すると耳が猫目、目と眉部分がチーターの鼻を模し、顔全体がしっかりとチーターの顔になっている。
胸部にはサングラスを掛けたチーターの顔上半分を模したアーマーを装着、更に背面からはバイクのマフラーを思わせる加速ブースターが伸びている。
頭の大きさが他のヒトツ鬼よりも小さい事もあってか、全体的なシルエットはコンパクトで長身という印象を受ける。
但し、中身が中身な事もあってか、見た目に反して悪意は感じられず、ドンモモタロウの「桃台無敵・アバター乱舞」の演出にはしゃぐ、飽きると即移動してしまう等その仕草は純粋な少年と言った所。
変貌の際には「迚ケ蜻ス謌ヲ髫」(特命戦隊)の文字化けと特命戦隊ゴーバスターズのクレストが浮かび上がる。
病床の太一の分離した欲望のみが実体化を果たした(※性質的には生霊に近く、鬼の語源となった存在「隠(オヌ)」の一種とも取れる)状態でヒトツ鬼の中でも特殊な個体である。
それ故に、実体が無い上にその動きや行動は正に神出鬼没な為、まずマトモに触れる事が困難を極め、何とか交戦に持ち込めても通常の物理攻撃は悉くすり抜けてしまう。
その上で、宿主の幼少期の姿を取って人通りのど真ん中に出現し、いきなりだるまさんがころんだや鬼ごっこ等の遊びを人々へ持ち掛け、遊びでお手付きした人を何所か別の場所へ飛ばしてこの世から消してしまう。
当然、(見知らぬ子供から)いきなり遊びを持ち掛けられた人は流れに付いて行けずアッサリお手付きして消される為、結局半ば通り魔的に人々をこの世より消滅させてしまう。但し、特命鬼を倒せれば、消された人をこの世へ戻す事が可能である。
ヒトツ鬼として、かなり機敏且つ活発に動き回る機動力の高さが最大の持ち味。背中の加速ブースターを吹かす事で更にスピードが加速、瞬間移動するが如しの超高速移動も可能となり、このスピードを活かしてシャットダウンされない様に逃亡を繰り返している。
その一方で戦闘能力は低く、精々手の延長感覚で身体中からエネルギーの触手を伸ばして操る程度だが、特命鬼は終始遊びの感覚で動いているので基本的に他者へ害意等を向ける事は無い。その代わり、遊び相手として見定めた対象に対しては捕まえるのを目的に相手側からは執念深さに見えるくらいの恐ろしいしつこさで何所までも追い掛けて来る。
総じて、只誰かと遊びたい一心で行動しているだけのヒトツ鬼なのだが、遊び相手への同意を省略・無視して一方的に絡み、自分の勝手な判断によるペナルティーでこの世より消してしまうのを顧みれない(と言うよりは、劇中での言動から自分自身の持つ危険な特異能力を自覚していない節を見せている)点から、結果として遊び感覚で理不尽なルールを押しつけ他者に迷惑と恐怖を与える存在と化してしまっている。
これへ特命鬼自身が悪意等が全く無い点も悪い具合に噛み合い、放っておけば広がった混乱の末に脳人の介入を許し、理不尽に命を奪われるリスクを自分から高めてしまってもいる(幸いにも、脅威となる存在を察知した脳人は活動を休止していた為、最悪の事態へは陥らなかった)。
活躍
既に特命鬼に憑依されている状態であり、その影響で自身の欲望が彼の幼少期の姿として具現化し、独自にヒトツ鬼へ変貌。人を超えた無邪気な遊びの鬼となって、遊び相手を求めて転々としながら街行く人々をどんどん消滅させていった。
とある場所で「だるまさんが転んだ」をしようと人々を消した最中、ドンブラザーズが出現。
いつも通り神輿に担がれエンヤライドンに搭乗したタロウ/ドンモモタロウが駆けつけ、大勝利を収める……筈が、今日に限って超パワーの反動で弱体化に陥る数年に一度の厄日で、みすぼらしい神輿に担がれたドンモモは戦う前に既にボロボロ。そんな相手が繰り出したザングラソードを簡単に掴み、すぐさま反撃する。
ならばとドンモモは「桃代無敵・アバター乱舞」で形勢逆転を狙うが、普段は綺麗な虹色の弧を描くドンモモの斬撃は弱々しく、援護射撃も大したダメージとならずに失敗。
