警察鬼
けいさつき
刑事・狭山健児の「手柄を挙げて警視総監賞を貰う」という欲望を叶える為に誕生した、警察モデルのヒトツ鬼。
シソツ鬼が警官の服装を模したスキン・“熱血おまわりさん”を身に纏った姿で、顔部分が金色のブルドッグになっているのが大きな特徴。宿主になった人物の異名や、苗字に「犬」が入った翼を逮捕したい欲望が反映されたのだろうか。
警察帽型のヘルメットを被り、スパイク付きの首輪の意匠があしらわれた黒い胸当てを装着し、胸部の造形は目ン玉が繋がったあの警察官の顔にも見える。
ちなみにブルドッグの顔は警察バッジのような仮面状で、目と口は縫合され、耳も塞がれており、己の正義に盲目になっている宿主を皮肉っているかのよう。
変貌する際に「隴ヲ蟇滓姶髫」(警察戦隊)の文字化けと、警察戦隊パトレンジャーのクレストが浮かび上がる。
宿主の職業と犬の顔になった事へ掛けて、発達した嗅覚で犯罪者の存在を嗅ぎ分け、血眼にどんどん追跡する事が得意。そして見つけた犯罪者を取り押さえ逮捕しようとするも、如何せん欲望が暴走しているので殴る蹴るの暴行等の過剰な実力を行使する傾向が強い。
コレで相手が武装して抵抗しよう物なら、「死刑宣告」を一方的に告げつつレシーバー部分にスパイクをあしらったショットガン・「鬼険銃(きけんじゅう)」を躊躇無しにぶっ放すので、結局やっている事は警察の肩書を笠に着た暴力行為でしかない。
これまでの個体と異なり、暴走している物の宿主が荒事に慣れた刑事である為、戦闘での立ち回りはそれなりに上手く会話も多少の意思疎通が出来るレベル。出現したアノーニにも動揺する事なく彼らを指揮していた。
しかし前述の通り、「犯人を捕まえる欲望」が歪に肥大化しているので、恐らく無抵抗な犯人にも難癖を付けて危害を加えようとするのが想像付く、穏便な解決方法の取れない理不尽且つ剣呑な気性になっているのが覗える。
既に狭山へ憑依し、人を超えた逮捕の鬼と化した状態で登場するも、変貌と宿主の姿に戻るのを繰り返す不安定な状態で見付けた犯罪者を通り魔的に襲撃・痛め付ける行動を繰り返していた様子。
しかし、ひったくりを痛め付けていた所を散歩途中の真一/サルブラザーに目撃され、ドンブラスターの銃撃を浴びて怯むもその場から一目散に逃走する。
その後は狭山の姿に戻り、犬塚翼を捕まえるべく部下達と行動していたが、部下がタロウに連れ回される翼(※配達物の高級パンを勝手に食べたのをタロウに咎められ、届け先へ連れてかれて謝罪と弁請代わりのトイレ掃除をさせられていた)を発見。二人がシロクマ宅配便の社屋に入って行ったのを後を追って確認すると、すぐさま社屋を包囲して立て籠っている翼を燻り出そうとする。
更に狭山は、拡声器を手にしての投降を呼び掛けるも、ここで警察鬼の足取りを追っていた真一がふらりと割り込み、拡声器を取り上げて俳句を翼に聴かせる奇行をする。ところがこれに、「新作漫画の取材を邪魔された」と判断したはるかが社屋から現れ、一方的な要求を言いながらドアを閉めてしまう(ついでにはるかがドアを閉める寸前、真一が説得(俳句の解説)する為に社屋内に入り込んでしまった)。
こんな珍妙な展開を一方的に見せられて急速にフラストレーションが溜まるも、しばらくは様子を窺っていたがその内に社屋内からバースデーソングが聞こえて来るよりヘンテコな状況へ我慢ならなくなり、狭山は単身社屋内に突入。
……するとそこでは、つよしの持って来たケーキを使っての誕生日会が何故か開かれていた(実はこの日は翼の誕生日であり、偶然集まり事情を知ったドンブラザーズのメンバーが彼の誕生日を祝っていた)為、意味不明過ぎる状況を前に遂に堪忍袋の緒が切れ、怒りのまま完全にヒトツ鬼に変貌する。
「貴様らぁ〜!いい加減にしろぉ!!逮捕ダ!全員逮捕ダァ!ソシテ今度コソ、警視総監賞ヲ貰ウノダァア!」
