「手に入れた化けの皮が、たまたま東雲悟だっただけさ」(#44)
「そんなに熱くなっちゃ、俺には勝てねぇよ?」(同上)
データ
身長/185cm(巨大金庫身長/46.3m)
体重/214kg(巨大金庫体重/535.0t)
犯罪歴/身分偽装、機密情報漏洩
犯罪技/シーホースナイプ
ルパンコレクション1/「しなやかな心~Le cœur élastique~」→「人形遣い~Le maître des marionnettes~」
ルパンコレクション2/「万人の声~Un million de voix~」
概要
国際特別警察機構フランス本部に潜入し、その機密情報を異世界犯罪者集団ギャングラーに流していたギャングラー怪人。
黄色いタツノオトシゴに似た姿で、銃の弾と蹄鉄を下げるベルトを腰に巻いた姿が保安官を彷彿とさせ、海藻のような赤いコートで身体を覆っている。
また胸部に金庫を2つ持っているため『ステイタス・ダブル』に分類される。
その外見に違わず銃撃戦を得意とし、口吻を伸ばしたタツノオトシゴを模した拳銃・海馬銃『シーホースナイパー』を用いた犯罪技『シーホースナイプ』で戦う。
かつて圭一郎とつかさと共に国際警察の日本支部に配属され、現在はフランス本部に帰投している筈の東雲悟の化けの皮を被って彼に成りすまして本部に侵入。本編序盤よりザミーゴ・デルマと内通して数々の機密情報を盗み、ギャングラーに流していたスパイの正体である。
しかし、スパイの足取りを追っていたノエルにその尻尾を捉まれた事から急遽悟の皮を被って日本支部に赴き、ルパンレンジャーにも肩入れするスタンス上パトレンジャー達からの信用面に不安があるノエルにスパイの濡れ衣を着させて、両者の関係を決裂に追い込みノエルを間接的に排除しようと目論む。
当初は左胸の金庫に反発弾のルパンコレクション「しなやかな心~Le cœur élastique~」を入れていたが、前話でトカゲイル・ナクシャークを騙して彼が所有していたタクトのルパンコレクション「人形遣い~Le maître des marionnettes~」を強奪し(代わりに「しなやかな心~Le cœur élastique~」を手放してトカゲイルに譲った)、この力により対象の身体のコントロールを奪い、自分の意のままに動かす能力を手に入れた。なおコントロールの度合いは調節が効き、自然な動作でノエルにXチェンジャーを発砲させたりパトレンジャー同士で銃口を向けさせる芸当が可能。
更に右胸の金庫へ入れたマイクのルパンコレクション「万人の声~Un million de voix~」の力で他者の声を完璧に模倣する能力も手に入れており、悟に成りすませていたのもこの能力があったのが大きい。
金庫の暗証番号は右胸の方は「310」、左胸の方は「930」。
パトレンジャーにとって大切な仲間だった悟の姿や立場を国際警察の情報を横流しにするという悪事の為に利用し、目的のためなら同胞を謀ることさえ一切の躊躇も無しに実行、更には奪った力で自分の手を汚さずにターゲットを追い詰めたうえで同士討ちさせようとするなど非常に狡猾・陰湿な性格。その非道卑劣を絵に描いたような態度は典型的なギャングラー怪人の姿と言える。
正体を現して以降の活躍期間は短かったが、これまでに何度もギャングラーが国際警察しか知り得ない情報を得てたびたび国際警察の活動を妨害していたことを考えると、ある意味長期に渡りパトレンジャー達を苦しめた存在だったとも言える。
活躍
まだ存在が明るみに出ていない本編序盤より密かに暗躍しており、フランス本部からサイクロンダイヤルファイターとトリガーマシンバイカーの件や保管された金庫の残骸の件など国際警察の関係者でなければ知るはずも無い様々な機密情報を長い間ザミーゴに横流ししていた(クレーンとドリルをギャングラーに流したり、咲也がパトレン2号の正体であることをピョードルに流したのもナリズマだと思われる)。
しかし、スパイの情報漏洩の足取りを追っていたノエルにフランス本部のデータベースに不正アクセスした痕跡を見たけられてしまったため、その容疑をノエルになすりつけて彼を排除しようと目論み、様々な裏工作を張り巡らせていく。
手始めにトカゲイルの持つコレクションを強奪して対象を自由に操る能力を会得し、その後トカゲイルにはノエル名義の手紙をつけた自身のコレクションを送りつけてノエルにコレクションを貰ったと彼に信じ込ませた。
そして悟の化けの皮を被って圭一郎と対面するとノエルが情報漏洩の主犯であると発言して彼らに疑念を抱かせ、裏ではノエルに右胸のコレクションの力で自身の声をヒルトップ管理官の声に偽装、トカゲイルの潜伏先のアジトを突き止めたと吹き込んでそこに向かわせ、ノエルにコレクションを貰ったと信じ切っていたトカゲイルとノエルが居合わせていたタイミングでパトレンジャー3人にそれを見せつける。
