《譛ェ譚・謌ヲ髫》
「オーケイ…いや、やっぱりわからん!教官歴30年…何がなんだか……!誰か…誰か俺ノ教官ニナッテクレェーッ!!」
データ
身長/196cm
体重/235kg
スキン/クロノドライバーα
むかしむかし/教官歴30年の武藤と一人の女子高生が出会った、新しい免許を刻むために…。
概要
自動車教習所のベテラン教官・武藤の「誰かおれの教官になってくれ」という欲望を叶えるために誕生した、未来モデルのヒトツ鬼。
シソツ鬼が、外装が破損し内部のムーブメント(駆動装置)がむき出しになり壊れた目覚まし時計を模したスキン・“クロノドライバーα(アルファ)”を身に纏った姿。
歯車が噛み合い、それがカバーで覆われた形状のムーブメントを模した頭部は頭頂部の尖った一つ目の怪物にも見える一方、左右のパーツが脱落している形状から修理不能のレベルに壊れて未来を刻む道具としての役割を果たせなくなったことを暗示しているかの様でもある。
一方、胸部を覆う「チックタックアーマー」は肩上部分に付いたベルが耳を思わせる形状、かつ肩下より伸びる翼を模したパーツからして、ミミズクを模した目覚まし時計だったのが覗える。
変貌時には「譛ェ譚・謌ヲ髫」(未来戦隊)の文字化けと未来戦隊タイムレンジャーのクレストが浮かび上がる。
身体を覆うチックタックアーマーで敵がタイムアップするまで小さく圧縮プレスする能力を備えているらしいが、宿主に戦闘経験が無い上にほとんど戦闘描写が省かれてしまっていたので、詳細は不明。
活躍
ゆり子に勧められ、渋々ながらも運転免許取得に励むはるかの担当になった武藤。しかし、はるかは運転センスが壊滅的で、これまで無茶な運転で次々と教官の首にダメージを与え『教官殺し』と恐れられる程の問題児だった。
自身も彼女の現状を経験することになるが、逆に教官魂に火がついて一人前のドライバーにすることを決意。滅茶苦茶な3Dフォーメーション運転や予期せぬ事態にもめげずに「OK!」行くぜとどんどん指導していった。
地道な指導のおかげで路上教習に漕ぎ着けることができたが、ここでハンドルを握って性格が豹変したはるかが暴走。猛スピードで路上を爆走し、ソノニと翼を始末せんと追いかけるドンムラサメを跳ね飛ばして、そのままオニシスターにチェンジ。
マザーに指示され攻撃を仕掛けるムラサメに彼女も負けじと教習車を乗り回しながら激戦を繰り広げ、やがて疲弊したムラサメを撤退させる事に成功した。
だが長い教官人生でこれまで経験したことがない事態に巻き込まれた武藤教官は、自分を見失うほどに混乱・困惑し、そのショックで生じた欲望から未来鬼に変貌。人を超えた教官の鬼となってしまった。
ここでヒトツ鬼出現を受けて(獣人化狭山刑事と交戦中だった翼/イヌブラザー以外の)ドンブラザーズが参上。交戦を開始し、やがて追い込まれてオニシスターと真一/サルブラザーに取り押さえられた所をタロウ/ゴールドンモモタロウの桃型バリアで拘束される。
「ナンジャコリャ〜!?」と混乱していたところに、最期はゴールドンモモとドンドラゴクウの「抱腹絶桃・フェスティバル縁弩」と「ライトニングドラゴンフラッシュ」の同時必殺技を受けて「オーケイ、オーケイ、オーケイ♡」と極楽気分に浸りながら爆散・敗北した。
しかし欲望が積み重なって未来鬼ングへと変貌し、ドンブラザーズはそれぞれゴールドンオニタイジンと虎龍攻神となって迎え撃つ。
武藤
王苦ミライ自動車教習所にて、はるかと新しい免許を刻む為にと出会った男性教官。オールバックにサングラスと言う強面な印象で、口癖は『オーケイ』。
はるかの運転の才能の無さを痛感しても見捨てず、指導を行う熱血教官。描写こそなかったが、彼もはるかの運転でかつては首を痛めたようだが、路上教習という一大試験にはギプスなしで挑んでいたようである。
王苦市の住人らしく、結構な個性と濃い存在感を有する物の、そんな自分を軽く凌駕するはるかのぶっ飛んだ行動へとうとう思考が追いつかなくなり、人に教える立場を放り捨てて誰かに状況の説明を乞うた結果、未来鬼を呼び寄せてしまう。
奇しくもそれは、同話で獣人の方を翼に斬り捨てられてしまった狭山健児が、かつてヒトツ鬼になった時の状況と類似していた。
ドンブラザーズに倒された後、変貌した場所へ帰還。教習車両に寄り掛かりながら少々ヤケ気味に「オーケェイッ!!」と叫んだ。
常識的に考えて路上試験の結果は問題外にもかかわらず、なんとはるかは免許証を交付されており、手に入れた免許証をタロウ達に自慢して見せる際には「オーケイ!」とSEがかかっていた事から、最終的に武藤が合格を下した事が示唆されている。
だが、肝心のはるかの運転技術はまるで成長していない事が、彼女の乗る自家用車の惨状を見れば明らかであった。
こんなとんでもないドライブモンスターを世に輩出してしまった武藤の罪は大きい……
余談
モチーフ戦隊は『未来戦隊タイムレンジャー』。スキンのクロノドライバーαはクロノチェンジャーとタイムロボα、シソツ鬼が素体としてはおそらく6人目の戦士として登場したと思いきや第三勢力として行動を続けた戦士・滝沢直人/タイムファイヤーと考えられる。
