ナリスマシ
なりすまし
「ダマされる方が悪いんだよ~ん!キャッハッハッハ!……ちょっとカノジョー。お茶飲みに行かな~い?」
CV/スーツアクター:大林勝
第十五幕「偽物本物大捕物」に登場した向かい合った2人の顔のような、2つの瓜のような姿を持つアヤカシ。『のっぺらぼう』の伝承のルーツとされている。
上記の姿をより詳細に説明すると、身体の右半分と左半分のカラーリングが赤と緑に分かれており、頭部、胸部、両大腿部、膝から下でそれぞれ交互に配色が変わっており、まるで道化師の様な印象を受ける。
緑色の部分は瓜やその蔓の意匠が見受けられる植物的な外見になっているが、赤い部分は人間の横顔の意匠となっているのが特徴で、頭部の両側のラインがルビンの壺の様になっている。両肩の顔と瓜の装飾も、向かい合った2人の顔のようにになっているのも見逃せない。
それでいて頭部は真っ白い面に輪切りバナナのような黒い点がついているだけで鼻も目も口も無く、これだけで十分のっぺらぼうのルーツと納得の外見である(目にも見える物体は角)。
武装は「瓜実複相刀(うりざねふくそうとう)」というまさに瓜二つの形状をした赤と緑の刀。
上記の通り自身の顔を持たないくせに変装は得意で、「誰にでも変身できてなおかつ言動まで完璧に成り済ます」ことができ、外見のみならず薄皮太夫の三味線の技量もほぼコピーするなど、演技力もかなり高い模様。
こうした能力で様々な人間にまんまと成り済まし、周囲を混乱させてはその様子を陰で見て、高笑いしながら楽しむ悪党である。
おぞましい姿に反してチャラ男の様にノリも態度も何もかもが軽く、上記の通り他者を騙して弄ぶのを好む一方、逆に自分が同じ事をされれば自分の所業を棚に上げてキレると言う身勝手な面を持ち合わせており、その腐った性根もまた外道。
上記の変身能力のみならず、瓜実複相刀から爆発を巻き起こす「必殺暗黒斬り」という技を繰り出すため、戦闘力も相応に高く、劇中ではシンケンジャーの仲間割れを目論んだ。
なお、変身能力の弱点は牛鬼と同様、水面に映る自身の姿が本来のそれである事で、水場では自身の正体が相手にバレるリスクが有る。
街で他人に化けて悪事を働いていたところ、駆けつけた千明を気絶させるとそのまま本人に化け、ナナシ連中と交戦中のレッド達4人の前に姿を現すと、「メンド臭っ。雑魚連中はお前らが相手すりゃ良いだろ」と戦闘を拒否する態度を取って退散。その後、気絶から立ち直った本物の千明が覚束ない足取りで出て来ると、当然何も知らない4人から先程の言動を非難されてしまう。
この一件を皮切りに、千明に化けてのナリスマシの悪事はエスカレートして行く。千明の姿で流ノ介に水風船を投げ付けたり、茉子とことはの顔面にケーキを押し付ける等の悪戯を行う始末。そうして真実を知らない本物の千明が謂れの無い糾弾を受け、その冤罪によってチーム内で孤立して行く様子を陰で見て楽しんでいた。
仕上げとばかりに今度はことはに化けて千明の抹殺を目論み彼に近付くと、首を掻き切るすんでのところで千明が意外な言葉を口にする。丈瑠からクロガネ山に集合するよう連絡があり、「ドウコクを倒す秘策が見つかった」と言うのだ。
無論ナリスマシはそんな話など聞いた事がないが、もしそれが本当でドウコクが倒される事になれば自分達にとっても死活問題になる。ことはに化けている事がバレないように振る舞うナリスマシだったが、そんな彼をよそに千明は「クロガネ山に集合って言ってたけど、俺は行かねぇ。行ったら、またケンカになっちまうし…」と言い出した為、ナリスマシはニヤリと笑って急遽予定を変更。千明の姿で先に4人を始末しようと動き出す。
そして4人の前に現れると、先程の件を根に持つ流ノ介から詰られたのを皮切りに「バカな奴らだ!ダマされた事も気づかないで……」と前置いて大笑いすると、そのまま招集しておいたナナシ連中をけしかけて丈瑠達を包囲。そして「アクション!」と叫んで襲い掛からせようとするのだが、そこへ突如一陣の木枯らしが吹き、ナナシ連中を一掃されると共に本物の千明が登場。