更にトカゲイルから奪った左胸のコレクションの力でノエルを操り発砲、ノエルがギャングラーのスパイであると完全に思わせて現場に駆けつけた圭一郎たちを対立させると、撃つのを躊躇った圭一郎からVSチェンジャーを取り上げてノエルを射殺しようと追撃するもノエルの逃走を許す。
その間、コレクションを貰ったと言うトカゲイルの発言とゴーシュから「ノエルは人間ではない」と聞かされたルパンレンジャーからも間接的に信用を無くすことにも成功し、ノエルを精神的にじわじわと追い詰めていった。
しかし、かつての悟は肌身外さず持っているレコーダーでいつもクラシック音楽を聴いていた事を知る圭一郎は、悟の置き忘れた音楽プレーヤーに音楽データが一切入っていないことに気づき、つかさと咲也の方もノエルが日本支部に配属される前からギャングラーに情報が漏れていた事実や、もしノエルが情報漏洩しているのならヨシー・ウラザーの件で自らフランス本部に指示したのを漏らすはずがないこと等から、悟に疑惑の目を向けてゆく。
翌日、圭一郎に呼び出されて詰問されると本性を表し、左胸のコレクションの力で3人にVSチェンジャーを向けさせて同士討ちを図るも、被っていた化けの皮を駆けつけたノエルに剥がされたことで完全に正体が露見。
悟の姿に化けたのは、「手に入れた化けの皮がたまたま東雲悟だったから」というだけの理由によるものだった。
「化けの皮とは何だ!?悟はどうなってるんだ!?」と圭一郎は詰め寄るが、ナリズマは素っ気なく答える。
「知らねえよ。まあ、化けの皮になったってことは……“死んでんだろ”?」
実際、化けの皮を扱う売人から購入しただけのナリズマにとっては、化けの皮となった人間がどこの誰かなど知らなかったであろうし、関心もなかったであろう。
しかしその一言はパトレンジャーに2つの大きな衝撃を与えた。
1つは、今までのギャングラー怪人達は変装術で人間に化けていたのではなく、殺害した人間を素材とした化けの皮を被っていたということ。
そしてもう1つは、悟もその化けの皮製造のための犠牲になっていたということだった。
圭一郎「化けの皮は人間からできているのか…… ギャングラー……!!」
つかさ「…許さん……!!」
圭一郎とつかさはこれまでにない程の凄まじい怒りを見せ、咲也や容疑の晴れたノエルと共に警察チェンジ。僚友の敵討ちとばかりに猛然と立ち向かって行く。
その勢いに最初は押されるが、再び左胸のコレクションの力を行使してパトレンジャーの同士討ちを図るも、レッドの放つルパンマグナムの一撃を受けてダウン。そこでブルーとイエローに取り付かれてダイヤルファイターで金庫を解錠、コレクションを二つとも奪われたことで形成が逆転。最期はぶらっと現れたグッドストライカーを捕まえたパトレンジャーがなったパトレンU号の『イチゲキストライク』と、レッドの手でチェンジしたスーパールパンエックスの『スーパースペリオルストライク』を同時に喰らって敗れ去る。
その後、現れたゴーシュはルパンエックスに「その内あなたを可愛がってあげるわ。楽しみにしててね♡」と言い残してナリズマに巨大金庫を施し、ナリズマは「よくもこのナリズマ様を!」と怒りを露わにして巨大化。パトカイザーとエックスエンペラーと戦闘になる。
銃撃戦を得意とする2機相手でも「銃撃の早さなら、負けないぜ!」と高い狙撃能力で戦い優位に進めていたが、パトカイザーがノエルから渡されたサイレンストライカーとトリガーマシンバイカー・クレーン&ドリルを使ってサイレンパトカイザーに変形。犯罪技で対抗しても高い防御力でダメージが無効化されてしまい、逆に相手の火力に押し負けてしまう。
最期は『パトカイザーサイレンストライク』と『エックスエンペラーガンナーストライク』を同時に放つ『パトレンジャーサイレンガンナーストライク』を叩き込まれて「警察なんかに化けるんじゃなかった~‼」と叫んで爆散した。
一方、ナリズマを通して国際警察内部の情報を掠め取っていたザミーゴは、彼が倒される様子を遠くから見届けた後で「あ~らら、せっかくの情報源が。ま、いっか……」と呟くだけであった。
戦いが終わった後、圭一郎は悟の形見のレコーダーを握りしめ、必ず事件の真相にたどり着いて見せると強く決意した。
そして続く#45にて、これまでに倒したギャングラー怪人の被っていた化けの皮の外見と、都内で最近失踪した人々の関係の洗い直しが徹底して行われる事となる(劇中ではギーウィ・ニューズィー、ピッチ・コック、ルレッタ・ゲロウの皮の素材となった人物が特定された)。
更に失踪者の中にジュレの3人と関わりのある人物も特定した上で自分達が「大切な人をギャングラーによって失った」という境遇になった事を振り返った圭一郎は…。
余談
名前の由来は悟に化けて成りすましていた点からそのままストレートに『成りすまし』、そしてタツノオトシゴの英訳『シーホース』の捩りである。