最初は綺麗な演出に喜んでいた特命鬼だったが「ナニコレ~?モウ、コンナ遊ビ、ツマンナイヨ!」とすっかり飽きて意気消沈。脇目も振らずにイヌブラザーとキジブラザーの追尾も撒いて姿を消した。
その後、また何処かで「だるまさんが転んだ」をしようと人間を消滅させた所、陣のアドバイスで真一とはるか、介人が作った300個のきび団子を食べて復調したドンモモを率いるドンブラザーズと再対峙。
「アッ!ワンチャン、鳥サン、一緒に遊ンデヨ! ダルマサンガ…コロンダッ!」
翼「ふざけやがって!ワンちゃんじゃねぇ!……」
つよし「あっ、ワンちゃん、ちょっと……」
しかし、お手つきをしたイヌとキジが消されたので、残りの3人は相手のだるまさんが転んだに付き合いながら近付くも、(陣から後に聞かされたとは言え)はるか達が「臼と杵で団子をこねる」団子作りの工程を行わなかった為、ドンモモはまたも不調を起こしダウン。トラブルの連続にドンブラザーズは一時撤退を余儀なくされた。
「皆~!今度は鬼ごっこだよ!!僕が触ったら負けだからね!イイ?イクヨ!」
そして、今度は「鬼ごっこ」をしようとヒトツ鬼に変貌。高速移動やエネルギーの触手で混乱するに人々にタッチして消し回り、巻き込まれた民間人を助けようとする不調のタロウを追いかけ回す。その間に駆け付けた真一/サルブラザーを消滅させ、逃げた先の脳人レイヤーの扉が狭くて通れず別の扉から改めて現れるや、きび団子を持って来た介人/ゼンカイザーブラックと交戦。
実体を持たない為に優位に立つも、その間にきび団子を一通り食べ終えたタロウがドンモモタロウに再度アバターチェンジ。3度目の戦いにもつれ込む。
タロウ「おいお前!俺が遊んでやる!」
「エッ、本当?ヤッター!今度ハダルマサンガコロンダヤロ~ウ!アッ、ジャア…ミンナデヤロウ!」
喜ぶ特命鬼はアノーニを呼び出して「だるまさんが転んだ」を決行し、ドンモモとオニシスターはルールに従いながら、襲い掛かるアノーニを捌きつつチャンスを窺う。こらオニシスター、わざわざ無理な姿勢をとるな。
だが、実は介人が作ったきび団子も最後の一個が足りず、ドンモモは再度不調を起こしてしまう。
しかし、「オニシスターが助けた=ドンモモに貢献した」のを最後の一個分として補いドンモモは完全復活。その勢いでドンロボタロウにアバターチェンジし、竜巻を起こしてアノーニたちをよろめかせ、全員消滅させる。
「スゴーイ!今度ハ難シイヨ~?」
ならばと特命鬼は高速移動能力を活かし、「だるまさんがころんだ」と言いながら視界いっぱいを瞬間移動し続けるが、ドンロボタロウは静かに動かないまま敵の動きを読む。
タロウ「心桃滅却・アバター光刃……! 鬼切ったぁ‼」
「ワア~~~~~‼♪」
一瞬の隙を突いたドンロボタロウの一撃で横一閃され、敗北・爆散。しかしこれで遊び切ったと判断したようで、幼少期の太一の幻影が出現。望んでいた願いが叶って満足した様子で「ありがとう、お兄ちゃん!」と礼を述べ、井沢の肉体へ戻っていった。
その為、ヒトツ鬼ングにはならずゴーバスターズギアをドロップし、きび団子最後の1個を持って急ぎ戻っていた介人の元に送られた。また、真一や翼、つよしを含めた特命鬼によって消された人々は全員元の世界へと無事帰還した。
井沢太一
演:原田文明(幼少期:塚尾桜雅)
入院中で寝たきりの老人の男性。1947年10月3日生まれのB型で、(ドンブラザーズの舞台を2022年とし、9話の出来事が放映日と同じ5月上旬頃の話とするならば)現時点では74歳。
幼い頃はみすぼらしい恰好からか、「鼻垂れ小僧」とバカにされて友達に恵まれず、孤独な思いをしており、年老いた今尚も相当なトラウマとなって引きずり続けていたのか、寝たきりになった事も併せて募りきった寂寥感や孤独感が欲望として身体から分離してしまい、少年時代の姿を形作って具現化する形で特命鬼を生み出した。