つよしを吹っ飛ばしつつ翼に迫るも、彼が屋外に逃走したので後を追い、何処からとも無く現れたアノーニも引き連れながら追い詰めた所へ鬼険銃をぶっ放すが、ここで翼が先程、別の場所に落としていたサングラスが彼の目元に転送された事で、着弾寸前に脳人レイヤーへ逃れる形でかわされ、イヌブラザーへの変身を許してしまう。
そのまま交戦に突入、先行させたアノーニの後ろからドラム缶を投げ付ける攻撃も掻い潜られ攻めあぐねている隙に、遅れてサルにオニシスター・キジブラザーも駆け付けイヌに加勢。シスター以外の三人がリュウソウジャーにアバターチェンジしての乱戦へもつれ込むも、更に遅れて現れたドンモモタロウがイヌのドンブラスターに装填されたリュウソウジャーアバタロウギアとザングラソードで発動した、「騎士竜一桃・リュウソウ斬」でアノーニ諸共薙ぎ払われて敗北・爆散した。
しかし、その直後に暴走した欲望が脳人レイヤーに積み重なり、警察鬼ングへと変貌した。
- カオス極まりない状況を前にブチキレて変貌した警察鬼だが、さながら初見でドンブラザーズの雰囲気に付いていけない視聴者の気持ちを代弁するかの様にも見え、更に言えば、真面目に刑事としての職務を果たそうとしている時に、中々目標が出て来ない上に、唐突に現れた真一や、はるかの奇行で現場を掻き乱され、挙げ句に強行突入してみたら何故か誕生会…等と言うわけが分からな過ぎる状況を連続して目の当たりにすれば、ストレスやフラストレーションで、正気を保てずにブチ切れてしまうのも当然であろう。その為、烈車鬼や超力鬼がタロウがきっかけで誕生していたのに対し、今回はドンブラザーズ全員のせいで誕生してしまったヒトツ鬼とも言える。
- …という解釈もあるのだが、厳密には翼の立て籠り先が判明するよりも前に警察鬼の姿に変貌して泥棒を襲っている描写がある。怒り自体は尤もであり、ドンブラザーズ達の奇行が決定打になって、完全に暴走してしまった事は事実であろうが「ドンブラザーズのせいでヒトツ鬼になった」とは正確な解釈とは言い難い所である。
- 警察モチーフだが、モデルとなった戦隊はデカレンジャー…ではなく警察戦隊パトレンジャー。
- 金色のブルドッグの顔はパトレンジャーのマークである警察Sエンブレムと同じ形をしている。
- ベースカラーが紫なのは他のメンバーが融合した形態の要素も使われた為とモデル元のライバルポジションに当たるルパンレッドをモデルとした快盗鬼との差別化、名前に赤を意味する単語を入れていないのをアレンジした為もあるのだろうが、それ以上に実力行使を行える立場と力に溺れず、警察官の信念と人としての良心・良識を持ち合わせながら熱血でもあった変身者の反存在である事を示しているとも考えられる。
- 刑事が変貌すると言う設定から特捜鬼かと思っていた人も居た模様。なお、特捜鬼の登場は約半年(24話)後でようやく登場でこちらも犬顔をモチーフとしている。
- 「翼を追っていた警官・朝田刑輔が警察鬼に変貌した方がしっくり来たのでは?」と言う意見もある。
- 狭山刑事は定年直前という設定だが、演者の杉本氏はまだ50歳である。
- 因みに狭山刑事の部下の一人は、警察鬼のスーツアクター役を演じた斎藤謙也氏が顔出しで兼役している。
犬のおまわりさん:有り体にいえば、これをそのまんま怪人化させたと言える。
快盗鬼:対になる関係のヒトツ鬼。
特捜鬼:同じく警官&犬モチーフのヒトツ鬼。
デカマスター:警察&犬モチーフ繋がり。こちらは犬型のエイリアンが変身するヒーローである等、警察鬼とは真逆の存在とも呼べる。
バラポリス、悪徳警察官アーノルドK、デーボ・ローヤローヤ:歴代警察官モチーフの戦隊怪人。
取手権左衛門:烈車戦隊トッキュウジャーに登場する迷惑警官。
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