奇しくも、翼/イヌブラザーが似たポジションで行動している他、タイムファイヤーを演じた笠原紳司氏は30分前の世界で鞍馬光聖を演じている。
「西暦3000年の未来人達が現代(西暦2000年当時)に生きる一人の人間に出会った事で、二つの時間を救う(30世紀消滅を防ぎながら、21世紀の大消滅が最小限に食い止められた)道へと導いた」タイムレンジャーに対して、未来鬼は「鬼頭はるかを過失運転の現行犯にしてしまい、真っ当に運転できる道へ導き切れなかった(最終的にはるかをマッドレーサーとして世に解き放ってしまった)」というトップクラスで洒落になってない皮肉となっている。
また、鬼頭はるかの自動車教習の話自体がアヤセ/タイムブルーが免停を食らって講習受けた話(Case File14)が元ネタで、その話を書いたのがドンブラザーズのメインライターである井上敏樹。しかも教習所のロゴや武藤が着ていたジャケットもタイムレンジャーの物を意識している。また井上氏はCase File22の脚本も担当していた。
スキンの外見モチーフはタイムレンジャーのサポートロボット・タック。原典においても全ての元凶の企みが成功した後に、口封じ目的で廃棄処分され掛けた経緯(Case File46)がある。
更に壊れたムーブメントからなる頭部は、粗悪なサイボーグ手術で人格が破綻して徐々に狂いだし、最終的に恩人すら殺して世界に未曾有の大災害をもたらした、ギエンを意識していると考えられる。顔の一つ目は彼の製作物にしてタイムファイヤーを殺害する戦績を残した戦闘員、ゼニットのイメージか。
武藤の「教官歴30年」という設定は、タイムレンジャーのレッド以外の初期メンバーは全員、30世紀からやって来た存在であることに因んでいると思われる。
データにある「むかしむかし」の下りは『未来戦隊タイムレンジャー』冒頭ナレーション、「OK!」という口癖は挿入歌の『OK!タイムロボ!!』のパロディ。
偶然かもしれないが、先週の1時間前はタイムスリップ回だった。
武藤教官を演じた松本博之氏は、かつて『仮面ライダーOOO』にてガメルを演じていた(奇しくもあちらも欲望から生まれる怪人が関係する番組である。これを受け、一部視聴者からは「ガメルも就職したか」等と言われることに(しかも最近公式が配信中だが、彼の出番は近頃はない)。ちなみにガメルのスーツアクターを務めた高田将司氏はキジブラザーのモーションアクターを務めている。
また、彼の前世(?)は欲望を媒介に怪人を生み出す幹部で、なおかつある意味欲望から生まれ、自身の欲を満たすべく動いていた怪人幹部だった(と言っても大抵自分を媒介に生み出していたが)が、またもや欲望から生まれた怪人となってしまった。
スーパー戦隊シリーズへの出演は『特捜戦隊デカレンジャー』のスケコ星人マシュー(人間態)以来となる。
尚、未来鬼のモチーフである『未来戦隊タイムレンジャー』とガメルが登場した『仮面ライダーOOO』のメインライターは小林靖子氏という共通点がある。
「完全読本」によると、デザインイメージは「未来を遡り、古びてしまったタイムカプセル」。当初は本編に登場した「イグレック」をモチーフにしたがマイナーなネタだった為に、タックをモチーフに方針転換している。
pixivでは登場以前にオリジナル怪人として未来鬼が投稿されていた。
後にスーツは前作の一般怪人のスーツと組み合わせ『王様戦隊キングオージャーIN SPACE』に登場するバラブレイカーに改造された。なお、奇しくもこの2体は歯車をモチーフに使われている。
関連タグ
烈車鬼、特命鬼、侍鬼、星獣鬼:原典のメインライター繋がりのヒトツ鬼。
超力鬼、海賊鬼:ツーカイな世界海賊と及び強化フォームの繋がり。
秘密鬼、恐竜鬼、百獣鬼、魔法鬼、轟轟鬼、機界鬼:こちらはゼンカイジャーモチーフの戦隊のヒトツ鬼繋がり。
世界鬼:番外戦士であるステイシーザーモチーフの戦隊のヒトツ鬼。
レトロワルド:対になる関係の戦隊怪人。しかも討伐にタイムレンジャーの力が使用された。
マッドレーサー・バロン:タイムレンジャーCase File14に登場した怪人の1体であり、皮肉にも危険運転による交通事故を起こした事が原因で悪の道へと走っていた。そして前述のアヤセとは因縁もあった。
時計仮面、タイムラー、タイムモンガー、タイムヅノー、ジクウマンモス、時計オルグ、ギガノイド第3番「時計」、タイマーのバクトフージER、クロックシャドー、妖怪ネコマタ、妖怪マタネコ、ヒドケイワルド、トケイグルマー:歴代時計モチーフの先輩怪人。
トケイグルマー:後輩怪人。
プレスキワルド:実際にあらゆる物を圧縮し小さくさせる能力を持つ戦隊怪人。
トルネード・ロイミュード:ヒーローが運転免許を取りに行く回で登場するライダー怪人。
アナザークウガ:タイムレンジャーと同期のヒーローを歪めたアナザーヒーロー。こちらは時間その物を歪める者が変身する個体。
アナザーシノビ、アナザークイズ、アナザーキカイ:未来から来たヒーローを歪めた存在。
ニンジャフォーム:同期作品で登場する歯車モチーフのフォーム。