特命鬼のしての行動は夢と認識する形で経験していたらしく、ドンブラザーズに倒された後は分かれていた意識の一部が本体に帰還、欲望が解消されたからか苦痛より解放された様な安らかな笑顔をしていた。
ヒトツ鬼にされた人物の中では珍しく、結果的に欲望が満たされ、ドンブラザーズのOPの歌詞にある「悲しみを退治」して貰えた幸運な人物である。
余談
- モデルとして使われた戦隊は特命戦隊ゴーバスターズ。スキン名の「バッディーなチーター」からバディロイドのチダ・ニックや、別のチーターの鎧を着込んでいる様な容姿からレッドバスター・パワードカスタムもモチーフだと思われる。
- 変身者である井沢太一の名前は恐らく「チーター」のアナグラム(チーター→ちいたー→たいち)。
- 劇中で好んでいた遊びが「だるまさんがころんだ」と「鬼ごっこ」だったのは、レッドバスターの長所である高速移動と、「苦手な物を見るとフリーズする」ウィークポイントに因んだ可能性が高い。
- また、桜田ヒロムは、幼少期に両親を失った上で自分の負った宿命に向かい合った代償に、子供として親に甘えたい欲求を抑え込んで成長した過去を持っており、太一同様子供時代に未練を残した人物でもあった。
- その行動原理は子供時代の未練を晴らしたいという悲しみであること、そして遊び相手として選び消滅させていた対象は大人ばかりであること。一連の戦いを経て最終的に太一本人の悲しみは「退治」され、消滅させられていた大人たちは生還を果たし、別離した太一の精神も肉体に戻っていくという第9話のストーリーであるが、これらの各要素を俯瞰してみるとモチーフ元のゴーバスターズの対極たる要素・展開の詰め合わせにもなっている。
- 見方を変えてみれば、特命鬼はまたゴーバスターズの面々のアバター(化身)として作中においてはついに実現しなかった未来を(歪な形であるとはいえ)実現させようとしているとも解釈できるのかもしれない
- 特命鬼と対峙した際に桃井タロウは超パワーの反動により弱体化してしまう点はワクチンプログラム及びウィークポイントのオマージュになっている。また、タロウがきび団子を食べる事により回復する点は宇佐見ヨーコが持つ「ウィークポイントの影響により常にお菓子を摂取しなくてはならない体質」を彷佛とさせる。
- 一応、公式サイトの予告にも特命鬼の名前はしっかり明記されていたが、視聴した人によってはゴーバスターズギアがドロップするまでゴーバスターズモチーフのヒトツ鬼と気付かなかった人も居る。「百獣鬼」や「獣拳鬼」辺りだと思っていたのだろうか(その線だと前者はモチーフ的にこっちの方が近いのだが……)?
- 声を演じる子役である塚尾桜雅のアフレコが上手く、純粋で可愛い声やその演技が逆に特命鬼としての不気味さを際立たせていたとの声も。
- 「完全読本」によると、斑点と金属のパンチ穴の相性が良さそうと言う理由から、チダ・ニックの要素だけを抽出したデザインとなり、上記の通り顔部分はチーターの顔を拡大したものになっているが、猫目が耳っぽく見えて、結局は分かりにくくなってしまっている。
- pixivでは特命鬼ングがオリジナル怪人として投稿されている。
関連タグ
烈車鬼、未来鬼、侍鬼、星獣鬼:原典のメインライター繋がりのヒトツ鬼。
オニゴッコワルド:前作に登場した鬼ごっこに関係がある戦隊怪人。
クランチュラ:だるまさんが転んだを悪用した敵幹部。
ダークバスター:元ネタにおける悪のレッドバスター。
メガゾードδ、クワガタロイド:追加戦カをモチーフに、悪趣味な形で皮肉った戦隊怪人の先輩。
オモチロイド:お菓子繋がりの敵怪人
チーターモズー:チーターモチーフの戦隊怪人の先輩。
ビーダマラー、ガマラー、紐男爵、ザシキワラシ、ハリガネ邪面:人間の少年の姿を持つ戦隊怪人。
ベンキョウヅノー:友達に恵まれなかった人物のコンプレックスを具現化させた戦隊怪人。