もしくは成りすましと『絆』を意味するボンズ(bonds)を組み合わせた物とも考えられ、『パトレンジャーとの絆の深い人物(=悟)に成りすます』と言う意味合いを込められたネーミングだとも解釈出来る。
ギャングラー共通の骨の意匠は首から上半身にある。
2つある金庫の暗証番号のうち、右胸の「310」は化けの皮に使った悟の名前の語呂合わせ、左胸の「930」は「偽装」の字を数字に当てはめたものと思われ、2つ合わせて悟に成りすましている事を端的に表している。(あるいは930はナイン、スリー、マルで「なりすます」か。)
タツノオトシゴがモチーフに使われた怪人は近年では未来戦隊タイムレンジャーのカウンセラー・ゼクター、特捜戦隊デカレンジャーのテンカオ星人ラジャ・ナムナンがいるが、どちらも警察のスーパー戦隊に登場しており、奇しくもナリズマも同じく警察であるパトレンジャーに因縁のある怪人と言う造形になった。どうも戦隊シリーズにおいてタツノオトシゴは警察と因縁深い関係にある様だ。
また、タイムレンジャーには保安官紛いの悪事を働いていた悪徳警察官アーノルドKが、デカレンジャーには警察側の人物ながら悪事を働きその濡れ衣を戦隊側の身内に着せたカイト・レイドリッヒが登場している。
ルパンコレクションのモチーフは爆竜戦隊アバレンジャーのウイングペンタクトと、忍風戦隊ハリケンジャーのシュリケンズバット。名前の由来は前者はMETARICAの「Master of Puppets」後者はオットー・ノウズの「Million Voices」と思われる。
モチーフ元の所有者達はそれぞれ“戦隊と長い間反目した後終盤でようやく心を交わした”、“幾つもの姿で神出鬼没に表れ立ち回る”とノエルに似通った行動を取っていた。また三者とも追加戦士であるという共通点がある。
ピョードルのコレクションであった「操作する~Le contrôle~」とは能力の系統が似ており、こちらは話さずとも対象を操れる為、一見上位互換に見えるが、ピョードルのコレクションが「精神操作能力である程度の遠隔操作や応用が効く能力」なのに対し、ナリズマのコレクションは「身体操作能力で目視できる範囲で撹乱目的など用途の限られた能力」と一長一短な点も存在している。
声を演じた高階氏は天装戦隊ゴセイジャーに登場したスキャンのバザルソLJ以来、8年ぶりのスーパー戦隊シリーズ出演である。その間、仮面ライダーウィザードの白い魔法使い(正体発覚前時)など仮面ライダーシリーズで出演している。
ギャングラーの怪人達は性質上極悪非道な怪人ばかりであるが、彼の場合、『パトレンジャーの旧知の仲間である悟の姿を悪事に利用する』『自身の罪をノエルに擦り付け心身ともに疲弊させた上で彼の信頼を失わせる』『目的のために同類さえも欺きその力を利用する』等ほかのギャングラーに勝るとも劣らない陰湿かつ非道な行いを平然とやってのけたのが、直近の回で登場したデストラ・マッジョがドグラニオに忠義を尽くして正々堂々戦って散ったことに比較される形でその極悪非道ぶりがより際立つ結果となった。
また最近のギャングラー怪人は犯罪技が個性的だったり、前回のトカゲイルの様に性格や口調が特徴的だったりと憎めない悪役なギャングラー怪人が多かったのだが、今回の件でいかにギャングラーという組織が極悪かつ卑劣な怪人達の集団である事実を再認識させた存在と言える。
関連タグ
快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー 異世界犯罪者集団ギャングラー ギャングラー怪人
ピョードル:劇中ナリズマからのと思わしき電話を受けるシーンがあり、それから得た情報を使い洗脳した咲也へ爆弾を持たせて国際警察日本支部を壊滅させようとした。その咲也が悟がなる可能性のあったパトレン2号の変身者なのは、今考えると皮肉であり伏線だったのだろうか。
アンチラ星人、スラン星人クワイラ:こちらもヒーローの変身者に化けた敵繋がり。アンチラ星人は防衛組織の基地を壊滅しようとしたという共通点もある。
アトランタ星人:同じくヒーローサイドの人間を殺して成り代わり、非道の限りを尽くした敵繋がり。
サンババ:2年前の戦隊怪人で、タツノオトシゴの仲間であるリーフィーシードラゴンがモチーフ。
妖精のサラワレテ居:8年前に登場した戦隊怪人で、こちらも外見と声を完璧に模倣して戦隊メンバーの始末を目論んだ。
ナリスマシ:9年前に登場する成り済まし繋がりの戦隊怪人。ネーミングも同じ。
カメレオン・デッドマン:主役サイドにいる味方に成りすました怪人繋がり。こちらはモチーフ元のカメレオンよろしくと彼に成りすましたうえで自ら手をかけている。
アーロニーロ・アルルエリ:彼同様、主人公の友達の先輩の姿と能力を悪用して苦しめたヴィラン繋がり。