実はことはの姿で近づいた時、不覚にも自身の正体が池に映っていた事を千明は既に見抜いており、逆に騙して罠に嵌めるべく、ことはに化けたナリスマシが去った直後にショドウフォンで残る4人に連絡し、一芝居を打っていたのである。(流ノ介は当初信じなかったが、千明の自主練の痕跡を見つけ一足早く何かがおかしいことに気づいた丈瑠がクロガネ山に向かう判断及び殿としての命令を下した。)
自身が騙されていた事に気づかされたナリスマシは遂に正体を明かし、「こざかしいマネを…!よくもダマしたなァッ!!」と自身の行動を棚上げして激昂するが、対する千明はそれ以上の怒りを見せ、「散々みんなをダマしておいてよく言うぜ…!だけどこれまでだ!!」と啖呵を切ると同時に他の4人と変身して交戦。
シンケンジャーを自慢の変身能力や剣術などで苦戦させるナリスマシだったが、グリーンに止めを刺そうと「グッバァ~イ!」と言って刀を振り下ろした瞬間、真剣白羽取りで刃を受け止められてしまう。本編冒頭の練習で上手く出来ず、苦手だった白羽取りを見事成功させたグリーンの成長に、レッドは思わず「良いぞ!」と感嘆の声を挙げる。
そのままグリーンに刀を捻って奪い取られたが、ナリスマシはグリーンの両手が奪い取った刀で塞がっている隙を突き、残るもう一振りの刀で攻撃しようとする。対するグリーンはジャンプしたかと思いきや、何と両足を使って白刃取りでこれを防ぐ。
そうして両刀を手放されたナリスマシはそのままグリーンから回転キックを喰らって地面に落下。其処へ追撃に繰り出される木枯らしの舞を受け、怯んだ所へ兜五輪弾を喰らい敗北する。
その直後、「お楽しみは、これからだよ~ん!」と言う台詞と共に二の目となって巨大化。
今度は何とテンクウシンケンオーに化け、回転しながら「さぁ、本物はどちらでしょう?」と笑っておどけて見せるも、ブルーとイエローの目を惑わせる以外に何の効果も無く、ダイシンケンの一振りによって変身を解除されてしまう。負けじと頭部からの光弾で攻撃するも通用せず、最期はテンクウシンケンオーのダイシンケン天空唐竹割りを受け、「負けましたよ…」と言い遺しながら爆散した。
モチーフは顔と瓜の他、ピエロと隈取りも含まれる。名前の由来はそのまま成り済まし。ウリ科モチーフの戦隊怪人は過去にスイカモズーやカボチャンプキン等が居るが、瓜その物をモチーフとした戦隊怪人はナリスマシが初。
現代の伝承に於いて『のっぺらぼう』と言う妖怪は、目鼻も口も何もないツルンとした顔の化け物らしく、ナリスマシが本当の顔を持たない事がそのルーツになったとされる。
デザインを担当した篠原保氏は『百化繚乱[下之巻]』にて、「『同幕が偽者回』という事で少しトリッキーな道化師をイメージし、『化ける』という事で歌舞伎の隈取りをモチーフにして、『瓜二つ』という言葉遊びからデザインを考えた」とコメントしている。
声とスーツアクターを担当した大林氏は骨のシタリのスーツアクターも兼任している。
侍戦隊シンケンジャー 外道衆 アヤカシ(シンケンジャー) のっぺらぼう
ノッペラボウ(カクレンジャー):『忍者戦隊カクレンジャー』に登場した大先輩。
スマスリーナ星人ニカレーダ:『特捜戦隊デカレンジャー』に登場したなりすまし繋がりの先輩。
妖精のサラワレテ居:次回作に登場する怪人で、こちらも他人に化けて成り済ます能力を持つ。
スダル・ウルキュー:9年後の作品に登場する怪人で、同じく緑の戦士(大林氏が変身後を演じている)に濡れ衣を着せた悪事を行った。
ナリズマ・シボンズ:同じく9年後の作品に登場する成り済まし繋がりの怪人。行った悪事もナリスマシとほぼ同じである。
パウチ星人ボラペーノ:同じく他人に化けられるのっぺらぼうモチーフ繫がり
バリゲ星人ミリバル、シルベガミ、臨獣アングラーフィッシュ拳ムコウア:声とスーアクの演者が同じ戦隊怪人で、前者は人間態も兼演している